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「命名権」で企業ブランディング

投稿日時:2006/11/15(水) 14:35rss

東京都渋谷区が運営する「渋谷公会堂」が、「渋谷C.C.Lemonホール」と名前を変えて、リニューアルオープンしているのをご存知でしょうか? 

つまりは、渋谷区が「命名権」を売ったわけですが、このように大規模施設の名前を大企業が買うといった「命名権ビジネス」が、今、花盛りなんです。


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もともとこの権利を取得したのは電通で、契約期間は5年間。取得金額は年額8千万円に消費税を加えた計4億2千万円だったとか。その後、電通が大手飲料メーカーのサントリーに権利を転売したことで、この「渋谷C.C.Lemonホール」の誕生となったわけです。
03年に東京都調布市の東京スタジアムが「味の素スタジアム」となったのを皮切りに、横浜の「日産スタジアム」、「福岡Yahoo!JAPANドーム」など、今や企業名を冠した施設は、全国に30もあるそうです。

人材派遣会社フルキャストが、昨年、3年契約総額6億円をかけて、県営宮城球場を「フルキャストスタジアム宮城」に変えたり、久光製薬も昨年12月に東京・有楽町の映画館「丸の内ルーブル」の命名権を取得し、「サロンパスルーブル丸の内」が誕生したそうです。

なんでも「ココロのこりをほぐす映画館」というキャッチフレーズだそうで、観客が映画鑑賞に求める「リラックス」と、コリを癒す商品の効用がマッチすると判断。メーカー側はさらに「年配者向け」というサロンパスの商品イメージを変えることを狙っていて、試写会などのイベントには薬剤師を派遣し、サンプル配布などもしているそうです(~o~)

さらに、この「命名権ビジネス」の裾野は広がりつつあり、ゴルフ場のコース名や、バス停の名前など、さまざまな分野に及んでいます。

福岡サンレイクゴルフ倶楽部(福岡県高田市)は、昨年10月ゴルフ場としては全国で初めて、コースの命名権を、自然食品メーカー・ベストアメニティ(福岡県久留米市)に売ったそうですし、兵庫県内でスーパーを展開するマルアイは、今年4月の新店舗オープンに合わせて、神戸市須磨区にあるバス停を「鷹取町(マルアイ前)」としたそうです。

このバス停の命名権は1か月3万円で3年契約。神戸市が今春、市営バスの経費削減策として導入した、バス停命名権の第1号だそうです。

このくらいなら、中小企業にも十分実現可能な金額ですから、今後は「命名権」を「企業ブランディング」の選択肢のひとつとして、採用する企業が増えてくるのではないでしょうか(*^^)v ブランディングの幅が広がるという意味で、歓迎すべき流れだと思います。

しかし、気をつけなくてはいけないのは、施設やバス停はあくまでも公共性のあるものだということ。そこに「ハマる」名前をつけることが相当大切だと思います。

完全に浮いた名前をつけてしまうと、企業のマイナスイメージが広がる…なんてことにもなりかねませんから、そのあたりのことに注意しながら、来るべきチャンスに備えて、あなたの会社でも一度検討してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

ボードメンバープロフィール

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石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

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