石原明の「知的経営の切り口」 | 経営者会報 (社長ブログ)
企業を発展させるための経営のヒントについて、独自の切り口で紹介します。
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2010年06月04日(金)更新
社長は“違う星”にいる!? ・・・ある調査の結果
ちなみに4億キロは、火星と地球が最も離れたときの距離だそうで、「社長は火星にいる」くらい遠く感じている人が10人に2人いることが明らかになった格好です。
ちなみに、社長との「気持ちの上での距離」が遠い理由は、「コミュニケーションがない」が第1位で、選ばれた選択肢は「相手とのコミュニケーションがない、少ない」が25.1%、「こちらの仕事や状況を理解していない」が18.2%、「いっしょに仕事をする機会がない、少ない」が13.7%という結果になったようです。
私から見ると「500人規模じゃ、そんな感じかもね」という結果なのですが、なかには「社長とは一度も会ったことがない」と答えていた男性もいて、それにはちょっとビックリしてしまいました(@_@;)
同社では、「社員のモチベーションや業績を上げるためには、社長からの企業理念の発信や、社内コミュニケーションの活性化が必要」と指摘していますが、規模の違いはあるにせよ、ご自分の会社でこんな調査をしたらどうなるか・・・想像してみるのもおもしろいかもしれません。
それはともかく、社長との距離が絶対的に近いのが中小企業です。社長の側から言えば、自分の理念や生き様を、社員たちに間近で見せ続けられる醍醐味がありますし、社員の側からしても、社長の背中を見ながら成長していけるベストポジションに身を置けるわけです。
人はみな、うっかり自分の環境が「ふつう」だと思ってしまいますが、世の中にはたくさんの会社があって、社長と一度も会わずに仕事をしている人もいるわけです。「他社のフリ見てわがフリ直す」じゃありませんが(笑)、たまにはこんな調査結果を「ネタ」にして、社員たちとざっくばらんに話をしてみるのもいいかもしれません(@^^)/~~~
2010年03月19日(金)更新
ある「振り回し型」の社長の場合・・・
というわけで今回は、私の著書の読者さんからの質問を取り上げてみました。みなさんの中にも、思い当たるフシがある方もいらっしゃるかもしれません。ぜひ、参考にしてください。
== 質 問 ==
先生の著書『うちの社長はなぜ「ああ」なのか?』を読みました。大変参考になりました(*^_^*)診断の結果、自分は「振り回し型」でした。
だからでしょうか、将来的に大切な仕組み作りなどが苦手なので、ついつい後回しになってしまいます。直すのに何かいい方法はありますか?それから先生にもそういうことはあるのですか? 教えてください。
== 回答 ==
目の前の事に振り回されないで、仕組み作りなど、将来に関わる大切なことをしっかりやるためには、目線を先にのばすのが一番良いのではないかと思います。
経営においてはいろいろなことが大切なのですが、その物事がどれ位大切かどうかは立っているスタンスの違いに拠ると思います。なので、目線を先にすれば将来のウエイトが増し意識が変わりますので、ぜひ経営の目線を先にのばしてみてください。
== 解 説 ==
本、読んでいただいてありがとうございます。私の本にはそれぞれ書いた意図や理由があるのですが、経営者の最後(というかもっとも大事な)の課題は自分の性格や考え方の問題点に気付いてそれを変えることなので、今そういうご自身の問題に気付かれたとしたらとっても良かったと思います。
「振り回し型」の経営者を変えていくヒントは本の中に詳しく書いていますので、今回は質問の内容の仕組みつくりなどが後回しにされないようにするにはどうすれば良いか?という問いに答えたいと思います。
そこで冒頭の回答になるわけですが、こういう場合の解決策は“経営の目線を先にのばす”ということが一番良いのではないかと思います。
目線をのばすというのはどういうことかというと、経営者が経営を考える時の思考のスタンスを今月や来月あるいは今年いっぱいといった目先に合わせるのではなく、最低2年~3年先、できれば3年~5年先に合わせて考えるというスタンスになることです。
