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日本でブランドを確立した「ダイソン」の“説明力”に注目

投稿日時:2013/01/25(金) 14:13rss

家電業界の消費不況が叫ばれて長いですが、英ダイソン社のサイクロン掃除機は、1999年の日本進出以来、苦戦する日本のメーカーを尻目に、相変わらずの好調ぶりを続けているようです。
 
今や、「主婦が欲しいものランキング」に必ずや名を連ねるダイソンの掃除機。すっかり「ブランド」としてのその地位を確立した同社は、近年、羽のないスタイリッシュなデザインのファンヒーターや扇風機の分野でも売上げを伸ばしています。
 
 


 
当時2~3万円台が主流だった掃除機業界に、7~8万円台の主力商品を持って参入し、その後値崩れも起こさずに売れ続けている同社の実力は、さすがと言わざるを得ません。
 
もちろん、その勝因は、掃除機を透明にしてしまったインパクトを含めた高いデザイン力や「サイクロン方式」という当時他社になかった機能の持つ独自性もあるでしょう。しかし、視点をかえて同社の戦略を眺めてみると、そこからは自社商品をブランドとして市場に根付かせるための大いなるヒントが見えてくるのです。
 
ダイソンの掃除機が、一時のブームに終わらず、ブランドとしてしっかりマーケットを確立できた勝因とは、じつは地道な“説明力”にこそあると私はみています(*^^)v 企業のビジネスモデルを分析する際、とかくデザイン分野のような華やかさに目を奪われがちですが、派手な戦略だけでブランドを築けることはまずありません。
 
同社もそれを重々わかっているじつに賢い会社で、ダイソン社では、販売員(契約社員)を独自に養成しているのだそうです。販売員には、自社商品だけでなく他社の製品知識までをも徹底して教え込み、場合によっては売り場で他社製品をすすめることもあると言います。そうした姿勢が評価され、少しずつ消費者の信頼を得ていったのでしょう。
 
また、正社員約50人が対応するコールセンターでは、「なぜ紙パックを使わずに済むのか?」といった質問にも丁寧に答え、その情報を全社で共有しているそうです。つまり同社の成功は、地道な“説明力”により勝ち取ったものなのです。
 
私も仕事柄、たくさんの企業のホームページやブログ、メールマガジンなどを読みますが、得てして「自分たちが言いたいこと」ばかりを伝えている企業が多いものです。ただでさえ情報過多になっている今の時代に、そうした情報を喜んで読んでくれるお客さんはいません。
 
お客さんが知りたいのは「他社商品とどう違うのか」とか、「この商品を使うとどんなイイコトが待っているのか」という具体的かつ客観的な見解であり、ともすると溺れそうな情報の海から、真の情報を見つけ出すための「指南役」が求められる時代になっているのです。
 
自社の販売戦略や情報発信に、そうした姿勢はあるでしょうか? この事例を参考に、自社の姿勢を、今一度見つめ直してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~


ボードメンバープロフィール

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石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

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