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2007年12月21日(金)更新

お風呂でエビフライ?! ユニーク入浴剤の発想に学ぶ

このところ、玩具会社が「入浴剤」の分野でスマッシュヒットを飛ばしているのをご存じでしょうか? 「たまごっち」の企画などで知られるウィズの子会社、ウィズランドが発売した入浴剤は「お料理気分♪ ふろずきんチャンのたのしーバスタイム」(全5種類・367円)というもので、入浴剤の中にフライやドーナツのフィギュアが入っていて、お湯の中から現れるしかけだそうです。

同社では、子どもたちに「危なくてできない『揚げ物遊び』をお風呂で楽しんでもらいたい」と話しています。


えびふらい


一方、バンダイが発売したのは「うまい棒入浴剤」(全8種・210円)。7月に発売した「ガリガリ君入浴剤Cool!」が100万個を売る大ヒット商品となったことで、それに続けとばかり、食べ物をテーマにした入浴剤第二弾として企画されたものです。
こうした商品は、当初小学生を対象に発売されたものですが、ふたを開けてみると20~30代男性の購入が目立ち、「幅広い需要が見込める」と判断したようです。

以前は、その“効能”が重視されてきた入浴剤市場ですが、最近では、自分へのご褒美や癒しという面から、コンビニエンスストアでの売上も好調だといいます。また、こんな遊び感覚にあふれた商品なら、ちょっとしたプレゼントとしての需要もあるかもしれません。

それにしても、入浴剤に『エンターテイメント性』を追及する発想は、おもちゃ会社ならではですよね(*^^)v 

以前も私のブログで、「いえそば」という商品を取り上げたことがありますが、たとえ既存の商品でも、違った角度の“発想力”をもってすれば、全く新しいマーケットが開けたりするものです。

近年、玩具業界では、少子化対策もあって「大人向け」の商品を企画しはじめていますが、グランドピアニストなどのヒットを飛ばすセガトイズは、商品企画のポイントをこんなふうに話しています。

同社には、取引のある企画製作会社はもちろん、管理部門の社員からも、また突然の来訪者からも、毎月300点に上る商品アイディアが持ち込まれるそうです。「多角的な視点を持つ」をいう意味では、これをありがたいことと考えていて、社内でトップを交えた論議を重ねたうえで、この中から数点の試作品を作るそうです。

ここで大事なのが、『想定する顧客の生の声を集める』ことだと言います。調査会社などに依頼して、集めたモニターを会社に呼んで話を聞くというスタイルでは、「モニターという行為が仕事になってしまい、ともすると専門家のような評価になってしまう」のだそうです。

そこで、このグランドピアニストの開発にあたっても、実際に試作品をバイオリニストの葉加瀬太郎氏のコンサート会場に持ち込み、来場者の反応を調べたりしたみたいです。

消費者の生の声を集めるのは、確かに手間はかかりますが、大資本でバンバン宣伝していく手法とは真逆のマーケティングですから、われわれ中小企業にも十分勝算のあるやり方だと言えます。

いずれにしても、大事なのは経営者の”発想”です。今回の事例を参考に、ぜひ柔軟な発想力をもって、自社の経営を見つめてみてください(@^^)/~~~

2007年12月14日(金)更新

「まいあめ工房」のヒットに学ぶ

名古屋の菓子問屋「ナカムラ」が、今春オープンしたネットショップ『まいあめ工房』が好調のようです。

同社では、あめ職人の技能を広めようと、10年ほど前からオーダーメイドによるあめの受注をしていました。それが最近になってクチコミによる噂になりはじめ、大口の注文もポツポツと入り始めるようになったことから、社長が「ネット上でもオーダーメイドの受注をはじめよう」と、今年の3月にサイトを立ち上げたそうです。


