石原明の「知的経営の切り口」 | 経営者会報 (社長ブログ)
企業を発展させるための経営のヒントについて、独自の切り口で紹介します。
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2012年10月26日(金)更新
あの「はとバス」が“老・若”ペアガイド戦略を展開!?
同社が永きにわたって愛され続けているのは、常に世の中の動向に敏感で、定番ツアーに加え、思いっきりトレンドを意識したユニークなツアーを企画する力によるものだと思って見ているのですが、最近は『“老・若”ペアガイド』制を導入していると聞き、思わず笑ってしまいました(*^_^*)
同社は、2010年より特定のツアーガイドに、OGの再雇用を始めたのですが、団塊世代の大量退職により、利用者にシニア層が増えることをにらんでの戦略だったのでしょう。その上で昨春からは、若い世代のバスガイドとの「ペアシステム」を導入したのです。
つまり、1台のバスに、祖母と孫ほども年齢差のある2人のバスガイドが同乗するわけですが、これが意外なほどにウケているようですよ!(^^)!
今どきのシニアは、最先端の情報に敏感な方も多く、20代のガイドさんから、六本木の人気スポットのレクチャーを受けたりして喜んでいるのだそうです。もちろん、その陰には、年配ガイドの豊富な知識や経験によるアシストがあるのですが、彼女たちは自然と、若いガイドの教育係的な役割をも果たしているわけですね。
しかし、シニア層のガイドだけでは、どうしても弱くなりがちなのが安全面です。その点、若手ガイドなら、バスの誘導なども機敏にこなしますよね。つまり、ペア制は世代間格差を逆手に取り、互いの弱点を補完しつつ、最大限のメリットを生み出す賢い戦略になっている、ということです(*^^)v
この事例は、他業界でも、かなり参考になるのではないでしょうか? シニア世代をワークシェアリング的に活用すれば、人件費は単純に倍にはなりませんし、「ペア営業」を上手にしくみ化すれば、それだけで売上げを伸ばせる会社も出てくるはずです。
自社にもマネできる “一粒で何度もおいしい”しくみはないか・・・秋の夜長、楽しみながらアイデアを絞ってみてください(@^^)/~~~
2012年09月28日(金)更新
白洋舎に学ぶ新規事業展開の視点
古き良き時代には、ひとつの商売で3代が食べていけたのかもしれませんが、今やどんな業種でも、1社で複数の事業展開を持つことが必須となっています。そんな中、クリーニング最大手である「白洋舎」の新規事業展開に着目してみました(*^^)v
同社の今年(2012年)上半期の連結最終損益は、2億6800万円の黒字だったようですが、売上げの増加ペースが鈍っていることに多少の危機感を感じているのか、「法人向けユニフォームレンタル事業」に注力する方針を打ち出したのです。
中でも食品関連メーカーへの営業を強化していく戦略で、そのため昨年(2011年)、大規模クリーニング工場では初めて食品安全管理の「ISO22000」を取得。衛生管理基準の高い企業をターゲットに、ユニフォーム事業で年間2億円の増収を見込んでいるのだとか。
レンタル用の白衣には、バーコードラベルとICチップを取り付け、部署や氏名はもとより、洗浄や仕分けの方法、入出庫履歴、クリーニング回数まで自動的に記録できるシステムをつくったようですから、相当本気で勝ちに行ってますよね(^_-)-☆
近年、食品業界ではとくに衛生に対する意識が高まっていることに加え、レンタルであれば社内でユニフォームを管理する手間もなく、常に全員が清潔な白衣を着用できるわけですから、かなり的を得た戦略のように思えます。
さらに同社は、高齢化社会の到来でニーズの高まっているクリーニングの集配事業や提案型営業、マットやモップのレンタル事業、さらにはふとんやカーテンなどを含めたハウスクリーニング&リフォーム事業なども手掛けています。本業が元気なうちに、周辺ビジネスを広げていこうという同社の意気込みが見えますよね。
長きに渡って右肩上がりの時代を経験してきた多くの日本企業は、新規事業の立ち上げを不得意とする会社が多いようで、最近私のところにも、その手の相談が多く舞い込むのですが、「白洋舎」の新規事業モデルは、新規事業が本業の支援にもなっているという点で、秀逸だと思います!(^^)!
