石原明の「知的経営の切り口」 | 経営者会報 (社長ブログ)
企業を発展させるための経営のヒントについて、独自の切り口で紹介します。
ブラジャーを回収!? エコをキーワードにしたワコールの集客に学ぶ
消費不況が叫ばれるなか、顧客サービスの一環に、中古品の「買い取り」や「リサイクル」を取り入れる企業が増えているようです。
ヨドバシカメラでは、パソコンや携帯音楽プレーヤーなど、デジタル製品の「買い取り」を本格的に始めました。首都圏や関西の主力店に買い取り専用コーナーを設置したばかりか、この4月以降には、顧客の家まで出向く「出張買い取り」も始めようという意気込みです。
今や、パソコンや携帯音楽プレーヤーは、一人一台が当たり前の時代。今使っている製品の買い取りでもしないかぎり、新製品を売るにも、なかなか難しいのかもしれません(――;)
一方、ワコールと高島屋が協力して始めたのが、なんと! ブラジャーの回収です。4月22日までの期間限定ではありますが、来店客に上記のような専用のリサイクルバッグを配り、ワコール製品に限って、一人最大6枚までを店頭に持ち込んでもらうという方法です。
回収したブラジャーは、ワコールの流通センターへと集め、処理工場での粉砕、分別、圧縮の工程を経て、RPFと呼ばれる産業用の固形燃料にリサイクルするそうです。資源の有効活用という意味からも、お客さんの共感を得やすい企画ですよね。
しかし、この企画の裏には、きちんとした調査結果があるんです。同社の調べでは、約61%の女性が、「ブラジャーを捨てるのにためらいを感じる(躊躇する)」と答えているのだそうです。その結果を見て、「自宅のタンスに眠ったままのブラジャーは相当数に上る」と、同社は踏んだのです。
この話を聞いて思い出したのですが、かつて私が、とある法衣店(お坊さんの袈裟などを扱う会社です)のお世話をしていたころ、そこでも同じようなケースに出会ったことがあります。
その会社では、新しい法衣を売ろうにも、すでにどこのお寺もタンスがいっぱいなので、新しいものは全く売れないという状況が続いていましたが、古い法衣を引き取ったり、なかにはタンスごと引き取ったり…というサービスを始めたところ、あっという間に売り上げがあがりました(*^^)v
やはり、「入るスペース」を先に空けてあげない限り、新しいものは売れません。これは、和服などの業界でも、全く同じだと思います。祖母や母から譲り受けた着物なども、相当「捨てにくい」ものですから…。
王道ではありますが、こんなふうに、お客さんが困っていることに積極的に目を向けると、他社との差別化が可能になります。何も大それたことじゃなくていいんです。「ちょっとした」ことに目を向けるか向けないか…ここが分かれ道になっているんです。
先のブラジャーの回収にしても、リサイクル品を持ち込むことがお客さんの「来店動機」にもなりますし、企業がメッセージ性のある投げかけをすることで、意識の高いお客さんと繋がることが可能です。
この事例を参考に、「捨てにくいものが捨てられる」「エコに貢献できる」などの視点から、自社独自の顧客サービスを発想してみてはいかがでしょうか? 経営者は不況に嘆いてばかりいる暇はないはずですよ(@^^)/~~~
ヨドバシカメラでは、パソコンや携帯音楽プレーヤーなど、デジタル製品の「買い取り」を本格的に始めました。首都圏や関西の主力店に買い取り専用コーナーを設置したばかりか、この4月以降には、顧客の家まで出向く「出張買い取り」も始めようという意気込みです。
今や、パソコンや携帯音楽プレーヤーは、一人一台が当たり前の時代。今使っている製品の買い取りでもしないかぎり、新製品を売るにも、なかなか難しいのかもしれません(――;)
一方、ワコールと高島屋が協力して始めたのが、なんと! ブラジャーの回収です。4月22日までの期間限定ではありますが、来店客に上記のような専用のリサイクルバッグを配り、ワコール製品に限って、一人最大6枚までを店頭に持ち込んでもらうという方法です。
回収したブラジャーは、ワコールの流通センターへと集め、処理工場での粉砕、分別、圧縮の工程を経て、RPFと呼ばれる産業用の固形燃料にリサイクルするそうです。資源の有効活用という意味からも、お客さんの共感を得やすい企画ですよね。
しかし、この企画の裏には、きちんとした調査結果があるんです。同社の調べでは、約61%の女性が、「ブラジャーを捨てるのにためらいを感じる(躊躇する)」と答えているのだそうです。その結果を見て、「自宅のタンスに眠ったままのブラジャーは相当数に上る」と、同社は踏んだのです。
この話を聞いて思い出したのですが、かつて私が、とある法衣店(お坊さんの袈裟などを扱う会社です)のお世話をしていたころ、そこでも同じようなケースに出会ったことがあります。
その会社では、新しい法衣を売ろうにも、すでにどこのお寺もタンスがいっぱいなので、新しいものは全く売れないという状況が続いていましたが、古い法衣を引き取ったり、なかにはタンスごと引き取ったり…というサービスを始めたところ、あっという間に売り上げがあがりました(*^^)v
やはり、「入るスペース」を先に空けてあげない限り、新しいものは売れません。これは、和服などの業界でも、全く同じだと思います。祖母や母から譲り受けた着物なども、相当「捨てにくい」ものですから…。
王道ではありますが、こんなふうに、お客さんが困っていることに積極的に目を向けると、他社との差別化が可能になります。何も大それたことじゃなくていいんです。「ちょっとした」ことに目を向けるか向けないか…ここが分かれ道になっているんです。
先のブラジャーの回収にしても、リサイクル品を持ち込むことがお客さんの「来店動機」にもなりますし、企業がメッセージ性のある投げかけをすることで、意識の高いお客さんと繋がることが可能です。
この事例を参考に、「捨てにくいものが捨てられる」「エコに貢献できる」などの視点から、自社独自の顧客サービスを発想してみてはいかがでしょうか? 経営者は不況に嘆いてばかりいる暇はないはずですよ(@^^)/~~~
ボードメンバープロフィール
石原 明(いしはら あきら)氏
僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社
ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。
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