石原明の「知的経営の切り口」 | 経営者会報 (社長ブログ)
企業を発展させるための経営のヒントについて、独自の切り口で紹介します。
2008年07月25日(金)更新
「恵比寿横丁」に学ぶマーケット再生術
もとは、昭和39年に開業した「山下ショッピングセンター」だった場所なのですが、バブル崩壊後は、23店あった店舗は後継者が見つからないなどの理由で、相次いで閉店していきました。「恵比寿横丁」はその当時の区画をそのまま生かしたかたちで、まさに“再生”したのです。
この恵比寿横丁をプロデュースしたのは、「ネオサポート」という会社のようですが、「独立希望の料理人の多くから、少ない投資で開業できる小規模物件はないか」という相談をうけるなか、この物件に出会ったと言います。
一区画3~5坪というこの物件は、そういった意味では最適で、飲食店コンサルタント業の「店舗プレミアム」が一括借り上げし、整備したうえで開業希望者を募ったところ、口コミだけで50人以上の応募があったのだとか。
そのなかから「長屋的なつきあいができる人」という観点で選んだ店が13店。やきとり、おでん、串カツなど、ひところ人気を博した「屋台村」を思わせる店が連なるなか、7席だけの「野菜とワインの店」や「TVチャンピオン」の全国中華料理人選手権チャンピオンの店などもあるようです。
特にマスコミに取り上げられたわけでもないのに、ネットと口コミのおかげで、今年(2008年)5月のオープン以来連日客足が耐えることはなく、なかには数軒「はしご酒」を楽しむ人や、月に何度も通ってくるリピーターも多いみたいです。
「恵比寿横丁」自体も、きちんとホームページを作っていて、店舗紹介なんかをしているのが、今っぽいですが、いくら世の中が進化しても、人が「長屋的な」温かさを求める気持ちに変わりはないんですね。それも、テーマパークのように「作られた」場所ではなく、「リアルな人間臭さ」がより求められるようになっているのかもしれません。
それはともかく、今は消費者の好みも多様化し、ブームやトレンドが変化するスピードも速いですから、ひとつの店舗に多額の投資をするのは、経営的にとても高いリスクを抱えることになります。
そういった意味では、こうした「リスク分散型」の展開はとてもありがたいしくみですし、テストマーケティングの場としても、かなり有効だと思います。
この事例は、ちょっと錆びれつつある商店街など、地域の活性化はもちろん、企業同士のコラボレーションのかたちにも、何らかのヒントを与えてくれるような気がします。ぜひ参考にしてください(@^^)/~~~
2008年07月18日(金)更新
大人のための「自習室」が急増中!
少し前に、私のブログでも取り上げた女性用のパウダールーム「COS-Pa(コスパ)」は、おでかけ前に手ぶらでちょっと寄ることができる着替えや化粧直しのための専用スペースをお手軽価格で提供し、若い女性たちにたいへんウケているようです。
これは、とある美容室の女性オーナーが、「着替えや化粧直しの場として利用されるトイレは、混雑していたり汚れていたりして不便だ」と感じたところから思いついたビジネスですが、その男性版もそのうち現れるだろうな…と思っていたら、案の定、今続々と「有料自習室」が誕生しているようです。
これまで「自習室」といえば、主に受験生が利用するもので、予備校の近くに多く見かけたものですが、それをオフィス街に作ったところ、やり残した仕事をする会社員や資格取得のための勉強をする人たちに重宝がられ、どこもほぼ満席状態が続いているといいます。
東京・茅場町のビル内にある「サクセス・ロード茅場町」では、平日の夜ともなると「私語厳禁」の張り紙のもと、公認会計士などの資格取得を目指す人たちが、黙々と勉強に取り組んでいるそうです。
ここの料金体系は「月額制」になっていて、机の大きさによって1万5800円から1万8900円ほど。朝6時から深夜12時まで開いていて、出勤前や仕事帰りに自由に立ち寄ることができます。
自宅に帰ると、ついついテレビを見てしまったりするものですし、カフェやファミレスでは、その日のタイミングで長居しづらい場合もあります。また、持ち歩くのには重い参考書や辞書などを置いて帰れるのもいいですよね!(^^)!
