石原明の「知的経営の切り口」 | 経営者会報 (社長ブログ)
企業を発展させるための経営のヒントについて、独自の切り口で紹介します。
2009年05月22日(金)更新
顧問料に見合わないお客様の断り方
== 質 問 ==
私は、地方の税理士事務所を経営しています。新規顧客については、仕事量に見合う顧問料のお客様のみを顧問先として、見合わないお客様についてはお断りをしたいと考えています。その際の断り文句としていい言葉があれば教えてください。
ちなみに、その言葉は既存客の値下げ交渉などを断る時にも有効かを教えてくださると助かります。
== 回 答 ==
こういう場合の断り文句はこちらから断るというかたちではなく、条件を提示して相手に判断させる・・・断る場合でも相手から断ってもらうかたちにすると良いと思います。
また、この相手に判断させるということを覚えると、値下げの交渉にも役立つと思います。練習してみてください。
== 解 説 ==
こういう場合の断りの文句としては、
「申し訳ありません、その金額だとなかなかお受けすることは難しいのですが…。どうしましょうか?」
あるいは、
「業務の内容をこれだけにしていただければ、その金額でお受けすることが出来ますがいかがですか?」
などと、条件を付加して相手に判断させるというかたちにするといいと思います。
こうすれば、こちらから直接出来ませんと断ったかたちになりませんから、話が穏やかに進みますし「あの税理士事務所は・・・・」などといった変な評判を立てられることなく、あまり受けたくない仕事を受けなくて良くなりますから、業務に支障が無くなります。
とくに地方で仕事をする場合は、評判や風評が意外に大きな影響を与えてしまったり、何かの情報が思わぬ形で広がってしまって、後で結構大変になったりすることもありますので、断る時には、なるべくこちらから断るかたちは避ける方が良いということです。
値下げの要求についても、
「だったらこういう形にして今の金額を維持するのはどうでしょうか?」
あるいは、
「御社の側でこういう業務をしていただければ出来ますが・・・」
というかたちですね(*^_^*)
また、その際、今の金額でこんな業務をしているということも説明できれば、値下げを跳ね返せるかもしれません。
こういうかたちで条件を付加することで、「YES」か「NO」の二者択一の単純な答えから「交渉」の世界に話を展開させられます。ぜひ参考にしてください。
いかがですか? 私の発行する週刊メールマガジン、『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです! 』(購読無料)では、毎週メルマガ読者のみなさんからの質問にこんな感じでお答えしています。
これまでのQ&Aも「バックナンバー」にたくさんあるので、興味があればぜひ覗いてみてください。もちろん、質問も随時受付中です(*^^)/~~~
2009年05月15日(金)更新
企画の勝利!? 人前緊張経験DVD
訓練用のDVDといっても、画面にはこんなふうに人がずらーっと並んでいるだけ…つまり、この画面に向かって、人々の視線を感じながら、勝手にスピーチの練習をするというわけです。
社会人になると、面接はもとより、朝礼や会議、客先でのプレゼンテージョンなど、人前で話す機会が増えるものですが、この「人前で話す」ことに対して苦手意識を持っている人は、かなりの数がいると思います。つまり、マーケットとしては十分だということです。
しかし、もし仮にあなたの会社がこのターゲットに向けてのDVDを企画開発することになったら、いったいどんなアイディアを出せるでしょうか?
まず最初に思いつきそうなのが、どこからか話し方の先生を連れてきて、話し方の基礎からレクチャーしてもらう…なんて企画ですよね。このDVDみたいに、「人の視線だけを再現する」なんて企画、なかなか出そうで出ないと思いませんか?