売上げの増加ペースが落ちてきているクリーニング業が、レンタル事業に後押しされる可能性は高いでしょう。この事例を参考に、本業の周辺にビジネスチャンスはないか…あれこれ発想を拡げてみてください(@^^)/~~~
2012年09月14日(金)更新
賃貸なのに好きな壁紙が選べる!? 技術の進歩と発想の転換
レオパレス21の『マイコレプラン』もそのひとつですが、契約時に全60種類の壁紙から自分の好みのものを貼ってもらえる上に、この壁に限っては、棚を取り付けたり、画鋲やテープはもとより、ステッカーや落書きも自由自在だというのです(@_@。
最近の若者たちは特に「自分だけの空間」に価値を感じることから、このプランはことのほか好調で、以前は空室が目立っていた中古物件が、今や40人待ちといった物件まで出てきているようですよ。
また、自分好みにカスタマイズした部屋には愛着が湧きますから、更新率の伸びも期待できるのだとか。その上、退去時に原状復帰の義務はなく、そのまま出られるというのも、ウケている理由のひとつです。
しかし、カスタマイズにかかる費用分、物件オーナーの利益が減るのでは…とちょっと心配になってしまいますが、それを助けてくれるのが、壁紙の進化なのです。近年、特殊な接着剤が開発されていて、貼ってある間はしっかりと粘着性が保たれているのに、剥がず時には跡を残さずキレイに剥がれる壁紙もあるんだそうです。
また、実状から言えば、ワンルームの壁紙のリフォーム代だったら、2年契約で家賃を1割程度アップすれば、十分回収できるのだとか。「壁紙カスタマイズ」の物件だったら、少し割高にしても入居希望者は集まりそうですよね(*^^)v
しかも、よくよく考えれば、前の契約者が出ていったら、どっちみち壁紙は取り替えるのでしょうから、そのタイミングを少しずらしただけとも言えます。
どのみちやらなくてはいけないことに対して、「カスタマイズ」という付加価値を持たせたことで、契約者が喜び、物件の価値も上がり、結果、物件オーナーも喜ぶことになるわけです。このプランなら、中古物件が新築に負けずとも劣らぬ価値を持つ可能性もあります。
これはほんの一例ですが、世の中にはこれに似た現象がたくさんあるように思います。様々な分野での技術進歩は目覚ましいですから、以前は高かったものが、今や意外なほど安い値段になっている場合もありますよね。
経営者の情報感度さえ高ければ、いち早くそんな技術や商品を探し出し、自社のお客さんに「付加価値サービス」として提供できるかもしれません。競争が激化する昨今、他社との差別化を図るためには、経営者にこうした視点こそが必要なのです。
さらに、「退去時の原状復帰は当たり前」といった業界の常識や慣習を捨て去ることで、新たなマーケットを開拓できる可能性もあるわけです。この事例を参考に、自社にももっと打つべき手はないか、楽しみながら発想を拡げてみてください(@^^)/~~~
2012年08月31日(金)更新
渋谷ヒカリエ 3色のブレスレットで理想の接客を実現!?