この手のビジネスは、意外と簡単に真似できますから、今度は反対に女性専用の自習室が登場したりと、続々と誕生しているみたいなんですが、いずれにしても「集客」さえうまくいけば、とても儲かるビジネスモデルであることは、間違いありません。
そもそも、倉庫業がその最たるものですが、大きい倉庫を区切り月々手軽な料金で貸すと、その倉庫をまるまるひとつの企業に貸すよりも、ずっと利益率が上がります。また、契約先の企業が大きくなるにつれ、徐々に貸すスペースも広がりますから、あとは「集客」のための投資をすることなしに、自動的にとても儲かるビジネスが展開され続けることになるのです。
これと同じモデルが「レンタルオフィス」です。起業したての人たちに、大きいフロアーを小分けにして、借りやすい価格のオフィス物件を提供することで、そのスペース自体の商品価値を何倍にもしているわけです。しかも、その企業の成長に合わせて、ずっと不動産のお世話をしていける足がかりになるかもしれません。
「自習室」にそこまでの可能性が見込めるかどうかはわかりませんが、要はターゲットとする人たちに、快適で便利な空間を提供してあげるという基本からズレずに、オリジナルティを発揮していけば、まだまだ発展可能な世界だと思います。
家に帰っても、意外に居る場所がない“お父さん族”を狙うのもアリかもしれませんね(笑)。この事例を参考に、収益体質のいいビジネスを楽しく発想してみてください(@^^)/~~~
2008年07月11日(金)更新
ご当地“ハチミツ”にブームの兆し!?
その彼と、しばし「ハチミツ談義」で盛り上がっていたところ、うちの女性スタッフから「今、銀座のビルの屋上でもハチミツを作っていて、結構話題になってるみたいですよ」などという情報も入手!気になって調べてみると、「銀座ミツバチプロジェクト」なる団体が積極的に活動しているようです。
そんなアンテナを立てていたら、先日(08年6月26日)の朝日新聞に、「品川区の中延商店街でも、今春からミツバチを飼い始めた」というニュースが、結構大きく取り上げられていました。自分にアンテナがあると、こんなふうに欲しい情報が自然と集まってくるものです(*^^)v
中延商店街で、養蜂の中心になっているのは、「NPOバリアフリー協会」の専務理事を務める沢田さんという方です。この協会は、商店街に「街のコンシェルジュ」と名付けた事務所を置き、高齢世帯の困りごとを、有償ボランティアが支援する事業を手がけているようです。
ハチミツ作りを始めようと思ったきっかけは、06年から銀座で養蜂を始めたNPO関係者と知り合ったことからだそうです。指導をお願いし、今年4月初めに、商店街振興組合の3階建てのビルの屋上に、ニホンミツバチの蜂箱を2つ置いて養蜂をスタート。
ミツバチの数は、7,000~8,000匹だそうですが、目黒川沿いの桜並木や戸越公園など、片道2キロ圏内を飛び回って蜜を集めてくるようで、これまでに約8キロの蜜を運んできたのだとか。この蜜を原料に、商店街の5店が、パンやお菓子の新製品開発を始めたと言います。
完成したのは、菓子店のロールケーキ、豆店の甘納豆、2軒のパン屋さんでは、ロールパンとフレンチトースト、喫茶店のアイスサンデーだそうですが、商店街では「ここにしかない商品。客寄せの目玉にしたい」と、この「七夕セール」で、堂々お披露目されたみたいです。
集まった蜜を、単に「ハチミツ」として売ろうと考えるのではなく、それを使って商品開発しようと考えたところがいいですよね。オリジナリティ溢れる商品が増えれば、商店街も活気づきます。
さらにおもしろいのが、1人100gのハチミツをもらえるのを条件に、コンシェルジュの会員のなかから「ハチの世話係り」を募集したところ、65歳以上の会員さん10人が手を挙げたというのです。全員が養蜂未経験者だったみたいですが、銀座の様子を見学したり、養蜂業者の指導を受けたりしながら、曜日ごとに担当を決めて、ハチの世話に当ったそうです。