冒頭の説明のように目線をのばすと考え方の視点が変わりますので、結果、物事に対する思考のウエイトが変わりますから、目先のことよりも先のことの方が大切に見えてきますよね。だから、この方法が良いということです。
もちろん、経営の状況などもありますので、一概にスタンスを先にはのばせない場合もありますが、経営的に問題がないのであれば、ぜひ視点を先にのばすことをお勧めします。そうすれば、結果として仕組み作りなど将来大切なことに経営のウエイトが変わってくると思います。
最後に私の場合ですが(ーー;)
私もアイディアがどんどん先行するタイプなので、ともすると目線が、超・至近距離になる場合があるので、経営は出口を考えて行う!なんてことをしっかり思い出すようにしています。逸る自分を抑えるのにはこれが一番良いと思っています。
いかがでしょうか? あなたはどうお考えになりますか(^^♪ 私の発行する週刊メールマガジン、『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです! 』(購読無料)では、毎週メルマガ読者のみなさんからの質問にこんな感じでお答えしています。
これまでのQ&Aもバックナンバーにたくさんあるので、興味があればぜひ覗いてみてください。もちろん、質問も随時受付中です(*^^)/~~~
2010年01月22日(金)更新
新規事業とコンセプトが合わない従業員をどうすべきか
経営に「人」の問題はつきものですが、経営者が考え方の基軸をどこに置くかで、進む方向性も変わってくるものです。よかったら、参考にしてください。
== 質 問 ==
事業を売却し、従業員を引継ぎ採用しなければならない時、今、新規事業を立ち上げる際、コンセプトが合わない従業員をどのようにしたら良いか悩んでおります。考えを教えてください。よろしくお願いします。
== 回 答 ==
企業経営に変化はつきものなので、その変化をしっかり社員さんに理解してもらってまずは前向きに参加してもらうということが大切です。その後スキルや向き不向きという問題が出てくると思いますので、生産性などを課題にして、結果として社員さんが入れ替わっていくようにうながすのがいいのではないでしょうか。
== 解 説 ==
おそらく、会社のある部門の売却をされたのだ(なのでその部門で採用した方がこれから取り組む仕事に向いていないということだ)と思いますが、企業が社員に支払う給与は基本的に依頼した仕事や業務に対して、社員が前向きに取り組んでくれて尚且つ望む成果を達成することを前提に支払う訳ですから、今後取り組んでもらう仕事は、最初の雇用の仕事と違う仕事ということを理解してもらって、それに取り組んでもらうようにうながすことが最初に取り組むことだと思います。
事業売却に際して買収企業に雇用の継続を依頼出来なかったわけですから、新しく取り組む仕事とコンセプトの違う社員さんが社内に出来てしまったとしても、まずはその方たちが今回の事業の担い手として成長するように、仕事の理解と教育をすることが重要だということです。
・・・本来は、事業を売却する際に社員さんも買収先に雇用してもらう(あるいはその時に何らかの方法で退職してもらう)方が良いのですが、上手く行かなかったということで、こういう事態になってしまったのだからしかたないと思います(ーー;)
その後の取り組みですが、新規事業で期待する成果を基準に、それぞれの社員に課題と評価を繰り返していき、成長してくれない社員がだんだん社内での仕事に限界を感じるようにうながすのが良いのではないかと思います。
企業というのは常に成長をしていくわけですが、その成長の速度に合わなくなった社員が自然に会社を去っていく流れを持つようになると、優秀な人が社内に残り、そうでない社員が辞めていくという、人材の自然な流れが出来ていきますから、それを意識してやっていくということです。
ただ、こういう仕事は本来事業売却時に、買収企業との間でしっかり交渉して雇用を継続してもらったり、売却時に何らかの方法で退職をうながせば起きない問題ですので、そもそもこういう問題自体が起きたことに経営者として反省した方が良いということも回答に付け加えておきます。
