石原明の「知的経営の切り口」 | 経営者会報 (社長ブログ)
企業を発展させるための経営のヒントについて、独自の切り口で紹介します。
2008年10月10日(金)更新
不景気もどこ吹く風!? 高級化粧品あいかわらずの人気
その商品とは、高級化粧品、なかでも「高級クリーム」の売れ行きが伸びていて、化粧品各社は、次々と新製品を投入しているようです。
「ホントかな?」と思い、化粧品のクチコミサイト「@(アット)コスメ」を覗いて見ると、クリーム部門の人気ランキング1位に輝いていたのは、『クレーム ドゥ・ラ・メール(モイスチャライジングクリーム)』という、30mlで16,800円、60mlが31,500円、500mlではなんと189,000円もする商品でした(@_@;)
なんでも、このクリームは、
「NASAの宇宙物理学者が創り出したモイスチャライジングクリーム。低温・低圧処理技術により、主要成分であるシーケルプ(海藻)に含まれるビタミンやアミノ酸などの天然成分を総合的に保っています。配合された海藻とビタミンは肌を活性化させ、肌の自然な回復力を強化。なめらかでハリのある、若々しい肌へ導きます。」(@コスメより引用)
・・・というものだそうです(*^_^*)
また、その他メーカーでも続々と新商品が発売されています。コーセーは、高級化粧品シリーズである「コスメデコルテAQ」をリニューアルし、30gで20,000円の「ニュートリティブクリーム」と、45gで50,000円の「クリームアブソリュートG」を投入。
資生堂も、先月(2008年9月)、同社最高価格となる『126,000円のクリーム』を発売しました。「クレ・ド・ポー ボーテ 新シネルジックライン」として発売された商品ですが、このシリーズで基礎化粧品をそろえると、ざっと20万円はかかるようです。
今や、2万円以上の「超高価格帯」化粧品市場は約300億円と言われていて、前年比で約24%伸びたという統計もあります。
ガソリンや食料品の値上がりで節約志向が高まる一方、「『これは!』と思った商品には思い切って投資する」のが賢い現代女性の姿……、ということでしょうか。
われわれ男性経営者だと、業界関係者でないかぎり「化粧品」の動向を気にすることはないと思いますが、経営者である以上、いろいろなところにアンテナを張っておく必要があります。そうしないと、「不景気=値下げ」という単純な発想で、舵を切ってしまうことにもなりかねません。
不景気であろうとなかろうと、売れる商品はしっかり売れている…この事例を参考に、今一度冷静に、自社の商品戦略を見つめ直してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2008年10月03日(金)更新
「地サイダー」地域の活性化に貢献!?
宮崎の「マンゴーサイダー」、兵庫県の有馬温泉で人気の「ありまサイダー」、佐賀県の「103(てんざん)サイダー」など、いずれも地名や地元の特産品を生かした商品づくりをしています。昭和を感じさせる、ちょっとレトロな感じも人気の秘密のようです。
「地サイダー」は、もともと、地酒、地ビール、地ウィスキーなどと同じように、「分野調整法」という中小企業を守る立場から大企業者の事業活動を調整する法律に守られて細々と作られてきたもので、大量生産され全国規模で流通する商品とは区別するための呼称です。
それが今ではネットのおかげで全国に流通するようになり、楽天などでは、各地の地サイダーを2本ずつ組み合わせたアソートセットなども販売されているのですから、ちょっとおもしろいですよね。
今年(2008年)の夏、「日本橋高島屋」の食品売り場に16種類の地サイダーを並べたところ、1本200円前後と決して安くない値段にもかかわらず、1日平均150本が売れ、入荷が追いつかない状況だったようです。
また、北京五輪開幕中には、愛知県の「バンザイサイダー」や「日の丸サイダー」が人気を集めていたそうです。お子さんと一緒にシャンパンがわりにサイダーで祝杯をあげる家庭もあったみたいですよ。
全国清涼飲料工業会が把握するサイダー類のメーカーは約60社にのぼり、町おこしの話題づくりや、地域活性化対策として新たに企画される例も相次いでいるといいます。
愛知県の「サムライサイダー」などユニークな名前の商品や、兵庫県の「須磨水ぷくぷくサイダー」など、地元の天然水や特産品を配合したものもよく売れているそうです
秋田県美郷町の清らかな湧水を使用した「仁手古(にてこ)サイダー」は、年間40万本を売り上げ、地元の観光振興に一役買っているみたいです。
その他、特産のリンゴやレモン、オリーブ、柿酢などを配合して、個性豊かに仕上げている商品も多く、アイディアしだいで新商品がいくらでも作れそうな感じがします。
ちょっとおやじギャグのようですが、仕事に煮詰まった時に飲むとスカッとする「天才だー!(テンサイダー)」なんて商品を作ったら、ネットなどで結構話題になるのではないでしょうか……(笑)。
それはともかく、情報化社会が進化したおかげで、中小零細企業でも、おもしろい商品を作れば、全国区で売れる時代になったのは、とてもありがたいことだと思いませんか?
