石原明の「知的経営の切り口」 | 経営者会報 (社長ブログ)
企業を発展させるための経営のヒントについて、独自の切り口で紹介します。
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2015年10月02日(金)更新
今、注目の業界やサービス
メルマガ2回分の回答なのでちょっと長いですが(笑)、秋の夜長にでも、じっくりお読みいただけるとうれしいです(#^^#)
== 質 問 ==
石原先生がここ最近、一番の注目されている業界やサービスがあれば、ぜひ教えてください。
== 回 答 ==
私というか当社が今一番注目しているのは、ネットの反対で人を使ったビジネスや富裕層ビジネスですね。
== 解 説 ==
私の新刊本『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』にも書いた通り、日本のマーケットは成熟し、極めて多様化していますが、その中でも富裕層や富裕層的思考でモノやサービスを買う消費者層が急増していると考えています。
またネットの情報も氾濫していて、モノやサービスが多すぎる状況で、消費者は購買の理由が良く分からなくなっているとも考えています。
こうした状況を踏まえると、安く売るサービスは成り立たない(・・・欲しいモノが明確であれば、それが安い方向に消費者は動きますが、明確でない場合は値段で動くとは考えにくいから)と思っています。
ですので、敢えて人を多く使って顧客との接点を増やす仕事とか、富裕層的な仕事が今後は面白いのではないかと考えているのです(*^^)v
例えば、全てのビジネスはモノやサービスを、単に販売するということから、顧客との関係性を強化してファンクラブ化して行かないとうまく行かないのではないかと思っています。
つまり“私はここのファンだからここからモノを買う!”というように動機を育てるようにしていかないと、どんなビジネスも、もたないのではないかと考えているわけです。
ですので、人を使って顧客との接点を増やす方向としては、ネットを使って簡単化した仕事をリアルに戻す感じのビジネスが良いのではないかと思っていて、同時に注目しています。
じつは、私もアドバイスさせていただいているのですが、表参道のキャットストリートにウサギシュークリームのニコラハウス(ニコラシャール)というお店があるのをご存知でしょうか?
こちらは、まさにそうした思考からコンセプトを作ったお店で、スイーツももちろん素晴らしく美味しいのですが、同時に毎週ファンイベントを行い顧客の囲い込みを強化しています。
さて、そもそもビジネスというのは何を基準に考えないといけないか?ということですが、それはどんなビジネスにおいても“最終的には生身の人間が関わっている”ということです。
どういうことかというと、人間には肉体があるので、どんなに美味しいと思っても限界を超えると(お腹がいっぱいになると)いらなくなるとか、どんなにカッコイイスーツでも一度に身に付けることができるのは一着だけとか・・・。
5~10軒別荘や住まいがあっても行ききれなくなってしまうとか、最近のインターネット社会にしても、便利なのか不便なのかもはや分からないというほど発展していて経営者はネットから離れ出している・・・という傾向があるように、生身の体があるので、便利なモノや好きなことにも、限界や制約がかかってしまうということです。
・・・ということは、無限に有効とか、無限に便利とか、無限に売れ続けるということは、ほぼ無いということですね。
そして、人間は感情的な生き物なので、ずっと好きだったモノやコトも、みんなが同じように使い出すとか、“〇〇さんも持っていた”というような事実に遭遇した途端にキライになってしまうナド、不可解な思考パターンまで持っているので、こういう人間の持つ感情の動きまでをも考慮して、ビジネスを組み立てないといけないわけです。
最近のマーケットの傾向で、私が思っている(=注目している)のは、ネット社会の急速な広がりによって、一つは人間関係が急速に疎遠化しているということです。そして、もう一つが、サービスが一般大衆化しているということ。
便利が突然不便化するという流れで考えると、その辺の寄り戻しが、これからのマーケットで起きるのではないかと思っています。なので、こういうビジネスに注目しているということですね。