おまけに有名な先生を連れてくるのと違って、制作費も意外と安く済みそうですから、まさに企画の勝利だと思います(*^^)v
このDVDは、朝礼(5人、10人、20人)、自己紹介、会議室発表、発表順番待ち、役員プレゼン、面接というそれぞれのシーンを再現していて、最後に特典影像として「発表成功イメージ」が収録されています。
今回はビジネスシーンに絞って作られていますが、結婚式でのスピーチや大ホールでの講演など、練習ができないシチュエーションを再現するのもおもしろいかもしれませんね。結構、シリーズものにしてもイケるかもしれません。
このDVDのプロデューサーも、「『場数を踏めば慣れるよ』と気軽に言われても、そんな『場』が『毎回本番でしょう!』と言いたい。だからこの人前緊張経験DVD『あがりがあがり』をどうしても作りたかった!」と語っていますが、まさにそのとおりですね。
練習できないシチュエーションを疑似体験させる…このコンセプトは、もっといろいろな企画に発展させられそうな気がします。
経営者の“脳トレ”には、こんなふうにビジネスアイディアの発想を拡げることが一番です。ぜひ楽しく考えてみてください(@^^)/~~~
2009年05月08日(金)更新
デザイナーがすぐに辞めちゃう!? クリエイター職の教育を考える
== 質 問 ==
企画デザイン会社を経営しておりますが、営業ではなく、デザイナー(女性)の教育に苦戦しております。続いても2年で退職してしまいます。一言では言えないと思いますが、どういうステップで進めていけばよいでしょうか?
== 回 答 ==
仕事の種類や内容によって、なかなか社員化するのが難しい職種がありますが、デザイナーをふくめ、クリエイターなどは、その典型的なパターンだと思います。ですので、無理に社員化しなくてもいいのではないでしょうか?(こんなこと言うと怒られそうですが、本当にそう思っています!)
== 解 説 ==
ちょっとセンセーショナルな発言をしてしまいましたが・・・この回答の大前提として、確認すべきことがあります。「教育」と言う内容ですが、これってどんなことなのでしょうか?
これがもし、デザインの能力やセンスの「教育」だったら、仕事的にかなり才能が関係してしまうので難しいと思います。・・・・・ということは、教育は不可能だということです。なので、求める仕事のレベルに合った人を採用することを考えた方が良いと思います(こういう意味の「教育」の場合は、以下の答えには当てはまらないのでご容赦ください)。
ということで、今回の回答は、「教育」の内容が、会社の理念や社長の考えに沿って行動すること、という意味でお答えします。それで、回答は何かというと、『社員化には向かないので、あまりそういう教育を強要しない方がいいのではないか』というコトです(ーー;)
これは、その社員も会社側も、どちらも大変になるのでしない方がいいって感じですが、そもそもクリエイター職というのは、職種的に経営理念や社長の考え方に即しないほうが能力を引き出せる種類の仕事・・・と考えて、理念などは押し付けない方がいいと思っているということです。
もっと言うと、そもそも、社員という扱いでこういった仕事をする人を採用しない方がいいのではないかということです。
その理由は、デザインやクリエイターという仕事は、芸術系なので、自由度やわがままさが非常に重要で、変に人の意見を押し付けたり、ひとつところに閉じ込めて置くと、才能が活かされなかったり、逆に枯れていってしまうからです。
ましてや、企業理念に沿って行動させたりしたら、創るモノから独創性が無くなってしまうと思います。ディレクターという仕事がなぜ重要かというと、そういう人間をコントロールするためですね(*^_^*)
もちろん、ということは、特殊な分野なので一般の社員さんとは分けて組織化に加えたりする経営上の考慮が必要ですから、それを社内には良く分かるように説明して混乱の無いようにしないといけないですが、扱いはあくまでもそういうふうにした方がいいと思います。
また、そう考えると、2年はどうかと思いますが、入れ替わるということ自体は、そう悪いことではありません。経営はいろいろな要因が集まって行われる行為ですが、業種・職種によってはこういう経営の形態も必要になるんだなと考えてみてください。
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2009年04月24日(金)更新
ブックカバーを広告メディアに!? 東芝キャリアの着眼点
東芝の子会社で、エアコンを手がける「東芝キャリア」では、下の画像のようなブックカバーを、全従業員とその家族に配布し、エアコンが最も売れる7月までの間、『移動広告』作戦を決行中なんです!(^^)!
