石原明の「知的経営の切り口」 | 経営者会報 (社長ブログ)
企業を発展させるための経営のヒントについて、独自の切り口で紹介します。
2008年12月26日(金)更新
「サイバンインコ」が貢献!? 裁判員制度の広報活動ウォッチング
そんななか、制度のPRに活躍しているのが『サイバンインコ』です。これは、福岡高等検察庁が考案した広報キャラクターなのですが、全国の地検・高検で60あるキャラクターのなかから、今年6月、自ら着ぐるみを着たこともある当時の鳩山邦夫法相が統一キャラクターに任命したものです。

その『サイバンインコ』が、なんと今年初めて「現代用語の基礎知識」に掲載もされたのをご存じでしょうか? 「裁判員制度」自体は数年前から掲載されていたものの、それとは別に『サイバンインコ』は、「ユニークなネーミングもの」のコーナーに写真つきで掲載されているそうです。
情報化が進んだ今日においては、いくら重要な制度とはいえ、ただまじめに説明するだけでは、波及効果はほとんどありません。よくお役所が作ってしまうような、「ごく普通」のパンフレットや冊子では、誰も関心を示さないのは明らかですよね(――;)
対して、こんなふうにちょっとかわいくて、一度聞いたら忘れられないようなネーミングの効果は、絶大なものがあります。しかし、サイバンインコの人気が、直接「裁判員制度」の理解を深められるかと考えると、そう単純にはいきませんよね。
みんなが面白くて刺激的な情報に慣れてしまった社会において、いったいどんな方法で“正しい情報”を波及させていけばいいのか……裁判員制度の広報活動を眺めながら、ちょっと考えさせられてしまいました。
結論から言えば、「できることは全部する」という方法しかないと思います(*^^)v
この「サイバンインコ」のようなキャラクター戦略もしかり、私のブログに書いたような「ゲーム」もしかり、映像もしかり、書籍もしかり……という具合に、メディアごとの特徴を加味しながら、映像には映像に向いた情報を、書籍では書籍ならではの情報を発信していく、つまり打てる手はすべて打つといった感じでしょうか。
じつは、経営も全く同じなのです。よく「AとBの戦略、どちらを採るべきでしょうか?」という相談を持ちかけられることがありますが、状況が許すなら、「どちらも!」というのが私の答えです。
とくに来年前半は、消費の極端な冷え込みが予想されます。そんな時代下においては、できれば、何十個もの戦略を同時に採っていくぐらいの気概と緻密さが必要かもしれません。
経営は「仮説と検証」の繰り返しです。ぜひ来年も、この「経営者会報ブログ」というコミュニティーを大切に、みんなで元気に頑張っていきましょう(@^^)/~~~
2008年12月19日(金)更新
DVD付きニッポンみやげ!? 自社のスキルの活かし方
同社では、寿司や酒、日本茶などを題材に、文化的なうんちくや楽しみ方をドキュメンタリー番組のようなタッチで制作し、これに実際に使える道具や食材一式とセットにしたのです。

上の写真は「SUSHI(寿司)セット」なんですが、そのセット内容は…寿司の基礎知識、プロが教える寿司のつくり方、マナーなどがわかるDVD(英語と日本語二ヶ国語)・寿司桶・しゃもじ・まきす・箸・海苔・わさび・醤油・寿司酢粉末・インスタント米・粉末緑茶…おまけにこれらを風呂敷で包むという親切ぶりです。
これなら外国人でも、DVDを見ながら実際に「お寿司」を作れそうですよね。こうしたセットは3種類あって、参考価格は4,200~7,000円だそうです。
このシリーズの第一弾として、寿司、折り紙、日本茶、浴衣の4つを企画制作したみたいですが、折り紙と浴衣はDVDのみ(各1,500円)。続く第二弾として、「SAKE(酒)」セット(日本酒ととっくりにおちょこ&DVD)も発売されました。さすがに、どれもいい企画ですよね!(^^)!
もちろんこのDVDは、単なる“おまけ”的なものではなく、ニュース番組制作で蓄積したノウハウを活かし、製造過程などの現場取材も敢行し、さらにプロの手で外国人にもわかるように懇切丁寧に編集されているようです。
放送業界も不況のあおりを受け、番組制作会社を取り巻く環境もなかなか厳しいようですが、そんななかで、自社で著作権を持てるパッケージメディアに進出し、そのうえ「グッズ」とのセットを作って、自ら「メーカー」として販路を拡大していこうと決断したこの経営者は、「エライ!」と思いませんか?
このお土産セットは、自社のノウハウやスキルを活かす“メディア”や“マーケット”自体を創ってしまったのと同じことですよね(*^^)v
今のように景気が悪くなった時、経営者が、既存のお客さんにどう売るか…という狭い発想ばかりしていては、値段を叩かれるのがオチ。おそらくこの制作会社も、番組制作費が年々少なくなっていく状況に、なんとか歯止めをかけたかったのだと思います。
おもしろいことに、もともと外国人観光客を想定した商品だったにもかかわらず、あまりの出来の良さに、日本人が買っていくケースも多いのだそうです。
とくに、英語を学びたい人たちが、外国人とのコミュニケーションツールとして購入し、このDVDを教材に、生きた英語を勉強するなんてケースも増えているみたいです。シリーズ第三弾として、和菓子、しゃぶしゃぶ、焼酎などの制作準備も進んでいるようですよ。
ひとつの商品を、ユーザーが思わぬ使い方をして、そこからまた新たなマーケットが出来ていくのが、高度情報化社会の特徴です。ということは、企業には、常に“新たなチャレンジ”が求められているということです。
経営者が“目先”しか見えていないようでは、それこそお先真っ暗ですよね。ぜひ、発想を広げ、自社の“資産”を活かす道を模索してください(@^^)/~~~
2008年12月12日(金)更新
女ゴコロをわしづかみ!? “デカ目”プリ機が大人気
今年(2008年)7月、「120%デカ目革命」をキャッチコピーに、バンダイナムコゲームスが発売した「ジュエラ・アイ」という、実物よりもキレイにかわいらしく写るプリントシール機なんです。

