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「ちょい食べカレー」がヒット!? 商品の角度を変えて市場を作る

投稿日時:2009/06/26(金) 17:55rss

みなさん、グリコの「ちょい食べカレー」という商品をご存じでしょうか? 何をかくそう、私は最近まで知らなかったのですが、姉妹品の「ちょい食べハヤシ」とともに、昨年(2008年)2月に発売された商品です。

この商品、ひとことで言えば「レトルトカレー」なんですが、温めずにそのまま食べることができるのと、1本30gというプチサイズにしたことで、「ふりかけ感覚でお弁当といっしょに持っていく」というカレーの新しいマーケットを開発したのです(*^^)v


カレー


従来のレトルトカレーは、ラード(動物性の脂)を使っているものが多く、常温では固まってしまうため、温めずにそのまま食べることができませんでした。

その点、この「ちょい食べ」シリーズは、常温でも固まりにくい植物性の油脂と野菜や果物のペーストを使っているので、温め直すことなくそのまま食べられるというわけです。
ですから、おかずが足りなくてちょっとだけ残ってしまったご飯にかけたり、ジャムのようにパンにつけて食べたり、オムレツやオムライスのソースにしたり、はたまた料理の調味料的に使ったり…と、これまでにないレトルトカレーの用途を増やすことに成功したのです。

同社の開発担当者は「昼の弁当を食べているとき、カレーの味が欲しいと思ったのが開発のヒントでした。カレーのパンはあるが、意外と弁当は少ない、と感じました」なんてコメントしていますが、「なるほど!何で今まで気づかなかったんだろう(――;)」って感じですよね。

「カレーパン」からこの商品をイメージしたというのもちょっと笑えますが、この商品がヒットした裏側にはもうひとつ秘密があって、スーパーなどの販売の現場では、レトルトカレーの棚に加え、「ふりかけ」のコーナーにも置いてもらうようにしたのだそうです。

すると、一人二人と、お弁当といっしょにこの商品を持っていく人が現れます。お弁当はふつう一人では食べませんから、目の前でカレーをお弁当にかけはじめる人を見かけたら、「何それ?」となるわけです。

当然ブログなどで発信する人も出始めます。そんな感じで徐々にブレイクし、一時は生産が間に合わない状況にもなったみたいですよ。

またここ最近、「弁当男子」という言葉も生まれたくらい、世の中にお弁当持参派が増えました。折りしも不景気の波が押し寄せて外食派が減ったことも、この商品を後押ししたのでしょう。

それはともかく、カレーという完全な成熟市場でさえ、発想と工夫でこんな現象が起きるのです。マーケティングは、本当におもしろい世界ですよね。ぜひ、この事例を参考に、自社商品の“角度”をちょっと変えたらどうなるか…楽しく考えてみてください(@^^)/~~~

ボードメンバープロフィール

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石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

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