地サイダーのメーカーでも、ネット通販を始めるところも増え、全国清涼飲料工業会では、全国の66銘柄を紹介するガイドブックを作成したそうです。
昭和のレトロブームも追い風になっているようですが、われわれにとっては懐かしい飲み物でも、今の若者たちにとっては、ちょっと新しい感じがするのかもしれませんね。こんなところから、世代間の会話が生まれるのも、とてもいいことだと思います。
この事例を参考に、自社独自のアイディアを持って、地元に貢献する道がないかを真剣に考えてみるのも楽しいかもしれません。秋の夜長、あれこれとアイディアを絞ってみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2008年09月26日(金)更新
今、「バスマニア」が熱い!?
マニアの中心は、30~40代の男性だそうですが、この分野は関連書籍などが少ないため、自分たちで研究して、車体の微妙な違いなどを発見するといった醍醐味があるようです。
男性なら、子どものころに一度は「バスの運転手」に憧れた人も少なくないのかもしれませんが、バスマニアと一口にいっても、いろいろなタイプの人たちがいるようです。
まずは、シンプルにバスに乗るのが好きという「乗車派」。路線制覇を目指したり、エンジン音の違いを聞き分けたり、なかにはみずから免許を取得し、バスを所有して運転を楽しむ人までいるみたいです。
一方、「撮影派」と呼ばれる人たちは、熱海のビーチラインに架かる歩道橋などの“撮影スポット”に出かけ、わくわくしながら来るバスを待ち、来たバスを撮影するのだそうです。
「バス撮影の魅力は鉄道と違って、どんなバスが来るか直前までわからないところ。一期一会ですよ」と話す人もいるくらいで、ある意味、鉄道マニアよりもディープな世界のようです(――;)
その他、模型を集めたり改造したりして楽しむ「模型派」の存在もありますが、いずれにしても、バス車両の種類や装備、形態や部品などを徹底的に調べることを趣味とした人たちなのです。
業界誌の「バスラマ・インターナショナル」では、年に1~2回、バス会社の営業所を巡るツアーを企画しているそうです。もともとは業界関係者向けに始めたもののようですが、今では参加者の半数以上をバスマニアの人たちが占領してしまうのだそうです。
また、今年4月に栃木県の壬生町で開催された「バス祭り」には、総勢2000人が参加したと言いますから、ちょっとびっくりしてしまいますよね(@_@;)
イベントの目玉は、珍しいバスの展示。元国際興業バスの「いすゞ製BU04型」には大勢のマニアが群がり、車体後部のエンジンルームを開けると「おー」という歓声が上がったそうですよ。
以前もこのブログで、「ダムマニア」の話題を取り上げたことがありますが、全体から見るとかなり少数派ではあるものの、よりディープな情報を求めている、こうした「マニア層」に商品やサービスを提供するという発想は、これからの経営に欠かせない視点であると私は考えています。
ご存知のとおり、日本の消費社会も成熟し、「大量生産・大量消費」の時代はとっくに終わっています。もうあの頃のように、作った商品がバンバン売れる…という時代には戻らないのです。だからこそ、これからの時代はますます、経営者のアイディアとセンスが問われるわけです。
模型メーカーのトミーテックでは、人気のコレクションフィギュア「鉄道むすめ」シリーズに続き、今月(2008年9月)末より、『バスむすめ』シリーズの第2弾の発売を開始するようです。
