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「出前サイト」に学ぶネットとリアルをつなぐ発想

投稿日時:2008/09/12(金) 18:00rss

食欲の秋……。食べたいものを届けてくれる「出前」はとても便利なサービスですが、その「出前」をポータルサイト化することで、さらに便利さをアップした『出前館』が売上を伸ばしているようです。

これまでは出前を頼みたければ、そのお店に直接電話するしかありませんでしたが、この『出前館』が登場したおかげで、サイトを見ながら提携しているお店の数多いメニューのなかから「何を食べようか…」と楽しく選べるうえ、小まめに更新されている「待ち時間」をチェックしつつ、パソコンや携帯から注文できるようになったのです。


出前



『出前館』は、今年で9年目を迎えるそうですが、類似サービスも増えるなか、現在の会員数は、約170万人。提携店舗数は、6月末時点で前年同月比15%憎の8,259店。同月の注文数は40万件を突破し、前年同月比55%憎という勢いなのです!(^^)!
このサービスが成功した秘訣は、ひとことで言うなら「お互いにとって便利なしくみ」だからです。ネット世代のお客さんにとっては、お店にわざわざ電話をかけるより、サイトから注文できる方が断然便利です。しかし、お店側が、忙しいランチタイムなどに、パソコンを小まめにチェックできるはずもありません。

そこで、『出前館』は、お客さんから【ネット】で受けた注文を、【FAX】にしてお店に流しているのです。こうなると、お店側も忙しいなかで電話を取り、いちいち注文を聞く回数が減るわけですから、とても助かるはずです。

また、FAXを確実にお店が受け取ったかを確認するために、送信後、『出前館』から自動応答電話がかかるようになっているのですが、出前の待ち時間の更新についても、この電話で「FAXを受け取りました」とう確認を意味する「0♯」と押した後に、「40♯」と押せば、その1秒後にはサイト上に「待ち時間40分」というふうに更新されるようなシステムを導入しているのだそうです。

このシステムにより、1日2千回近くは、サイト上の待ち時間が更新されているそうです。消費者がネットにすっかり慣れた今の社会では、このレベルのサービスを提供しないと、お客さんの支持を得られないのかもしれませんね。

また、リピーターを増やすために、サイトを利用することで貯まったポイントを使って、どの店舗でも割引が受けられるようなしくみにしています。この割引についても、ふつうの経営者なら、安易に提携店舗に負担してもらおうと考えてしまうと思いますが、この『出前館』では、ポイント利用により割り引かれた額を、「全額」店舗側に補填しているのだそうです。

「店舗が利用に前向きにならないサービスは広がらない」と考えていて、店舗が出前館に支払うのは、注文額の5%と月額掲載料の3千円のみ。現在、1店舗あたりの月間注文数が約49回で、平均客単価が約2,900円だそうですから、1店舗あたり月額約14万円の売上になる計算です。

原材料の高騰など厳しい環境が続くなか、お店側もチラシなどの広告費を負担せずにすむのは、かなりありがたいと感じているはずです。

こんなふうに、『出前館』が、ネットとリアルを上手に橋渡ししてあげることで、店舗とお客さんの両方にメリットを生むしくみを実現したわけです(*^^)v

同サイトを運営する「夢の街創造委員会株式会社」の女性社長である中村利江さんは、たびたびマスコミにも登場しているので、ご存知の方も多いと思いますが、経営者の発想しだいで、ここまでビジネスは発展します。ぜひ参考にしてください(@^^)/~~~

ボードメンバープロフィール

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石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

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