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2012年03月26日(月)更新

今、すべての企業がアジア進出を考えるべきか

「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、本格的な春までもう一歩というところでしょうか。さて、今週は、私が毎週金曜日に配信している無料版ポッドキャスト『石原明の経営のヒント+(プラス)』のリスナーさんから寄せられた質問にお答えしてみました。
 
ポッドキャストの「Facebookページ」をつくり、リスナーさん同士の交流も活発になってきているのですが、今「アジア進出」については、みなさんの関心事のひとつのようです。よかったら、参考にしてください。
 
== 質 問 ==

こんにちは。いつも楽しく拝聴させていただいております。知人からの紹介で石原先生を知って以来、すっかり先生のファンになっており、今では『高収益トップ3%倶楽部』の会員となり、名古屋での勉強会にも参加させていただいております。
 
さて、企業がアジアに進出することが当たり前の時代になってきていると思います。医療界でも、アジアをマーケットとした医療観光などを始めている病院も多くなっていると思います。
 
そこでいつも感じることは、私が勤務するような地方都市の歯科医院でもこれからはアジアをマーケットと考えるべきなのでしょうか? また、ターゲットとする場合、どのような戦略を考えればよいのでしょうか? 先生のお考えをお聞かせください。

== 回 答 ==

考え方には大きく2つ、既存の国内マーケットに留まる選択と、アジアをはじめとした海外も視野に入れた経営を目指す、の2つがありますね。
 
それもそれぞれの選択を日本で進めるのか? 海外に出て行くのか? という選択がありますが、これこそ、経営者の性格や年齢、組織の強みなども加味した上での経営的な選択になると思います。

== 解 説 ==

今、業種を問わず日本中のビジネスマンや経営者の方が、みなさん関心を持っている内容だと思いますが、まず、考え方として整理しないといけないことは、マーケットの拡大や縮小、そして景気の好・不調と自社の関係は、あくまでも企業の規模に関係するということです。
 
日本のマーケットは確かに少子化に伴って凄い勢いで縮小していますが、いくら縮小したからといって、あなたの医院に来院する患者さんが直接減ってしまうかというと、決してそんなことはありません。
 
日本のマーケットは世界でも有数の規模と豊かさを持っていますので、経営努力さえしっかり行っていれば、まったく大丈夫です。マーケットの中に強力なライバル等が突然現れない限り、そんなに影響は無いと思います。
 
マーケットの縮小や景気の後退を本気で心配しなければいけない企業規模というのは、日本全体に大規模に商品やサービスを提供している文字通り大企業やゼネコン等の場合だけです。
 
こういった企業はマーケットの縮小や景気の後退の影響をモロに受けますので、存続をかけて本気で海外進出を検討しないといけないわけで、それに引きずられて関連する企業も海外に出て行くという状況が加速しているのが、今の日本の状況です。
 
ということは、あなたの医院が海外に目を向ける場合には、今の延長線上で国内ビジネスを進めるよりも、海外に出て行く、あるいは海外を対象にビジネスをしたほうがメリットがかなりあると考える場合には、そう選択するほうが良いということです。
 
ということで、生き残りをかけてというより、もっと発展する、発展するチャンスがあると思う場合には取り組むことはおもしろいという感じで、経営判断をするほうが良いでしょう。また、経営者の方が若くて思考が海外に向いている場合なども、発展の戦略としてはおもしろいかもしれませんね(^_-)-☆
 
あなたの医院が海外に目を向ける場合は、こうしないと経営が難しくなってしまう・・・という後ろ向きの判断ではなく、もっと発展できるだろうという前向きな判断をしてほしいということです。
 
自由度はかなり高いので、またまわりの医院はそんな判断はなかなかしないと思うので、何か方法やチャンスがあったらおもしろいとも言えますね。ちょっと心を落ち着けて、考えてみてください。
 

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2012年03月16日(金)更新

店は小型化に向かう!? 「Echika fit」と「三越伊勢丹」の新規出店戦略

ここ最近、新規オープンする商業施設に、大きな変化が訪れているのにお気づきでしょうか? 
 