中でも、人間関係の疎遠化はかなり深刻で、なんでもネットで買えるので、これまでだったらお店に行って注文するので、否が応でも誰かと会話したり、それが繰り返されて馴染みになって仲良くなるという自然な人間の営みがあったわけですが、それがどんどんなくなって来ています。
極端に言うと、その国の言葉がしゃべれないで、海外にぽつんと一人でいるような人が大量に発生している感じがしています。
彼らは、意識では便利な社会を享受していると思っていますが、何かあった時にリアルに頼ることがまったくできない(リアルに頼る人がまったくいない)状況にいることを、潜在意識的には感じているのではないかと思います。
また、ネットはマスに対するサービスの提供には適していますが、富裕層やごく限られたレアーなマーケットには対応していないので、富裕層向けのマーケットは、ぽっかり穴の開いた状態のまま放置されていると考えています。
ですから、私が今、最も注目するのは、リアルな人の接触を含むビジネスと、富裕層向けのサービスということです。
このあたりは、一度ポッドキャストの有料版でお話したいと回答しながら考えました。番組作ったらお知らせしますね(@^^)/~~~
私の発行する週刊メールマガジン『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです!』(購読無料)では、毎週メルマガ読者のみなさんからの質問にこんな感じでお答えしています。
これまでのQ&Aもバックナンバーにたくさんあるので、興味があれば覗いてみてください。もちろん、質問も随時受付中です(*^^)/~~~
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2011年02月04日(金)更新
中小企業が「会員ビジネス」を始める時に気をつけるべきこと
さて、今日は美容業界の方から、会員ビジネスについていただいた質問に回答しています。よかったら、考え方の参考にしてください。
== 質 問 ==
美容関連の会社を経営しています。会員制のビジネスを考えた時に気をつける点と、見るべき視点を教えて下さい。以前、石原先生から「TSUTAYA」の会員ビジネスのお話を伺ったときに、エステや美容業界に生かせないかなと思ったので、あらためて質問させていただきました。
== 回 答 ==
会員制については、範囲を広げすぎないことが大事だと思います。なので、セグメントを絞り込んで人数を絞ることと、そこに集まってくる人の趣向を理解することが大切だと思います。
== 解 説 ==
会員制のビジネスは、上手くいったらストック性の強いビジネスになるので、みなさんが考えるモデルだと思いますが、ほとんどの方が範囲を広げすぎて上手くいっていない感じがします。
なので、一番気をつけないといけないのが、集める人数の設定と、その人たちを集めるためのセグメントの設定だと思います。
特にビジネスにおいては、ある意味、一般的な適正売り上げ範囲みたいなものがありますので、御社がまだ数億円の売上げ規模の場合には、いくらTSUTAYAに憧れてTSUTAYAのようになりたいからといって、いきなり大きな範囲でのビジネスをイメージしない方がいいと思います。
適正売上げ範囲とは、その企業がある期間に目指して良い売上げの範囲みたいなモノ?です(といってもこれは私が勝手に考えているので経営用語には無いと思いますが・・・)。
もちろん、目標は無限に持ってもいいのですが、企業が発展していく過程で顧客も含めてまわりの環境、それから社内体制の整備等の問題もあるので、そういった要因にマッチしながら発展させると考えた時には、望んで良い目標の範囲みたいなものが考えられると思います。その範囲といった意味だと考えてください。
・・・イメージできますよね(*^_^*)
ということで、会員制のビジネスは、顧客から見た時に、安心や信頼という意味でも、特にこういったイメージが強いので集める人数は最初、少ない方が良いと思います。
また、適正売上げ目標という意味では大手の企業と競合するような会員制ビジネスをいくらこちらが考えても、顧客の安心という意味で、絶対に大手の企業にはかなわないので、範囲は絞った方が良いと思います。
これらの要因から、御社の企業規模がまだそんなに大きくないのであれば、最初は多くても、数千人単位でのスタートが良いのではないでしょうか?