まいあめ


いざサイトをオープンしてみると、各地から100件を超す注文が舞い込んだとか。なかでも一番多いのは「企業のロゴ」を入れて欲しいという注文で、保険会社などが営業の際に配るのに用いるそうです。
一方、個人による注文では、結婚式を控えたカップルから「2人の名前とハートのマークを入れて欲しい」といったものや、初孫の名前を入れて欲しいといった注文もくるそうです。

その他にも学校の校章を入れて欲しいだとか、人気タレントから自らの似顔絵を入れてくれという、ちょっと変わった依頼もあるそうですから、告知の仕方によってはまだまだいろいろなニーズが掘り起こせそうですね(*^^)v

このところ、菓子業界を取り巻く環境は厳しいものがあるようで、中小の菓子業者は「冬の時代」を迎えています。コンビニに押される形で、主要販路の駄菓子屋が次々につぶれているのもその現われの一つですが、そんな状況下においてお菓子のネット直販が好調という現象に、業界からも熱い注目がよせられているそうです(*^^)v

この「まいあめ工房」では、1セット3,500個で42,000円からの注文を受けているようです。これを商売の単位と考えると金額的に大きいわけではないのですが、エンドユーザー相手であることを考慮すると、利益率はものすごく高いのだろうと思います。

ビジネスモデルを組み立てるにあたっては、薄利多売的に大きな額の売上を追いかける道もありますが、もう一方には「少ないお客様」から「水準以上の利益をいただく」という道もあることを忘れてはいけません。

世の中のニーズがこれだけ多様化した現在では、1社が多くのお客さんを相手にするのはかなり難しいのかもしれません。逆に言うと、それぞれの会社が自社にメリットを感じてくれているような顧客を、大切にフォローしていく時代になったのだということです。

さらに面白いのは、この「まいあめ工房」が、結果的に『他社に対して、自社の商品(=あめ)を使った広告の提案』をしたのと同じかたちになったということです。これって、言わばグーグルと同じ広告モデルですよね(*^^)v

この切り口であなたの商品を考えてみると、新たな生かし方やたくさん収益を生む方法、利益率の高いビジネスに移行できるチャンスがある…ということに気づけると思います。

この「まいあめ工房」の場合も、ただ『売り先』を変えただけで違った結果になったわけです。この事例を参考に、自社のビジネスモデルを柔軟に見直してみてもいいかもしれませんね(@^^)/~~~

2007年12月07日(金)更新

「マンガ」の持つ可能性を考える

突然ですが、みなさんは「マンガ」を読みますか? 「マンガ」の持つ大いなる可能性には私もかねてから注目しており、今年の初め頃にも自社ブログに書いていたので、お読みいただいた方も多いかもしれません。

今や日本の文化や産業を語る上でも、マンガは欠かせない存在になりつつあるようで、来春には、マンガやアニメを教える大学や大学院が相次いで誕生するそうです。


まんが


現在、国内で唯一の「マンガ学部」を持つのは京都精華大学で、2000年に初めて作ったマンガ学科が、06年に学部に昇格。今年度の入試でも、人気のあるコースの実質倍率は15倍を超え、少子化で学生集めに苦労する大学が多いなか、ひときわ異彩を放っています。
それに続けとばかりか、学習院は大学院に「マンガや映像の文化的意味を研究する専攻」を設けることを決め、東京芸術大学も、大学院にアニメ専攻を加える予定だそうです。名古屋造形芸術大学でも「マンガクラス」を設け、人気漫画家の杉浦直樹さんや、ビッグコミックスピリッツ元編集長の長崎尚志さんを客員教授として招く予定なのだとか。

このように、来春には、「コンテンツ」などの学部名で教える大学を加えると、国内の15を超える大学に「マンガ・アニメ関連学部」が存在するようになるというのです。さらに注目すべきは、これらの学部には海外からの留学生も集まりつつあるという現象です。

なんでも、日本のマンガ市場は『野球のメジャーリーグのようなもの』なのだそうです。現にメジャーなマンガ雑誌で新人コンテストを開くと、米国をはじめ、中国や韓国などからも、多くの才能が「逆輸入」されてくるのだとか。