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2009年12月18日(金)更新
あらためて「経営者」に必要な力を考える
「経営者に必要な力」・・・あらためて考えてみると、かなりの難問です(笑)。新年を迎えるにあたり、みなさんもぜひ、ご自分なりの経営者像を見つめなおしてみてはいかがでしょうか。
== 質 問 ==
経営者にとって、必要な力とはなんでしょうか? また、それを鍛えるためには、どのようにすればよいのでしょうか。
== 回 答 ==
経営者に必要な力とは?ですが、いろいろな能力や力があった方がイイに越したことはないのですが、最初に必要なのは経営のベースになる会計の知識(計算力)、それから組織化の基礎になる人間性(人間力)、最後は営業や販売が出来るかということで(突破力)ですね。まずは、この3つからトライしてもらうと良いと思います。
== 解 説 ==
まず、意外に思われるもしれませんが、会計や経理・財務の知識は絶対に必要なので、時間のあるうちに絶対に身に付けてください。企業経営の結果は最終的に決算で表されるので、自分の会社が現在どんな成績なのか、将来に向けてどれだけ経営的に強いのかなどを判断できないのでは、現実には目標も立てられないのです。
売ることは出来ても経営(数字的な意味です)は出来ないという社長さんがいっぱいいることが、中小企業が大きくなれない理由の相当数を占めると思います。
次に必要なのが、組織化の基盤になる人間性(人間力)だと思いますが、これこそ時間をかけて磨いていかないと身に付かない能力?だと思いますので、がんばってください。
この人間力は、経営者の能力の中で一番重要だと思います。なぜ重要かというと究極的に人は何かをする時に誰と一緒にやりたいかを考えるわけですが、優秀な人達が集まって楽しく働いてくれる場としての会社は中心人格の人間性を反映して作られると思うからです。
ということで、自分はそれぞれの仕事が出来なくても、この人となら一緒にがんばりたいと思ってもらえる人達が自分に代わってそれらの仕事をしてくれれば良い訳ですから、そういう人が集まってくれるような人に自分がなってしまえばいいわけです(*^_^*)
もちろん、人格だけでは経営者は勤まりませんが最終的に一番重要になるということは知っておいてくださいね(*^_^*)
どうやれば、人間性が高まるか、性格が良くなるかは話すとなが~くなってしまうのでいつかまとめてお話しする感じにしますね。
最後は、営業や販売などの突破力ですが、これは事業をスタートする時に非常に重要です。
会社をスタートする時にとても優秀な営業マンがいたり、すばらしいマーケティングロジックが出来ている可能性は少ない(宣伝とかに使えるお金もありませんからね)ので、まずは自分で売ることが出来ないと始まらないということです。
あなたがまだ学生ということですから、若い方なので、まずは人とのコミュニケーションを良くしておくこと、それから、販売は突き詰めていくと心理学の世界なのでこの辺の勉強をすることから始めると良いかもしれませんね。以上、参考にしてみてください。
私の発行する週刊メールマガジン、『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです! 』(購読無料)では、毎週メルマガ読者のみなさんからの質問にこんな感じでお答えしています。
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2009年11月06日(金)更新
会社が「組織化」に向う過程で起こること
年が明けても、われわれを取り巻く環境は、しばらく厳しさが続くと思いますが、じつは、こうした時期は、社内の『組織化』を進めるのに最適とも言えます。というわけで、今回は、先週回答しきれなかった続きをお届けします。
== 質 問 ==
企業が伸びていくと、後から「優秀な人間」が入ると言われていましたが、それにより初期の人材が辞める時は企業にとってどうなんですか?
経営者からすると当然かもしれませんが、働く人は恐怖を感じるのでは? そこがいわゆる「愛情」でしょうか?
