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2009年03月06日(金)更新

経営者の家族との関係を考える

私の発行する週刊メールマガジン『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです!』には、毎回「Q&Aコーナー」があるのですが、最近、特にこのコーナーへの反響が高く、感想メールがたくさん届きます。

今週の月曜日(2009.3.2)に配信した号では、経営者会報ブログの「明大生との一問百答」に寄せられたこの質問に答えてみたのですが、メルマガの読者から、

「メルマガのQ&A最高です。このようなこと、真剣に返答して下さるコンサルの先生はなかなかいないと思います。しかもこんなにズバリと危険な(笑)回答。。。さいこーでした。」

とのお便りをいただきました(*^_^*)

こういう反響はとてもうれしいので、今後、経営者会報ブログとメールマガジンとの相乗効果が生まれればいいなと考え、このアドバイザリボードにも月に2回くらいの割合で「Q&A」を掲載していきたいと思っています。

というわけで、今回は、反響の高かったこの質問です。
== 質 問 ==
経営者として、仕事をしていく上で、家族の支えが重要かと存じます。あるいは、あまりに仕事が忙しく、家庭を顧みる余裕がないかもしれません。ご家族との関係(うまくいっているか)それに対する考え方についてお聞かせ下さい。

また、経営者になる以前と比べて、ご家族との関係とそれに対する考え方について、変化があれば、その点もお聞かせ願いたいです。


== 回 答 ==
家庭についてこうあるべきとか、こういう形が理想であるというのは存在しないのではないかと思います。また、経営者といってもその人の資質や企業規模ナドによってかかる責任や負担はさまざまなので、まったくケースバイケースと捉えるほうがいいと思います。


== 解 説 ==
こういう(経営者は家庭に対してこうあるべきという)質問は結構多いので、機会をみてどこかで一度、回答した方がいいと思ったのでお答えしますが、コンサルタントとして現実にいろいろな社長さんと接している立場で思うことは、家庭に対してこうあるべきという理論や理想論は、ほとんどの場合、まったくあてにならないのではないかと思います。

なんか、すごいことを言っているみたいですが、なぜこんな回答をあえてするかというと、例えばアメリカ流の経営本などに書いてあることを真に受けて、家族の支えがなければ経営は上手くいかないとか家庭は大切にすべきという考え方に縛られてしまって、苦労している社長さんを結構たくさん見ているからです
(ーー;)・・・ストレートすぎてゴメンなさい。

もちろん家族経営で会社をされている場合は、家族の支えは物理的に大切ですが、そうでない場合は、例えば、家族の精神的支えがなければ経営できないレベルの経営者が企業経営で成功出来るとは到底思えません。

また、ある規模を超えた企業の経営者の責任は、それを家庭と比べる…と考える方がそもそも間違っています。また、こういう責任を負った経営者に対して、家庭を大切にしない経営者は成功できないという考えを説くということも、なんだかとってもナンセンスな気がします(*^_^*)

こういう場合は、本当は家族が家庭のことは心配しないで一生懸命仕事をすることで責任を果たすべきだと考えてくれればいいのですが、そういう考えを持ってくれる家族も結構少ない気がしますよね(ーー;)

経営者の家庭はこうあるべきという考え方は、私的には米国流の経営(=個人(家庭)主義や利益重視)の影響が強いからなのかなぁ~と思いますが、これも事実とはかなり違ったイメージだと思います。

それに対して、日本流の経営は他者奉仕や仕事は世の中のために行うという考え方なので、それを実現するために、それぞれ個人の考え方で行っていけばいいと思います。

ただひとつだけ言える事は、もし、あなたが将来経営者になろうと考えているのなら、配偶者を選ぶ時に「自分は将来世の中のために一生懸命働くので、家庭を顧みないこともあるかもしれないが、それで良いか?」という確認はしておいた方が良いということです。

経営者の妻になるということは、それくらい責任があるということなのですが、これを言わないで反対に「一生大切にする」とか言って結婚した結果、大変なことになっている方も多いようです(ーー;) 参考にしてください。

なお、私に答えて欲しい質問がある方は、トラックバックでご質問ください。そのうち気が向いたら(?)、お答えできるかもしれませ~ん(@^^)/~~~

2009年02月27日(金)更新

三河のサムライ結集!? 地域ブランドを世界に発信

私の主宰する「高収益トップ3%倶楽部」では、毎月1回会員向けに情報誌を郵送しているのですが、そのなかで以前「サムライ日本プロジェクト」の話題を取り上げたことがあります。