少ないといっても、2000人から毎月5000円の会員費を集めれば、月の売上げは一千万円になりますので、中小企業にとっては、かなり大きな売上げになりますよね。
それから、日本中から2000人(ということは数年かけて1万人)位のコアな人達を集めると考えると、結構切り口になるセグメントもおもしろいモノを持ってこられる可能性があると思います。参考にしてみてください。
いかがでしょうか? あなたはどうお考えになりますか(^^♪ 私の発行する週刊メールマガジン、『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです!』(購読無料)では、毎週メルマガ読者のみなさんからの質問にこんな感じでお答えしています。
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2010年07月09日(金)更新
果たしてモノやサービスを高く売ることは罪か
もしかしたら自社の営業マンが、こういう思考を持っているがために、営業を「とても辛い仕事」と感じている可能性もありますから、経営者としては見逃せない問題です。参考にしてください。
== 質 問 ==
特に若い世代の社員(20代)に多いのですが、変な正義感があり、モノやサービスを高く売ることが罪だと思っている人がいます。
「うちの会社は儲けすぎでお客様に申し訳がない」と思っているようなのですが、経営者として、どう説明すべきでしょうか?
== 回 答 ==
おもしろい質問なんで思わず笑ってしまいましたが、確かにこういう思考をする社員さんは結構多いでしょうね(>_<)
そんなに意識していませんでしたが、顧問先などでも、コレ結構ありそうです(ーー;)
== 解 説 ==
こういう場合に大切なのは、まずは商品原価や設備投資なども含めた会計や財務の知識をしっかり教えているか、ということです。
それから、その人の持っている価値観が変わる可能性があるかということも大切なので、まずこのあたりを確認することをおすすめします。
原価などについては、経営の方針もありますので、どこまで社員さんに教えるかは結構難しい問題があり、ディスクローズの範囲はお任せしますが、社員さんは単純に商品やサービスの原価っぽい数字から高いとか、安いとかを考えてしまいます。
なので、「あなたの給与はもちろん、会社の維持費や在庫管理費、それから設備投資の金額や、新商品・新規事業の開発費なども含めると、表面に出ていない、かなりの金額が会社の経営には必要になる」ということを教えてください。
そういった金額を加味して商品やサービスの基本的な最低金額(値段)が決まっているので、そこに疑問は持たないで欲しいということですね(ーー;)
それから、商品やサービスの値段には、これにマーケティング的な要素が加わって決まるので、出来たらこれも教えていくことが大切です。
マーケティング的な要素というのは、商品やサービスの値段はさっきの原価計算等の数字から簡単に自社で割り出せるものではなく、他社の商品やサービスとの関係、それから、顧客から見てどれくらいの価値があるかどうかなどという値も加味して付けていくということ、また、こういうシビアな環境から設定されているので、もし、高い値段で売れる可能性があったら出来る限り高い値段で販売しないと、長期的に見て安定的な経営は出来ないということなどを教えてください。
実はこういうことを感覚的にすでに分かっている方がいたら、その人は将来経営陣に加えても良いかもしれない逸材ですね(*^_^*) でも、多くの方はなかなか最初から分かっていないので、教えることが必要だということです。
さて、知識を教えて、なるほど~って分かってくれた方は、まあ、問題ないのですが、今回のQ&Aの質問の対象者が、こういった教育や回答にそれでも疑問を持つ方だとしたら、結構根深い問題があると思います。問題の1つは、会社や経営者に疑問を持っている可能性があることです。
経営者であるあなたに対して疑問を持っていて、疑いの目で見ていると、こういった説明をしてもその説明自体が言い訳と捉えられてしまうので、理解や説得はかなり難しいと思います。
こういった背景には、その人にそういった考えを持たせている人がいますので、その人を見つけることなども必要になってきます。
その人が、社外の人間であればまだいいのですが、社内にこういった価値観を植えつける人がいると将来的には大量離反、独立騒動・・・など絶対に組織上の問題が出てきます。
問題の2つ目は、経営者という存在そのものにすでに疑問と疑いを持っているということです。これは重症度がさらに高く、先ほどの、あなたに対しての問題ならば、まだ解決の可能性がありますが、経営者という存在そのものに対してこういう感情を持っているとなると、その価値観はほぼ変わらないと思います。
こういう場合は、時間をかけてでも何か良い形で大切な仕事からは外してあげた方が良いと思いますし、組織そのものになじめませんので、本人の望む形で退社してもらう方向へ持って行った方が良いのではと思います。
こういう方は、面接時にはしっかり話しますし、自己を主張したりするので優秀な人と感じてしまい(というかある意味優秀なので)採用するケースが多いのですが、組織に入るとかなり問題を起こす可能性がありますね。採用時には注意してください。
・・・と、今回は回答がかなり長くなっちゃいましたが、参考になりましたでしょうか? この内容は、もっといろいろなパターンがあるので、機会があればポッドキャスト番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』でも取り上げたいと思います。
いかがでしょうか? あなたはどうお考えになりますか(^^♪ 私の発行する週刊メールマガジン、『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです!』(購読無料)では、毎週メルマガ読者のみなさんからの質問にこんな感じでお答えしています。
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2009年10月09日(金)更新
今、食品メーカーの「部活」が熱い!?
