石原明の「知的経営の切り口」 | 経営者会報 (社長ブログ)
企業を発展させるための経営のヒントについて、独自の切り口で紹介します。
2010年12月24日(金)更新
「ネーミング」に悩む社長へのアドバイス
さて、今年最後のブログは、「ネーミング」に悩む経営者からの質問にお答えしました。参考にしていただけるとうれしいです(*^_^*)
== 質 問 ==
商品名はもちろん社名もそうですが、ネーミングでいつも苦労しています。名前の付け方で、何かアドバイスをいただけるとうれしいです。また、アドバイスをしてくれるような良い会社はありますか?
== 回 答 ==
ネーミングの方向としてはいろいろなアイディアがありますが、商品名にしろ社名にしろマーケティング上とっても大切なので、慎重に付けることをお勧めします。また企業規模にもよりますが、出来る事ならプロのコピーライターさん等に協力をお願いすると良いと思います。
== 解 説 ==
ネーミング(それから、それに関連してロゴのデザイン等・・・)は、商品名にしろ、社名にしろとっても大切なので、慎重に付けていただきたいのですが、中小企業でこの認識(レベル感)や知識を持っている会社はとっても少ないと思います。
なので、かなり適当につけてしまうことが多いのですが、そういう安易な付け方は絶対にやめた方がいいと思います。中でも最悪なのが、顧客(一般の方)や社員さんからの公募で付けるという場合です。
顧客や社員はネーミングのプロでは無いので、商品や会社などの大切な名前について(凄い偶然が無いわけでも無いですが)良いアイディアが出せるとは考えない方が良いと思います。
それから、これは講演会等で良く言うのですが、製造業の会社で商品名を決める場合にとにかく多いのが「○○君」「○○ボーイ」と言う名前ですが、こういうネーミングでヒットしている商品を私はほとんど見たことがありません(ーー;)
これなどは、おそらく社長さんが付ける名前のベスト10に入ると思いますが、社長にセンスが無い限り絶対に自分で付けない方が良いと思います(だって、社長が付けた名前に反論できる社員さんはいないですからね)。
なぜ、それほどネーミングが大切かというと、商品そのものの売れ行きとかブランディング上で、とっても大きな役割を果たすからです。
・・・・この辺りのことは私の著作『気絶するほど儲かる絶対法則』の3章「ものはなぜ売れるのか」のところで詳しく書いていますのでよく読んでください(^_-)-☆ (ちなみにこの本は、タイトルだけで読みたくなる本「日本タイトルだけ大賞2010」にランクインしたらしいです)
さて、では参考になる基準ですが・・・私が社名や商品名、それからサービス名などを付ける場合に考えていることをちょっと羅列しておきます。
1)パッと見て分かりやすい名前を付ける。
2)意味を聞いたらなるほど・・・と分かり、忘れにくい名前。
3)いつ聞いても新鮮、古い感じがしない、なので流行でない名前。
4)商品名がそのまま一般名称として使われやすい名前。
5)信用や信頼が増す名前。
6)高級感を醸し出し、一流企業と比べても遜色ない名前。
・・・・などですね(*^^)v
それから、回答にも書いたように、社名や商品名を決める場合には、できればプロのコピーライターさんのような方にアイディアをまず出してもらう・・・等のプロセスを使った方が良いと思います。
もちろん、任せっぱなしもダメですから、そのアイディアにいっぱい注文を付けてもらいたいのですが、そうすれば、水準以上の名前が付く可能性が大きいです。
当社はそういったスタッフを社内・外にしっかり抱えていますので、何かあったら相談してください。勉強になると思います。
いかがでしょうか? あなたはどうお考えになりますか(^^♪ 私の発行する週刊メールマガジン、『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです!』(購読無料)では、毎週メルマガ読者のみなさんからの質問にこんな感じでお答えしています。
これまでのQ&Aもバックナンバーにたくさんあるので、興味があればぜひ覗いてみてください。もちろん、質問も随時受付中です(*^^)/~~~
また、来たる年も、みなさんのお役に立つような情報を発信していきますので、どうぞよろしくお願いいたします!
