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経営者の報酬を考える

投稿日時:2006/05/02(火) 17:54rss

みなさんすっかりゴールデンウィークモードに入ってらっしゃるかもしれませんが、今日は少し目の覚めるようなお話をしましょうか。ズバリ「経営者の報酬」についてです。

米国経営者の豪邸
*この豪邸の写真はイメージです

このところ、アメリカの主要企業が、相次いで経営者の報酬を見直しているようですね。株主から「業績や株価に比べて報酬が高額だ」との批判を受けてのことです。米国では、エンロン不正会計事件以後、報酬決定の透明性向上を迫られているのです。ゼネラル・エレクトリック社(GE)は今年から、ジェフリー・イメルト最高経営責任者(CEO)の報酬を株価連動型に変更したそうですよ。

ヒューレット・パッカード(HP)が、昨年解任されたカーリー・フィオリーナ前CEOの報酬が高すぎたとして、株主から返還を求める訴訟を起こされたのは、記憶に新しいところです。このように、企業側は株主からの訴訟を回避するため、報酬の透明性向上を図っているというわけです。

そのフィオリーナ氏の報酬って、いったいどのくらいかご存知ですか?なんと退職金を含め、総額で1億8,000万ドル。日本円で約210億円だそうです(@_@)しかし、在職中の6年間でHPの株価は半分に下落したようですから、株主が過剰報酬だと騒ぐ気持ちもわかります。

誰です?そんなにもらえるなら、アメリカの経営者になりたいなんて思った方は(笑)。確かに日本の経営者の報酬額とは随分違いますよね。ちなみに、経営者と従業員の報酬格差を比較してみると、日本ではたった4倍なのに対して、韓国は約15倍、なんとアメリカは1,500倍もあるんです。さらに、中国では15,000倍だそうです。

この数字だけで見ると、社長をやるなら「中国」が最適かもしれません。しかし、「経営者」になるなら、実は日本が最適であることがわかります。経営者と従業員の賃金格差が低いということは『組織化』に向いているってことです。また、優秀な人材の人件費が安いとも言えます。日本的経営とは、あくまでも「組織力」で勝負することなのです(*^^)v

近年、日本でも「実力主義の評価制度」を導入する企業も増えてきていますが、そのような評価制度は、そもそも日本の風土に合わないと私は考えます。アメリカのように、経営者との賃金格差が1,500倍もある国ならまだしも、日本での実力主義は、実に機能しにくいと思いませんか?だって、いくらがんばっても、社長の給料は抜けるはずもなく、従業員にとっては、すごく低い天井が見えているようなものですから。

日本の実力主義とは、単なる「歩合制」の意味合いしか持たない場合が多く、そういった面からも、日本には日本の企業文化にあった「人事評価制度」が必要ですよね。アメリカの経営者の報酬に関する新聞記事を見て、ますますその思いを強くしてしまいました(~o~)

ボードメンバープロフィール

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石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

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