部活といっても、サイトからワンクリックで「入部」でき、会費も無料。登録すると「会員証」をダウンロードすることができ、もちろん、「退部届」もサイトから…という手軽さです。
そんな「バ部」の部員が熱中するのは、フーセンガムを膨らませて、いろいろなカタチを作る“トリック”で、部員だけの「認定試験」をクリアすると、シルバー、ゴールトと会員資格が上がっていくしくみです。
おもしろいことに、ネット部活の盛り上がりを受け、今年(2009年)6月には、社内の部活動として、正式に「バ部」が誕生したのです。まさに、ネットとリアルの融合ですね。
さまざまな部署から集まった10人の社員が、おそろいのジャージを着込んで、ガムを膨らませては、ギネスに挑戦しているそうです。ちなみに、ギネス記録は50.8センチだそうですから、その道のりは、かなり厳しそうではありますが…(笑)。
しかし、そんな部活動のなかから、新製品のアイディアも浮かんできたりするみたいで、そうなると、1万人の「部員」は、「新商品モニター」としてもかなり有効な存在ですよね(*^^)v
調査機関を使って1万人に調査をしたら、それなりに費用もかかると思いますが、そこにお金をかけるより、「部活」を目的に集まったフーセンガム好きの人たちと楽しくコミュニティを作るほうが、企業にとってはよっぽど有効だと思います。
一方、日本ケロッグにも、部員数6千人を超える「マイナス思考ダイエット部」があり、部員専用のダイエット日記を活用しながら、摂取カロリーを「減らす」活動を展開中です。
また、永谷園にも「生姜部」があります。こちらは、2年前に女性の冷え対策として商品化された「ショウガ入りカップスープ」のヒットをきっかけに、社内の「部活」がスタートしたそうです。
「ショウガについて地道に勉強し、部員同士が切磋琢磨してショウガのプロになるのが使命」とのことですが、約20名の社員での活動報告をウェブに公開すると、全国から「入部希望者」が殺到したのだそうです。
そうした熱意を受け、社外のオンライン部員の募集を開始。さらに7月からは、社内部員と一緒に活動する「特別部員」も誕生したそうです。部活の盛り上がりにつれ、ショウガの関連商品もバリーエーションを広げています。
今後、日本の少子高齢化傾向を考えれば、どんな業界でも、「熱いユーザー」といかに繋がれるかがキーになってくると思いますが、どうやらそのためには、経営者が発想を変える必要がありそうですね。この事例を参考に、ぜひ“楽しく”発想を拡げてみてください(@^^)/~~~
2008年08月01日(金)更新
「置き薬」がタイに!? “日本方式”の海外進出
来年をめどに、タイ政府が日本財団の助成を受け、風邪薬や解熱剤などをキット化して1,200世帯に配布する予定で、増大する医療費の削減と公衆衛生の向上を目指すのだそうです。
この「置き薬方式」は、すでにモンゴルで実績を上げているそうですが、ご存知でしたか? モンゴルの置き薬事業は、NGOの「ワンセンブルウ・モンゴリア」が、遊牧民1万世帯以上を対象に実施していて、診療所まで数十キロの距離に住む世帯などから、とても感謝されているみたいです。
昨年、世界保健機関(WHO)と同財団がモンゴルの首都ウランバートルで国際会議を開いた際に、この置き薬事業が「Nippon Method(日本方式)」として紹介され、これをきっかけに、医療費の膨張に悩むタイ政府が導入を検討し始めたのだそうです。
タイ政府と同財団との協議で、総事業費約65万ドル(約7,000万円)の事業計画がまとまり、タイで現在活躍中のヘルスボランティアの方々に、薬の配布と代金回収を担ってもらう方針だそうですが、こんなふうに「日本人の知恵」が世界で役立つのはとてもうれしいですよね。
日ごろのビジネスで、経営者の知恵は相当磨かれているはずですから、みなさんも自社の「日本方式」を海外に輸出する…という発想を持つと、また新たな世界が広がるかもしれません!(^^)!