この「サムライ日本プロジェクト」とは、2年前に愛知県東部の三河地域の商品を集めて、世界に売り込むために発足したプロジェクトなのですが、現在4地域24社が“結集”し、『サムロック』ブランドの商品を作っているのです。


サムロック


上の写真は、創業明治三十五年の太田油脂株(岡崎市)の商品ですが、ご当地三河で栽培された菜種の圧搾油を使った「「和灯(わあかり)」です。こんなふうに参加企業の商品は、中身はそのままに、みな『サムロック』という統一のロゴを付けて“武装”しているのです。

地元の「五万石サイダー」は「三河国サムロックサイダー」に、特産品の味噌やきしめんも『サムロック』ブランドに、さらにはキャラクターグッズなども含め、いよいよ今春(2009年)から本格的に世界進出を始めるようです。
『サムロック』ブランドの情報発信は、インターネット上の仮想国「三河国」を通じて行うようですが、技術力はあってもうまく情報発信できない老舗企業を巻き込む方法としてはかなり秀逸ですよね(*^^)v

三河国では「老舗一店舗ではできないことも、数十社集まればブランドができる」とし、「地域を元気にする!地域を世界に発信する!」とかなりの意気込みを見せています。

三河国のサイトを作るにあたっては、「消費者が企業や商品を記憶するメッセージを明文化せよ」というお達しのもと、参加した各企業には、会社説明100文字、商品説明は短い3つのポイントを75文字以内にまとめるようにと指導したそうです。

制作サイドの都合って気もしますが(笑)、「明文化するポイントは、この文章を読んだ人が、家族や友人にそっくりそのまま伝えられること」という指導は、じつに的を得ています。

ブランドを訴求させるには、自社のウリをきちんと文章にまとめるというプロセスが、とても大切なんです。・・・これ、意外ときちんと出来ている会社って少ないんですよ(――;)

もちろん、みなさん口では上手にしゃべれるんですが、発信が世界規模となると、いちいち説明して歩くわけにはいきませんから、これからはますます、社内の情報はすべて文章化するという企業風土のある会社が勝ち残ることになると思います。

高収益トップ3%倶楽部」では、「話して人に伝わることは、それを文章にして届けても、相手が読んでくれさえすれば、同じ効果を発揮する」と教えているんですが、ぜひ自社のサイトもそんな目でチェックし直してみてください(@^^)/~~~

・・・それにしても、企業が集まって「統一ブランドで世界に発信する」っていいアイディアですよね。この経営者会報ブログからもそんなムーブメントが生まれたら、かなり楽しいと思います♪

2009年02月23日(月)更新

毎日気になるクセになる!? 「超一品.com」

このところ、ちょっとハマっているサイトがあります。「超一品.com」…毎日たった「一品」だけしか販売しない異色の通販サイトなんです。


超一品


今日(2009年2月23日)の「一品」は、「ハンディコードレスクリーナー」…車のお掃除などにも便利に使えそうですよね。こんなふうに毎日0時を過ぎると商品が入れ替わり、たった「一品」を24時間だけの“特価”で販売するのです。

特に家電製品やパソコン周辺機器などは、店舗価格の3~4割引きで買えるようです。安さの秘密は、メーカーとの直接取引と、1シーズン前の在庫を扱うことみたいですよ。
このサイトを運営するのは、「AOSテクノロジーズ」というソフト開発会社ですが、他の通販サイトが「豊富な品揃え」に懸命になる中、みごとなまでに真逆に舵を切ったわけです。

また、サイトの文章にもかなりこだわっていて、同社では専門のライター社員を雇い、この商品を使うと日常にどんな“変化”が訪れるのかを、絶妙なタッチで紹介しています。

単なる「スペック」の比較に留まらず、その商品に「ストーリー」を持たせているところも人気の理由かもしれません。バックナンバーは「ブログ」から読めますので、サイトやメルマガの文章にお悩みの方は、参考にされるといいかもしれませんね。

それはともかく、昨年秋にオープンしたこの「超一品.com」には、在庫の商品を扱ってもらおうと、メーカーさんからのアプローチが絶えないみたいです。

つまり、仕入れの心配はほとんどしなくても大丈夫な状態で、毎日サイトの更新に専念していれば、一定の売上が上がるしくみが出来上がっているのです。

今や大企業から個人商店まで、数えきれないほどのネットショップが乱立し、「今さらネットショップなんて…」とお感じの方も多いと思いますが、まだまだ知恵を絞れば、後発でも十分勝てるということです(*^^)v

ネットはすでに「情報の大洪水」と化していますから、『探さなくてもいい便利さ』をお客さんに上手に提供することは、とても大事な視点だと思います。

欲しい商品を探して、数件のネットショップを行き来しているうちに、あっと言う間に30~40分経っていた…なんて経験、みなさんお持ちではありませんか?