最近、都内に話題の商業施設が次々と誕生しています。今年(2012年)4月に開業した「渋谷ヒカリエ」ものひとつですが、特に30~40代の大人の女性を中心に、人気スポットとしてかなりの高評価を得ているようです(*^_^*)
中でも、化粧品売り場のスタイルが注目を集めているのですが、ヒカリエの化粧品売り場では『3色のブレスレット』を用意し、お客さん側が意思表示するのです。
どういうことかというと、「白=急いでいます」「ピンク=自由に見ています(声をかけないで)」「緑=カウンセリング希望」という意思をブレスレットの色で表現するわけですが、これが「接客」と言えるのかはいささか疑問ですよね(笑)。
しかしながら、やたらと声をかけてくる店員がウザイと思っているお客さんも少なくないようで、この手法が女性たちの支持を得ているのは確かな事実なのです。
先にもこのブログで紹介しましたが、今年新宿ルミネの中にできた伊勢丹の化粧品売り場でも、ブランドごとの枠組みを外し、メーカーごとの美容部員を立たせずに、新しいタイプの売り場をつくりました。そんな時代なんですね…。
そもそもお客さんのそぶりから、そのニーズを汲み取るのがプロの接客業ではないだろうか、と思わず首をかしげる社長さんもいらっしゃるはずですが、これも最近よく耳にする「コミュニケーション力低下現象」の一例ではないかと思えてしまいます。
しかし、これを経営側の視点で見ると、プロの販売員の育成にお金をかけるかわりに、こうした「しくみ」で売り場の問題を解決した苦肉の策のように思えませんか? 善し悪しはともかく、起こった問題を「違うレベルの視点」で解決した事例として、頭の中にストックしておいてもいいかもしれませんね(@^^)/~~~
2012年08月10日(金)更新
『すべてが見えてくる飛躍の法則 ビジネスは、〈三人称〉で考える。』
先日、読者の方から、こんなメールをいただきました(*^_^*)
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“ワクワクよりも、ゾクゾクが勝って背筋が寒くなるビジネス書”
お世話になっています。昨日は、久しぶりに『高収益トップ3%倶楽部』に参加させていただき、朝になっても興奮冷めやらぬで、イキイキと仕事に臨めそうです。講演、ありがとうございました。
『すべてが見えてくる飛躍の法則 ビジネスは、〈三人称〉で考える。』の読後の感想を述べさせていただきます。表現下手で、上から目線的表記になるかもしれないので、ご容赦ください。
率直にこの内容はヤバいです。ライバルには絶対知られたくない。そこそこの資本力があって、この本に書いてある通り実践されてしまうと、突き抜ける会社が続出すること間違いなし・・・・・。
衰退産業の中で生き残った者勝ちを狙っているウチの会社としてはあんまり突き抜ける会社が出て欲しくない(ものすごーく一人称的>考え方なのですが・・・)。英訳本なんか出た日には、発狂しそうです。世界にとっては良いことなんでしょうが・・・。ワクワクよりも、ゾクゾクが勝って背筋が寒くなるビジネス書というのは初めてで、ショッキングな内容満載でした。
ただ、暗くなっているわけではなくて、「人称」は、是非、社内に広げたい(昨日のセミナーの後で、早速、「それ人称低いねー」とか会話しちゃいました(笑))。その辺は、少し、工夫が必要ですが、まずは、何回か本を読みながら自分自身で実験と実践を繰り返して身につけていこうと思います。
また、具体的に成功事例が出来たら、報告させていただきます。石原先生、素敵な本を執筆・出版いただき、誠にありがとうございました!
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ちなみに、この方のメールにある『高収益トップ3%倶楽部』の勉強会の様子は、ダイジェスト版でサイトからご覧いただけるので、合わせて参考にしていただければと思います。
私はよくコンサルの場面で「社長、もっと引いてかんがえてみてください!」とか「その決断は、5年後、10年後も正しいと言えますか?」と言った投げかけをしますが、言葉とは意外に抽象的なものなので、人によってその解釈が違っていたのも事実でした。
それを何とかわかりやすく伝える方法はないかと、コンサルの現場で試行錯誤を繰り返していたのですが、ある時、認知心理学の用語である<人称>という言葉に出会い、直観的に「これだ!」と閃いたのです。
案の定、この<人称>という言葉を使って教え始めたところ、その成果には目を見張るものがあり、とりわけマネジメント層へは、まるで“特効薬”のように作用し始めたのです(@_@。
今回、この<人称>という言葉を使って、未来を見据えた判断、思考、対応をいかにして身につけたらよいのかなどを、もっともわかりやすく解説したのが本書です。そういう意味では、この本はズバリ!私、石原明の頭の中身そのものとも言えますね(*^^)v
まずは経営者にお読みいただき、経営陣⇒管理職⇒一般社員と、その思考を広げていただくと、やがては<人称>が社内での共通語になっていきます。そうなれた組織は最強なのです!
