大きくする 標準 小さくする

«前の記事へ 次の記事へ»


ひとりカラオケ専門店!? リアルをリサーチする目がビジネスを磨く

投稿日時:2012/01/27(金) 15:30rss

昨年(2011年)11月、JR神田駅前にひとりカラオケ専門店「ワンカラ」がオープンしたのをご存じでしょうか? 日中でも1時間600円、夜間は1時間1,100円という、今どきのカラオケボックスにしてはかなり強気な価格設定にもかかわらず、予想を上回る好調ぶりなのだそうです。
 
 
 


 
 


仕掛人は、カラオケボックス「カラオケ本舗まねきねこ」を運営する群馬県前橋市の株式会社コシダカ。ちなみに、コシダカホールディングスは、女性専用フィットネス「カーブス」の主要株主でもあります。
 
社長いわく「2009年、2010年に弊社が運営する『カラオケ本舗まねきねこ』の来店調査をすると、約18%もの方が、一人カラオケを楽しんでいらっしゃいました。平日の昼にとある店舗に行くと満室だけど、すべてお一人様という状態も多い。これだけニーズがあるんだったら、専用店舗があってもいけるんじゃないかと。ちなみに私もひとりカラオケでよく歌っています」とのこと。
 
そのことに気づいてからは、社長室の前に「実験機」を設置し、開発チームに暇さえあれば歌わせていたようです(笑)。
 
その成果か、「ワンカラ」は既存のカラオケボックスとひと味もふた味も違います。まず、ボックスではなく『ピット』と呼ばれるブースには、モニター、ヘッドホン、マイクが設置されていて、よくテレビなどで見かけるレコーディングブースのような状態で、ヘッドホンから流れるカラオケに乗せて、ひたすら歌うわけです♪
 
『ピット』での飲食ができない代わりに、疲れたら無料のドリンクバーが用意されているカフェスペースで休憩することができるようにした点も、既存のカラオケボックスと大きく違います。そもそもカラオケとは「飲みながら歌う」ものでしたから、その根本をくつがえしてしまったような、結構大胆な発想です(*^_^*)
 
しかし、それが「単なる社長の思いつき」じゃない点に注目してほしいのです。私は日本企業が海外の企業に簡単に負けてしまう原因は「リサーチ力の弱さ」だと思っているのですが、その点、腰高社長はすばらしいですね。
 
競争の激化するカラオケ業界において、客単価をグンと上げ(なんでも、都心の既存店平均の10倍近いそうですよ!)、食事を提供しないと決め、ドリンクをフリーサービスにしたことで、大幅な人件費の削減にも成功し、みごとなまでに収益性の高いモデルにブラッシュアップしています(*^^)v
 
開店から1ヵ月のデータでは、来店数の3割をリピーターが占め、1時間以上の利用客が約6割もいるそうです。3ヵ月間テスト運営を実施し、1日60人くらいの来店を見込めるとわかったら、まずは山手線沿線での出店を考えているそうですよ。
 
この事例からわかるのは、「自社のお客さんはこういう層だ」と決めてかかることの怖さです。経営者が「カラオケボックスは、飲み会の後の2次会、3次会で使われるのが主流」などと思っている限り、こんな発想は出てきませんよね。
 
ちなみにうちの女性スタッフは、ランチライムにカラオケボックスに一人で行って、昼食を食べながら数曲歌ってストレスを発散するOLの友達がいるって言ってました(@_@;) また、子どもさんを連れたママたちのランチ会には、騒いでも怒られないカラオケボックスがピッタリなんだそうです。
 
こういう話を聞くと、思い込みでビジネスすることの怖さを感じませんか? この事例を参考に、ぜひ自社の「本当の顧客」を、リアルからリサーチし直してみてください(@^^)/~~~
 


ボードメンバープロフィール

board_member

石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

バックナンバー

<<  2024年11月  >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最近の記事

このブログの記事タイトル一覧(608)


RSS