ですから、忙しい現代人は妙な自制心が働いて、すでに買う商品が決まっているか、よほど時間があるときでないと、ネットショップを訪れなくなっているのかもしれません。

それに対して、この「超一品.com」は、ページを開いたら、興味があるかないかを“1秒”で判断できますよね。だからこそ、リピーターが増えるのです。

現に私も、このサイトの存在を知ってから、不思議と毎日気になって、ついついチェックしてしまいます(――;) もし、自分が見なかった日に、超お買い得品があったらどうしよう…なんて心理が働くのかもしれません。

ネットが人々の生活に深く入り込んだ今では、消費者の心理や行動も、「ネット初心者」の頃とは大幅に変わってきています。経営者は、その“変化”を常に感覚としてつかみ、自社のマーケティングに活かす必要がありそうですね(@^^)/~~~

2009年02月13日(金)更新

造園業界の救世主!? 「モザイカルチャー」に注目

「モザイカルチャー」ってご存じですか? ひとことで言えば、植物を使った造園アートのことです。フランスで生まれ、カナダで育ったアートだそうですが、3年に1度開かれる世界博が、今年の9月に日本で初めて浜松市で開かれることもあって、今、にわかに注目を集めているのです。


モザイカルチャー



上の写真は、昨年(2008年)9月に、はままつフラワーパークに登場した赤塚不二夫さんのキャラクター「ウナギイヌ」のモザイカルチャーです。「うなぎに驚くウナギイヌ」という題名まで付いていて、ウナギイヌがツボから顔を出すうなぎにびっくりしている様を表現したものですが、なかなかよく出来てますよね(*^_^*)

このモザイクアート、どんなふうに作るのかと思えば、まずは金属で骨組みを作り、それに網をかけ、土を詰め込んで土台を作るのだそうです。そこに花や緑を植え込んで、立体作品に仕上げていくようですが、今、浜松市では、20社近い造園会社が集まり実践講習会なども開いているみたいです。
以前、私のブログにも、「田んぼアート」を取り上げたことがあるのですが、日本人の元来の器用さを持ってすれば、この「モザイカルチャー」も、日本でさらに発展する可能性があります。

近年、環境問題や都市の緑化に関心も高まっていますから、もしかしたら、「モザイカルチャー」は造園業界の救世主になるかもしれません。

なにより「生きた」植物を使っているところがいいですよね。銅像と違い、置いただけってわけにはいきませんから、必ずメンテナンスが必要になります。そう考えると、これを立派な「ストック型ビジネス」に育てることも可能です(*^^)v

さらにいいのが、公園などに置くとかなり目立ちますから、それがランドマーク的な存在になってしまったら、やめるにやめられない…状態にもなるわけです。そういえば、名古屋駅のJRセントラルタワーズのクリスマスイルミネーションは、あまりに有名になってしまって、もうやめられないみたいですよ(――;)

名古屋だけでなくクリスマスイルミネーションも年々大掛かりになっていますが、かなり費用がかかるのもこれまた事実。しかし、たとえ赤字になったとしても、お客さんのニーズが高ければ、簡単に打ち切るわけにもいかなくなるのです。

企業も自治体も「消費者」の声には弱いですからね。造園業界もそんな心理を上手に利用して、この世界博をきっかけに、商業施設や公共空間に「モザイカルチャーを造りませんか?」と、どんどん提案してみたらいいと思います。

翌年からは、そのメンテナンス料であなたの会社が潤う…ことになるかもしれません。ぜひ参考にしてください(@^^)/~~~

2009年02月06日(金)更新

農家を継がなかった「セガレ」に出来ること

ちょっとユニークな活動をしているグループを知りました。その名も「セガレ(倅)」。農家を継がなかった子どもたちが「継げなくてごめん」という気持ちをエネルギーに、自分たちにも何かできることはないかと模索しているプロジェクトだそうです。