== 回 答 ==
こういう現象は必ず起きますが、企業が組織化に向う過程でどんな変化が起きるかということを経営者がしっかり勉強していれば、いろいろな方法でゼロにすることは出来ないまでも緩和することが出来ると思います。
そのために、経営者が知っておかないといけないことは、優秀な人材のレベルを知っておくこと、組織を固定しないこと、聖域を作らないこと、組織を常に変化に対応出来る様に鍛えておくこと・・・などです。
== 解 説 ==
今回は、前回の回答の続きです。
前回、組織の発展に伴って優秀な人間が入ってきて、それまでにいた人との間に問題が生じ、結果辞めていくという問題が起こるがどうなのかという質問でしたが、まず、これに対して、当社だけの問題と考えないで、通常どこの会社(組織)にも起こる問題として考え経営者が対処することが大切、では何を知っておくことが重要かということで、最初に優秀な人材のレベルを知ることと解説しました(ここまでOKですよね)。
ということで、今回はその続きを解説するわけですが・・・経営者が「本当に優秀な人とはこういう人なのか!」ということが分かると、ゆくゆくは当社にもこういう人材が入ってこないと他社に勝てないことが分かりますから、安易に役職を付けてしまわない方が良いということが、組織拡大の前にわかるということです(会社がスタートした段階では、安易に役職は付けない方が良いと前回解説しましたよね)。
ただ、ここで問題になるのがスタッフの方のモチベーションというかやる気の問題です。がんばっているからには評価が必要で、その評価の中には給与と共に、必ず役職も関係してくるわけです。
また、中途採用に際して、ある程度の年齢の方を採用するとなると、それなりの役職には就けないと、という問題が起こってきます。
さらに、これは業務上の問題で、他社との取引関係上、何らかの形で役職を定めないと業務的に難しいということも起きてしまうので、結果役職を割り振るなどということも現実には起きてしまうのです。
なので、優秀な人材が入って来る前に必要に応じて役職が決まってしまい、優秀な人材とのぶつかり合いが起きて、結果質問のような不幸な状況・・・(?)が起きてしまうのです。
そこで、経営者が考えないといけないことは、会社はそもそもだれのモノかということや、自社が提供する価値を最大限に発揮するためにどういう形が望ましいのかということなども踏まえた、組織運営の考え方だと思います。
では、どういう考えが組織運営上大切かですが、まず、どんな場合でも組織を固定しないこと、聖域を作らないこと、組織を常に変化に対応出来るように鍛えておくこと等が大事だと思います。
実はこの項目は、人間が基本的に持っている本性から考えると非常に難しいというか、真逆のことなので、経営者の方は自分が経営者となったことで、かなり通常の人間的思考から外れないといけない、考えないといけないわけでもありますが・・・・。
でも、深く考えていただけると、こういうスタンスで組織運営することが、結果として前からいる人と、後から入ってきた方のギャップによって人が去っていくという問題を一番解決する方法だということが分かると思います。
参加する一人一人を満足させるということと、企業を組織として健全に発展させ、持てる機能を最大限に発揮させるという、矛盾する問題を解決するために、経営者はこういった問題や経営上起こるであろう課題も事前に視野に入れて解決する方法を決めておかないといけないということですね。
今回はちょっと難しい質問でしたが、参考になりましたでしょうか。私の発行する週刊メールマガジン、『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです! 』(購読無料)では、毎週メルマガ読者のみなさんからの質問にこんな感じでお答えしています。
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2009年10月30日(金)更新
後から「優秀な人間」が入ってくると会社はどうなるか
会社の仕事には、「今日の売上げを稼ぐ仕事」と、「会社の未来を築く仕事」があるわけですが、本来、経営者の力は、後者に注ぐべきものです。・・・しかし、“組織化”ができていないと、なかなかそうはいきませんよね。
というわけで、今回も組織化に関するこんな質問を選んでみました。参考にしてください。
== 質 問 ==
企業が伸びていくと、後から「優秀な人間」が入ると言われていましたが、それにより初期の人材が辞める時は企業にとってどうなんですか?