優秀なスポーツ選手の海外での活躍を応援する反面、どことなく淋しい気持ちで眺めていた日本人にとって、優れた才能が続々と集まりつつある「マンガ」という分野を見逃す手はありません。

こうなるともう経営者のみなさんも「私はマンガは読まないから…」などと言っている場合ではありません。ぜひ年末年始の休みを利用して、人気のコミックをいくつか手にとってみてください。

経営者には「常に視野を広げる」こと、そして世の中の動きを刺激にしつつ、自社のビジネスを見直す感性が必要とされている時代なのです。何かとお付き合いの多いシーズンではありますが、ぜひ上手に時間を使って、未来へ向かった情報収集を心がけてください(@^^)/~~~

ちなみに私は最近「BLEACH」って漫画が結構気に入っています。しおりも絶好調で構売れているみたいです(*^^)v

2007年11月26日(月)更新

関空の“その気”にさせる顧客獲得法?!

特に旅行に行く気などなくとも、空港に行くと「なんだかどこかに行きたいなぁ~」なんて気分に駆られる人も多いと思います。そのくらい、空港とは旅情を誘う場所ですが、こうした消費者心理を上手に活用している会社があります。

関西国際空港株式会社があえて市街地から離れた空港で開催する「旅行セミナー」が、海外旅行の需要掘り起こしと、リピーターの獲得に功を奏しているようです(*^^)v


関空


9月末の土曜日に開催された「関空わくわくセミナー」には、135名の人が参加されたそうですが、3月のブリスベーン、シドニー線に続き、9月からケアンズ線を就航したことにちなみ、豪ジェットスター航空の社員が、オーストラリアの各都市の楽しみ方を指南してくれたそうです。
オーストラリアワインの試飲会をはさみ、クイーンズランド州観光公社の職員が、現地の世界遺産などを紹介したりと、かなりの盛り上がりをみせたみたいですが、この「わくわくセミナー」は、定期便やチャーター便を就航したり、便数が増えたりした路線の都市を中心に、政府観光局の協力を得て、1ヶ月半に1度のペースで開かれているのだそうです。

参加は無料ですが、なんと今までに計30回ほどの開催で延べ3千人以上を動員したそうで、最近では百名の定員を大幅に上回るセミナーも目立ち、毎回のように参加するリピーターも増えたそうですから、なかなかの成果ではないでしょうか。

こうした取り組みの背景には、消費の多様化で伸び悩む海外旅行の需要を喚起することはもちろん、旅先の魅力を伝えることで、関空発着便の搭乗率を安定させたい狙いもあるようです。

実際、関空ではここ数年、北米と欧州の路線で運休や減便が相次ぎ、旅行客が成田空港に流れる悪循環に陥っているのだとか…(――;) 

そうした現状を打破すべく、05年からは「わくわくセミナー」の拡大版として、毎年3月に2日間の「関空旅博」も開催していて、各国の特産品を展示したり、地域・テーマ別のセミナーを開いたりして、昨年は4万人を超える来場者を集めたそうです。

来場者からも「旅行会社のような宣伝くささがなく、生の情報を聞けるのが魅力」とかなりの好評ぶりのようです。空港という独特の雰囲気の中で開かれるセミナーには、旅行会社の店頭でのセミナーや説明とは違った魅力があり、ファンづくりにも大きく貢献しているのではないでしょうか。

今の時代、「旅行」はネットで買われる商品の常に上位にランクインするような存在ですが、
いくらネットが便利でも、やはり『価値ある生情報』には勝てないと思います。

このところ、私は『価値ある1次情報の発信』こそ、経営のキーだと思っているのですが、それを証明するかのような事例ではないでしょうか。

つまりそれは、今の世の中、ネット上をはじめとするほとんどの情報が、2次情報や3次情報で、自社が価値ある1次情報を創出し発信者側にまわるか、それを広める2次情報発信側にまわるか、経営者が決断すべき時が来ている、ということでもあります。

1次情報とは、現実に起こっていること、生の情報、自分で考えていること、たくさんの情報をオリジナルの考えでまとめたもの…などで、自社開発した商品や、独自のサービスなどもこれにあたります。そうした視点で、ぜひ一度、自社の現状を冷静に見つめてみてください(@^^)/~~~

2007年11月16日(金)更新

携帯電話で商品開発?!

