石原明の「知的経営の切り口」 | 経営者会報 (社長ブログ)
企業を発展させるための経営のヒントについて、独自の切り口で紹介します。
2012年07月27日(金)更新
企業の「舞台裏ツアー」でアジアから観光客を呼ぶという発想
少し前になりましたが、神奈川県鎌倉市でも、新たな観光資源創造を目指した「みんなの鎌倉遠足」事業の一環として、「大人だってのぞいてみたい!鎌倉の人気会社訪問」と題したツアーが開催され、なかなかの人気ぶりだったとか(*^_^*)
※画像はイメージです。
このツアーは、委託を受けたJTBが企画したようですが、鎌倉市内にある人気企業、米アウトドア用品のパタゴニア日本支社、インターネット企業のカヤック、シャツ専門店のメーカーズシャツ鎌倉の3社を巡り、同社の役員や社員が案内役を務めたといいます。
ちなみに、自らを“面白法人”と名乗る株式会社カヤックの柳澤大輔社長は、私のポッドキャスト『石原明の経営のヒント+(プラス)』のゲストにお招きし、特別番組をリリースしたばかりです。とてもユニークな社長でしたので、ぜひお聴きになってみてください♪
ちょっと話は逸れましたが、こうした「社内見学ツアー」、自社のPRになることはもちろんですが、”顧客フォロー”にこそ向いているように感じます。特別なお客様に会社や社員を深く知ってもらう、という目的で開催するのです。顧客と楽しい関係性を構築するのに、最適だと思いませんか?
もうひとつが、こうしたツアーそのものを、日本の「観光資源」にするという発想です。私の主宰する『高収益トップ3%倶楽部』の6月の東京勉強会に、「地球の歩き方」のダイヤモンド・ビッグ社、代表取締役社長 藤岡比左志氏をお招きして講演していただいたのですが、彼の発想はかなり刺激になりました(*^^)v
藤岡社長は、少子高齢化に向かうこれからの日本が生き残る道は「インバウンド戦略」、つまり海外から日本に人を呼ぶしかない、と明言していらっしゃいました。現在、海外から日本への観光客は約600万人だそうですが、それを2000万人規模にまで拡大できたなら、それだけで日本経済は潤うというわけです。
しかし、そこには大切な視点があります。これまで海外からの観光客といえば欧米人をイメージしてきましたが、これからは「アジアからの観光客が主流になる」という視点です。アジア人の興味は得てして「歴史」にはありません。つまり、奈良・京都ではニーズを満たせないのです(―_―)!!
アジアの人たちが興味を持っているのは、「最先端の日本」。だとしたら、工場見学や企業見学は、絶好の観光資源となるのではないでしょうか。こんなふうに発想を変えれば、景気回復の近道が見つかりそうな気がします。寝苦しい真夏の夜ではありますが、夜な夜な発想を拡げてみてくださ~い(@^^)/~~~
2012年07月20日(金)更新
「社長の性格が二枚舌の政治家のようで困っています」…とある社員の悩み
今週は、ちょっとユニークな相談が舞い込みましたので、私なりの視点で回答してみました。わが身を振り返りつつ(?)、参考にしていただけるとうれしいです(*^_^*)
== 質 問 ==
現在私が勤めている会社の社長は、性格が政治家のような人で困っています。例えばある政治家のように、ドヤ顔で他の政治家さんの批判などしていますが、実は自分も同じく批判されるようなことをしていて、実際の発言と、している行動が逆なんです。
もちろん政治家のように利害を生む関係者だけには外面がいいので、実情を知っている社員からは、裏で「ダブルスタンダード社長」と言われてます。
私の今の性格から言うとこういった言動に対して「許せない!」と思うのですが、ここは発想を変えて、石原先生がセミナーで言われていた『性格を変える!』ということに着目して、そんな人もいるよね、と寛大な気持ちで受け流す方が良いのか迷っています。
経営者は絶対に興奮したら駄目といつも石原先生は言われているので、心の中で興奮してしまっている私は経営者に向いていないのかな? と馬鹿正直な性格の私は、少し落ち込んで悩んでいます。
社長というのは、こういったダブルスタンダードの方が多いのでしょうか? 数多くの様々な社長さんと出会ってきた石原先生、回答よろしくお願い致します。
== 回 答 ==
経営者を判断する時には、性格とは別に能力も見ないといけないと思っています。理由は必ずしも“性格=能力”では無いからです。この方がもしすごく儲かっている会社を経営しているのであれば、その理由(=長所)がどこにあるかということも一緒に考えてみてください。きっとこの性格を上回る何か(交渉力とか◎◎力とか・・・)を持っていると思います。