現に、そのことに気づいた社長さんからは「社員全員分、欲しいので70冊送ってください」とか、「年末に、講演会をお願いします」などという依頼が飛び込んできたりしています。
オリンピックが終わってからでもいいので、ぜひ真夏の寝苦しい夜には、この本を読んで“ゾクゾク”していただければと思います。あっ、もっと眠れなくなるかもしれませんが…(笑)。そして、もしよかったら、読後の感想も教えてくださ~い@^^)/~~~
2012年07月27日(金)更新
企業の「舞台裏ツアー」でアジアから観光客を呼ぶという発想
少し前になりましたが、神奈川県鎌倉市でも、新たな観光資源創造を目指した「みんなの鎌倉遠足」事業の一環として、「大人だってのぞいてみたい!鎌倉の人気会社訪問」と題したツアーが開催され、なかなかの人気ぶりだったとか(*^_^*)
※画像はイメージです。
このツアーは、委託を受けたJTBが企画したようですが、鎌倉市内にある人気企業、米アウトドア用品のパタゴニア日本支社、インターネット企業のカヤック、シャツ専門店のメーカーズシャツ鎌倉の3社を巡り、同社の役員や社員が案内役を務めたといいます。
ちなみに、自らを“面白法人”と名乗る株式会社カヤックの柳澤大輔社長は、私のポッドキャスト『石原明の経営のヒント+(プラス)』のゲストにお招きし、特別番組をリリースしたばかりです。とてもユニークな社長でしたので、ぜひお聴きになってみてください♪
ちょっと話は逸れましたが、こうした「社内見学ツアー」、自社のPRになることはもちろんですが、”顧客フォロー”にこそ向いているように感じます。特別なお客様に会社や社員を深く知ってもらう、という目的で開催するのです。顧客と楽しい関係性を構築するのに、最適だと思いませんか?
もうひとつが、こうしたツアーそのものを、日本の「観光資源」にするという発想です。私の主宰する『高収益トップ3%倶楽部』の6月の東京勉強会に、「地球の歩き方」のダイヤモンド・ビッグ社、代表取締役社長 藤岡比左志氏をお招きして講演していただいたのですが、彼の発想はかなり刺激になりました(*^^)v
藤岡社長は、少子高齢化に向かうこれからの日本が生き残る道は「インバウンド戦略」、つまり海外から日本に人を呼ぶしかない、と明言していらっしゃいました。現在、海外から日本への観光客は約600万人だそうですが、それを2000万人規模にまで拡大できたなら、それだけで日本経済は潤うというわけです。
しかし、そこには大切な視点があります。これまで海外からの観光客といえば欧米人をイメージしてきましたが、これからは「アジアからの観光客が主流になる」という視点です。アジア人の興味は得てして「歴史」にはありません。つまり、奈良・京都ではニーズを満たせないのです(―_―)!!
アジアの人たちが興味を持っているのは、「最先端の日本」。だとしたら、工場見学や企業見学は、絶好の観光資源となるのではないでしょうか。こんなふうに発想を変えれば、景気回復の近道が見つかりそうな気がします。寝苦しい真夏の夜ではありますが、夜な夜な発想を拡げてみてくださ~い(@^^)/~~~
2012年07月13日(金)更新
新人だけが働く居酒屋!? 『新卒ダイニングRookies』の目線
今年4月に、大阪の繁華街「北新地」にオープンした『新卒ダイニングRookies(ルーキーズ)』では、業績もことのほか好調に推移し、早くも複数の店長候補が現れたと聞きます(*^^)v
その名のとおり、新入社員だけで運営する居酒屋なのですが、こんなユニークな発想の持ち主は、レストラン経営の「きちり」。最近ではあのタニタとパートナーシップを組み、「タニタ食堂」を大ヒットさせている仕掛人でもあります。
なんでも同店は、関西地区採用の9人が、内定の段階から共同で企画したそうで、指示を仰ぐ上司のいない中、提供する料理、価格設定、内装までを、すべて新人だけで考えたのだとか。もちろん、相談に乗るコーチ役の先輩社員はいたようですが、会社は同店を“人材育成の場”として捉え、“新人のうちに思いきった失敗をさせる場”をつくりたかったのだそうです。