ブックカバーでは、経済産業省の「省エネ大賞」を受賞したことをアピール大きくアピールし、デザインも3パターンあるようですが、それぞれホームページからもダウンロードできるようになっています。
なんでもこれを厚紙にカラー印刷したものを、国内社員、約2,500名に配ったそうですよ。折り目の付け方で、文庫にも新書にも使用できるみたいです。
印刷代などの経費は、約20万円ほどだったそうですが、電車のつり広告だと、都内では2日間で数千万円ほどかかることを考えれば、社員の通勤時間を「広告宣伝」に使うことで、少しでも広告費の削減に貢献できるかもしれません。
折りしも、省エネ性の高いエアコンは、5月15日から始まる「エコポイント」の対象になるようですから、同社でも「省エネのアピール効果も高まる」と期待を寄せているそうです。
あとは、配った社員がどれだけ積極的に使ってくれるかにかかっているわけですが、結構これで、愛社精神が計れたりするかもしれませんね(笑)。
それはともかく、ブックカバーを「広告メディア」として積極的に活用しようとした、同社の着眼点は、すばらしいと思います。実際の宣伝効果はともかく、現にこうして話題になっているわけですから、それなりの成果はあるはずです。
こんなふうに、「ちょっとした」発想が、差別化戦略になっていったりしますから、経営は本当におもしろいですよね(*^^)v
あなたのまわりにも、誰も気づかなかった「広告メディア」があるかもしれませんよ。ぜひ、このゴールデンウィークを使って、積極的に“キョロキョロ”してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2009年04月17日(金)更新
「好きを仕事に」は正解か!? 経営者の立場で考える
== 質 問 ==
現在の仕事は「好き(趣味など)」と関係ありますか?
== 回 答 ==
社長業や経営を考えた時に、好きなことを仕事にできたら確かに幸せですが、好きでないことや苦手なこと、もっと言うと大嫌いなことを仕事にしても良い経営は出来るはずです。
また、経営をこういう形で捉えたら勉強になると思いますので、ぜひ参考にしてください。
== 解 説 ==
いろいろなビジネス本を読むと「好きなことを見つけなさい」とか「好きなことを仕事にすれば成功する」というように、好きを仕事にする事例が結構多いので、こういう質問が来ると思いますが、あくまでも私的な見解ですが、そんなに好きなことにこだわらなくてもぜんぜんかまわないと思います。
というのも、そういう本を書いた方は、たまたまご自身が好きなことを仕事にして上手くいったことを絶対視(?) して書いている場合も多いので、自分はこうだったと言っているのであって、現実にはそれだけが成功の条件ではまったくありません。(もちろん参考にはなりますので、なるほど、こういう方法もあるのだなって感じで、捉えていただければいいと思います)
ですので、「好きなことを仕事にしても、しなくても、経営は上手くいく可能性が十分にありますから、心配しなくてもいいですよ」なんて、よくこういう質問を寄せられた時には答えています。
特に、“自分はなかなか好きなことが見つからないので、まだ行動が出来ていない”といったように、行動しない理由にしてしまうことも多いので、好きを仕事にすれば成功・・・論自体は良いんだけれど、決め付けてしまうとちょっと危険なイメージを持っています。
もちろん、だから好きなことを仕事にしてはいけないといっているわけではありませんが、ビジネスモデルを考えようとする時には、最初に好きなことで・・・から入ってしまうと選択の範囲がすごく狭くなってしまうので、そんなにとらわれなくてもいいというのが正解だと思います。
また、現実にいろいろな経営者の方に今の仕事がどれくらい好きとか、最初から好きだったかを聞くと、本当にばらばらな意見が返ってきますので、気にしなくてもいいというのは現実だと思います。
さらには、「自分が成功したのは、この仕事が好きじゃなかったことで常に冷静でいられたからだと思う」・・・なんて答える社長さんもいますから、経営は面白いですよね。
今のあなたの年齢だったら、好奇心旺盛にしていろいろな考え方に客観的に触れていくといいと思いますよ。こういう質問って結構多いと思ったので、代表して答えてみました。参考になればうれしいです(*^^)v
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2009年04月10日(金)更新
USJで企業研修!? リソートホテルのパッケージプラン
ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)の公式ホテル「ホテルユニバーサルポート」では、飲食施設である「ポートダイニングアクア」を会議や研修にも使えるように改修し、昨年(2008年)7月から『ミーティングパッケージ』として発売を開始しました。
これまで、ホテルを会議や研修に利用する場合、宴会と同じような扱いになっていたと思いますが、この『ミーティングパッケージ』は、一人当たりの料金が明示されているのが特徴で、10名以上の利用で一人当たりの料金は3,500円。
これに食事やコーヒーなどをプラスして利用でき、従来どおり宴会場を予約する場合に比べて3割程度安くなるみたいです。
さらに宿泊をプラスして、「2日目はUSJで自由行動!」というプランも可能ですから、企業がユーザーを集めた商品説明会などを開いた場合でも、欠席率が際立って低くなる…なんて効果も期待できるようです。
また、このようなパッケージ商品を使えば、参加者人数から簡単に予算が割り出せるため、担当者の会場手配にかかる手間が大きく省けるというメリットもあるんです。ホテル側の担当者と打ち合わせをしたり、見積書をチェックする必要もありませんからね!(^^)!