たとえば、都心で「産地直売会」を開いたり、イベントに参加して「いも煮」をしたり、「倅新聞」を発行して情報発信をしたり…とにかく農家を継がずに東京で働くセガレ(息子)やセガール(娘)たちが、楽しみながら農家の広報活動をしているのです。


segare


この会の発起人たちはみんな、農業を継げとは言わずに黙って東京に送り出してくれた父や、仕事に行き詰ってふらっと帰ったときには、何も聞かずに受け入れてくれる母のやさしさに対して、「いつか恩返ししたい」と思い続けていたんだそうです。
そのきっかけを作ろうと、農業をテーマにしたビジネススクールを受講したところ、そこで農家を継がなかった同世代の3人が知り合いになり、飲みながら実家の話をするうちに「今、できることがあるんじゃないか」と、立ち上げたのがこの「セガレ(倅)」。2007年9月のことでした。

こんな話を聞くと、つい「応援したい」って気持ちになりませんか? 私がおもしろいなぁ~と感じるのは、情報化社会が進んだことで、誰しもの心のなかにあるそんな“良心”をカタチにすることが、とても簡単になったということです。

ネット社会が生まれた頃は、「誹謗中傷」のような、どちらかといえばダークな情報が独り歩きしていたものですが、社会が成熟すると、今度はそれに勝るスピードで「良い話」が走り抜けていくようになる…ということでしょうか。

今年の初め、私のブログにも『世界が注目!? 間寛平のアースマラソン』という話題を取り上げ、「進化した情報社会とは、世界が個人の夢や純粋さを応援しやすい時代」だと書いたのですが、この「セガレ」も純粋に活動していけば、応援してくれる人がどんどん増えるのではないでしょうか。

私は企業もまったく同じだと思っています。多くの人の心のなかに眠っている「そうそう、こういうことしたかったんだよね」とか「ずっと気になってたんだけど…」みたいな部分を引き出し、それを解決してあげる商品やサービスを提供することができたなら、たいした宣伝などしなくても、世の中にあっと言う間に拡がっていくものなのです。

こう考えていくと、どうやらこの時代、経営者の発想や考え方がますます重要であることは間違いなさそうですから、私の主宰する「高収益トップ3%倶楽部」では、『世の中は自分のためにお金を出して実験してくれている』を合言葉に、ビジネスの発想力や時代の読み方のトレーニングをしてもらっています。

このブログにも、そんな視点から質の高い情報をどんどん提供していきますので、ぜひ参考にしてください(@^^)/~~~

2009年01月30日(金)更新

女将直伝「接待講座」 懐石料理店の新ビジネス!?

このところの景気後退で、企業の「接待」もめっきり減っていると思いますが、そんななか、東京西新宿の「京王プラザホテル」内の懐石料理店「蒼樹庵」では、女将自らが講師を務める、若手ビジネスマン向けの「接待講座」をスタートさせました。

その昔、接待のノウハウなどは、上司に連れられて「実地訓練」で学んだものですが、今や接待そのものの回数が減っているわけですから、若手のビジネスマンには実地で学ぶ「場」がないというわけです(-_-;)


soujyuan


接待そのものの賛否は別として、たとえ回数は減っても、この世界はゼロにはなりません。それどころか、接待は本当に大事なお客さまだけに絞って行うようになる企業も増えるはずですから、ますます「失敗」のできないものになるわけです。

さらに、大事な方を「もてなす」という心を学ぶことは、若手ビジネスマンたちにとっても、意味のあることだと思います。これも、社員教育の一環と言えるかもしれませんね。

そんなところに目をつけたこの「接待講座」は、まさにアッパレ!です。手間はかかるにしても、部屋を空けておくよりよっぽどいいですし、将来の「顧客」を育てるという意味でも、価値ある取り組みだと思います(*^^)v

2時間の講座では、予約や準備の仕方、当日の流れ、接待をする側として知っておくべき基本的なマナーをはじめ、実際に懐石料理をいただきながら、和室での作法や箸のお椀の蓋の扱い方まで、女将が親切に教えてくれるんだそうです。

女将いわく、「とくに懐石料理は若い世代には経験がなく、緊張してぎこちなくなってしまう人が多い。講座は接待する側にももっと楽しんでほしいとの狙いもある」のだそうです。