そこを視点にして社長を見ることが出来れば、客観的になれるので、あなたの「人称」が上がって、ムカッとしないで見本や研究材料として活かすことができるようになると思います。
== 解 説 ==
人(人間)をどう見るかという問題にはいろいろな答えがあります。また特に経営者というカテゴリーにある人の見方や評価については、本当にいろいろな要素が必要で、それらを総合的に考えて判断しなければなりませんから一概に言えませんが、まずは経営者として「儲かっている企業経営しているか」という観点から、その人を判断しないといけないと思っています。
こういう考え方の基本には、完璧な人間はそもそもこの世に存在していない・・・という理解が必要で、自分もそうですが、家族も含めて、関わっている人にはどこかで欠点や性格的に欠落している部分を持っているくらいに考えておく必要があるということです。
それでもそれを打ち消してしまうような長所があったら、その人は組織にとって、またあなたの周りに居ていい人=有効な人と考えて評価しないといけないということですね・・・現実に、優秀な人はだいたいどこかに能力が偏っている場合が多いですよねぇ~(ーー;) でないと、社長や上司、そして部下や同僚、また家族に対して常に不満が出てしまいますからね。
こういった場合に経営者というのは結構不利な存在で、「経営者=性格のいい人」というイメージがあるので、純粋に能力を評価してもらい難いのです。
・・・これは、道徳的な本とか研修などの影響もあるのか、優秀な経営者がみなさん性格が良いと錯覚してしまう傾向もありますからねぇ~・・・(ーー;) (あ、最終的には性格や人格は良くならないとダメですよ、それは当たり前のことと考えておいてくださいね。経営者なんだから性格が悪くてもOKでは、けっしてありません)。
こういう(能力は高いけれど社長の性格がイケてない…笑)場合に、スタッフの方に「人柄や性格がとてもいいけどぜんぜん儲からない会社をやっている社長さんと、性格には難点があるがすごく儲かる会社を経営している社長さんとどっちがいいですか?」と、こんな質問をして、 “ハッ!”となってもらうことがあったりします。
この質問で、社長の嫌な性格ばかりを見ていた自分に気付いてもらって、もっと視野を広げてもらうのですが“なるほど~、まずは儲かっていないと会社はダメ、この社長はそれなりに役に立っている”ということを理解して落ち着いてもらうことはしばしばあります。それで、組織が上手くいってしまうことも結構多いです。
2012年07月13日(金)更新
新人だけが働く居酒屋!? 『新卒ダイニングRookies』の目線
今年4月に、大阪の繁華街「北新地」にオープンした『新卒ダイニングRookies(ルーキーズ)』では、業績もことのほか好調に推移し、早くも複数の店長候補が現れたと聞きます(*^^)v
その名のとおり、新入社員だけで運営する居酒屋なのですが、こんなユニークな発想の持ち主は、レストラン経営の「きちり」。最近ではあのタニタとパートナーシップを組み、「タニタ食堂」を大ヒットさせている仕掛人でもあります。
なんでも同店は、関西地区採用の9人が、内定の段階から共同で企画したそうで、指示を仰ぐ上司のいない中、提供する料理、価格設定、内装までを、すべて新人だけで考えたのだとか。もちろん、相談に乗るコーチ役の先輩社員はいたようですが、会社は同店を“人材育成の場”として捉え、“新人のうちに思いきった失敗をさせる場”をつくりたかったのだそうです。
これまで同社の新人は、本社で短期間の研修を受けた後、所属する店が決まり、店長のもとで働きながら訓練を受ける体制だったようですが、思い切って採算を度外視し、研修用の店舗を出したというわけです。もちろん、新人研修に付き合われるお客さんとしてはどうなのか…とちょっと心配になったりもしますが、その点「北新地」に出店したあたりは、さすがだと思います。
北新地は、大阪では割とお客さんの年齢層も客単価も高い地区。北新地で飲んでいる方の中には、経営者や企業幹部なども少なくないので、わが社の新人を見るようなあたたかい視線で応援してもらえるだろう・・・という、多少の読みもあったのではないでしょうか(*^_^*)
そんな北新地で、新人たちが決めたこの店のコンセプトは「おっちゃんたちのディズニーランド」。店は以前の鳥料理店を居抜きで使ったようですが、1階30席、2階42席の広さで、売上高は月間400万円と、ほぼ見込み通りの数字で推移しているようです。
私はこの店の存在を知った時、思わず笑ってしまったのですが、一見無謀に見えて、じつはかなり賢い戦略ですよね。 考えてみると「マイナス」がひとつもないのです!(^^)!