こんなふうに、マーケットの存在にすでに気づいている企業もあるわけです。この事例を参考に、「趣味マーケット」「マニア向けマーケット」について、真剣に研究してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2008年09月19日(金)更新
「高尾山」が三ツ星!? 女ゴコロをくすぐる集客の妙技
私は、高尾山と言えば、子どもたちの遠足か中高年のハイキングスポットくらいにしか認識していなかったので、ちょっとびっくりしてしまったのですが、気になって調べてみると、そこには私たちにも参考になる、さまざまな“しかけ”がありました。
まず、高尾山の「客層」を広げることに大いに貢献しているのが、大胆にも「1000万ドルの夜景」を売り物にした「高尾山ビアマウント」の存在です。
7月から9月の期間限定で開かれるこのビアガーデンは、食べ放題・飲み放題で男性3300円、女性3000円という値ごろ感のある価格に設定されているうえ、東京都心から横浜に広がる夜景を一望しつつ、山の清々しい空気のなかでビールが飲めるとあって、週末はケーブルカーが2時間半待ちになるのもめずらしくない光景なのだとか。
実はここ、1954年に開業した歴史のあるビアガーデンなのですが、3~4年前にあることに気づき、PRの仕方をがらっと変えたことから、人気が高まっていったみたいです。
そのあることとは、徹底的に「女性」を意識した戦略です。最近では、家族のお出かけや、仕事仲間などの飲み会でも、決定権を女性が握っているのが多いことに目をつけ、ビアガーデンでありながら、「チョコレートフォンデュ」、約10種類の「フルーツ系カクテル」、手作り「シフォンケーキ」など、女性ウケするメニューを意識的に増やしたのです。
また、ケーブルカーを使えば、都心からハイヒールを履いたままでも、ベビーカーを押したままでも来られるという“利点”をアピールしたことで、6年前は約3割だった女性客を、今年(2008年)8月には46%にまで増やすことに成功したそうです。
さらに、今年の5月からは首都圏1700万世帯を対象に、広末涼子さんを起用したテレビCMを流しはじめています。コンセプトは「遠足に行こう。」で、20~30代の女性に向けて、「子どもの頃に行った遠足の楽しさを思い出してもらいながら、都心から日帰りで行ける気軽な観光地」であることをアピールする作戦です。
この10月には、都心で働く女性を招待してイベントを開催する予定があり、高尾山の薬王寺でのヨガ・座禅体験に加え、代官山で人気のオーガニック弁当を用意したり、人気歌手熊木杏里さんのライブも計画しているみたいです。
少し前に、私のブログでも「高野山カフェ」の話題を取り上げましたが、「寺=老人」「遠足=子ども」「ハイキング=中高年」というありきたりな既成概念を捨てれば、意外と新しいマーケットが見えてくるものなのです。
たとえ同じ商品やサービスでも、ターゲットやPR方法を見直すことで、マーケットが大きく広がる可能性もあります。ぜひ、参考にしてください(@^^)/~~~
2008年09月12日(金)更新
「出前サイト」に学ぶネットとリアルをつなぐ発想
これまでは出前を頼みたければ、そのお店に直接電話するしかありませんでしたが、この『出前館』が登場したおかげで、サイトを見ながら提携しているお店の数多いメニューのなかから「何を食べようか…」と楽しく選べるうえ、小まめに更新されている「待ち時間」をチェックしつつ、パソコンや携帯から注文できるようになったのです。
『出前館』は、今年で9年目を迎えるそうですが、類似サービスも増えるなか、現在の会員数は、約170万人。提携店舗数は、6月末時点で前年同月比15%憎の8,259店。同月の注文数は40万件を突破し、前年同月比55%憎という勢いなのです!(^^)!