ご当地ハチミツを作ることで、商店街が活性化するばかりでなく、地元のお年寄りたちに楽しみを提供していることを目の当たりにすると、こうした取り組みには、企業経営者である私たちも、かなり学ぶべきヒントがあるように思えます。
また、ハチミツ作りが「屋上緑化」に関心を寄せてもらうきっかけになりやすいという面もあることから、今後は、行政とも協調して、地元の人たちに広く「ハチのサポーター」として参加してもらいたいと考えているようです。
農業と違い、広大な土地を必要としない養蜂業は、意外にも都心に向いている産業なのかもしれません。地元活性化のヒントは、思わぬところにあるものですね。
環境問題や食の安全に向けた関心が高まるなか、今後、全国に「ご当地ハチミツ」がどのくらいのスピードで増えていくのか…しばし注目していきましょう(@^^)/~~~
2008年07月04日(金)更新
高級路線で顧客拡大!? 山梨のクリーニングチェーンに学ぶネット戦略
山梨県のクリーニングチェーン「403(よんまるさん)」では、高級衣料品の「半年保管」サービス、チャイルドシートやこいのぼりなど、特殊なもののクリーニングを請負うことをアピールし、ネットを使って全国からお客さんを集めているのです。
クリーニングの需要を全国規模でみると、平成4年をピークに減少を続け、平成17年には、ピーク時の半分にまで落ち込んでいるといいます。家庭用の洗濯機や洗剤が進化したことで、ウールなどのおしゃれ着も、家庭で手軽に洗えるようになったことも一因らしいですが、これを機に、業界は「薄利多売」の道へとまっしぐらに進んで行ったのです。
私は日ごろから、「世の中が右に進むなら、迷わず左に舵を切れ!」と教えているのですが、このクリーニング店は、まさにそれを地で行く戦法で、従業員38人で年商約2億円を上げ、毎年3%超の売上増加を続けているのです!(^^)!
同社の営業エリアである山梨県東部・富士五湖地域には約6万世帯があり、「世帯数×1万円」というのが業界の年間需要予測だそうです。エリア内には「403」チェーンの32店舗のほかに、他社の約100店舗があるようですが、みんなでそのパイを取り合っているという構図ですね。
そんななか、同社の社長がまず注目したのが、高級衣料の洗濯でした。「ブランド品は、家ではちょっと洗えない。うちには腕のいい職人がいる。技術に見合った料金をいただくには高級衣料を洗濯すること」だと考えたわけです。
その後、その高級衣料を無酸素パックで半年間保存し、全国に宅配するサービスを思いつきます。料金は、スーツ上下で3,000円、ワイシャツは650円と、たしかに高めの価格設定ではありますが、宅配業者と提携を決め、ネットを使って本格的なピーアールをしたところ、「かさばる冬物を預かってくれるのはありがたい」と、順調に全国から顧客を集めているみたいです(*^^)v
おもしろいことに、その「技術力」を見込んで「こんなものは洗えないか?」と相談を受けるケースも増えてきたそうで、先に挙げたチャイルドシートやこいのぼりに加え、スキーブーツやブランド品の財布、ゴルフバッグや剣道の防具を洗った経験もあるようです。
こうした経験を通じて、「利用者はクリーニング店を使い分けている」と判断。同社では、ワイシャツ1枚150円の通常コースを残しつつも、今後は「他では洗えないもの」の扱いを増やしていく方針で、通販会社とのタイアップも視野に入れているといいます。
それにしても、インターネットの存在はありがたいですよね。たとえニッチな商売でも、全国からお客さんを集めることができれば、十分採算が取れますし、この事例のように「半年保管」のようなサービスを付加するともなれば、地方で営業していることが、逆に優位性を生み出すことにもなるのです。
ビジネスは、すべて“発想”で決まります。たとえどんな業種でも、新しい付加価値を見出すことができれば、起死回生の戦法は必ず見つかるものです。この事例を参考に、ぜひ自社のビジネスモデルに磨きをかけてみてください(@^^)/~~~
2008年06月27日(金)更新
手芸カフェ誕生!「趣味 + カフェ」がヒットのキーワード!?