経営者からすると当然かもしれませんが、働く人は恐怖を感じるのでは? そこがいわゆる「愛情」でしょうか?
== 回 答 ==
こういう現象は必ず起きますが、企業が組織化に向う過程でどんな変化が起きるかということを経営者がしっかり勉強していれば、いろいろな方法でゼロにすることは出来ないまでも緩和することが出来ると思います。
== 解 説 ==
実は、私は経営者の知識やノウハウの中で一番足りないのが、「組織化」に関する内容だと思っています。理由は、組織化を上手く実現させている経営者が少ないためにそういう情報そのものが非常に少ないからだと思います。
試しにアマゾンとかで起業本やマーケティング本、あるいは個人の成功本や最近ではネット成功本も多いですが、そういう本の量と組織化に関する本の量を比べてみていただければ分かりますが、圧倒的に組織化に関する本は少ないと思います。
また、日本の企業数が約250万社と言われる中で、上場企業が新興市場も合わせて約4000社しかないということや、社員数500人を超える企業の比率などが非常に少ないという現状などを見ても分かると思いますが、組織化そのものを上手く行っている経営者が少ないので、情報が出てこないとも言えると思います。
ですので、私は、経営者(や指導者)の能力で一番必要な(足りない)のは、この組織化や“組織運営の能力”だと思っています。
と、ちょっと話がそれましたが、質問の様な現象(・・・問題では無く)は組織を拡大していく中で必ず起きる現象です。
ここで、・・・問題ではなく、現象と書いたのには理由があって、こういう場面に遭遇した経営者が組織を拡大していく過程で何か特別に自分の会社にだけこういう問題が起きてしまったと考えるようであれば、対応策も何も考えていなかった、ということになるということです。
悲劇が非常に大きくその組織に及ぶのはこういうときだと私は考えます。こういう状態だと、後から入ってきた社員とこれまでの社員のスキルに差があると、NO.2や取締役、役職者が耐えられなくなって辞めていくという現象が頻繁に起こります。
また、そのとき“愛情”や“温情”でもって、その人達の居場所を作って引き止めたらいいかというと、引き止められた方も最終的には幸せになりませんから、自社が成長を目指している企業と考えるのであれば、予めこういう状況が発生することを基準に経営を考えていかないと難しいということです。
こういう問題を生んでしまう経営者にどんな情報や知識が足りないかというと、その一番は優秀な人材のレベルが分かっていないということが挙げられると思います。
なので、早いうちからスキルに合わない役職を社員に付けてしまって、後から入ってきた優秀な人材との間にギャップが生まれ組織全体がギクシャクし出すのです。
・・・・今回の回答は長くなってしまいそうなんで、2回に分けて行いますね(*^^)v
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2009年10月16日(金)更新
組織化におけるリーダーの条件とは
== 質 問 ==
今週の記事について、すごく共感できました。「01(ゼロイチ)思考」の人材が2,3人いれば すごく面白い経営が出来ると思いました。
組織化におけるリーダーの条件の一つとして「01思考」があると思うのですが、その他、リーダーの条件としてこういう能力が必要、というのがあれば、お教えいただきたく、また、日々の仕事の中でそういう能力を見抜くポイントがあればあわせてご教授ください。
今、弊社では、私が見込みありそうだな~と思った人に、社長直轄のプロジェクトを企画責任者としてやってもらい、その様子で考えるようにしています。 目標達成のために主体的に考えているか、あらゆる手段を検討しているかを重視しています。以上、宜しくお願い申し上げます。
== 回 答 ==