このサービスが成功した秘訣は、ひとことで言うなら「お互いにとって便利なしくみ」だからです。ネット世代のお客さんにとっては、お店にわざわざ電話をかけるより、サイトから注文できる方が断然便利です。しかし、お店側が、忙しいランチタイムなどに、パソコンを小まめにチェックできるはずもありません。
そこで、『出前館』は、お客さんから【ネット】で受けた注文を、【FAX】にしてお店に流しているのです。こうなると、お店側も忙しいなかで電話を取り、いちいち注文を聞く回数が減るわけですから、とても助かるはずです。
また、FAXを確実にお店が受け取ったかを確認するために、送信後、『出前館』から自動応答電話がかかるようになっているのですが、出前の待ち時間の更新についても、この電話で「FAXを受け取りました」とう確認を意味する「0♯」と押した後に、「40♯」と押せば、その1秒後にはサイト上に「待ち時間40分」というふうに更新されるようなシステムを導入しているのだそうです。
このシステムにより、1日2千回近くは、サイト上の待ち時間が更新されているそうです。消費者がネットにすっかり慣れた今の社会では、このレベルのサービスを提供しないと、お客さんの支持を得られないのかもしれませんね。
また、リピーターを増やすために、サイトを利用することで貯まったポイントを使って、どの店舗でも割引が受けられるようなしくみにしています。この割引についても、ふつうの経営者なら、安易に提携店舗に負担してもらおうと考えてしまうと思いますが、この『出前館』では、ポイント利用により割り引かれた額を、「全額」店舗側に補填しているのだそうです。
「店舗が利用に前向きにならないサービスは広がらない」と考えていて、店舗が出前館に支払うのは、注文額の5%と月額掲載料の3千円のみ。現在、1店舗あたりの月間注文数が約49回で、平均客単価が約2,900円だそうですから、1店舗あたり月額約14万円の売上になる計算です。
原材料の高騰など厳しい環境が続くなか、お店側もチラシなどの広告費を負担せずにすむのは、かなりありがたいと感じているはずです。
こんなふうに、『出前館』が、ネットとリアルを上手に橋渡ししてあげることで、店舗とお客さんの両方にメリットを生むしくみを実現したわけです(*^^)v
同サイトを運営する「夢の街創造委員会株式会社」の女性社長である中村利江さんは、たびたびマスコミにも登場しているので、ご存知の方も多いと思いますが、経営者の発想しだいで、ここまでビジネスは発展します。ぜひ参考にしてください(@^^)/~~~
2008年09月05日(金)更新
企画力で勝負! 「カトージ」の高級ベビーカーに学べ
愛知県犬山市にある「カトージ」という、1954(昭和29)年にベビー用品の卸売りから始まった会社ですが、今では東京・代官山に専門店を持ち、1台7万円近いベビーカーが、ふつうに売れていくようです。
大手メーカーでは手の回らない“ニッチ”な市場を狙うのがこのカトージの戦略で、2003年に発売した、アルミフレームを採用することで重さ3キロを切った軽量ベビーカーは、ネットやクチコミで話題となり、初年度に3万台を売るヒットを飛ばしました。
同社いわく「自動車で言えば外車のようなベビーカーを目指している」そうですが、従業員数わずか50名規模の中小企業が、こうしたユニークな製品を生み出せるのは、「商品企画」にのみ力を注ぎ、生産は100%外部に委託しているからです。
この業態は「製造小売り」と呼ばれる、ユニクロやギャップと同じビジネスモデルで、自社工場を持たないことで経営的にメリットが生まれます。今年1月に代官山にオープンした専門店は「アンテナショップ」としても機能させることで、持てる経営資源をすべて「企画開発」に集中させているわけですね(*^^)v
今、力を入れているのは、「最軽量」とは反対に、「重くてがっしり」したベビーカーです。なんと、車体重量は14.5キロ。海外製のものと比べてもトップクラスの重さだそうですが、その分、安定性を高めるベアリングやショックを吸収するバネを備え、ゆりかごやベットとしても使えるようなベビーカーとして作られています。
同社の加藤社長は、月の3分の1を海外で過ごし、契約工場や現地のベビー用品の展示会の視察などを繰り返しながら、常に新たなアイディアを出し続けているそうです。
「利幅の薄い低価格品だけでは、いずれ行き詰ってしまう。いつも誰もやっていないものをつくろうと心がけている」という加藤社長の言葉は、われわれ中小企業が採るべき経営戦略の方向性を指し示してくれているかのようです。
実りの秋。ぜひこの事例を参考に、自社の商品戦略を見つめ直してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2008年08月29日(金)更新
あのミクシィが金曜日「自由時間」宣言!?
