石原明の「知的経営の切り口」 | 経営者会報 (社長ブログ)
企業を発展させるための経営のヒントについて、独自の切り口で紹介します。
やるならとことん!? 香典返し専門店「ネット」で健闘
今週、たまたま私のブログでも取り上げたのですが、今、葬儀関連の業界でも改めて「マーケティング」が見直され、新しい取り組みをする会社が出てきているようです。
高齢化社会になると、黙っていても市場は拡大傾向にあるように思われがちな業界ですが、近年「家族葬」などの“地味葬”を好む人が増え、顧客単価は下降気味なのだそうです。
そんななか、楽天市場などでネットショップを運営する香典返し専門店「一心」は、1,800種類におよぶ品揃えに加え、「あいさつ状」の作成や、意外にめんどうな「香典帳」のデータ化など、細かいニーズにも対応することで、日ごろ仕事などで忙しい顧客をつかんでいるみたいです。
香典返しは、百貨店などで注文するのが一般的ですが、仕事などで忙しく、日中百貨店に出向いて打ち合わせをするのが難しい人も多いのではないか…という想定のもと、信用度や知名度で百貨店に劣る分、ネットの利点を活かしたきめ細かいサービスで対抗しようという作戦です。
東京都足立区の住宅街にある同店の事務所では、受注したその日のうちに、専任スタッフが、香典返しにつけるあいさつ状を作成し、メールに添付して顧客に送っているそうです。その後、細部の修正など数回やりとりを繰り返し、最短2~3日で発送することが可能なのだとか。
なんと!このあいさつ状作成は、同店で香典返しの品を注文した人が特典として受けられる「無料」のサービスなのです。そのうえ、「喪中はがき」の作成や、筆ペンなどで記入してもらった「香典帳」をパソコンの表作成ソフトでデータ化するサービスも「無料」で行っているといいます。
顧客にとっては、とってもありがたいサービスだと思いませんか? 感情的にもつらく慌しい時期に、こんなふうに気の利いた対応をしてもらえたなら、「一生忘れない…」ような気持ちになるかもしれません。顧客の感情を揺さぶることによって、クチコミ効果も期待できるでしょう。
実際、同社のネット通販の売り上げは、前年比約2倍のペースで増えていて、08年5月期の売上高は8,500万円の見通しだそうですが、「贈答品」全般を取り扱うネットショップが多いなか、「香典返し」に特化した戦略が功を奏してきたようです。
同社でも「目下の課題は、葬儀のことがよくわかるようにした、関連サイトの充実だ」と話していますが、まさにそのとおりだと思います。特に親族が急に亡くなった場合など、何をすべきか、いろいろわからないことも多いと思います。
従来なら、親戚やご近所に聞いて段取りを進めていたようなことも、これからの時代は「ネットで調べる」という人が増えてくるのかもしれません。
それを見越してか、現行のサイトにも「葬儀後の知識と心得」というコーナーで、礼状の出し方や、生命保険の受け取り、はたまた故人の確定申告といったことまでが説明されていますが、失礼ながら、情報の濃さやサイトの作り方などには、まだまだ工夫の余地がありそうです。
もし、同社のサイトが「わからないことはこのサイトで調べよう」と思ってもらえるくらい質の高い情報を提供し、「葬儀後に関することならここ!」という認知を得ることができれば、本当の意味でネットショップの勝者になることができると思います。
今回の事例は、ただ単に「ターゲットを絞れ」という意味で取り上げたのではなく、もし何らかの分野で特化したいと思うのであれば、これからの時代は、ネット戦略もふくめ、「本気でとことんやらない限り差別化はできないということを知るべきだ」という意味です。
もちろん、品揃えが多いほうが売り上げを上げやすいに決まっていますから、「広く」いくのか「狭く」いくのかは、経営者の手腕の見せ所かもしれません。いずれにしても、自社の商品やサービスと共に、「質の高い情報発信」が経営を左右する時代であることは間違いないようですね(@^^)/~~~
高齢化社会になると、黙っていても市場は拡大傾向にあるように思われがちな業界ですが、近年「家族葬」などの“地味葬”を好む人が増え、顧客単価は下降気味なのだそうです。
そんななか、楽天市場などでネットショップを運営する香典返し専門店「一心」は、1,800種類におよぶ品揃えに加え、「あいさつ状」の作成や、意外にめんどうな「香典帳」のデータ化など、細かいニーズにも対応することで、日ごろ仕事などで忙しい顧客をつかんでいるみたいです。
香典返しは、百貨店などで注文するのが一般的ですが、仕事などで忙しく、日中百貨店に出向いて打ち合わせをするのが難しい人も多いのではないか…という想定のもと、信用度や知名度で百貨店に劣る分、ネットの利点を活かしたきめ細かいサービスで対抗しようという作戦です。
東京都足立区の住宅街にある同店の事務所では、受注したその日のうちに、専任スタッフが、香典返しにつけるあいさつ状を作成し、メールに添付して顧客に送っているそうです。その後、細部の修正など数回やりとりを繰り返し、最短2~3日で発送することが可能なのだとか。
なんと!このあいさつ状作成は、同店で香典返しの品を注文した人が特典として受けられる「無料」のサービスなのです。そのうえ、「喪中はがき」の作成や、筆ペンなどで記入してもらった「香典帳」をパソコンの表作成ソフトでデータ化するサービスも「無料」で行っているといいます。
顧客にとっては、とってもありがたいサービスだと思いませんか? 感情的にもつらく慌しい時期に、こんなふうに気の利いた対応をしてもらえたなら、「一生忘れない…」ような気持ちになるかもしれません。顧客の感情を揺さぶることによって、クチコミ効果も期待できるでしょう。
実際、同社のネット通販の売り上げは、前年比約2倍のペースで増えていて、08年5月期の売上高は8,500万円の見通しだそうですが、「贈答品」全般を取り扱うネットショップが多いなか、「香典返し」に特化した戦略が功を奏してきたようです。
同社でも「目下の課題は、葬儀のことがよくわかるようにした、関連サイトの充実だ」と話していますが、まさにそのとおりだと思います。特に親族が急に亡くなった場合など、何をすべきか、いろいろわからないことも多いと思います。
従来なら、親戚やご近所に聞いて段取りを進めていたようなことも、これからの時代は「ネットで調べる」という人が増えてくるのかもしれません。
それを見越してか、現行のサイトにも「葬儀後の知識と心得」というコーナーで、礼状の出し方や、生命保険の受け取り、はたまた故人の確定申告といったことまでが説明されていますが、失礼ながら、情報の濃さやサイトの作り方などには、まだまだ工夫の余地がありそうです。
もし、同社のサイトが「わからないことはこのサイトで調べよう」と思ってもらえるくらい質の高い情報を提供し、「葬儀後に関することならここ!」という認知を得ることができれば、本当の意味でネットショップの勝者になることができると思います。
今回の事例は、ただ単に「ターゲットを絞れ」という意味で取り上げたのではなく、もし何らかの分野で特化したいと思うのであれば、これからの時代は、ネット戦略もふくめ、「本気でとことんやらない限り差別化はできないということを知るべきだ」という意味です。
もちろん、品揃えが多いほうが売り上げを上げやすいに決まっていますから、「広く」いくのか「狭く」いくのかは、経営者の手腕の見せ所かもしれません。いずれにしても、自社の商品やサービスと共に、「質の高い情報発信」が経営を左右する時代であることは間違いないようですね(@^^)/~~~
ボードメンバープロフィール
石原 明(いしはら あきら)氏
僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社
ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。
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