さらに、「接待を成功させる秘訣は、店の人を味方につけること。こちら(店)も皆さんのお役に立ちたいと思っていることを知ってほしい」と話しています。

考えてみれば、仕事の基本はすべて「コミュニケーション」です。取引先はもちろん、お店の人とも円滑なコミュニケーションを築けるようでなければ、一流のビジネスマンとは言えませんよね。

次回の講座は3月に予定されていて、受講料は料理、飲み物込みで1万円だそうです。あなたの会社の若手社員も、“修行”に出してみるのも結構いいかもしれませんよ(@^^)/~~~

2009年01月23日(金)更新

月額制のブランドレンタル!? 時代とともに進化するビジネスモデル

みなさんご存じのとおり、このところの景気悪化で、消費マインドはかなり大きく変化しているようです。新聞や雑誌では「レンタルリッチ」などという言葉まで造り出し、洋服やブランドバッグ、家電製品や自家用車まで「賢く借りる」方法を特集していたりします。

そんなななか、このブランド品のレンタルサービスを、より進化させた企業が登場したのをご存じでしょうか? ブランドレンタルの「ORB(オーブ)」では、なんと、レンタルに『定額制』を採用したのです(@_@;)


orb


これまで、ブランド品のレンタルといえば、ブランド品の販売会社が、売上が落ちてきたことに危惧を感じ、新規事業として立ち上げるようなケースがほとんどでした。

たとえば、会員制のレンタルサービスカリルのように、そのシステムも、ブランド品のバッグやアクセサリーを「週単位」や「月単位」で借りることができる…といったものでした。

ルイ・ヴィトンの定番ショルダーバッグであれば、1週間5,000円程度で借りられるようで、友人の結婚式や同窓会などの日程に合わせて利用する女性も多いらしく、金融危機が本格化した昨年の11月には、通常の約7倍の利用があったそうですよ。

しかし、この「ORB(オーブ)」は他とまったく違っていて、たとえば、月に9,800円を支払うと何度でも“交換自由”なシステムになっているんです。ですから、通勤用にはコレ、週末にはパーティーがあるからコレに交換…といった具合に、自由に選びながらバッグを借りることができるというわけです。
これって、TSUTAYAがDVDレンタルに採用した『ツタヤディスカス』のシステムと全く同じですよね。1本いくらだったレンタル料を、月額制にしたことにより、会員の囲い込みに成功した事例です。
 
私が主宰する高収益トップ3%倶楽部の会員さんには、『この世は自分のためにお金を出して実験してくれている』を合言葉に、いつも世の中を上手に切り取る眼を持つためのトレーニングをしてもらっているのですが、他業界の成功事例をストックしておけば、いざと言うときに、時代に合ったカタチにアレンジして、新しいサービスとして展開することも十分可能なのです(*^^)v

さらに驚くべきことに、先の「ORB(オーブ)」を運営しているのは、国内や海外での美術展覧会の企画及び運営を手がける世界文藝社」という会社なのです。どういう経緯でこの事業をスタートしたのかまでは調べていませんが、上手にトレンドをつかんだ事業展開ですよね。
 
これはほんの一例ですが、今、世の中ではこれまでは「所有」することが当たり前だったモノまで、「レンタル」したり、「シェア(共有)」したり…という動きが急速に広がっています。今後しばらくは、いろいろな業界で「シェア」をキーワードにしたサービスが登場してくることでしょう。

この事例を参考に、ネットやIT技術をうまく活用しながら、自社でもそんなサービスを展開できないか…楽しみながら、あれこれ考えてみるといいかもしれませんね(@^^)/~~~

2009年01月16日(金)更新

カラオケで声優体験!? 既存のインフラにサービスを乗せるという発想

このところ、カラオケボックスの使われ方が大幅に変わってきているようです。子ども連れの主婦層がランチタイムのおしゃべりに使ったり(子どもたちがいくら騒いでも平気ですからね)、ビジネスマンが会議室代わりに利用したり、はたまた漫画家が気分転換のための仕事部屋にしちゃう…なんて利用方法もあるみたいです。

つまり、カラオケボックスで「歌わない」客が増えているってことなんですが、そんななか、通信カラオケ『JOYSOUND』を主力ブランドとする「エクシング」では、カラオケで声優体験ができるコンテンツ「アフレコ!」のサービスを昨年(2008年)12月より開始したようです(@_@;)