同社では、Google社を参考にして、2006年6月から、週のうち1日を自分の好きな研究やサービス開発に使っていいという「ワンデイフリー(ODF)」制度を導入したそうですが、急成長する会社では当然みんな猛烈に働いているわけで、そんななか自分ひとりが「無理に遊べ」と言われても…かなり実践しづらい面があったみたいです。
そこで思い切って会社側から「金曜は自由時間」宣言をし、その日は読書をしたり、ミニゲームを開発したり、はたまた技術者同士が集まって討論したりと、一日を有意義に使えるようになったのだそうです。
そもそも、この制度を導入した背景には、「ソフト開発の生命線は独創性である」と考える同社の経営姿勢が存在するわけですが、世の多くの開発者たちが、日々の仕事に追われているうちに、すっかり「発想の泉」を枯らしてしまうことに危機感を感じているからなのです。
確かに一理あるのですが、一般の企業では、なかなか実行しづらいですよね。これはある意味、mixiのようなビジネスが、「積み上げ型のビジネス」だから、こんな制度の導入を可能にしているわけです。
どういうことかと言うと、SNSという「インフラ」を作ったら、あとはそこにいろいろなサービスを「プラスアルファ」していくだけで、飛躍的にビジネスが大きくなります。これを私は「積み上げ型」と表現したわけですが、日々の営業努力で日銭を稼がないといけない企業とは、ビジネスモデル自体が違うわけです。
インフラを整備していく段階はかなりヘビーでも、それを過ぎれば、あとは楽しいアイディアをどんどん出せば出すほど、それがすべてお金に換わるというわけです(*^^)v
現に、この制度を利用して、通常はデータベース業務を担当する社員が「遊び」で開発した、同じ高校の同窓生や似た趣味を持つ人を自動的に選んで表示する『おすすめマイミクシィ(友人)』機能は、あまりの出来の良さに、会社がすぐに採用したのだとか。
この機能は、毎週金曜日をその開発に充て、半年足らずで完成させたので、なんと!「開発日数およそ25日」という異例の速さで世に出たものです。
こんなふうに、同社はもう完全に「プラスアルファ」の段階に入っているわけですね。これを経営基盤が安定していない会社がそのまま真似したら、大変なことになりますが(――;)、経営者としては、こんなレベルの企業があることを知っておくべきでしょう。
結局は、「経営者がどこまで先のことを考えているか?」が、その企業の成長スピードを決めているのです。いきなりこのステージには立てないにしても、たとえば、月に1回だけ「フリーな日」を作ってみるなど、段階に応じた方法があるはず。
いずれにしても、常に新しい情報に敏感であり、かつ「感性」を磨き続けない限り、勝っていけない世の中です。経営者はもちろん、社員にも「そのための時間」を作ってあげるべきかもしれません。参考にしてください(@^^)/~~~
2008年08月22日(金)更新
屋形船で焼肉!? 既成概念を外したアイディア戦略
ひと昔前のイメージでいえば、「屋形船=お座敷で刺身や天ぷら」でしたよね。確かに風情はあるのですが、正直なところ、口の肥えている最近のお客さんたちの多くは、「屋形船=おいしい料理」とは感じていなかったのではないでしょうか。
しかし、屋形船も時代のニーズに合わせて、着実に進化を遂げました。屋形船の「大御所」では、昨年、設計の難しさを乗り越えて、「焼肉屋形船」を就航し、なかなかの人気ぶりのだというのです!(^^)!
