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困難は“発想”で乗り切る!? 「就職祝い金」モデルが求人サイトを救う

投稿日時:2010/09/03(金) 12:00rss

近年、仕事探しには「インターネット」が欠かせない存在になっていますが、リクルート、インテリジェンスをはじめ大手がひしめく求人情報サイトのなかで、ベンチャー企業である「リブセンス」が急成長を遂げているのをご存じでしょうか?


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急成長の秘密は、そのビジネスモデルにあります。同社の運営する「ジョブセンス」は、2006年4月のサービス開始以来、求人広告の掲載は『無料』。実際に採用できた時点で初めて課金されるシステムになっているのです。

同社いわく「そもそも、ネットでは“情報はタダ”といった感覚が強いのに、求人情報を掲載しただけで料金が発生する課金方式には無理があるように思う」とのこと。言われてみれば当たり前ですが、ネットの「広告モデル」を敵に回すも同然ですから、なかなか勇気のいる決断だったと思います。

案の定、立ち上げ当初は求人広告集めに苦労したそうですが、しだいにこのシステムが理解され始め、クチコミなどで評判を呼ぶにつれ、求人の掲載件数は常時1万件、月間利用者数は300万人に達するまでになったのです。

しかし、規模が大きくなると、このビジネスモデルの思わぬ欠点が浮き彫りになってきました。課金するためには、その企業が「採用したかどうか」の後日調査が必要で、そこに膨大な手間や人件費がかかるわけです(-_-;)

悪気はないにしろ、日ごろの忙しさにかまけ、企業側から進んで採用の事実を報告してくれる例は極めて少なかったのでしょう。そこで同社が編み出したのは、「採用された人にお祝い金を払おう!」というモデルです。

この「就職祝い金制度」を設けたことで、採用された本人から、確実に自己申告が受けられるようになったのです。金額は1000円から2万円までのようですが、採用の実態を調査するためにかけていた手間と費用にプラスして、このモデルそのものが生み出す「競争力」を考え合わせれば、とても賢い選択だったのではないでしょうか。

こんなふうに、目の前の課題を乗り越えるには、経営者が常識にとらわれない自由な発想と知恵を持てるかどうかにかかっています。この事例を参考に、あらためて自社の課題と向き合ってみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

ボードメンバープロフィール

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石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

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