石原明の「知的経営の切り口」 | 経営者会報 (社長ブログ)
企業を発展させるための経営のヒントについて、独自の切り口で紹介します。
2011年11月28日(月)更新
「一人前おせち」!? その意外さがマーケットを生む
時が経つのは、本当に早いものです。
そろそろお正月の準備を進めるご家庭も多いでしょうが、今年、「一人前おせち」を売り出した百貨店もあり、ちょっとビックリしてしまいました。しかも、予約は好調に推移しているそうです。
そもそも「おせち」とは、お正月に家族や親戚一同が会していただく食事です。ですから「一人前」と「おせち」はどう考えても結びつかないワード。聞いた時に感じる違和感も、そこに起因します。
しかし“マーケティング思考”を持ってこの現象を眺めると、ちょっとおもしろいことがわかります。果たしてどんな人がこの「一人前おせち」を買うのか・・・あなたはどう思います?
少し前に「おひとりさま」という言葉も流行りましたし、今は家族が生活時間に合わせてバラバラに食事を摂る「個食家庭」も増えていますから、やはり「おせち」も一人前ずつが便利なのでしょうか・・・。
もちろん、そうした傾向もあるでしょうが、じつは4人前がスタンダードの「おせち」を小分けにすることで、「いろいろな味が楽しめる」という利点が生まれたのです。
そごう・西武百貨店では、今年のお正月向けに出した「2人前おせち」が、数量ベースで前年比17%増という好成績を収めました。4人前のおせちは一つしか選べませんが、2人前であれば2つ買って、「2軒の料亭の味・食べ比べ」などが可能になるのです(*^^)v
しかも、近年は和風のおせちだけでなく、洋風や中華風のおせちもありますから、少量単位にすることで、「いろいろな味を楽しみたい」というニーズを生んだわけですね。ここに気づいた同店が、今年初めて「一人前おせち」を売り出したというわけです。
こんなふうに、販売の「量や単位」を変えてみると、また違ったマーケットが動き出すのがマーケティングの面白みであり、醍醐味でもあります。
また「一人前」と「おせち」のように、常識的な発想ではおよそ結びつかない2つのワードを掛け合わせるところから、まったく違った商品が誕生したりもします。
この事例を参考に、自社商品を「違った単位」で販売できないか、もしくは自社商品と「程遠い何か」を掛け合わせることで、おもしろい商品やサービスが生まれたりしないか・・・あれこれと楽しみながら発想を拡げてみてください(@^^)/~~~
2011年11月18日(金)更新
マーケット縮小時代の顧客化戦略
何かと忙しい暮れが近づくにつれ、なかなか思考を深められなくなってくると思いますが、今、経営者は、たとえどの業界にいても“次の一手”を投じておく必要があるのです。よかったら、今回の回答を、参考にしてください(*^^)v
== 質 問 ==
今後の日本のように、マーケット縮小傾向の時代では、新規開業客、自社使用の顧客、他社使用の顧客のどこを攻めればいいでしょうか? 現在、業界での自社シェアは10%程度ですが、よろしくご指導ください。
== 回 答 ==
自社の顧客を囲い込むのが一番先で、それが完成したらその次はマーケットシェアが低い会社の顧客を攻める、それを繰り返していくのが良いと思います。
== 解 説 ==
最近こういう内容の質問をよくされるので、答えもやや定番化していますが、一番大切なのは「現在の顧客の囲い込み」です。
理由はいろいろありますが、経営者や営業スタッフの意識が新規客の獲得に向いてしまうと、せっかく苦労して作った現在の顧客が置き去りになり、結果新規客は数件獲得しても、顧客が離れてしまい利益を大幅に無くすなどという事態になることが多いからです。
原因は、せっかくの顧客をしっかりフォローしていなかったために、顧客が離れてしまったり、他社に奪われてしまうからですが、これでは永遠に安定した経営は出来ません。
そもそも顧客にリピート購買していただいて売り上げを上げる方が、新規客を開拓し売上げを上げるよりも圧倒的にコストがかからないわけですから、絶対に現在の顧客を大切にして放してはいけないわけです。
また、新規を獲得する場合も、顧客からの紹介の場合はほぼコストゼロで新規客を開拓できるわけですから、絶対にこの路線は外してはいけないと思います。
顧客のフォローについてですが、人的コストをあまりこの作業に割いてしまうと、それはそれで大変なので、人を使わないソフトタッチのコミュニケーションの手法を工夫して使うことをお勧めします。
自社の顧客の囲い込みが完成したら、次に何をするかですが、マーケットの中で御社よりもシェアが低い会社・・・出来たら一番低い会社の分析をして勝てるプランを作成し、まずはその低いシェアの顧客を取りに行くといいと思います。
御社の体力が低いうちは、間違っても業界ナンバー1企業や御社よりもシェアの大きなところには行ってはダメですから、気を付けてくださいね。
一番小さいところを切り崩して、御社のシェアがその分拡大したら、また別の小さなところのシェアをという順番で徐々にマーケットシェアを拡大して行けば、最後はトップ企業と争う位にシェアは拡大していきます。ぜひ、がんばってください!