もちろん、こうした研修市場を狙うことは、ホテル側にも大きなメリットがあります。閑散期や平日の稼動率が向上すれば収益性も上がるわけですから、今後、宿泊や飲食に次ぐ収益の柱に立てる方針だそうですよ。
今は派手な宴会をする企業も少ないでしょうから、ホテル側としても苦肉の策だったのかもしれませんが、このUSJの場合、「遊びに来てもらう場所にビジネスユースを呼び込む」という“真逆”の発想が必要だったはずです。
経営者のちょっとした発想の差で、企業の収益性が驚くほど変わるといういい事例だと思います。自社の商品やサービスを真逆のマーケットに提供したら、どんな変化が訪れるでしょうか? ぜひ、楽しく発想してみてください(@^^)/~~~
2009年04月03日(金)更新
日本人には不向き!? 「完全歩合」セールスの採用を考える
== 質 問 ==
住宅販売で、完全歩合制のセールスマンを訪問させています。5名を常時待機させていましたが、1人が体の具合が悪く動けなくなってしまったのです。
もっとセールスマンを増やしたいと考えていますが、なかなか完全歩合のセールスマンが増えていきません。募集の方法や、セールスマンの見つけ方で良い方法は無いでしょうか?
また、そもそも、完全歩合のセールスマンをと、考えるのがいけないのかもしれません。その辺も含めたアドバイス、どうぞよろしくお願いいたします。
== 回 答 ==
完全歩合のセールスマンで販売組織を作るというのは、おそらく日本では難しいと思います。もしするにしても、かなり工夫が必要ですので、考え直した方がいいのではと思います。それに、そもそも、経営そのものが大変になってしまいますよ。
== 解 説 ==
結論から言うと、完全歩合の営業が継続的に成り立つことは、日本では難しいと思います。これは、私自身が厳しい営業の世界にいたことがあるので、とてもよくわかります。フルコミッションでも平気で成果を上げていける人は、日本では何千人にひとりといった割合だと思いますよ。
誤解のないように聞いていただきたいのですが、アメリカ人などは、もともと外向き(不安を持ちにくい=なんとかなるさ…的明るさがある)ので可能ですが、日本人は、基本、根暗で心配性な部分を持っているので、フルコミッションのセールスなどはまったく向いていません。だから、営業組織を作って一時的に機能したとしてもすぐに壊れると思います。
もし、どうしても歩合制でやりたいというのであれば、歩合の支給の仕方を変える…例えば、1件当たりの金額にもよりますが、歩合の支払いを、成約時に半金、残りの半金を12ヶ月に分割して支払うと、生活が半金の方で維持できるようになるので、精神的プレッシャーからは解放されます。
また、この方法だと、そのセールスマンが何かすると、残りの半金がもらえなくなるので、リスク管理になりますね(ーー;) 多くの保険屋さんの歩合は、基本この方法で12ヶ月とか24ヶ月とかで割って支給されます。
また、住宅だとちょっと難しいですが、成果報酬の歩合にストックを付けるという方法があります。例えば、問屋業などルートで流れる商品の卸し先を開拓したら、その問屋に商品が流れている間は、ずっと何%かは、支払ってあげるという形を考えます。
これだと、こちら側はリスクが無く、営業側はストックのメリットが生まれ生活が安定しますので、もっと一生懸命がんばってくれます。・・・というように、販売してくれる側にもう少し何かしてあげないと、継続は無理ですね。
セールスというのは、それくらい大変な仕事だということです。参考にしてください。
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2009年03月27日(金)更新
ブラジャーを回収!? エコをキーワードにしたワコールの集客に学ぶ
ヨドバシカメラでは、パソコンや携帯音楽プレーヤーなど、デジタル製品の「買い取り」を本格的に始めました。首都圏や関西の主力店に買い取り専用コーナーを設置したばかりか、この4月以降には、顧客の家まで出向く「出張買い取り」も始めようという意気込みです。
今や、パソコンや携帯音楽プレーヤーは、一人一台が当たり前の時代。今使っている製品の買い取りでもしないかぎり、新製品を売るにも、なかなか難しいのかもしれません(――;)