「01(ゼロイチ)思考」の他に、リーダーとしての資質や条件をあげるとすると、それは責任感と目標遂行(達成)能力だと思います。ちなみに、こういう責任感や目標遂行能力は育てるのが本当に難しいと思いますので、そういう要素を持っている人を採用するか、伝播させるしかないと考えています。
== 解 説 ==
「01(ゼロイチ)思考」の他に、リーダーの資質や能力をあげるとすると、この責任感と目標遂行(達成)能力が大切になると思う根拠は、この2つが無いとトップは安心して仕事を任せられないし、集団の指導者として組織を任せられないからです・・・が、両方とも本当に身に付けさせるとすると難しい能力だと思います。
ちなみに、こういう資質や思考はどれ位までに身に付けないといけないかというと、年齢的に言うと、30代の前半できれば32歳くらいまでに身に付けていないと、その後に付けさせるのは困難になると思いますので、経営者は採用時などに、そういう感覚で人物を見るといいと思います。
・・・とういうことは、32歳を超えた人材の採用には、教育して育てるという観点を入れてはいけないということですね(ーー;)
そして、特に、責任感については、教えてもなかなか育てることは難しいと思うので、責任感を持った先輩などの姿勢を通して伝播させる方が良いと考えてください。
責任感についてどう考えるかですが、例えば「これはキミの責任だからしっかりやってください」と言ったとして、部下が「わかりました」と答えたとしても、これで部下に責任感が持てるわけではありません。
部下が、あなたに言われなくても、これは自分の責任なのでどんなことをしてもやり抜くと考え行動する時にのみ発生するモノです。
例えば、その問題が自分では出来ないと判断したら、出来る人を探してでも達成させる・・・というくらいに、そこに努力と工夫が発生しなければならないモノです。
ということは、責任は与えるものではなく、勝手に取るという姿勢があるかどうかということで計られるということです(これ、分かりますか?)。
なので、リーダーとして指名するからにはこういう人材をあてないといけない、そしてその姿勢をその人の部下に伝播させていかせないと、組織の一員がそういう形で成長していかないということです。
こう書くと、目標遂行(達成)能力も基本的には、この責任感とイコールのように聞こえますが、目標遂行(達成)能力は、この責任感の上にロジカルな思考や行動力そして人を動かす力等を持って、最大効率で目標を達成する自分なりのスタイルや技能・技術を持っているかということと捉えていただけると良いと思います。
責任感を根性、目標遂行(達成)能力を本人なりのスキルと考えてもらってもいいですが、この2つが前回の回答で解説したの「01(ゼロイチ)思考」の上に備わっていれば、とってもすごいリーダーということですね。
ちょっと、高度な回答になってしまいましたが当社ではこういう人材をリーダーと捉えられているし、少なくともコンサルタントを目指す人間には最低限備わっていないといけない能力と考えています。
ちなみに、今紹介させていただいているコンサルタント養成講座はこういう要素をしっかり育てることも主眼において行われます。
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2009年10月02日(金)更新
組織リーダーの条件は「01(ゼロイチ)思考」だ!
さて、今回はQ&Aバージョンでお届けします。私のメールマガジンで、かなり反響が高かった内容なので、この質問を選んでみました(*^^)v
== 質 問 ==
先日の「高収益トップ3%倶楽部」の勉強会(東京会場)で、リーダーの育成に関して、基準値がきちんと受け継がれるのが大切とありましたが、「人間観・仕事観」の基準を受け継ぐのに気をつけることを知らないと、自分のクローン、つまり、「性格が良くて言うことを聞いてくれる人」を育ててしまうケースも出てきてしまうと思います。石原先生は、何に「気をつける」必要があるとお考えになられますか?