渋谷駅から徒歩約15分という立地にあるカフェ「Tabela(タベラ)」には、手芸好きの女性たちが集い、お茶を飲みながら“作品”づくりを楽しんでいます。
さらに、ネット上には、オリジナルの手芸品の「レシピ」を公開するサイトなども登場していて、趣味の世界も日々“進化”していることを実感します。
これまで、手芸などの趣味は「ひとりで楽しむもの」と相場が決まっていましたが、カフェで手芸をすると「先生にすぐ教えてもらえるし、知らない人とも仲良くなれて、1人でするより楽しい」んだそうです。確かにそうかもしれません。
このカフェでは、06年春からは、講師を招いて「ワークショップ」を開いているようですが、昨年秋ごろからは、20~30代のOLや主婦たちで、毎回10名程度の定員が、すぐに埋まるようになったそうです。
参加費用は、材料代を含め1,500円程度の受講料と、デザートまたは軽食代の1,100円。リピーターが多く、会社を休んでまで参加する人もいるみたいですよ(――;)
それはともかく、この事例からは「時代」のキーワードがいろいろと見えてきます。まずひとつは、モノが溢れるこの時代、消費者たちはありふれた規格品では満足せず、“自分だけのオリジナル”の品に愛着を感じるようになってきているということ。
また、安心できる天然素材を使ったものを、自分はもちろん家族にも身に着けて欲しいと考える「エコ志向」が高まっていることも確かでしょう。
しかし、何よりも見逃せないのが、『同じ趣味の人たちと集いたい』という人たちが増え続けている、という事実です。もちろん、その昔から「同好会」的なものはありましたが、インターネットという瞬時に人と繋がれるツールが世に誕生したことで、人々のなかに眠っていたその感情が、より顕著になってきているのかもしれません。
「ネット」が、人々の感情を含めた「リアル」の世界に及ぼしている影響力は、計り知れないものがありますね。
また、今どきの人たちは、自分の「趣味」に合うことには、気にせずお金を遣う傾向があります。であれば、企業がこのターゲットを狙わない手はありません。何も、「カフェ」の開業をすすめるわけではありませんが(笑)、「趣味 + カフェ(=人々が集う場所)」は、時代を象徴するキーワードであることは間違いありません(*^^)v
さらに注目すべきが、多くの人が、そのカフェに「癒し」を求めて集まって来ているということです。
短時間でも手芸に熱中すること、また、同じ趣味を持つ人たちと集うことが、ある意味疲れた現代人を癒しているのだという事実は、経営者も感覚として、わかっておく必要があるように思います。
世の中には「猫カフェ」という、猫に癒されたい人たちが集まるスポットまで登場しているようですから・・・(*^_^*)
自分の業界で、また自社商品を絡めて、そんな発想で展開できるビジネスがないものか…この事例を参考に楽しく発想してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2008年06月20日(金)更新
“誰もがやってみたい”夢を手軽にかなえて大ヒット
そのヒットを追いかけるように、すかさず発売したのがコレ!1万円札をモチーフにしたあぶらとり紙、その名も『拭沢油吉』。なかなかコジャレたネーミングですが、お笑い芸人の東MAX(東貴博)のギャグが思わず脳裏をかすめます(笑)。
先日、「バブリーバブルバス」の開発担当者の記事が新聞に出ていたのですが、彼女は、週に1度の企画会議に出すネタがなくて困っていたところ、たまたま自宅にあったパチンコ雑誌の「開運グッズ」の広告から、この商品を着想したそうです。
お札に埋もれて満面の笑みを浮かべる男性の写真に、「漫画やVシネマではよく見る光景だけど、実際にできる人は少ない。誰もが一度はやってみたいはず」と考えたと言います。今回の『拭沢油吉』の発売に当たり、同社は「誰もがやってみたかったシリーズ」を立ち上げての体制作りをしたみたいです。
新しい切り口を持つことで、商品企画のアイディアも、今以上に集まりやすくなるはずです。このシリーズから、次々にヒット商品が生まれるかもしれない…と考えると、開発のヒントは、全く、どこにころがっているかわからないものですね(*^^)v
この流れを受けてか、「金塊ソープ」なる商品を発売する会社も現れました。私が日ごろから提唱する『世の中は自分のためにお金を出して実験してくれている』を地で行ったような展開です。
ジョークグッズ企画販売の「ジグ」が扱う商品ですが、金の延べ棒を模した黄銅色をした固形せっけんで、金色の紙パッケージには、純金を意味する「FINE GOLD」「1000g 999.9」の文字をプレス加工してあります。
せっけん自体にも、抗酸化物質の白金ナノコロイドを配合し、付加価値を高めたそうですが、ジョークギフトとしてのニーズは十分ありそうですね!(^^)!