今年(2012年)2月、東京メトロ・丸ノ内線東京駅構内にオープンした「Echika fit 東京」には、アパレルのユナイテッドアローズ、ステーショナリーの伊東屋、雑貨のフランフランなどの “ミニサイズショップ”が集結しています。
 
 


 
ここは「TOKYO TRAVEL」をコンセプトとし、“大人のトラベル秘密基地”を目指しているようですが、都心の玄関口である東京駅の駅ナカという利点をぶんだんに活かし、従来の顧客とは違った層に、各店のブランドイメージを訴求していくためのアンテナショップとしても機能することになるでしょう。
 
店を小さくしたことで、既存店とは全く違う品揃えになるわけですが、それがまた“新しい楽しさ”を生み出すのではないでしょうか? ふらっと立ち寄った小さな秘密基地で、お気に入りの1点を見つけるのは、なんとも楽しい体験だと思います。
 
一方、三越伊勢丹ホールディングスも、新たに「新規小型店舗事業」を始動しています。なんと!新宿ルミネの中に「小さな伊勢丹」をつくったのです(@_@;)
 
そこは「ラグジュアリーコスメ編集ショップ」として、「ランコム」などの海外ブランドを始め、「SHISEIDO」「shu uemura(シュウ ウエムラ)」「RMK(アールエムケー)」など、国内外の高級化粧品ブランドを集結させたショップです。
 
そもそも百貨店の化粧品売り場というものは、各ブランドの販売員さんがバッチリ張り付いていますから、一度どこかのブランドで買い物すると、あちこち「はしご」しづらい雰囲気でした(――;)
 
しかし、このルミネ内のショップでは、ブランドの壁を一切取り払い、ファンデーションは「shu uemura」で、口紅は「RMK」で・・・などという買い方が気兼ねなくできるようになったわけです。ここにも“新しい価値”が生まれていますよね。
 
しかも、新宿駅と直結しているルミネは交通の便も良く、これまで伊勢丹には足が向かなかった若い女性にも来店してもらえます。駅ビル内に百貨店が出店・・・、時代も変わったものですね。
 
同社は今後も「新規小型店舗事業」を積極的に進めていく方針で、この4月には羽田空港国内線第1旅客ターミナルに初の紳士雑貨を主体とした店舗をオープンする予定だそうですが、出店場所ごとに商品構成をガラッと変えて、常に消費者を飽きさせない戦略に出るのでしょう。
 
こうした流れを見ていると、百貨店という名が表すとおり「何でも買える」店から、真逆に舵を切ったことがよくわかります。これからの時代、“販売アイテムを編集する”といった感覚が、店舗運営に強く求められるのではないでしょうか。
 
同時に、そこに「どんな店が集まっているか」がその商業施設の価値をシビアに決めていくことになるでしょう。これまでなかったような「異色のコラボ」にも期待したいところです。
 
経営者として、こうした時代感覚を掴んでおくことはとても大切です。1社で大きな商売をするより、小さくてもそれぞれユニークな価値を持つ会社がコラボすることで、生まれる価値は何倍にもなるはずです。
 
時に、春はもうすぐそこまで来ています。この事例を参考に、思い切り発想を拡げてみてください(@^^)/~~~
 
 

2012年03月09日(金)更新

人の感情を理解するための訓練法

春はもうすぐそこまで近づいているようですが、来月には新人を迎える会社も多いと思います。今回の質問は、若い世代にも伝えたい内容なので、このタイミングで取り上げてみました。新人教育に活かしていただけると嬉しいです(*^_^*)
 
== 質 問 ==

「人の感情を理解する」ということが、ビジネス上の大事なスキルであることはよくわかるのですが、日々の日常でそれをつかむためのポイントはありますか? 具体的な訓練法などがあれば、ぜひお聴きしたいです。

== 回 答 ==

まずは自分の感情によく注意を払うこと、それから相手の立場に立って相手(=人)の感情を理解するようにする、この方法が良いと思います。 

== 解 説 ==

相手(=人)の感情を理解するためには、よく相手の立場に立って考えましょうと言いますが、私は人の感情を理解できるようになるためには、まず最初に“自分の感情にもっと注意を払う”ことから始めた方が良いと思います。
 
自分も人間、相手も人間なので、基本的に自分の感情がどんな時に気持ちよくなったり不快になったりするのか? どんな投げ掛けをされた時に動くのか、動かないか?・・・etc、などをしっかり掘り下げてみると良いと思います。
 
顧問先のスタッフの方にもこういうふうに指導してから、かなり成果が上がっていますので、自分を通して人間についてもっと深く知った方が、結果として人の感情を読み取ることができるようになると思います。
 