情報化社会の進化で、最近世の中のスピードがより一層速くなったように感じますが、このところコンビニエンスストアや百貨店などでは、携帯を使ってメンバーの意見を集め、マーケティングに活かしているようです。

PCよりもレスポンスが速く軽快に使えることで、アイディアしだいではかなりの効果を期待できます。コンビニの「ローソン」では、この機能性を活かして『謎のローソン部』という秘密?組織を作っているそうです(*^^)v


携帯


これは、ローソン公式携帯サイト「LAWSON mobile」のコミュニティサイト内で活動している組織で、「部員(=会員)」は一般のお客様で構成されています。社内の責任者を「部長」とし、携帯電話を通じてローソンから情報発信を行う一方、お客様からも情報や要望を集め、双方向の関係性を築いています。
『謎のローソン部』は、これまでにも「プリンプロジェクト」を立ち上げ、女性部員5000人にメールで50回以上質問を重ね、『あたらしいプリン』と『なつかしいプリン』(各168円)を開発した実績を持ちます。

「10分で100件の返信があるなど、携帯は反応が早く、すぐに開発に生かせる」と話す同社では、飽和市場といわれるコンビニ業界において、この2つのプリンが通常の新商品の2倍の売上げを記録したことに、確かな手ごたえを掴んでいるようです。

続いて、「カップ麺開発プロジェクト」を結成し、先月末には日清食品と共同開発した「日清カレーの極み チキンカレーヌードル」を発売しました。

このメンバー募集のしかたもまたユニークで、4月24日に発売したローソンオリジナルカップ麺「赤極みカレーヌードル」のフタの裏に募集案内を載せ、結成したのだそうです。カップ麺を好む3,301人のメンバーが集まり、半年の期間をかけて、意見を出し合ったのだとか。

ひと昔前は、テストマーケティングをするにも、広告代理店にそれなりの費用を払って依頼するなどの方法が一般的でしたが、PCや携帯といった情報インフラが整ったおかげで、工夫力とセンスがあれば、企業独自でリアルなお客さまの声を集めることも十分可能な時代になったということです。

自社の情報を発信する場合にも言えることですが、この場合、「謎のローソン部」というネーミングや、「部員」として楽しく活動してもらうための仕掛けが結構重要になります。

「企業対消費者」という構図を外し、「一緒に楽しむ部員」という環境を与えることで、お客様もホンネが言いやすくなるのです。

実際、プリンの開発過程においても、「硬めがいい」という声が予想外に多く集まり、メーカー担当者が「今の主流はなめらか。別の需要があるとは思わなかった」と驚いたそうです。

また、「子どもに安心して食べさせたい」という母親の声を聞き、ゲル化剤を不使用にするほか、好き嫌いが分かれたカラメルを別添えにするなどの工夫もほどこしたみたいです。こうしたちょっとした差別化が、売上げアップにつながることは言うまでもありません。

こうした動きは百貨店にも広がっていて、小田急百貨店はクリスマスケーキに、自社サイトの会員の声を反映していますし、東急百貨店でも、サイト会員と一緒にオリジナルビールを開発し、発売まもなく完売したと言います。

もちろん、「開発に参加してもらったことが購買動機につながる」という面では、形を変えた顧客の囲い込みと見ることもできますが、それより「企業と消費者のつながり方が変わった」と見るべきだと思います。

今や、企業と消費者間の情報格差は縮まるばかりです。両者が上下の縦の関係から、フラットな横の関係性に変化したことに経営者自身が気がつかないようでは、時代に取り残されてしまいます。この事例を参考に、自社のマーケティングのあり方を今一度見直してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