こんなふうに、入浴剤やせっけんといった日用品も、ちょっとした視点や発想をプラスすることで、マーケットが大きく拡がったりするものです。この事例を参考に、自社商品にプラスするべきユニークなエッセンスを、あれこれ発想してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2008年06月13日(金)更新
“ゆるキャラ”奮闘! 自治体のイメージアップに貢献
来秋開かれる「第24回国民文化祭・しずおか2009」の開幕まで500日となったのを記念して、JR浜松駅の改札口脇にカウントダウン用電光掲示板が設置されたのですが、その両脇に立っている彼らは、浜松“福”市長の「ウナギイヌ」と、静岡県のマスコットキャラクターの「ふじっぴー」なんです。
この「ウナギイヌ」君が、浜松“福”市長に就任したのは、昨年(2007年)5月のこと。同年4月、政令市になったことをきっかけに、全国に浜松をピーアールしようという取り組みの一環だったようです。
浜松といえば「うなぎ」という全国的なイメージを尊重し、赤塚不二夫の人気まんが「天才バカボン」に登場する「ウナギイヌ」が採用されたのです。そのキャラクターを副市長ならぬ「福市長」に任命したセンスもかなりのものです(*^^)v
今では、市民の65%がその存在を認知していて、84%の人たちが「親しみやすい」と答えているようで、先月、任期(1年契約)更新と相成ったみたいですよ。昨年8月から、市役所の売店で扱いはじめたグッズのも好評で、携帯ストラップ(300円)は、一時予約待ち状態だったそうです。
こうした人気ぶりを受け、地元企業12社は独自に「ワン♪だふる浜松」を設立し、ウナギイヌの絵入りタオルや、お菓子、味噌、日本酒などのオリジナル商品を作り、広く販売していく意気込みなのだとか。ユニークな福市長に、市民の期待も高まります。
この「ウナギイヌ」のような、見るとどこかほっとする脱力系のキャラクターを、「ゆるキャラ」と呼ぶそうですが、今、この「ゆるキャラ」たちは、地方公共団体や公共機関のイメージキャラクターとして、大活躍しているのです。
まずは、2010年に開催される千葉国体のイメージキャラクター、その名も「チーバくん」。専用サイトを作ったり、ブログを展開したりと、かなり頑張って活躍しているみたいです。
続いてのゆるキャラは、横浜開港150周年記念マスコットの「たねまる」くん。来年(平成21年)4月に開かれる「開国・開港Y150」まで、さまざまなイベントに顔を出すそうです。
こちらは、TVチャンピオンの「ゆるキャラ日本一決定戦」に、関東ブロックから出場した経験を持つ「こいのぼりん」。日本一のジャンボこいのぼりの町、埼玉県加須(かぞ)市をピーアールするためのキャラクターで、06年のサッカーのワールドカップドイツ大会には、ドイツに渡り、現地の子どもたちと触れ合ったといいます。
こんなふうに、世は、挙げればきりがない「ゆるキャラ」ブームですが、この「ゆるキャラ」戦略は、地方自治体や公共団体のみならず、企業のイメージアップにも十分通用する手法だと思います。愛すべきキャラクターを開発したら、あなたの会社の重要なポジションに起用してみるのも一案かもしれませんね。この事例を参考に、楽しく考えてみてください(@^^)/~~~
2008年06月06日(金)更新
「素人動画」を自社の広告戦略に活用する
これは、テレビとは別に、インターネットという巨大なメディアが出現したこととも大きく関係しているのですが、今、「素人の作る動画」を、積極的に自社の広告戦略に活用しようという企業も現れています。
そんなムーブメントを素早く察知し、昨年春にそのしくみを立ち上げたのが、マーケティング支援の「エニグモ」です。同社の手がける『filmo(フィルモ)』では、“素人CM制作軍団”を約2万人もかかえ、企業のCMを制作しています。
企業側から“お題”が出されると、この企業のCMを作ってみたいと思ったクリエーターの卵や美大生、あるいは映像に関しては全くの素人も含めた制作軍団が、いっせいに動画の制作にとりかかります。
そのなかから、一定の条件を満たした作品には、数千円程度の制作費が支払われ、特に優秀な作品には、最高12万円の賞金を渡しているようです。