船内には、無煙ロースター付きのテーブル席が並び、そこはさながらレストランのよう。料理を仕切るのはフランス料理のシェフを長く務めた方で、厳選された佐賀牛を取り入れた、独創的な焼肉会席料理がいただけるのだそうです。テーブル席にしたことで、年配者にも「これは楽だ」とウケがいいのだとか。
内装デザインには、女性インテリアデザイナーを起用し、洗練された和モダンな空間を実現。他のお客さんの目を気にせずグループごとに楽しめるようにすだれで仕切ったり、トイレなどもすごくキレイに作ったようです。
じつは、近年、屋形船を取り巻く経営環境はとても厳しいものがありました。会社の宴会などの団体客需要は減る一方で、そのうえ原油の急騰です。いくら「伝統を守る」といっても、発想を広げない限り、先行き不安なのは明らかな事実ですよね。
そうした背景もあり、この焼肉屋形船をはじめ、「もんじゃ焼き」が食べられる屋形船、内装を葛飾北斎一色でまとめた「北斎」船、少人数でも楽しめる小型船に沖縄の楽器「三線(さんしん)」奏者を乗せた「沖縄満喫屋形船」など、みなさん独自のアイディアをもって、なんとかこの苦境を乗り越えようとがんばっているわけです。
ちょっと話は変わりますが、最近「カラオケボックス」がまったく違った使われ方をし始めているのをご存じでしょうか? なんでも、「歌わない」利用客が急増中なのだとか(@_@;)
子ども連れの主婦たちのランチ会(たしかに、子どもたちが騒いでも他のお客さんに迷惑かけることもありませんよね)、はたまた、ビジネスマンが「会議室」として使ったり、漫画家がちょっとした仕事部屋代わりに使う例もあるといいます。
斬新なアイディア出しが要求されていて、社内の会議室だと、どうしても違った発想をすることが難しいといった場合など、この「カラオケボックス会議」が意外な成果を生むこともあるみたいです。
それはともかく、昼間は安い金額で利用できますし、なにより「時間単位」で区切られていますから、漫画家さんのように締め切りをかかえた仕事に利用するのも、結構いいのかもしれません。
それにしても、「カラオケボックスで歌わなくていい」とは、「主力商品を買わなくていいですよ」とお客様に宣言したのと同じようなことです。
こうした利用法は、どうやらお客さんたちが「勝手に開発」したみたいですが、これも、「商品やサービスは“川下”(=顧客側)から発想せよ」という「マーケットアウト」型のマーケティングの一例でしょうか。
屋形船やカラオケボックスに限らず、ますます経営者は「既成概念」を外し、柔軟な発想を持って事に当たる必要がありそうですね。参考にしてください(@^^)/~~~
2008年08月08日(金)更新
もしも「電報」というインフラに自社商品を乗せたら!?
リカちゃんはウェディングドレスを着ていて、結婚式の祝電にひっぱりだこ。昨年は限定発売の4,000体を完売した実績もあるそうです。下の写真は、今年バージョンの限定版です。
NTT東日本によると、電報の発信件数は昭和40年に約9,000万通を記録したものの、パソコンメールや携帯メールなど、新たな通信手段の登場で年々減少の一途をたどるばかり。平成18年には、約1,860万通にまで激減したようです。
そんななか、同社の子会社で電報事業を手がける「テルウェル東日本」では、減少傾向にある冠婚葬祭需要を追いかけるばかりでなく、誕生日や入学・卒業のお祝い、還暦や米寿などのお祝い、はたまた父の日や母の日など、新たなシーンでの需要を掘り起こす戦略を取りました。
今や定番になりつつある、キティちゃんやドラえもんのぬいぐるみが付いた「キャラクター電報」、プリザーブドフラワーや本皮ブックカバーを添えた「カジュアル電報」など数十種類を用意しています。
今年の母の日には、宝石箱としても使えるオルゴールボックス付きの電報が人気を集めたそうですよ。電報と同時にプレゼントも贈れちゃう感覚で、なかなかいい企画ですよね(*^^)v
同社では「電報という(相手の)想定外の手段でサプライズ感を演出でき、メールでは伝えきれない感謝や励ましの心を贈ることができる」と、人気の背景を分析しているようですが、本当にそのとおりだと思います。
Eメールというバーチャルな通信手段が主流になった今だからこそ、「リアル」に物が届くということに、かえって“ありがたみ”が増しているのだと思います。
冒頭で紹介した「リカちゃん付き電報」は、インターネット経由のサービス「ベリーカード」を展開する「ヒューモニー」が企画したものですが、同社ではそのほかにもガチャピンとムックの声でメッセージを届ける「しゃべキャラシリーズ」など、計64種類をそろえています。
今年5月に発売した中日ドラゴンズのマスコットキャラクター「ドアラのぬいぐるみ付き」は、発売初日だけで150通の申込みがあったそうです!(^^)!