2007年11月09日(金)更新

有田焼の器で食べられる即席ラーメン屋

先日新聞を読んでいたら、おもしろい記事に目がとまりました。「即席ラーメン屋 アキバ繁盛記」という朝日新聞(10月22日)の記事だったのですが、なんとこの店では、有田焼の器でインスタントラーメンが食べられるというのです。


アキバヌードル



「インスタントラーメン専門店? どこかで聞いたな…」ちょっと調べてみたら、以前私のブログにも書いたことがある「インスタントラーメンさくら」の姉妹店のようです。

この店の名前は「Akiba Noodle(アキバ・ヌードル)さくら秋葉原店」。アニメショップや電気店などに囲まれる雑居ビルの中にある10畳ほどの店で、壁には約400種類ほどのインスタントラーメンばかりがずらっと並び、さながら「インスタントラーメン博物館」の様相を呈しています。

メジャーな大手メーカー品ばかりでなく、地方限定のユニークなものもあり、オタクの聖地だけに「ジャケ買い(パッケージだけで判断して買う)」するお客さんも多いのだとか。

好きな商品を選んで調理してもらい、自家製のメンマやチャーシューが入って190~380円。それが高いものだと3万円を超える有田焼の器に入って出てくるわけなんですが、店主曰く「中身が安いので、見た目だけでも豪華な気分を」という粋なはからいのようです。

この店主、実は6年ほど前に「ラーメンブームに乗ろう」と横浜にラーメン店を開いたものの、あえなく失敗(――;)。そこで「普通のラーメンは繊細で難しい。インスタントラーメンなら自分のセンスは関係ない」と方向転換したそうです。

この店のコンセプトは「大人の駄菓子屋」というもので、「昔、部活帰りにカップ麺をすすった感覚で来てほしい」ということだそうです。10席にも満たない小さなお店ながら、土日には200人を超すお客さんが来ることもあるそうなので、なかなかの繁盛ぶりといっていいのではないでしょうか。

また、アキバならではの企画も始まっているようで、アニメのパッケージに包まれた「変身ラーメン」の先行発売が、今月からスタートしています。

こういう話題は、ネットであっと言う間に広がるでしょうから、広告宣伝にお金をかけなくとも、集客に成功できると思います(*^^)v

このように、情報化社会の進化のおかげで、今は「売る」ことが比較的簡単になった時代になったともいえます。しかし、ネット上に氾濫するのは、あくまでも2次情報や3次情報が主体で、本物や価値あるものを探すのが大変になってきたという側面もあります。

こういう時代の中で、企業が進むべき方向は『価値ある1次情報』を発信することだと私は考えているのですが、従来品より一歩突っ込んだ本物の商品やサービスを開発するのもしかり、この事例のように、既存の商品をケタはずれの単位で集め、付加価値を付けるのもしかり…、経営により“オリジナリティ”が求められる時代になったことだけは間違いないようです(@^^)/~~~

2007年11月02日(金)更新

六本木ヒルズと新丸ビルにみる変化と進化

東京は変化の激しい都市です。ここ数年で都内の再開発もだいぶ進み、六本木・東京丸の内・銀座界隈などは、少しの間行かないと、街の景色が変わっていたりするものです。

2003年にオープンした六本木ヒルズは、「ヒルズ族」なる言葉ができるほど、東京のビジネスや文化に影響を与えた存在に間違いはありませんが、今年は、ヒルズから続々とIT関連企業が引越しをしたようです。


ヒルズ


「脱・ヒルズ」などと新聞にも書かれていましたが、楽天は品川区内に借りた23階建てのビル、通称「楽天タワー」に移転しました。ヒルズには楽天証券と電子取引の楽天市場事業が残ったようですが、グループ企業が丸ごと移転したといった格好です。
六本木ヒルズをいやというほど世間に印象づけたライブドアホールディングスも、港区赤坂のビルに本社を移転しました。再建に向けたコスト削減が主な理由で、同社によると「賃料は15%ほど安くなる」ようです。