== 回 答 ==
先日お話した組織化におけるリーダーとは自ら判断して最善の行動をとってくれるレベルの人を指すと考えていただけると良いですが、そのためには「01(ゼロイチ)思考」が大切だと考えています。
== 解 説 ==
人間の能力には大きく分けて、何も無いところから何かを発生させる能力を持っている人と、何かの形なりセオリーがあればそれを広げていける人の2種類があると考えることが出来ると思いますが、前者の能力を、「01思考」-ゼロから1を生み出すという意味で-ゼロイチ思考と私は呼んでいます。
そして、この01思考こそがリーダーの欠かせない能力と考えているので、共通の基準値が大切だと思っている・・・ということです。
ということで、質問にあるような「性格が良くて言うことを聞いてくれる人」的なクローン型の人間がリーダーになることはないと考えてください。
それで、この能力の問題ですが、何も無い所から何かを発生させる能力を持っていないと、どんな場合でも仕事を任せることは出来ないと私は考えています。
もちろん、任せるという意味もいろいろあって、何かの部分を任せてやってもらった後に確認するというのも任せるということには違いないのですが、これだと、確認という作業が常に経営者について回りますので、仕事を振れば振るほど経営者の時間が束縛されてしまう、また、責任は常にトップということからも解放されないということになってしまいます(ーー;)
たとえば・・・
(リーダー) 「これやりたいのですが、いいでしょうか?」
(社長) 「なるほど、面白いね。やっていいよ」
(リーダー) 「出来ました!」
(社長) 「すごいねぇ~!!」
という会話が目指す理想というか・・・・。
反対に、何か仕事を依頼して、責任者や役職者がいつまで経っても「でも、これは社長が最終的には判断していただかなければ分かりません…」などと言うようであれば、絶対に企業は大きくならないと考えています。
また、そんな当事者意識の無い責任者はリーダーという存在から考えると、最低レベルということになりますよね。
ちなみに、「01思考」を持っている人は本当に少ないので、採用する時は相当見極める視点を持って面接をしてくださいね。
前職や過去の職歴が凄くても、結局は何かの土台の上でそれを発展させただけの人であれば、「01思考」の人ではありません。(この辺りの見極めが本当に難しいですよね(ーー;))
もちろん、1があればその積み重ねで100まで持っていける人も重要ですが、仕事を100%任せて発展させられるのは、こういう「01思考」のある人だけですからその辺は絶対に大切だと思っています。ぜひ、参考にしてください。
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2009年09月18日(金)更新
採用後の受け入れ態勢を考える
== 質 問 ==
優秀な人材を採用(特に新卒で)したいのですが、採用したあと受け入れ体勢がないため、自信をもって採用活動をすることができない(訴求力が弱い)と思っています。受け入れ態勢についてどう考えたら良いでしょうか? 石原先生のお考えを聞かせてください。
== 回 答 ==
求人、特に新卒者採用の際の受け入れ態勢ですが、一番大切なのは誰が関わって仕事を教えるかということが決まっているかだと思います。
== 解 説 ==
新卒者に限らず、採用の際の受け入れ態勢は、会社にとっても採用された方にとってもすごく重要だと思います。また、この質問は顧問先の方からもよくされるので、みなさん共通の(質問)内容だと思います。
それで、態勢ですが一番良いのは、入社時の教育体制が会社や仕事に対するオリエンテーションも含めて整っていること、しっかりとした評価制度が出来ていてキャリアパスを入社時に示してあげられること、実際に仕事に入った時に誰がその人の教育をするか、質問や疑問に答えてあげるかという態勢が決められていることだと思います。
まず、入社時の教育ですが、上司や総務の方もしくは社長自らが、会社についてどんな業務をどういう関係性(提携先等です)を持って進めているかということ、その中であなたが最初に担当するのはこういう仕事であるということなどを、最初にしっかり説明することが大切だということです。
ビジネスモデルなんかもココで話して会社や取り組む業務に対して、そして関係する方たちについても、興味と関心を持ってもらうことが大切だと思います。
評価制度とそれを構成するキャリアパスは、業務を通してどんなふうに自分が成長していけばいいかを分かってもらうという点で重要なのです。
そして、最後の誰が教育や質問・疑問に応えるかということですが、人は孤立する環境では能力を発出来ない存在ですし、人間関係が定着することや組織を好きになるという点で非常に重要で大切なポイントです。
もし、教育体制や評価制度等が整っていなくても、この誰が関わってあげるかという担当がしっかり決まっていることは重要ですし、準備しなくても出来ますので、最低限これはしないといけないと思います。
人は自分に関心を持ってもらえればかなりのことは前向きに取り組めるものです。新卒者の場合などは、その担当者と日報のやり取りを毎週してあげるだけでもかなりの成長や定着要因になるものです。
ということで、御社の場合は、まずは、誰がその採用者に関わるかを決めるといいと思います。参考にしてください。
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2009年09月04日(金)更新
経営者は「雇用」をどう考えるべきか
== 質 問 ==
非正規雇用の問題がとても多いですが、社長のみなさんは雇用の重みをどのように考えて、経営されているのですか?