一方、“地球へのギフト”も兼ねた「ECO電報」を扱うのは大阪市のKSGインターナショナル。砂漠化が進むモンゴルで植林活動を続けるNGOと提携し、「e-denpo」1通につき1本の木を植える寄付が行えるのだとか。
先に紹介した「アンクレット付き」もこの会社の企画で、そのほか直筆サインや顔写真入りなどユニークな商品を企画し、前年比2倍以上の売り上げが続いているようです。
こうした新規参入企業に、自社商品を付けた電報の企画を提案してみたら、結構すんなり通るかもしれませんよ。試してみる価値はあると思います。もちろん、商品を売りたいがための発想ではダメで、企画力が勝負になってくると思いますが…。
たとえば、けんかをしてしまった相手や、仕事上のちょっとしたミスでご迷惑をかけてしまった相手に「謝る」ための電報なんてどうでしょう。こんなふうに考えれば、まだまだユニークな企画が生まれてくると思います。
夏休み中の、ちょっとした“経営脳トレ”の課題として、楽しく考えてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2008年08月01日(金)更新
「置き薬」がタイに!? “日本方式”の海外進出
来年をめどに、タイ政府が日本財団の助成を受け、風邪薬や解熱剤などをキット化して1,200世帯に配布する予定で、増大する医療費の削減と公衆衛生の向上を目指すのだそうです。
この「置き薬方式」は、すでにモンゴルで実績を上げているそうですが、ご存知でしたか? モンゴルの置き薬事業は、NGOの「ワンセンブルウ・モンゴリア」が、遊牧民1万世帯以上を対象に実施していて、診療所まで数十キロの距離に住む世帯などから、とても感謝されているみたいです。
昨年、世界保健機関(WHO)と同財団がモンゴルの首都ウランバートルで国際会議を開いた際に、この置き薬事業が「Nippon Method(日本方式)」として紹介され、これをきっかけに、医療費の膨張に悩むタイ政府が導入を検討し始めたのだそうです。
タイ政府と同財団との協議で、総事業費約65万ドル(約7,000万円)の事業計画がまとまり、タイで現在活躍中のヘルスボランティアの方々に、薬の配布と代金回収を担ってもらう方針だそうですが、こんなふうに「日本人の知恵」が世界で役立つのはとてもうれしいですよね。
日ごろのビジネスで、経営者の知恵は相当磨かれているはずですから、みなさんも自社の「日本方式」を海外に輸出する…という発想を持つと、また新たな世界が広がるかもしれません!(^^)!
そうそう、「置き薬」の話でちょっと思い出してしまいましたが、この方式を他業界で展開したのが、「オフィスグリコ」です。職場に、お菓子ボックスを置き、そのなかから食べた分だけ代金を支払う、という方式です。
当初は、女性社員に受け入れられるだろうと予測していたものの、実際に設置してみると、残業で小腹がすいた男性社員の利用が多かった、などという話も聞いたことがあります。
いずれにしても、経営者が「世の中は自分のためにお金を出して実験してくれている」という視点を持っていれば、経営のヒントはいたるところに転がっているものです。
「それにしても景気が悪い……」などと嘆いてばかりおらず、この夏も元気に頑張っていきましょう(@^^)/~~~
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ボードメンバープロフィール
石原 明(いしはら あきら)氏
僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社
ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。
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