2010年12月21日(火)更新
「ゴパン」に見る“世の中にない商品”を売り出す法
三洋電機が今年(2010年)11月に発売した、世界初! お米からパンがつくれるホームベーカリー(実勢価格49,800円)ですが、当初10月8日(毎月8日はお米の日だそうです)の発売を予定していたものの、発売前に予約が殺到したため、急遽、発売を一ヶ月延期したという商品です(*^_^*)
いざ発売を開始してみると、初日に予約分だけで完売。その後の予約注文も、来年3月までの販売計画を上回るほどで、予約受付の一時中止を決断せねばならなかったほどの人気ぶりなんです(>_<)
もちろん、昨今の経済環境から、メーカー各社はなるべく在庫を持たない体制を取っているといった事情もありますし、「お客は並ばせろ」方式で、「売り切れ!」のニュースを販促に活かすという戦略を採る会社もありますが、この『ゴパン』に関しては、事前の地道なプロモーション活動が実った、と見るべきだと思います。
近年、小麦アレルギーを持つ方はもちろん、カロリーを気にする消費者が増え、小麦よりヘルシーな「米粉」を使ったパンやケーキもめずらしくなくなりましたが、まだ「米粉」そのものが手に入りにくい状況もあることから、同社は炊飯器のごとく「米粒」を入れておけば「パン」が焼きあがる…という画期的なパン焼き器を開発したのです。
なんでも開発には5年の歳月を要したそうですが、米粒から直接パンをつくるには、まず米を水で柔らかくし、さらに削ってペースト状にする必要があります。その上で生地をこねていくわけですが、その複雑な作業を、一つのモーター回転軸と異なる回転数で行う正逆回転機構を採用することで、この一台でお米からパンを作ることを実現したんだそうです。
しかし、米粒からパンができるなんて、初めて聞くと、ちょっと信じられない感じがしますよね。世の中にない商品は、それだけ売りにくいということです(-_-;)
そこで同社は、マーケティング本部を絡めて大々的にデビューさせる戦略を採りました。月に1~2度のリーダー会議を持ち、8つのワーキンググループでは、生産や販促計画を綿密に詰めていったようです。
都内に期間限定で『ゴパン』で焼いたパンを試食できるカフェを開いたり、新潟県魚沼市をはじめ、各地のJAと協力し、その土地のお米の味を生かした“ご当地パン”をつくるイベントを行ったり、都内の製菓・製パン材料店でデモンストレーションを行ったり…と、創意工夫を凝らしたプロモーションを展開していったのです。
また、通常の新商品プロモーションは、3~4ヶ月前から始めるようですが、こと『ゴパン』に関しては、10ヶ月も前からプロモーションに着手したそうです。その甲斐あって、発売前から多くのメディア露出に成功し、プログやツイッターでも随分と話題になっていたようです(*^^)v
常々私が教えているのは、「いきなり売るから難しい」ということです。もともとマーケティング思考の弱いわが国では、「いいものをつくれば売れる」という概念が根強く残っている面があり、商品が出来上がってから、初めてその売り方を考える会社も少なくありません。
そういった意味では、同社が「マーケットを先につくろう」と発想したことこそが勝因であり、とりわけ世の中にない商品を売り出すためには、この発想がキーになります。
来たる年も、われわれ経営者にとっては、厳しい経済環境が続くと思いますが、そんな時代だからこそ、新しいアイディアを持つ商品やサービスが強く望まれるのです。この事例を参考に、ぜひ勇気を持ってチャレンジを続けていきましょう(@^^)/~~~
2010年12月10日(金)更新
なぜ、うちの社員はやる気を出さないのか
あまりにベーシックな質問ですが、経営者にとって、とても大事な問題が含まれていますので、今回は2週続けてのQ&Aとなりますが、この質問に回答してみたいと思います(*^^)v
== 質 問 ==
社員にいまいち「やる気」が感じられずに困っています。社長の私が何を言っても「暖簾に腕押し」といった感じなのですが、やる気のない人をやる気にさせるにはどうしたらいいでしょうか?
== 回 答 ==
人事的な話だと、採用時の問題、その後の教育の問題、根本的な給与の問題。経営的な話だと、ビジネスモデルの強さの問題、組織化が進んでいるか、または役職者が育成されているかという問題。経営者としてあなたがどれ位社員さんから信頼されているかという問題などいろいろな原因が考えられますので、まずは、問題の本質を見極めましょう。そこからの対処です。
== 解 説 ==
今回の質問は、社員さんに「やる気」が感じられないということですが、こういう問題の原因(=たくさんありますが)は、大きく分けると、社員さんの側の問題と会社側の問題に分けられると思います。
そして、さらに分解していくと根本的にどういったことが主要な理由で、その理由が引き金となって、他の問題が重なり合って複雑化しているかなどが分かってくると思います。なので、まずは経営全体から見て、問題の本質や原因を探ると良いと思います。
そこで、その問題の本質が、社員さんの側にある場合には、採用の仕方にかなりの問題があると思いますので採用時の面接のやり方等を見直し変更してください。 (という具合ですね)
もちろん、優秀な人材が御社に興味をもって、問い合わせや入社を希望してくれるかどうかは、御社の経営の安定度や発展度、知名度などによりますので、それを可能にしているビジネスモデルは強いのに、その割には優秀な人が採用できていないと言う場合は採用のやり方に問題があるということです(ーー;) (コレ、分かりますよね。原因の追究です)