また、ヤフージャパンは、同じく六本木にオープンした「東京ミッドタウン」に管理部門などの大部分を移しました。こちらは、社員数がここ3年で5倍に急増し、今や3,400人のスタッフを抱えるまでに成長。ヒルズ内に空きがなかったことが移転の理由だそうです。

と、移転の理由はさまざまですが、六本木ヒルズが「IT企業の象徴」であった時代の移り変わりを感じずにはいられません。運営する森ビルは「既存テナントのフロア拡大や新規入居の希望も多い」と、全くあせりを見せていないそうですが…。

一方、東京駅前の新丸の内ビルディングは、今年4月のオープン以来、相変わらずの人気ぶりです。遅ればせながら、先日私も行ってきましたが、飲食店はどこも混んでいて、ビジネスマンやOLたちに完全に受け入れられた感があります。

また、7階には三菱地所が運営する「丸の内ハウス」というスペースがあるんですが、ここでさまざまなイベントを企画し、実行し始めています。60年代デザインの家具を集めた展示会を開いたり、ジャズやソウルのイベントをしかけたりしているのです。

「サマーカクテルパーティー」と題し、午後9時から深夜まで著名DJが音楽を流したイベントはかなりの盛り上がりを見せたとか。この新丸ビル内には「深夜営業」の店舗もあり、夜中はひっそり静まりかえるばかりだったビジネス街に、深夜のにぎわいを生んだことは、かなり意味があると思います(^^♪

同社では「音楽や芸術には街を進化させる力がある。今後は“街”としての魅力を高め、毎日のように人々が集う空間作りに力を入れていく」と話していますが、開業時をピークに利用者が減っていくばかりの施設が多い中で、特筆すべき取り組みだと思います。

要は、都市開発も企業も、運営側に「育てる」という発想がないと、継続的な発展はあり得ないということです。打ち上げ花火のように派手にオープンしたものの、ジリ貧の一途をたどるのか、それとも進化することで、人を集め続けることができるのか……結局は経営者が「どこを見ているか」にかかっているようです(@^^)/~~~

2007年10月26日(金)更新

ビジネスチャンスが潜む?! 今どきの「洗濯」事情

その昔、コインランドリーと言えば、ちょっと薄暗くて古びたマンガ本が置いてあり……みたいなイメージでしたが、今どきのコインランドリーはすっかり様変わりしているのをご存じでしょうか?

一瞬「カフェ」と見間違うほどのきれいな作りになっていたり、スタッフが常駐していたり、はたまたネットで洗濯機の空き状況をリアルタイムに公開しているお店もあるようです。


コインランドリー


今の時代、ほとんどのご家庭に洗濯機はあるでしょうが、家庭用洗濯機では洗いにくい毛布などの大物の洗濯にコインランドリーを利用するケースもあるようですから、お店をきれいにして、ちょっとしたコミュニティースペースのようなテイストにすれば、けっこう近所の主婦たちが集まってくるかもしれません(*^^)v
また、アメリカからやってきた「洗濯代行」サービスもなかなかの人気ぶりのようです。従来のクリーニングとは違って、これまで家庭で洗っていたTシャツ・靴下・下着なとの洗濯物をすべて「集荷」し、洗って、干して、たたむという時間のかかる作業をすべて代行してくれるサービスなのです。

アビッシュが展開する「WASH&HOLD」では、専用ランドリーバック(1袋の目安は約6kgでTシャツなら50枚前後。1~2人暮らしで約1週間分相当の洗濯物)に詰め放題で、2,800円だそうです。しかも、専門スタッフがていねいに手たたみして、自宅まで届けてくれるのです。

このサービス、当初は女性には受け入れられないだろうと考えていたようですが(下着などを人に洗ってもらうのには抵抗ありそうですから)、いざサービスを開始してみたら、一人暮らしの若い女性たちの利用もけっこう多いようです。