そうそう、「置き薬」の話でちょっと思い出してしまいましたが、この方式を他業界で展開したのが、「オフィスグリコ」です。職場に、お菓子ボックスを置き、そのなかから食べた分だけ代金を支払う、という方式です。
当初は、女性社員に受け入れられるだろうと予測していたものの、実際に設置してみると、残業で小腹がすいた男性社員の利用が多かった、などという話も聞いたことがあります。
いずれにしても、経営者が「世の中は自分のためにお金を出して実験してくれている」という視点を持っていれば、経営のヒントはいたるところに転がっているものです。
「それにしても景気が悪い……」などと嘆いてばかりおらず、この夏も元気に頑張っていきましょう(@^^)/~~~
2008年05月02日(金)更新
「親子カフェ」にみる発想の転換
こうしたスタイルのカフェは、「親子カフェ」のほか、「子育てカフェ」なんて呼ばれることもあるみたいで、個人経営の小規模のお店から、NIO法人が運営する施設、さらには企業が経営しているケースもあります。
「スキップキッズ」では、04年から同名の「親子カフェ」の展開を始め、現在では、都内と千葉県内の計6店舗を経営しているそうです。
同社では、「今の街の中には子どもを安心して遊ばせる場所が少ない。公園でも、不審者がいないかなど注意しなくてはならない。それなら遊び場があって自分もゆっくりできる店の方が親は安心だと思う」と話していますが、こうしたニーズは今後益々増えていくのかもしれません。
利用料金はといえば、1~6歳の子ども1人につき、1時間250円。以降、30分ごとに100円で、利用に際しては、18歳以上の同伴が必要になりますが、同伴者の利用料は無料に設定されているみたいです。
もちろん、中での飲食代は別になりますが、1店舗あたりの月の平均利用者は、延べ5千人にのぼるそうです。
そこで、この利用客を対象に、「親子で英会話講座」など各種の講座を開設したり、母親向けに、「ネイルケア」や「まつげパーマ」などのサービスする店舗もあれば、企業の「市場調査」の場としても提供しているんです。単なる“飲食店”に留まらない、かなり頭のいいやり方ですよね(*^^)v
企業としては、なかなか探しにくい子育て中の主婦層の意見を聞くことができますし、主婦としては、カフェに行くついでに、ちょっとした謝礼まで手に入るわけですから、お互いメリットがあるわけです。
見方を変えれば、この親子カフェは「リアル版のSNS」、つまり子育て層の「コミュニティー」になっているということです。転勤などで引越しして来て間もない人にとっては、ここから、地域との接点が生まれていく可能性も高いはずです。
企業にとって、「人材不足」が深刻な問題となるなか、子育て中の有能な主婦たちは、“労働力”としても貴重なターゲットなわけですが、一昔前の経営者なら、「保育所」などの施設を会社が用意し、「どうぞうちで働いてください」的な発想をしたと思います。
しかし、今回の事例のように、今の時代は、企業がターゲット層にとって魅力的なスペース(リアルでもネットでも)を提供し、人を集めるのが先。その集まった人たちに向けてビジネスを展開することはもちろん、その人たちの能力を活用し、全く新しいビジネスをスタートさせることもできるはずです!(^^)!