今どき居酒屋のオープンくらいでは、どこのメディアも取り上げてはくれませんが、現に同店のメディア露出は多く、来店したお客さんも、ブログやSNSに、おもしろがって投稿してくれます。
その上、多少の段取りの悪さがあっても「新人だから…」とお客さんから大目に見てもらえるでしょうし、同社のグループ店で、仮にこの店より業績の悪い店があったとしたら「新人に負けるな!」と、ハッパをかける絶好の材料にもなるでしょう(笑)。
もちろん、この店で働く新人たちも、座学の研修を何十時間受けるより、貴重な経験をたくさん積むことで、驚くべきスピードで成長していくと思います。同社の狙い通り、とかく失敗が許されにくい今の社会で「失敗してもいいから、思いっきりやってみろ!」と言われる環境に身を置けることは、将来的にも他に代えがたい財産となることでしょう。
新人だけに居酒屋を任せるなんて、一見突飛な発想に見えますが、じつは冷静に考えると利点のほうが多いわけです。これからの時代、経営者はこのくらいの高さと広さを持った目線で発想できないと、勝ち残っていけないように思えます。
この事例をよい刺激に、自社の経営課題を一挙に解決する“奇策”はないか・・・楽しみながら発想を拡げてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2012年07月09日(月)更新
企業向けのサービスで収益を確保するために
== 質 問 ==
現在『高収益トップ3%倶楽部』で勉強中です。質問させていただきます。B to Bで比較的大きな企業にサービスを提供していますが、お客様は1社に発注し続けることはせず、相見積りを取ったりコンペを行ったりします。
設定した最低価格を下回らない金額内で一番安いベンダーが受注するなど価格競争となってしまいます。企業向けサービスで収益を確保するためのアイデアをお聞かせ下さい。よろしくお願いします。
== 回 答 ==
時代に逆行するような提案ですが、こういう場合はリアルな営業を強化するのが良いのではないでしょうか? 営業を強化して、値段に唯一対抗できる情報をいち早く掴む、これがポイントだと思います。
== 解 説 ==
情報化社会の実現で価格に対する問題は、どういう業態かは別として避けて通れない問題です。同じ商品やサービスを誰かがもっと安く提供すれば、当然他社も価格を下げなければ顧客からは指名されなくなります。
特に、大企業などにBtoBサービスを行う場合に、同じ商品やサービスを他社よりも高く売ることは現実には不可能です。自社を選んでもらい売上げを確保するためには、何か別の付加価値を付ける以外に方法は無いと思います。
・・・質問の収益を上げる方法ですが、付加価値を付けて沢山の受注を確保、数をこなすことで効率を上げ尚且つ数をまとめることで自社の仕入れコストを下げて収益性を確保するというのが、一番の得策だと思います。これなら、他社と同じ値段でも競争に勝って行くことができるようになります。
では、何を付加価値とするかですが、付加価値で一番価値が高いモノは何かというと、それは各種の“情報”です。各種というのは、何かというと、例えば、顧客の顧客がどういった動向をしているのか?とか、顧客の業界で起きている変化、ライバルの動向、マーケットからの認知や評判、新規事業でやってみたい事に関にする情報…etcですが、こういった顧客の関心のある情報をいち早く顧客側に提供することができれば、付加価値が高い分、他社に受注をもって行かれることは無いと思います。
これを分かり易く表現すると、顧客の知りたい情報をいち早く掴んで、顧客に提供する体制を作れば、競争に勝てるということですが、これを行うために一番良いのがリアル営業の強化だと思います。
とっても時代に逆行している感じの提案ですし、そんなことをすればコストが上がってしまうという恐れもあるので、なかなか大変ですが、今、どこの業界でもリアル営業の強化はしていないので、返って逆張りで強みを発揮するのではないかと思います。
理由は顧客の知りたい情報は、リアルに顧客に聞くしか無いからです。他社がやらない今なら、かなり効果があると思いますので、私の提案の意味が分かったら検討してみてください。ある程度の無理をしないと、この競争には勝てないと思います。
いかがでしょうか? あなたはどうお考えになりますか(^^♪ 私の発行する週刊メールマガジン『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです!』(購読無料)では、毎週メルマガ読者のみなさんからの質問にこんな感じでお答えしています。
これまでのQ&Aもバックナンバーにたくさんあるので、興味があれば覗いてみてください。もちろん、質問も随時受付中です(*^^)/~~~
また、オフィシャルマガジン『石原明の不定期情報通信』をご希望の方はコチラから読者登録ができますので、ぜひこの機会にご登録ください。様々な切り口から“経営脳”に刺激を与える内容を配信しています(*^^)v
ボードメンバープロフィール
石原 明(いしはら あきら)氏
僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社
ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。
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