== 回 答 ==
人を雇用するということは非常に責任の伴うことだと思いますが、非正規雇用に関して言うと(非正規雇用という文字に反応してしまうと)正規ではないということで、なにかいけないことのように感じてしまいますが、必要から生まれた雇用の形態と考えるのが正しいと思います。
== 解 説 ==
人を社員として雇用することは非常に重たい責任のあることだと思います。なので雇用に際しては経営者はよくその辺のことをわきまえて採用にあたるべきです。ただ、この雇用に関してはもう一方の視点でいうと雇用される側の問題もあり、お互いの考えや利害が一致して初めて納得のある雇用関係が成り立つと思います。
そういう意味でいうと非正規雇用という雇用形態もそのお互いの利害の一致する形で生まれた雇用の形態で必要に応じて出来た形と理解するべきです。もちろんそれによって良い面もそうでない面もありますが、本来はお互いの必要において発生した形と捉えるべきだと思います。
どういう意味かということを少し解説しますね。雇用は雇用する側とされる側の利害の一致で初めて成り立つと言いましたが、会社であれば社員として採用するからには会社の目的や目標に沿って考え活動してくれることを望んでいて、ある程度長期に渡ってその意志を持った方を採用したいと考えるのが当然です。
なので、社員となったからには、できるかぎり前向きに上司や社長の意向に沿った活動をするのが本来求められた責任です。
また、社員からすると採用されたからには、なるべく長く働けて、安定した生活の基盤が築けるような環境を提供してもらいたいと考えると思いますよね(*^_^*)
この関係は、確かに理想ですが、企業の状況によって、また、働く側の状況によってそういう関係では雇用できないという場合が発生するのもこれはまた現実です。
どういう場合かというと、企業の側でいうと、突然大口の受注が舞い込み仕事が発生したが、どう考えてもこの受注が長く続くわけがないと考えられる場合や、個人でいうと将来何かしたいと思っているので、社員としては働きたくはないが、収入が必要となる場合などです。
実は、本来はこういう場合にアルバイトや派遣といった非正規雇用という関係が成り立つわけですね。
企業側はこういう条件なので安心して人も増やせるし、働く側も正式な社員ではないので規制や取り決めの少ない環境で自由に働けるということですから、非常に有効な雇用形態でもあったのです。
社員になったらなったで責任として果たさないといけない義務は多く、それがイヤだという人もたくさんいるので、派遣は結構歓迎されたしくみでしたよね(*^_^*)
事実、今、問題になっている製造業などは、派遣さんがたくさん働いてくれることで需要の変化に対応できる経営状態を確保してきたという現状もあるわけです。
もちろんこれから社会に出て行く学生さんが目的もなくすぐに派遣社員になるとかというのは反対ですが、社会問題はこうやってちょっと掘り下げて考えるといいと思います。そういう意味でも参考にしていただければうれしいです。
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ボードメンバープロフィール
石原 明(いしはら あきら)氏
僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社
ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。
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