これまでも、照明の当て方などを工夫するプリ機はありましたが、なんと!同社は、顔認識技術を応用して、実物よりも目だけが約20%目が大きく写るような独自の技術を開発したのだそうです(@_@;)
そのほかアイ・エム・エスが開発した「美’s COLLECTION 」という機種も人気で、今やプリ機には、ニキビが目立たなくなったり、色白に見えたりする美肌機能は当たり前、プチ整形に近い機能までが求められているみたいです。
1995年に世に出て、一世を風靡した「プリント倶楽部(プリクラ)」は、ふつうの写真と違い、左右が逆に写るので、いつも鏡で見ている自分の顔に近い写真が撮れることから人気になったと言われているのですが、どうやら彼女たちのなかには、“かわいく”写った自分を友達にも見せたいという欲求が根強く存在しているようです。
あの頃は、分厚い「プリクラ帳」を常に持ち歩き、友達に見せたり、交換したりする女子中高生がたくさんいましたよね。今では技術の進歩につれて、赤外線通信で友達の携帯に飛ばしたり、携帯内に専用ホルダーを作って保存したり、ブログに画像をアップしたり…とカタチは変わったものの、「“かわいい”自分を見せたい」欲求は、彼女たちのなかにずっと変わらずに存在し続けているわけです。
じつは、その“欲求”を上手に刺激することこそ、マーケティングの真髄なんです(*^^)v 現に彼女たちは、メーカーに頼まれたわけでもないのに、毎日出会った友達に自分の画像を見せたり送ったりしながら、せっせと「販促活動」をしてくれているのですから…。
ユーザーを上手に巻き込みながら、売上を上げていくという意味では、われわれも多いに学ぶべき点の多い事例です。経営者たるもの、人間の心理にも精通する必要がありそうですね。
「お願い」して売上が上がる時代はもうとっくに終わっています。この事例を参考に、自社の営業・販促のスタイルをおちゃめに見直してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2008年12月05日(金)更新
アスクルに学ぶ“顧客”の周辺需要を掘り起こす法

なんとアスクルでは、ファイルやボールペンを頼むのと同じような感覚で、忘年会用のおつまみを発注することができるのだそうです(@_@;)
同社では、「アスクルお仕事サポート」として、オフィス内で必要になりそうなサービスを提供すべく、いろいろな業界との提携を進めてきましたが、今年3月には、飲食店情報サイト「ホットペッパー.jp 」を運営するリクルート、出前検索サイト「出前館」などを運営する夢の創造委員会の2社と提携しました。
リクルートからは飲食店、夢の創造委員会からは宅配店のデータ提供を受け、独自に編集して自社サイト内に受注ページを新設。ページ閲覧者が店の情報をクリックした場合と、実際に受注につながった場合に、それぞれアスクルに報酬が支払われる仕組みになっているようです。
情報化社会もますます進化を続け、今やネットで買えないものはないような時代になりつつあります。そうなるとユーザーのなかには「使い慣れたサイトから買いたい」という気持ちがしだいに濃くなっていくのです。
たとえば、アマゾンで本を注文することに慣れてしまった人が、サプリメントなどの他の商品をオーダーしたい場合、「アマゾンにはないのかな?」とまず調べます。新しいネットショップに、いちいち個人情報を入力するのは、結構面倒くさいですからね(――;)
それとまったく同じ感覚で、オフィス用品を頼むついでに、残業食や忘年会用のパーティーセットも…と、ついついアスクルからオーダーする人も増えてくるでしょう。現に、アスクルを経由した出前サービスの平均単価は、2008年10月の実績で5,900円強と、一般消費者が中心の出前舘の平均単価より2千円程度高いのだそうです。
アスクルもそのあたりの消費者心理もよくわかっているようで、「商品選択から決済まで短時間で済むのが利用者を増やすカギ」と話しています。たとえば、宴会のお店を探すときも、候補店の比較をしやすいようにするなど、独自の工夫を凝らしています。
そうなると、ホットペッパーや出前館としても、法人需要を取り込めるということで、十分メリットがありますよね(*^^)v 実績が上がれば、今後、アスクルと提携したがる企業も増えてくることでしょう。
こんなふうに、既存のお客さんに「どんなサービスを提供できるかが勝負」という時代に突入しているのです。少し前に私は冗談まじりに「そのうち、アマゾンで車や家を買ってポイントを貯める時代になるかもね」と話していましたが、もう、あながち冗談では終わらない感じもします。
ぜひこの事例を参考に、自社のビジネスを見直し、どんな人を自社の「顧客」にしたいのか、またその顧客に「どんなサービスを提供すればいいのか」をじっくり考えてみてください。
「売ったらおしまい」という薄利多売の時代は、すでに終わっているのです。自社の顧客といかに深くつきあうか…経営者自身のパラダイムシフトが必要な時代といえるかもしれません(@^^)/~~~
ボードメンバープロフィール
石原 明(いしはら あきら)氏
僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社
ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。
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