一方、ワコールと高島屋が協力して始めたのが、なんと! ブラジャーの回収です。4月22日までの期間限定ではありますが、来店客に上記のような専用のリサイクルバッグを配り、ワコール製品に限って、一人最大6枚までを店頭に持ち込んでもらうという方法です。
回収したブラジャーは、ワコールの流通センターへと集め、処理工場での粉砕、分別、圧縮の工程を経て、RPFと呼ばれる産業用の固形燃料にリサイクルするそうです。資源の有効活用という意味からも、お客さんの共感を得やすい企画ですよね。
しかし、この企画の裏には、きちんとした調査結果があるんです。同社の調べでは、約61%の女性が、「ブラジャーを捨てるのにためらいを感じる(躊躇する)」と答えているのだそうです。その結果を見て、「自宅のタンスに眠ったままのブラジャーは相当数に上る」と、同社は踏んだのです。
この話を聞いて思い出したのですが、かつて私が、とある法衣店(お坊さんの袈裟などを扱う会社です)のお世話をしていたころ、そこでも同じようなケースに出会ったことがあります。
その会社では、新しい法衣を売ろうにも、すでにどこのお寺もタンスがいっぱいなので、新しいものは全く売れないという状況が続いていましたが、古い法衣を引き取ったり、なかにはタンスごと引き取ったり…というサービスを始めたところ、あっという間に売り上げがあがりました(*^^)v
やはり、「入るスペース」を先に空けてあげない限り、新しいものは売れません。これは、和服などの業界でも、全く同じだと思います。祖母や母から譲り受けた着物なども、相当「捨てにくい」ものですから…。
王道ではありますが、こんなふうに、お客さんが困っていることに積極的に目を向けると、他社との差別化が可能になります。何も大それたことじゃなくていいんです。「ちょっとした」ことに目を向けるか向けないか…ここが分かれ道になっているんです。
先のブラジャーの回収にしても、リサイクル品を持ち込むことがお客さんの「来店動機」にもなりますし、企業がメッセージ性のある投げかけをすることで、意識の高いお客さんと繋がることが可能です。
この事例を参考に、「捨てにくいものが捨てられる」「エコに貢献できる」などの視点から、自社独自の顧客サービスを発想してみてはいかがでしょうか? 経営者は不況に嘆いてばかりいる暇はないはずですよ(@^^)/~~~
2009年03月19日(木)更新
カーフィルムが売れない…需要の減少にどう立ち向かうか
== 質 問 ==
私は現在、カーフィルムのメーカーに勤務し、カーフィルムの施工や車体のコーティングなどを行う、いわゆるカーディテーリング業者を対象に、カーフィルムの営業を行っております。
しかしながら、車にお金をかける人がだんだん少なくなってきているせいか、ここ数年カーフィルムに対する需要は伸び悩んでおり、それに伴って、弊社におけるカーフィルムの取り扱い数量も減少してきております。また、カーフィルムの施工を行う業者の数も限られていることから、新規開拓もままならないのが現状です。
こうした現状を打開するためにはどうしたらよいのか、アドバイスをいただければと思います。よろしくお願い致します。
== 回 答 ==
需要と供給の関係から考えてこのマーケットの変化は自然の現象です。現マーケットの中でのシェアを考えつつも、新しいマーケットへの方向転換を考えるべきです。
ただ、チャンスは多いと思いますのでアイディア勝負と考えてがんばってみて下さい。
== 解 説 ==
カーフィルムに限らず、車に付随した商品やサービスは顧客の嗜好が変化していることから、今後どんどん減っていくものと思います。
理由は、パソコンや携帯電話、ゲームソフトなどいろいろな商品やサービスが向上してきたことにより、車に対して消費者が感じている魅力そのものが低下してきているからです。
わかりやすい例としたら、それこそちょっと前までは女性にモテたい男性の必須アイテムとしての位置づけが車にはかなりありましたが、今はゲームソフトに強いとか、ITに明るいとか、お笑いのセンスがあるみたいなことが、モテルということに関して、車より上になったかもしれませんよね。
娯楽という点でもそうで、今度の連休に家族そろってドライブに行くことと、家でDVDを見るのとどっちが良いかと家族に聞くと、子供たちは結構「DVD!」って答えたりしますもんね(ーー;)