専用のランドリーバックと、洗濯物をいれたまま洗えるランジェリーネットを用意し、集荷から洗濯・仕上げ・お届けまで「ほかの人の洗濯物と触れることは一切ない」というやり方で、プライバシーを守ったことにも勝因がありますが、それよりも「お天気の休日を家事でつぶしたくない」と考える人が増えた、と見るべきだと思います。3,000円弱で休日の洗濯から開放されるなら、安いものなのかもしれません。

一方、「出張族」の洗濯物を引き受けようと、「旅クリ」なるサービスを始めた会社もあります。IT関連コンサルタントを手がけてきたアプロディーが今秋立ち上げたビジネスなんですが、顧客が専用のランドリー袋に入れて、提携先のクリーニング工場に自分の洗濯物を宅配すれば、原則5日後の所在地に、仕上がり品を宅配してくれるのだとか。

料金は、一般的な洗濯物1袋(2kg相当)で2,400円。スーツ上下のドライクリーニングだと1,700円。街中のクリーニング店よりはやや割高感があるものの、仕上がりのグレードには自信があるようですから、中5日という納期さえ短縮できれば、利用者の裾野が広がる感じもします。

こんなふうに、ちょっと調べてみただけでも、「洗濯」まわりのビジネスは大きな変貌を遂げているのがわかります。時代とともに、人々の意識も確実に変化しますから、昔からある既存のビジネスでも、切り口やサービスの方向性を見直すことで、まったく新しいビジネスとしてマーケットに受け入れられる可能性があります。ぜひ、参考にしてください(@^^)/~~~

2007年10月19日(金)更新

高校の“実習ショップ”で商売感覚を磨く

学校の授業で「実習」程度に職業体験をするという話は聞いたことがありますが、どうやら最近では、その動きがかなり本格化しているようです。今回は、その一例を紹介したいと思いますが、神奈川県立小田原城東高校では、チャレンジショップ「Gestoreおだわら」を作り、全国の農水産高校が実習で作る食品を流通させているそうです。

店名の「Gestore(じぇすとーれ)」とは、イタリア語で「経営者」という意味で、文字通り次世代の経営者を育てることを目的としているのでしょう。農業校や工業校には、それぞれ「農場実習」「工場実習」があるのに対し、商業校には、実際に職業体験できる施設がほとんどないのが現状だそうです。


じぇすとーれ


世の中にないのであれば作ってしまおう、とばかりにオープンしたのがこの「Gestoreおだわら」。そもそも、市主催の「起業プランコンテスト」で金賞を受賞したことをきっかけに、その賞金10万円とPTAからの出資金30万円を元手に、地元の商店街にも相談しながら、平成16年4月にJR小田原駅近くの小田原銀座商店会の空き店舗に開設したそうです。
かれこれ4年目になるわけですが、高校生同士のネットワークを活かしながら、扱う商品をインターネットで探し、「安全なものの販売」を基本方針に運営してきたそうです。現在は、静岡県立下田南高校“産”の「モロヘイヤの粉末」や、神奈川県立三崎水産高校“産”の「ツナ缶」など、24道府県45校と取引をしているとのこと。

取り扱い品目はゆうに150種類を超え、北は北海道の「ほたて水煮」から、南は沖縄の「ゴーヤ麺」まで、バラエティ豊かな品揃えを実現しています。授業終了後の午後3時から6時まで、2~4人の生徒が交代で、制服姿で店舗に立つそうです。

ただ、3年間続いた市からの家賃補助が今年で打ち切られることもあって、今後の存続には本格的な「経営」を余儀なくされるようですが、定休日の毎週月曜日には、生徒18人からなる「店舗経営同好会」で幹部会議を開き、いろいろな企画を話し合うのだそうです。

7月には、東国原宮崎県知事の人気に目をつけ、「宮崎フェア」を企画。高校だけでなく、企業からも「名産品」を仕入れることに成功し、「宮崎フェア」の好評ぶりにかなりの手ごたえをつかんだといいます。