アフレコカラオケ


このサービスは、バンダイナムコゲームスが開発した声優体験ゲーム「アフレコ!」をカラオケ店で利用できるようにしたもので、利用客は、手本となるアニメの名場面を見た後、画面に表示されるセリフを、キャラクターの口の動きに合わせてマイクで吹き込むのだそうです。

すると、収録終了後にすぐに映像が自分の吹き込んだセリフとともに再生され、吹き替えのうまさを3段階で判定してくれる、というものです。当初、「機動戦士ガンダム」「母をたずねて三千里」などの6作品、48場面の吹き替えができるようですが、みんなでやったら結構盛り上がりそうですよね!(^^)!
カラオケ市場が伸び悩むなか、同社はこのサービスをカラオケ機本体の拡販につなげる戦略のようですが、これまでカラオケ店側も、一人客を取り込むために「ヒトカラ」を積極的に提案したり、先に挙げたような「ランチタイム」メニューを増やしたりと、独自の工夫で販促活動に奮闘してきたものの、次の段階として“質の高いコンテンツ”とコラボする時代に突入したのかもしれません。

この声優体験ソフトも、ひとまず秋葉原あたりを重点的に攻めて(笑)、ネットでのクチコミで拡げていけば、全国区のサービスに成長させることも可能かもしれませんね。

こんなふうに、カラオケボックスをひとつの「インフラ」と認識したとき、そこに乗せられるサービスは無限にあると思いませんか? そして大手企業ばかりでなく、われわれ中小企業がそこに参入できる可能性も十分あると感じます(*^^)v

時に未曾有の不景気が世界経済を襲い、メーカー系大手企業は特に、急ブレーキがかかったような状態になっています(――;) もちろんわれわれにとっても厳しい環境にはかわりありませんが、同時に「ピンチはチャンス!」でもあります。

ぜひプラスの方向に発想を拡げ、カラオケ店ばかりではなく「既存のインフラ」に自社の商品やサービスを上手に乗せる方法を、楽しく模索してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

2009年01月09日(金)更新

新車「卑弥呼」を生んだ光岡自動車のモノ創りに学ぶ

2009年が幕を開けましたが、不況ムードも色濃く、いささか不安なお正月を過ごされた経営者の方も多いのではないかと思います。

今年前半はとくに、景気は恐ろしく後退すると思いますが、同時に変化はチャンスでもあります!このチャンスを活かすべく、私も質の高い情報を発信していきたいと思いますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。


車「卑弥呼」


というわけで、今年一本目のブログは、知る人ぞ知る富山の自動車メーカー光岡自動車が昨年(2008年)12月に発表した新車「卑弥呼(ひみこ)」にスポットを当て、同社の「モノ創り」の姿勢についてお話してみたいと思います。

以前、私の主宰する「高収益トップ3%倶楽部」の会員向け情報誌でも取り上げたことがあるのですが、光岡自動車という会社はたいへんユニークな会社で、2001年に発表された「大蛇(オロチ)」が同年のカー・オブ・ザ・イヤーの部門賞を受賞したことでも話題になりました。
そのオロチの発売に踏み切ったのは06年のことですが、1台約1,200万円という価格にもかかわらず、世界中の富裕層から注文が殺到し、一時はオーダーしても納車が8ヵ月先…なんて状況になっていたんです(@_@;)

というのも、同社は「量産」とは真逆に舵を切っていて、オロチの生産ラインは持たず1台1台手作りするため、1台が完成するために約3ヵ月を要するのです。そのため、未だ全世界に100台もない車ということで、その希少価値が富裕層の心をさらにくすぐっているんです。

つまり同社は、全世界の車好きの富裕層をガッチリつかんでいるわけなんですが、なぜそれが可能になったのか…それをひとことで言うなら「モノ造りの姿勢」が他社とは圧倒的に違うからです。

同社でオロチのデザインを手がけたのは、同社でオロチのデザインを手がけたのは、それまで実績のなかった20代の新人デザイナーだったのですが、彼の車への情熱はハンパではなく、ただただ「理想の車」を追求していったそうです。

もちろんそれを後押ししたのは、「日本のエンツォ・フェラーリ」の異名をとる創業者の光岡会長なのですが、「優等生みたいなデザインはダメだ。フェラーリとすれ違った時に、子どもたちが『こっちがすごい』と言わせるようなクルマを考えろ!」と彼を叱咤激励したようです。

