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「ファミマ×TSUTAYA」に見る完成されたビジネスの行方

投稿日時:2011/01/28(金) 12:00rss

先月(2010年12月)、コンビニのファミリーマートと、CD・DVDレンタルのTSUTAYA(ツタヤ)が東京港区のオフィスビル「品川フロントビル」の一画に初の一体型店舗を出店したのをご存じでしょうか?

両社はこれまでも、一部のファミマ店舗に「TSUTAYA・BOX」なるものを設け、コンビニで買い物するついでに、CD・DVDレンタルや返却をしてもらおうという戦略を実験的に行ってきたようですが、それにいよいよGO!サインが出た、ということでしょう。


famima.jpg tsutaya.jpg


一方、同じくコンビニのローソンは、芸能事務所やプロダクションなどとの連携を加速させ、エンターテイメント事業に本格参入する計画だそうです。

全国に約9千近くある店舗を、タレントやアーティストの売り込みの場として活用したり、関連商品やコンサートチケットの販売拠点にするほか、ローソン自身がタレントをつくることも視野に入れ、“コンビニ発のアイドル”誕生を目指しているのだとか(@_@;)

なるほど、同社が昨年、HMVジャパンを傘下におさめたり、オリコンと資本・業務提携をしたりといった動きをしていたのは、こうした戦略があってのことだったのかと、妙に納得してしまいました。

それにしてもコンビニのように、いわば完成されたビジネスが、「その後、どこに行くか」でかなり四苦八苦しているだろうことが、これらの事例からも見て取れます。

おもしろいもので、生まれたてのビジネスは、「効率化」という旗を振りながら、どんどんブラッシュアップしつつ成長していくものなのですが、あまりに効率化が進み「最適化」されてしまったビジネスは、逆に行き場がなくなってしまうんですよね(――;)

車のハンドルにも“遊び”がないと危ないように、ビジネスもあまりに研ぎ澄ましてしまうと、一瞬、天下は取れても、その後は「勝った理由で負けていく」みたいなことがよく起こるのです。

要は経営者のさじかげん、ということなのですが、周りからは優柔不断に見えても、右に行ったり左に行ったりしながら、“いい塩梅”を探していく・・・みたいなことが、真の経営者に望まれているような気がしてなりません。

世間では、今年後半からぐんぐん景気が回復すると見る向きもあるようですが、私は「いよいよ本格的な淘汰の時代」が来るように感じています。効率化も結構ですが、これからの経営者は心と時間にもっとゆとりを持って、“いい塩梅”で進んで行くことを目指してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

ボードメンバープロフィール

board_member

石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

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