消費は、利便性の追求と感情と紐付いた行動によって形成されるものですが、車の消費を支えてきたのが、利便性よりも「感情的な面からの消費」と考えると、明らかに消費は下がっていくということです。
さて、そういう状況で今回の質問の回答を考えると、まずは絶対に消費はもっと下がって行きますので、その中でいかにシェアを下げないでいくかということと、今提供している商品やサービスを軸として、それを他の業界に向けて提供するナドといった新規のビジネスを作っていく以外に方法はないと思います。
マーケットの中でシェアを確保する方法ですが、あなたの会社が業界内である程度の規模を持っているのであれば、市場の衰退に合わせて廃業する企業等が出てくるはずなので、いち早く企業の合併や業務提携をうながすなどという方法が取れます。
また、小さい規模ならば、経費等は極力使わないで収益構造を改善し、マーケット内で最後に残る企業のいくつかに残るという方法があります。ただ、この場合はいずれも消極策ということになりますので、やはり新規のビジネスを今の仕事を基にして考える方がいいと思います。
その場合の方法ですが、新規事業を考える場合のセオリーでもありますが、御社の持っている長所を全て書き出す、抱えている問題点を全て書き出す、というようにリスト化して思考するといいと思います。
長所と短所を全て書き出し、それを眺めてデスカッションすると、いろんなアイディアがでてくるものです。
また、「フィルムの施工やコーティング×○○業=△△で大いに喜ばれるかも?」という計算式を作って、無理やり考えてみるなんていうこともスッゴクいいと思います。(これ、個人的にはかなり好きな方法で、新規ビジネスの立ち上げ時によく使います)
長所の中には、持っている技術やノウハウの他に、人的な経験、情報といった資産も含まれます。
例えば、今の販売ネットなどもまさに持っている大きな資産となるはずですが、通常何かの商品やサービスを考えた時に販売のネットを作るのはとっても大変な作業なのですが、みんな困っているわけですから、(今もっている技術やサービスを他業種に向けて提供するサービスなり商品を考えれば)あっという間に販売できるというわけですよね(*^^)v
そう、考えると結構チャンスがあると思います。参考にしてがんばってみて下さい。
・・・という回答を私がしたら、別の読者さんからこんな感想が届きました(*^_^*)
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私はオーストラリアの日系企業に勤めておりますが、今回の「カーフィルムのメーカー」の営業の方からの質問に対して私から提案があります。
オーストラリアなどの紫外線が特に強い国への海外展開を考えたらいかがでしょうか。
確かに、石原先生のおっしゃる通り、カーフィルムは「国内での」消費は下がっていくだろうと思われます。
しかし、紫外線が強く皮膚ガンの発生率がとてつもなく高いオーストラリアなどの国は下がらずむしろ人口も移民受け入れで増えて来ておりますので、マーケットは拡大していると感じます。
こちらのカーフィルム施工率はとても高いです。私の周りだけの話をしますと、20数人の同僚の中で、カーフィルムをしているのは、半数以上です。
私の車はしておりませんが、子供が産まれたこの機会につけることを検討しています。
新車を買うときは、必ずつけるかどうか聞かれますし、中古車を買うときは実はこれが重要なファクターとなります。以上、ご提案まで。
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どうですか? こんなふうに視点を変えると、ビジネスのアイディアってどんどん出てくるものですよね。
これから日本は少子化で、どのマーケットも縮小傾向に向かいます。みなさんのなかにも、同じような悩みを抱える方が多いと思いますので、ぜひ参考にしてください。
私のメルマガ、『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです!』では、毎週メルマガ読者のみなさんからの質問にこんな感じでお答えしています。
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2009年03月13日(金)更新
「テーマパークマンション」で勝負 高い家賃でも入居率9割超え!?