会社側に問題の原因がある場合とは、採用の後にどんな教育をしているか? そして評価の仕組み(給与も含めてです)が整っているか? また、先輩や役職者が育っていて、社員全体の見本になっているか。そして、経営者であるあなたが、社長として社員全体から信頼され、尊敬されているか?・・・・なども、社員さんの「やる気」や「行動」に直接的に関わってきますので、これらに問題がある場合には、それを変えていかないといけないわけです。
社員さんに「やる気」が感じられないといっても、よく考えると、こういったいろいろな要因がその状況を生み出しているわけです。
なので、まずはあなたが会社の実情を冷静に観察して、主要因を考えてみてください。そして、その原因を出来るだけ早く改善していくようにしてください。
改善の仕方は、最終的には全部を変えていかないといけないですが、例えば、一箇所を大きく改善すれば、後はゆっくり時間をかけて変えていっても大丈夫という場合もあるので、急ぐとしても全部に手は付けなくて良いはずです。
これは、例えば、社長が信頼されていれば、多少給与は低くてもみんな言うことを聞いてしっかり仕事をしてくれる・・・とか、ビジネスモデルが強くて、結果仕事がすごくやりやすければ、先輩に尊敬できる人物がいなくてもしっかり仕事をしてくれる・・・あるいは給与が同業の会社と比べてかなり高いとみんながしっかり仕事をしてくれる・・・とか。こう説明すると、分かりますよね。
原因や本質を見極める、何から変えるべきか考える、最終的には原因全部をゆっくり変えていく、こんな風に取り組んでいってください。
今回は質問の性質上こんな広範囲な回答になってしまいましたが、ぜひ参考にしてみてください。
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2010年12月03日(金)更新
セミナー集客に悩める経営者がリアルに人を集めるために
ネット全盛の時代下で、リアルに人を集めるということについて、あらためて考えてみることにしましょう。
== 質 問 ==
最近、自社で開催するセミナーに人が集まりません。セミナー集客についてよい方法があれば教えてください。
== 回 答 ==
セミナー集客は、告知可能な見込客データが参加人数の最低10~30倍は無いと、あるいはこの告知可能な母数となるデータを増やし続けるしくみを作らないと難しいと思います。なので、まずはこの母数を集めることを考えてください。
== 解 説 ==
BtoBビジネス、BtoCビジネスによらず、セミナーを絡めたマーケティングはすごく上手く行く場合が多いので、いろんな会社が何かを販売しようと考えた時に勉強会の開催やセミナーを計画しますが、ココで困ってしまうのが集客の問題です。
こちらの会社も当初は人が集まり、良い形でセミナーからの販売が進んでいったのだと思いますが、その集客に陰りが見えてきたのでしょう。
こういう場合に考えられる方法ですが、即効性を考えるのならば、何らかの形で広告を出して、露出を高める以外には無いと思います。なので、状況が緊急ならば、見込客のいそうな媒体に広告を出して集客してください。
これは雑誌などの紙媒体でもネットでの告知でも何でもいいです。これでしばらくは集客が出来ると思います。
ただ、同時に考えないといけないことがあります。それは、その雑誌やネットでの媒体から見込める顧客にも限りがあるということです。
例えば、発行部数5万部の雑誌にセミナー参加をうながす広告を掲載して、効果があったとしても、何回か広告を出すうちにその雑誌の中であなたの会社の広告に興味を持つ人が全て集まってしまったら、効果がストップしてしまうということです(ーー;)
分かりやすく言うと、もともとあった御社の見込客データでセミナー集客を図った時に、何回か告知するうちにまったく反応がなくなったと思いますが、それが遅かれ早かれ必ずやってくるということです。・・・これは、既存の見込客を対象に告知して集客を図ると、必ず起きる結果ということです。
では、どうしたらセミナー集客を継続的に進めることが出来るかですが、それは、広告を出す場合でも、いきなりセミナー集客するということではなく、潜在的な見込客層をまず集めて、情報発信などの教育をしていくという以外に方法は無いと思います。
例えば、将来的にセミナーに興味を持ってくれそうな人や会社に対して興味を引くオファーを広告に掲載して、アドレスや住所を取得、その後、そのアドレスや、住所にいろいろな情報を送り、教育していき、ゆくゆくはセミナーに参加してもらうように育成するということです。
見込み客情報をハウスリストといいますが、これが毎回のセミナー参加人数の10倍、出来たら30倍くらいになると良いと思います。
こう考えると、雑誌一回の広告掲載で、セミナーに集客するより、一回の告知で魅力あるオファーをもとに将来的にセミナーに参加してくれそうな層の見込顧客をごっそりその雑誌から取ってしまって、その後、育成していくという方がずっと良いということです。
そして、その母数をしっかり獲得できれば、毎回のセミナーへの集客はそんなに難しくないと思います。参考にしてみてください。
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ボードメンバープロフィール
石原 明(いしはら あきら)氏
僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社
ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。
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