この“素人CM”は、エニグモのサイト「Filmo TV」や「YouTube」で公開されているようですが、「プロの気づかない視点」に立ったものが多く、予想外の効果を発揮する場合もあると言います。確かに、お店や商品のことは「お客が一番知っている」のかもしれませんね(*^^)v
昨年秋には、JTBなどが中心となって、横浜市内の約200店舗を対象とする「素人CM」の実験が行われ、500作品に上る応募があったそうです。この実験でシステム面を担当した「QLOP」は、『勝手広告』と銘打って、企業に頼まれてもいない広告を勝手に制作し、十数作品をネットで発表しています。
なかには、企業側からも「自分たちにはなかった視点でおもしろい」といった声が寄せられるほど、完成度の高い作品もありますし、今や「勝手広告」はネット上でひとつのジャンルとなって、増殖を続けているようです。
すでにアメリカでは、コカコーラやアップルなどが、こうした素人動画を巧みに使った広告戦略で成功を収めていますが、私は、中小企業こそ、こうしたしくみに上手く乗っていくべきではないかと考えています。
もちろん、著作権や公序良俗に関する問題もありますし、度が過ぎれば、逆に企業イメージを損ねたとして問題になるケースも出てくる可能性はありますが、そうした心配をさておいても、取り組むべきメリットを感じます。
もう、イメージだけではモノが売れない時代です。独自の鋭い切り口や新しい感性で、商品やサービスを紹介するユニークな素人動画を、もっと活用すべき時が来たのではないでしょうか?
たとえば、自社で作品コンテストを開催するなど、企画しだいで、自社もクリエーターの卵たちも、互いに喜べるしくみが誕生するかもしれません。今回の事例を参考に、ぜひアイディアを広げてみてください(@^^)/~~~
2008年05月30日(金)更新
やるならとことん!? 香典返し専門店「ネット」で健闘
高齢化社会になると、黙っていても市場は拡大傾向にあるように思われがちな業界ですが、近年「家族葬」などの“地味葬”を好む人が増え、顧客単価は下降気味なのだそうです。
そんななか、楽天市場などでネットショップを運営する香典返し専門店「一心」は、1,800種類におよぶ品揃えに加え、「あいさつ状」の作成や、意外にめんどうな「香典帳」のデータ化など、細かいニーズにも対応することで、日ごろ仕事などで忙しい顧客をつかんでいるみたいです。
香典返しは、百貨店などで注文するのが一般的ですが、仕事などで忙しく、日中百貨店に出向いて打ち合わせをするのが難しい人も多いのではないか…という想定のもと、信用度や知名度で百貨店に劣る分、ネットの利点を活かしたきめ細かいサービスで対抗しようという作戦です。
東京都足立区の住宅街にある同店の事務所では、受注したその日のうちに、専任スタッフが、香典返しにつけるあいさつ状を作成し、メールに添付して顧客に送っているそうです。その後、細部の修正など数回やりとりを繰り返し、最短2~3日で発送することが可能なのだとか。
なんと!このあいさつ状作成は、同店で香典返しの品を注文した人が特典として受けられる「無料」のサービスなのです。そのうえ、「喪中はがき」の作成や、筆ペンなどで記入してもらった「香典帳」をパソコンの表作成ソフトでデータ化するサービスも「無料」で行っているといいます。
顧客にとっては、とってもありがたいサービスだと思いませんか? 感情的にもつらく慌しい時期に、こんなふうに気の利いた対応をしてもらえたなら、「一生忘れない…」ような気持ちになるかもしれません。顧客の感情を揺さぶることによって、クチコミ効果も期待できるでしょう。
実際、同社のネット通販の売り上げは、前年比約2倍のペースで増えていて、08年5月期の売上高は8,500万円の見通しだそうですが、「贈答品」全般を取り扱うネットショップが多いなか、「香典返し」に特化した戦略が功を奏してきたようです。
同社でも「目下の課題は、葬儀のことがよくわかるようにした、関連サイトの充実だ」と話していますが、まさにそのとおりだと思います。特に親族が急に亡くなった場合など、何をすべきか、いろいろわからないことも多いと思います。
従来なら、親戚やご近所に聞いて段取りを進めていたようなことも、これからの時代は「ネットで調べる」という人が増えてくるのかもしれません。