要は“発想の転換”でビジネスは大きく変わるということです。いつまでも、携帯電話の「通話料」を追いかけていた企業が、通話料はダタでもいいから、魅力あるコンテンツを作って「コンテンツ利用料」で収益を上げようとした企業に追い抜かれそうになっているのも、すべて“発想”の違いによるものです。
この連休、少し日常を離れて、自社のビジネスモデルを冷静に見つめなおしてみてはいかがでしょうか? 同じ商材でも、ちょっとした発想の転換で、全く違ったビジネスを展開できる可能性が開けてくるかもしれませんよ(@^^)/~~~
2008年04月25日(金)更新
「くら寿司」が回転レーンで回したものとは……!?
たとえば、レーンを回る皿の裏には、「QRコード」が貼り付けられていて、それをレーン裏で読みとることで、製造時間が管理されているのだそうです。
大声を出して注文するのがちょっと気恥ずかしいと感じるお客さんのために、席には「注文端末」が用意されていて、タッチパネルで好きなネタをオーダーできるようになっています。さらに、注文したネタがレーンに流れてくると、画面から「ピーピー」とお届けサインが聞こえてくるのだそうです。これなら、うっかり取りそびれることもありませんね!(^^)!
また、「皿カウンター」に食べ終わった皿を5枚入れるごとに“ハマーチャンス”が訪れ、タッチパネルがちょっとした「ゲーム」に変身! 当りが出るとガチャポンのようなカプセルに入った同社のキャラクターグッズがもらえるしかけになっていたりします。家族連れのお客さんなどが、思わず盛り上がってしまうサービスですよね。
その他にも、携帯サイトから、来店時間を指定して予約するシステムを導入するなど、積極的に顧客サービスを追及しているわけなんですが、そんな「くら寿司」が最近になって、大阪の店舗で実験的に始めた新たな試みがあるんです。
「あるもの」を回転レーンで回し始めたのですが……。
その「あるもの」とは、なんと!「紙芝居型の店頭POP」なんです。たとえば、「ぶりが出世魚と呼ばれるのはなぜか」といったうんちくや、ネタとして提供している「イベリコ豚の飼育方法」などを、カラフルな絵と文字で解説したPOPを回し始めたというのです。
これを聞いて、私はちょっと笑ってしまったんですが、「なるほどねぇ~」と思いませんか? 今の時代、お客さんが欲しいのは「うんちく」なんです。しかも、これなら“蕎麦屋の口上”みたいに、待っている間にもどんどん食べるのが楽しみになりますよね(*^^)v
食事は「ただ美味しければいい」という時代はとっくに終わっていて、今日食べたのは「○○産のまぐろです」とか、サラダには「○○県の△△さんが作ったトマトを使ってます」といったちょっとした情報が、お客さんにワンランク上の満足感を与えることは間違いありません。
これは、情報化社会の進化で、消費者が「情報発信者の視点を持った」ことと大きく関係していると私は見ています。このあたりのことは、みなさんも“ブロガー“なので日々感じていらっしゃると思いますが、ふと立ち寄った飲食店でも、食材へのこだわりやお店のポリシーなんかが上手にメニューなどに書かれていると、「明日のブログに書こうかな……」なんてつい思っちゃいますよね。
今の時代「食べればわかる!」といった態度ではダメなんです。これはメーカーなどでも同じことで、「使えばわかる!」ではなく、この商品が何故いいのか、どこにこだわって開発したのかを、できるだけ『ストーリー』性を持たせて、消費者に届ける必要があります。
「情報」には、仕入原価がありません(*^^)v 経営資源として、有効に使わない手はないでしょう。こうした事例を参考に、自社の「情報発信戦略」に、もうひと工夫加えてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
ボードメンバープロフィール
石原 明(いしはら あきら)氏
僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社
ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。
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