下記の写真・・・一体なんだと思います? これが、『テーマパークマンション』と呼ばれる賃貸マンションです。こんなふうに、一見“ぎょっ”とするようなマンションを扱っているのは「明来(あき)」という会社なんですが、独自のアイディアをもって、真っ向から勝負しているのです。
たとえば、漫画家の楳図かずおさんが自宅の紅白ストライプの外装で近隣と訴訟問題を起こしたときには、楳図さんを応援しようという気持ちから、「楳図かずおの紅白部屋」を作ったそうですが、募集してまもなく借り手が付いたみたいですよ。
その室内といえば、インパクトある紅白ストライプの壁に、キッチンの入り口は「とぐろ虫」の形、ベッドルームのくす玉を割ると直筆の「まことちゃん」の垂れ幕が飛び出す…という懲りようで、ちなみにこの部屋、延べ床面積約110平米で、家賃は24万円だとか。
同社は、大阪近郊で約4百棟、8千戸のマンションを管理しているそうですが、そのなかでこうした『テーマペパークマンション』は現在約20棟。部屋単位で改装したものから、一棟新築で作ったものまであるようです。
同業者には酷評されることもあるそうですが、同社の社長は「万人受けする物件は万人受けする家賃しか取れない。10人中9人に嫌われても、絶対住みたい1人がいれば家賃が高くても借りてくれる」と自信を見せています。
じつは、彼自身もなかなかの苦労人みたいで、結婚式のプロデュース会社やエステ機器のレンタル販売などのビジネスを経て不動産業界へ入ったそうです。当初は、銀行の債権処理に終始していたようですが、そうするうちに金融機関の信用が高まり、2003年に株式会社化しました。
その後、ファンドの資金流入でマンション建設が急増し、借り手や買い手が付かない物件が増えてことに目を付け、ここ4年のあいだにそうした物件を買い取って改装したり、新規に作った物件をファンドに売ることで急成長したのです。
ご存じのように、今やマンションは供給過剰気味になっていますが、家賃を高く設定できる『テーマパークマンション』は買い手が付きやすいようで、売った物件の管理や入居者募集は、そのまま同社が請負うそうです。
なかなか頭のいいやり方ですよね。あとは、どれだけおもしろい企画を立てられるかの勝負になってくると思いますが、あくまでも「一般受けしない」という価値観を守るため、社内の会議で「全員が賛成」した案件は、すべてボツにしているそうですよ(*^^)v
もちろん、あまりニッチなマーケットだけを狙っていては、会社はなかなか大きくなりませんが、自社の商品やサービスのなかに「尖がった部分」を持っておくというのは、これからますます進化する情報化社会においては、欠かせない戦略になってくると思います。
どうやら、経営者の発想の転換がカギになりそうですね。参考にしてください(@^^)/~~~
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ボードメンバープロフィール
石原 明(いしはら あきら)氏
僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社
ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。
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