これまで同社の新人は、本社で短期間の研修を受けた後、所属する店が決まり、店長のもとで働きながら訓練を受ける体制だったようですが、思い切って採算を度外視し、研修用の店舗を出したというわけです。もちろん、新人研修に付き合われるお客さんとしてはどうなのか…とちょっと心配になったりもしますが、その点「北新地」に出店したあたりは、さすがだと思います。
北新地は、大阪では割とお客さんの年齢層も客単価も高い地区。北新地で飲んでいる方の中には、経営者や企業幹部なども少なくないので、わが社の新人を見るようなあたたかい視線で応援してもらえるだろう・・・という、多少の読みもあったのではないでしょうか(*^_^*)
そんな北新地で、新人たちが決めたこの店のコンセプトは「おっちゃんたちのディズニーランド」。店は以前の鳥料理店を居抜きで使ったようですが、1階30席、2階42席の広さで、売上高は月間400万円と、ほぼ見込み通りの数字で推移しているようです。
私はこの店の存在を知った時、思わず笑ってしまったのですが、一見無謀に見えて、じつはかなり賢い戦略ですよね。 考えてみると「マイナス」がひとつもないのです!(^^)!
今どき居酒屋のオープンくらいでは、どこのメディアも取り上げてはくれませんが、現に同店のメディア露出は多く、来店したお客さんも、ブログやSNSに、おもしろがって投稿してくれます。
その上、多少の段取りの悪さがあっても「新人だから…」とお客さんから大目に見てもらえるでしょうし、同社のグループ店で、仮にこの店より業績の悪い店があったとしたら「新人に負けるな!」と、ハッパをかける絶好の材料にもなるでしょう(笑)。
もちろん、この店で働く新人たちも、座学の研修を何十時間受けるより、貴重な経験をたくさん積むことで、驚くべきスピードで成長していくと思います。同社の狙い通り、とかく失敗が許されにくい今の社会で「失敗してもいいから、思いっきりやってみろ!」と言われる環境に身を置けることは、将来的にも他に代えがたい財産となることでしょう。
新人だけに居酒屋を任せるなんて、一見突飛な発想に見えますが、じつは冷静に考えると利点のほうが多いわけです。これからの時代、経営者はこのくらいの高さと広さを持った目線で発想できないと、勝ち残っていけないように思えます。
この事例をよい刺激に、自社の経営課題を一挙に解決する“奇策”はないか・・・楽しみながら発想を拡げてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2012年06月29日(金)更新
泡立て機能付きビールジョッキ!? 「おもしろさ」が波及する時代
2012年06月15日(金)更新
コンビニがカフェに!? ライバルは異業種からやってくる
三菱商事とともに、ブラジルなどの農園から独自に豆を調達。コーヒー専門チェーンさながらに、店員がマシンを操作し、入れたてのコーヒーを提供するのです。
一方、セブン-イレブン・ジャパンでは、アートディレクターの佐藤可士和氏とタッグを組み、豆や焙煎方法の見直しを行うほか、佐藤氏デザインのマシンや紙コップに切り替えて「セブンカフェ」を展開する構えだとか。この夏までに、まずは北海道で試験導入する計画だそうです。
その他、ミニストップなどでも、抽出マシンを設置。スリーエフにいたっては最大8種類のコーヒーを用意し、カップに自分で好きなコーヒーを注いでから代金を支払うシステムを取り入れたため、数種類を混ぜてオリジナルブレンドを楽しむこともできるといいます。
こうした背景には、コンビニが得意とする緻密なマーケティングリサーチがあります。コーヒーは、「たばこ」に代わる継続買いが見込める新商材として期待されているのです。
そうは言っても、若い世代の女性たちは「缶コーヒー」では満足しません。お弁当やお菓子はコンビニで買っても、コーヒーは「スタバ」で・・・と予想していたところ、意外とそうでもない事実が判明したのだとか。
なんと、「マクドナルド」で買ったコーヒーを持って、コンビニでパンやお菓子だけを買う女性客が増えていたのです(@_@。
思えばマクドナルドには、新たな集客の武器とするため、2008年にコーヒーの味を全面的に刷新した、という経緯があります。それまで4年間の販売数量は6.6億杯だったのが、見直し後の4年間は10億杯に増えたというデータもあります。
