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一流どころからオファー殺到!? 「コレジャナイロボ」の不思議な魅力

投稿日時:2011/02/10(木) 13:12rss

唐突ですが、「コレジャナイロボ」ってご存じですか? 先日うちの事務所で、スタッフが妙に盛り上がっているので、何かと思って聞いてみると、この「コレジャナイロボ」の話題でした(笑)。

なんでも、「貧乏な家の子がおもちゃ屋さんでロボットを眺めていた。その姿を見た父親が手づくりしてプレゼントしたら、その子が『これじゃない!』って怒って泣いてしまった」みたいな、多かれ少なかれ身に覚えのあるような経験を表現したらおもしろいんじゃないか・・・という妄想から生まれたシリーズらしいです。


korezyanai.jpg


気になってちょっと調べてみると、もともと「コレジャナイロボ」は、2001年に現ザリガニワークスの社長さんが、半ば趣味に近いカタチで「工作」し、販売を始めた木製のロボットでした。赤、白、青の色使いは、あの「ガンダム」を思わせるものがありますが(笑)、あくまで独自の「世界観」で、お客さんと一緒に遊び方や思い出をたくさんしゃべれる商品、をコンセプトにつくられたようです。

その後、2004年に大学の先輩とつくった会社が「ザリガニワークス」ですが、その頃、熱心な勧誘を受けてネットショップに出品すると、当時普及しはじめた「ブログ」の格好のネタとなり注文が殺到! 納品が3ヶ月待ちになったこともあったみたいです。

しかし、「コレジャナイロボ」は、一時のブームで終わらなかったのです。翌05年には玩具メーカーの「セガ」からソフトビニール製の商品が発売されたり、ヤフーのウェブマガジンでの連載が始まったり、06年になるとアニメソングの帝王と呼ばれる水木一郎さんが主題歌を歌うCDが発売されたり、08年にはアートディレクターの佐藤可士和さんが「グッドデザインエキスポ」で「私の選んだ一品」に選出し、みごと「グッドデザイン賞」を受賞したり…。

こうしてじわじわと快進撃を続けてきた「コレジャナイロボ」は、09年になると大企業からオファーを受けるまでになりました。あの「ペンタックス」から「変なカメラをつくりたい」とコラボレーションを持ちかけられ、できた商品がコレです。


pentax.jpg


ペンタックスのオンラインショップで発売された限定100台は、99,800円という価格にもかかわらず、わずか10分あまりで完売したそうですよ(@_@。 そして今現在も、子ども服をはじめとするアパレル系ブランドからも、続々と提携のオファーが続いているらしいです。

いかがですか? このセンス。きっと「わかるようなわかんないような」微妙な感じだと思いますが(笑)、注目すべきは、たった一人の人間が趣味に近いカタチで具現化した世界観が、思いも寄らぬ大きなマーケットをつくってしまう可能性のある世の中になったのだ、という事実です。

私は昔から「300人に1人が使えば大ヒット商品だ!」と言ってきました。みなさん経営者になると、「なんとかヒット商品をつくらねば」と躍起になりますから、うっかり「国民の半分が知っている商品」をつくりたがるものですが、もし中小企業で仮にそんな商品が開発できたとしても、その後必ず大手が参入してきて、散々な結果に終わることは目に見えています。

私たちとっては「300人に1人が知っている」くらいのマーケットを着実に取っていくほうが、明らかに賢い戦略ですし、単純計算ではそれでも日本国内で、約40万個も売れることになります。

しかも、ネットの登場で、今はその「300人に1人」がとっても探しやすくなっています。その人たちに向けた情報発信の“質”さえ間違っていなければ、必ずやあちらから集まって来てくれるものです(*^^)v

もしかしたら、あなたの会社にも、第二、第三の「コレジャナイロボ」を生み出せる人材が眠っているかもしれませんよ。経営者としては、たった一人の人間の妄想を大事にできる余裕とセンスを持ちたいものですね。

この「コレジャナイロボ」を見ていて、思わずそんなことを考えてしまいました。このデジタル化時代に、思いっきり「アナログ」な世界観によって癒されている人は、思いのほかたくさんいるんじゃないかと思います。この発想とセンス、なかなかいいヒントになると思いませんか(@^^)/~~~

ボードメンバープロフィール

board_member

石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

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