つまり、市場の要請やマーケットリサーチなどとは一切無縁の世界で商品開発を進めているのです。こんなふうに純粋に「好き」を追求している姿勢が、ディープなファンの心をわしづかみにするわけですね。

上の写真は新車の「卑弥呼」ですが、これもオロチと同じ若手デザイナーの作品で、邪馬台国の女王・卑弥呼の気品と風格をイメージしながら「女性が運転したくなるスポーツカー」をとことん目指したそうです。

業界の常識にどっぷり浸かったプロからは決して出てこない、純粋に「好き」を追求するマニア的発想が世界中の顧客をつかんでいく…進化した情報化社会とは、こんな世の中なのです。ということは、われわれ中小企業にも十分商機があります(*^^)v

時代のキーマンは「すさまじいほどに何かを好きで、それにのめり込んでいる人間」です。そんな人材が社内にいる会社は、くれぐれも経営陣がその才能にフタをしてはなりませんし、そんな人がいない会社は、積極的に探して、すかさず雇ってもいいくらいです。

これからの経営者に一番必要なのは、「本当に自分が創りたいものを創れ!」と、個人の才能を存分に発揮させていけるだけの度量かもしれません。こんな時代であるからこそ、経営者は思考の枠組みをさらに広げていく必要がありそうですね(@^^)/~~~

2008年12月26日(金)更新

「サイバンインコ」が貢献!? 裁判員制度の広報活動ウォッチング

今週、私のブログにも書いたのですが、来年(2009年)5月には、いよいよ「裁判員制度」が施行されます。この制度の施行には、私も重要な意味合いを感じているのですが、テレビのワイドショーなどでは「どうやったら断れるか」という取り上げられ方ばかりされていて、ちょっと残念な感じがします。

そんななか、制度のPRに活躍しているのが『サイバンインコ』です。これは、福岡高等検察庁が考案した広報キャラクターなのですが、全国の地検・高検で60あるキャラクターのなかから、今年6月、自ら着ぐるみを着たこともある当時の鳩山邦夫法相が統一キャラクターに任命したものです。


裁判インコ
 

その『サイバンインコ』が、なんと今年初めて「現代用語の基礎知識」に掲載もされたのをご存じでしょうか? 「裁判員制度」自体は数年前から掲載されていたものの、それとは別に『サイバンインコ』は、「ユニークなネーミングもの」のコーナーに写真つきで掲載されているそうです。
情報化が進んだ今日においては、いくら重要な制度とはいえ、ただまじめに説明するだけでは、波及効果はほとんどありません。よくお役所が作ってしまうような、「ごく普通」のパンフレットや冊子では、誰も関心を示さないのは明らかですよね(――;)

対して、こんなふうにちょっとかわいくて、一度聞いたら忘れられないようなネーミングの効果は、絶大なものがあります。しかし、サイバンインコの人気が、直接「裁判員制度」の理解を深められるかと考えると、そう単純にはいきませんよね。

みんなが面白くて刺激的な情報に慣れてしまった社会において、いったいどんな方法で“正しい情報”を波及させていけばいいのか……裁判員制度の広報活動を眺めながら、ちょっと考えさせられてしまいました。

結論から言えば、「できることは全部する」という方法しかないと思います(*^^)v

この「サイバンインコ」のようなキャラクター戦略もしかり、私のブログに書いたような「ゲーム」もしかり、映像もしかり、書籍もしかり……という具合に、メディアごとの特徴を加味しながら、映像には映像に向いた情報を、書籍では書籍ならではの情報を発信していく、つまり打てる手はすべて打つといった感じでしょうか。

じつは、経営も全く同じなのです。よく「AとBの戦略、どちらを採るべきでしょうか?」という相談を持ちかけられることがありますが、状況が許すなら、「どちらも!」というのが私の答えです。

とくに来年前半は、消費の極端な冷え込みが予想されます。そんな時代下においては、できれば、何十個もの戦略を同時に採っていくぐらいの気概と緻密さが必要かもしれません。

経営は「仮説と検証」の繰り返しです。ぜひ来年も、この「経営者会報ブログ」というコミュニティーを大切に、みんなで元気に頑張っていきましょう(@^^)/~~~
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ボードメンバープロフィール

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石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

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