それを見越してか、現行のサイトにも「葬儀後の知識と心得」というコーナーで、礼状の出し方や、生命保険の受け取り、はたまた故人の確定申告といったことまでが説明されていますが、失礼ながら、情報の濃さやサイトの作り方などには、まだまだ工夫の余地がありそうです。
もし、同社のサイトが「わからないことはこのサイトで調べよう」と思ってもらえるくらい質の高い情報を提供し、「葬儀後に関することならここ!」という認知を得ることができれば、本当の意味でネットショップの勝者になることができると思います。
今回の事例は、ただ単に「ターゲットを絞れ」という意味で取り上げたのではなく、もし何らかの分野で特化したいと思うのであれば、これからの時代は、ネット戦略もふくめ、「本気でとことんやらない限り差別化はできないということを知るべきだ」という意味です。
もちろん、品揃えが多いほうが売り上げを上げやすいに決まっていますから、「広く」いくのか「狭く」いくのかは、経営者の手腕の見せ所かもしれません。いずれにしても、自社の商品やサービスと共に、「質の高い情報発信」が経営を左右する時代であることは間違いないようですね(@^^)/~~~
2008年05月23日(金)更新
現代版“パトロン”!? ミュージシャン育成ファンド
そんな音楽ファンドの先駆けとして、事業を拡大しているのが「ミュージックセキュリティーズ」。その昔、芸術家には必ず“パトロン”がついて、稀有なる才能に私財をつぎ込んだものですが、この『ミュージシャン育成ファンド』は、さながら現代版のパトロンといったところでしょうか。
といっても、その垣根は非常に低く、1口当たりの出資額は、5千円~1万円という手ごろな金額に設定されているようです。ミュージシャンの楽曲やプロモーションビデオは、サイトで自由に視聴できるようになっていて、ファンドへの申込みや決済などの手続きも、すべてネット上で行えます。
また、ファンドの実績もほぼ毎週更新され、「CD出荷枚数:5,751枚 利回り:23.3%」などと、常にチェックできるようになっています。これまで、46本ファンドを組成し、償還済みの23本のファンドに、元本割れはなかったと言います。ファンドの規模はさまざまですが、2千万円を集めたミュージシャンもいるみたいですよ。
同社では「ファンとアーティストの新たな関係作りを支援したい」としていますが、すでにメジャーデビューするミュージシャンも誕生しているようで、この仕組みは、CDの売り上げが低迷する音楽業界に、“新風”を巻き起こすかもしれませんね(^^♪
音楽は“ダウンロード”が主流となりつつある今、自分が相当好きなアーティストでない限り、CDを買うことは少ないんじゃないかと思います。しかし、自分が投資し、応援しているアーティストなら話は別。CD発売ともなれば、積極的に友達に話したり、自分のブログで紹介したりもするはずです。
つまり、「投資家」として集めた人たちが、そのミュージシャンの初めの“ファン”になってくれるということです(*^^)v デビュー前から、こうした情報発信型のファンをある程度の人数抱えられるわけですから、「売れる仕組み」としても、なかなか秀逸ですよね(*^^)v
同社は、これまでの実績が評価され、大手レコード会社や一般企業などと組んでファンド事業を展開したり、今後は、音楽業界で培ったノウハウをもとに、他業界へも視野を広げ、投資先を開拓してく方針だとか。
すでに、「純米酒」の投資ファンドを昨年創設したのに続き、今春には、飲食店の売り上げを配当原始とするファンドを立ち上げたそうです。
こんなふうに「勝てるレベル」のビジネスモデルは、他業界でも十分通用するものなのです。そんな視点で、自社のビジネスモデルの精度を、今一度見直してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
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ボードメンバープロフィール
石原 明(いしはら あきら)氏
僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社
ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。
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