オフィス街にあるマクドナルドでは、無料でコーヒーを配るなど、相当な努力をして「マックなら格安で美味しいコーヒーが飲める」ことをアピールしてきましたよね。「だったらウチでもできるんじゃないか!」と、コンビニ各社が立ち上がった格好です。
最近スイーツ類にも力を入れているコンビニですから、ここに美味しいコーヒーがあれば、他店に流れる客を取り込めます。そう考えると、カフェ戦争では、もともと扱う商材の多いコンビニが、俄然有利に見えてきます。カフェチェーン各社も、さぞや青くなっていることでしょう。
こんなふうに、「ライバルは異業種からやってくる」というのが、ここ最近の傾向です。右肩上がりの時代はとうに終焉を迎え、日本のマーケットは縮小の一途にあるわけですから、「陣取り合戦」は、ますます過酷になっていくのです。
しかし、この事例に見る「コーヒー」のように、マーケットのキーとなる商品やサービスは必ず存在します。そんな視点で、自社のマーケットを、今一度冷静に見つめ直してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2012年06月01日(金)更新
顧客を守れ!? 喫煙具メーカー元林が「スモーキングカフェ」オープン
『スモーキングカフェ ブリケ』の第1号店は、(2012年)4月27日、埼玉県越谷市のショッピングセンター「イオンレイクタウン」にオープン。カフェには喫煙具売り場も併設されています。ちなみに「ブリケ」とは、フランス語でライターを意味するそうです(*^_^*)
店頭には「全席喫煙席となっておりますので、たばこの臭い、煙が苦手なお客様は入店をお控えください」と一風変わった注意書きがしてあります。今どき「全席禁煙」のカフェは当たり前でも、「全席喫煙」のカフェはめずらしいですよね(笑)。
茶色を基調にシックに統一された42席のカフェスペースでは、コーヒーなどとともに、サンドイッチやオムライスなどの軽食も提供し、もちろん「たばこ」を存分に楽しめます。通常の「紙巻きたばこ」の他に「刻みたばこ」も置き、フィルターと紙を買えば「手巻きたばこ」も楽しめるようですよ。
同社としては、全くの新規事業だそうですが、とりあえずの月商目標は約700万円。この1号店が成功すれば、郊外のショッピングセンターや駅ビルでの多店舗展開を視野に入れているのだとか。今や堂々とたばこが吸える場所には希少価値がありますから、結構イケるかもしれません!(^^)!
これからの時代、ビジネスの寿命はどんどん短くなっていきますから、私は最近社長さんたちに「ひとつの会社で、5業種くらいは当たり前にやってください」と教えているのですが、「さて、何をやりましょう?」となった時に、「自社の顧客を守る」とか、「自らマーケットを生み出す」みたいな発想からスタートすると、自然とアイデアが湧いてくるんじゃないでしょうか。
喫煙具メーカーが自ら喫煙スペースを提供する・・・ごく自然な流れですよね(*^^)v
どんどん肩身の狭くなっていく愛煙家たちの味方であることを上手にアピールすれば、同社を応援する人や企業も増えてくると思います。他の人の迷惑にならないよう、「一か所に集まって吸ってもらう」のは、とてもいいアイデアのように思えます。
そういえば、昔読んだ筒井康隆の小説に『最後の喫煙者』というのがありましたが、ふと思い出してしまいました(笑)。魔女狩りレベルの排斥運動となってしまった嫌煙権運動と愛煙家たちの闘いをユニークな視点で描いた小説なんですが、確か最後は愛煙家が動物園みたいなところに入れられてしまうようなお話ではなかったでしょうか…。
それはともかく、この事例を参考に、自社の新規事業のアイデアをあれこれ楽しみながら発想してみてくださ~い(@^^)/~~~
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ボードメンバープロフィール
石原 明(いしはら あきら)氏
僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社
ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。
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