今後は、経営安定を目指して、業者に製造を委託する「自主開発商品」も検討中だといいますから、ぜひ頑張って欲しいものですね(*^^)v

こうした高校生ならではの感性や積極性が地元の商店街にも好影響を与え、さらには自治体などと上手にコラボレーションできれば、地域に「好循環」が生まれるはずです。

この事例から学べることは、今までビジネス界に関係なかった層の人たちをこんなふうに上手に参加させることで、ビジネスに違った角度が生まれるということです。

たとえば、開発した新製品を幼稚園に持ち込んで、「どれがいいですかぁ~?」と聞いて手を挙げさせ、その結果を写真と一緒に「○○幼稚園の園児が選びました!」みたいに告知したりするのはどうでしょう。同じ新製品の告知でも、ぐっと話題性が上がり、メディアにも取り上げられやすくなるはずです。

または海外にまで裾野を広げ、「ケニアで選ばれた・・・」みたいな切り口も楽しいですよね。こんなふうにアイディアはどんどん広がります。ぜひ、発想力豊かに自社のビジネスを捉えなおしてみてください (@^^)/~~~

2007年10月12日(金)更新

中小企業向け「エコ」認証

みなさんのなかには、ISOなどの国際規格をお持ちの会社もいらっしゃるかもしれませんが、その取得にあたっては専門知識も必要ですし、それなりの費用もかかり、中小企業にとってはかなりハードルの高いものであることも事実です。そんななか、費用が安くて手間もかからない「地域版環境認証」が各自治体で生まれているのをご存じでしょうか?

京都では、「京都・環境マネジメントシステム・スタンダード(KES)」という環境認証がスタートしていますが、これは京都市や企業、市民らが集まった「京のアジェンダ21フォーラム」のなかで、中小企業向けの規格を求める声が高まったことから、2001年に作られたもののようです。


KES



ISO14001などの国際規格は、取得に100万円程度、コンサルティング費用などを含めると数百万円かかるケースも多いようですが、このKESの取得には、初級レベルで約10万円、ISO14001と同じ要求水準を設けたレベルでも約30万円だそうですから、中小企業にとってはありがたい規格です。
実現の裏には、大企業を退職した専門家らがボランティアとして取得企業の認証や管理を助けているために費用が安いというからくりもあるようですが、KESの管理は、フォーラムからNPOの「KES環境機構」が受け継ぎ、01年には104件だった登録数も、07年8月末時点で1,020件にまで増えているそうです。

その他にも、地域版環境認証は、青森県弘前市の「ASE」、東京都の「エコステージ」、横浜市の「Y-ES」など、全国で約15ほどあり、その管理機関はNPOが多いものの、なかには「企業」が主体となっているものもあるようです。

行政も活用を促していて、取得費用の補助制度がある自治体もあるのでよく調べてみるといいかもしれません。さらに、金融機関までが関連商品を開発しているのにはちょっとびっくりしましたが、たとえば三井住友銀行では、「ビジネスセレクトローンECO(エコ)」という商品を作り、環境認証を持つ中小企業向けに、5千万円を上限に貸し出し金利を最大0.5%優遇してくれるそうです。金融機関としても、環境に配慮している企業に融資することで、社会貢献をアピールできるメリットもありますよね。

それはともかく、ようやく「エコ」がビジネスに結びついてきた感がありますが、「国際規格」だからといって海外に多額の費用を払うばかりでなく、日本国内でそれに見合う取り組みが始まったことはすばらしいと思います。

まさに「その手があったか!」みたいな感じがします。この規格を海外の企業が日本に取りに来るようにまでなればさらにいいですね(*^^)v 自治体のなかだけに目を向けず、PR方法も含め、もっと視野を広げて大きく考える団体が出てくればおもしろいなぁ~などと考えてしまいました(@^^)/~~~
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ボードメンバープロフィール

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石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

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