いかがでしょうか? あなたはどうお考えになりますか(^^♪ 私の発行する週刊メールマガジン、『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです!』(購読無料)では、毎週メルマガ読者のみなさんからの質問にこんな感じでお答えしています。
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2011年11月11日(金)更新
『ベストマニア』に学ぶ情報活用術
「ホットペッパー」や「R25」と同じく、リクルートの新規事業提案制度から派生した新会社である「エモーチオ」の運営です。
自分の考えた“ベスト3”を発表するサイトなのですが、たとえば「悩める中堅サラリーマンに響く名著」とか「韓国の歴史を知り、ドキドキする恋のドラマ」など、自分のアイデアで状況設定し、オススメする本や映画などの“ベスト3”を投稿するわけです。
サイトを訪れた人がそのランキングに共感した場合には「ササった!」ボタンを押すしくみになっていて、より多くの「ササった!」を集めた順に、サイトのトップページに掲載されていきます。
今後一年間で、ランキングの投稿を50万件集めることを目標に、中国や米国での展開も視野に入れており、5年後には世界で1千万件の投稿を目指す意気込みだそうです。
同社の林社長は、「情報が増え便利になったはずだが、検索サイトではうまく整理されておらず『情報ストレス』が発生している」と現在の情報化社会を分析し、ピンポイントで利用者のニーズに応え、役立つ情報を大量に作ると語っています。
『情報ストレス』については、私自身もネットユーザーとして感じるところなので、このしかけが上手に機能すれば、結構おもしろいことになるんじゃないかと思います(*^_^*)
テレビ番組でも、「ランキング」と「クイズ」は視聴率を上げるためのテッパン手法です。「さぁ、今週の一位はなに?」とか「果たして正解は?」などと視聴者に問いかけておけば、CM明けにも視聴率が落ちないわけですね。
それをサイトの企画に持ち込んだ同社は、賢いと思います(*^^)v よく「ネット上の情報のほとんどは2次情報、3次情報だ」と言われますが、どうせ生の情報じゃないなら、一次情報と真っ向から勝負するより、「どう料理するか」に特化したほうが賢い選択です。
このサイトでは、自分の「状況設定の妙」を競えるわけですから、より多くの「ササった!」を集めようと、どんどんハマっていくユーザーが増えるのではないかと思います。その結果、良質な情報が集まるようになれば、やがて検索ポータルになれる可能性もあるでしょう。
さすがに“人間心理の妙”を突いた企画だと思います。たとえば将来的には、彼女と初めてデートするときのレストランを探したい・・・なんてときに、一番最初に『ベストマニア』を立ち上げてくれるようなユーザーが増えればいいわけですよね。
それはともかく、この事例は「情報活用」のいいヒントになると思います。たぶん、どこの会社でも、サイトを含めて社内にはコンテンツがたくさん溜まっていると思いますが、そろそろ、それらの既存コンテンツを「いかに料理してお客さんに届けるべきか」を考える時期かもしれません。
ここから先は、余分なお金をかけずとも「アイデアで勝負」する世界です。ぜひ今回の事例を参考に、脳みそに汗をかいてみてください(@^^)/~~~
2011年11月04日(金)更新
進化系「エリアマーケティング」を考える
さて今回は、「エリアマーケティング」に関する質問を取り上げてみました。これは私の顧問先でも、実際に起きている現象なので、参考にしていただければと思います(*^_^*)
== 質 問 ==
マーケティングも、時代に応じて変えていく必要があると思うのですが、これからの時代のエリアマーケティングの方法について解説してください。
== 回 答 ==
これからのエリアマーケティングは、既存シェアやインフラ勝負という様相が強くなってくると思います。すでにある程度のシェアや設備などを持っている会社であれば、それを強化して他社がマーケットに入って来ないようにするのがポイントです。
== 解 説 ==
右肩上がりの経済から、確実に右肩下がりの経済へと変化したことによって、エリアマーケティングのやり方や考え方は、確実に変化していると思います。
変化の要点は、マーケットが拡大している時は、常に他社が参入してくる危険性がありますから、経費はなるべく抑えて値段勝負となった時にも勝てるような経営を目指さないといけないなど、儲かっているマーケットはターゲットにされるという流れを持っていました。
それに比べて、マーケットが縮小している場合は、ある程度のシェアやインフラがあれば、そこにあえて参入してくる企業はほとんどなくなるというように変化します。
分かりやすく例えると、飲食店や歯科などで、マーケットが拡大している時には、儲かっている店舗があったらその近くに店舗を出せば、こぼれたお客さんが当初からある程度拾えて“そのうち逆転するぞ!”みたいなライバルが常に出てきたりする可能性があったのに対して、マーケットが縮小する右肩下がりの状況になると、ライバル会社は、マーケットを調べて、すでに勝っているところがある場合には、そこにあえて挑戦して戦争状態に持ち込むより、強い店舗がないところへ出店することを考えるようになるということです。
ですので、すでにある程度のブランドやシェアを持っている会社、そして特に強いのはインフラ(工場やプラント、大きな店舗など)を持っている会社は、その強さをより強化して、いち早くマーケットを制覇してしまい、他社が入り込んで来ないような演出も含めた戦略を取ることが重要になってきます。
また、あなたがこれからマーケットを探すなら、「強者のいない=あなたが強者になれる可能性の高いマーケット」に打って出て、早めにシェアやインフラを作ってしまうことをお勧めします。この場合は、日本中に残されたマーケットはそんなに多くないので、早めに探して出店することをお勧めします。ぜひ、がんばってください(@^^)/~~~
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ボードメンバープロフィール
石原 明(いしはら あきら)氏
僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社
ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。
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