訓練のための具体的な方法ですが、まずは何か自分の感情が動いた時に“あ! 感情が動いた!”と思うことです。
 
例えば、喫茶店とかに行っていい気分でいる時にオーダーを何度も聞き返されたらだんだん“ムッ!”としてきて感情を害したとか、居酒屋さんに行って、ちょっとだけおまけされた時にすごくその店を気に入ったとか・・・考えると結構沢山ありますよね。
 
その場で、感情を捉えられない時は、家に帰ってお風呂に入って「今日一日どんなところで感情が動いたかなぁ~」と振り返りをするなんていうのもとっても良いと思います。
 
こういう繰り返しをして行くと、自分がどんな時にうれしくて、何でも言うことを聞いてしまうのかとか、気分を害してやる気を無くしてしまうのか・・・などがだんだんわかるようになってくると思います。
 
これ、実際にやってみてもらうとその効果にビックリすると思いますが、こうやってだんだん自分の感情を通して人の感情が読み取れるようになっていきます。
 
今回の回答は、参考にするだけでなく、実行に移してもらえるといいと思います。ぜひトライしてみてください。
 
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2012年03月02日(金)更新

プロントだけに「プロン党」!? SNS連動の顧客化戦略

カフェ&バーを展開するプロントコーポレーションが、好調な動きを見せているようです。2011年12月期の全店売上げが、前年比1%増の175億円と、過去最高を更新。大震災の影響をまともに受けたチェーンも多い中、なかなかの健闘ぶりではないでしょうか。
 
健闘の裏側には、緻密な顧客化戦略があるのですが、同社は2003年に、電子マネー「Edy」付の「プロントメンバーズカード」を導入し、昨年までに約4万枚を発行しているようです。
 
 
 
このカードを使って支払うと、カフェタイムとバータイムのドリンクが「10%OFF」になるそうですから、リピーターにはありがたいカードだったわけですが、このカードの機能や特典を残しつつ、同社は新しい会員カードへの移行を計画しているようです。
 
新しい会員組織は「プロン党」と名づけられ、メンバーズカードを提示するとドリンクが増量してもらえたり、会員限定メニューをオーダーできたりと、その都度異なるサービスを提供し、twitterやFacebookなどの交流サイトに「こんなサービスをしてもらえました!」と、投稿してもらおうというしかけです。
 
「プロン党」設立に際しては、マニュフェストもつくる意気込みだとか。「日本のノミニケーションの復活を目指します」などの政策(?)を、販促物に掲載して認知度の向上を図るそうです。プロントだけに「プロン党」・・・若干おやじギャグの香りも漂いますが(笑)、お店と顧客のつながり方として「あり方を共有する」という視点は、逆に今っぽいですよね(*^^)v
 
会員カードといえば、来店の度にポイントが付くとか、割引が受けられるとか、お店側の一方的なサービスが当たり前でしたが、これからの時代は、お客さんがその店の姿勢に共感した上で会員になる⇒会員になったからには“身内”としてその店を応援するという展開が望ましいでしょう。
 
そんな話を事務所でしていたら、うちのスタッフにもプロントファンがいることを発見。なんでも、パスタなども結構美味しいし、女性一人でも入りやすいうえ、夜はバータイムになるので軽く飲みたいときには、ついつい足が向いてしまうのだそうです。
 
ということは、プロントのライバルはカフェばかりでなく、居酒屋さんでもあるわけですが、両者のハザマにあるポジションを上手に活かし、「プロント女子会」プランを提案している点などはさすがです。
 
アフタヌーンパーティプランとして、パスタ1品が選べ、デザート盛り合わせと1ドリンクが付いて、2.5時間1,480円というプランです。主婦層などにこの情報が上手に伝われば、ランチタイムとバータイムの隙間時間の有効活用にもなりますよね。
 
同社の竹村社長は「愚直」と「凡事徹底」をモットーとしていらっしゃるようで、「当たり前のことを人には真似できないくらい一生懸命やる」ことを、常にスタッフにも、フランチャイズ店にも語りかけていると聞きます。
 
また、今年は30店の新規出店を予定しているそうですが、その愚直さにユニークなアイデアが加わることでどんな化学反応を起こすのか・・・「プロン党」の設立とSNS戦略で、今年の業績がどう伸びるのか、しばし注目していきましょう(@^^)/~~~


ボードメンバープロフィール

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石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

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