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2010年02月05日(金)更新

衰退市場で勝ち組になる方法

立春も過ぎ、まだまだ寒い日が続きそうですが、みなさまいががお過ごしでしょうか? 

さて、今週は「Q&A」なので、今回も私の主宰する「高収益トップ3%倶楽部」の勉強会に参加してくれた方からの質問を取り上げてみました。業界は違っても、参考にしていただける内容だと思います。


== 質 問 ==

「高収益トップ3%倶楽部」の東京勉強会で、衰退市場で勝ち組になる方法として、他社が撤退したり廃業するのを待つというお話をしていましが、どこまで我慢して最後の1社になるか? そのレベル感について知りたいです。
            

== 回 答 ==

しっかりした市場調査とライバル会社の動向を調べた上での判断ですが、残るということに“勝機”があると判断したら、徹底してバックヤードの管理などをして経費節減、最後の1社になる戦略をとることです。

== 解 説 ==

事業会社はもちろん飲食店でも商店でもそうですが、マーケットにライバルがいなくなると結果として1人勝ちするのは当然です。なので、御社がもしこういった可能性がある衰退市場をベースに戦っている会社ならば、徹底した生き残り戦略で経営にあたることは良いことだと思います。

こういうケースが当てはまるのが、製造業などで跡継ぎがなかなか出来ない業種とか、伝統的なしきたり等があってなかなかその事業で新規開業しようとする人間がいない場合などです。

こういう環境で、もしあなたが若い後継者で他社に継承者が無い場合などは、絶対にあなたが勝ちます。そして時間をかければ、他社が廃業する時に顧客を預けに来るという現象まで起こります(*^_^*)

また、経営者の年齢が同じくらいだった場合は、徹底して経費節減などをして生き残り戦略に出れば、同じ売り上げ規模だったとしても結果としてはあなたの会社が生き残りますので、思い切った戦略に出ることをお勧めします。

質問のレベル感ですがマーケットのライバルを調査していただくと、こうなれば勝てるというレベル感は意外にハッキリ分かると思います。・・・・実感があるのでやれると思うわけですね(*^_^*)

ちなみに、例を挙げると、以前にお世話した会社がまさにこういった衰退産業の会社でした。マーケットを調べると、おそらく5年~10年で市場は半減することが予想されましたが、その後はその売り上げ規模がかなり継続、衰退するとしてもかなりゆっくりだろうという見通しでした。

その地域には、当面のライバル企業も含めて同業者が10社ありましたが、おそらく残る企業数は2社~3社なのではないかという結論になりました。

これに加えて事業継承者の有無を調べたところ、かなりの企業で子供が継がない様子や現行社員の年齢等も合わせると社内から継承者が現れそうに無い会社がすでに数社あることが分かりました。

さらに残った会社の資金繰りなども調べて、勝算が見えたので、先ほどの生き残り戦略を決定、自社物件の事務所を縮小半減し、残ったスペースを賃貸に回すなどして徹底的に経費節減と内部留保に努めました。

人事戦略も当面採用をストップ、最低の補充に留めるなどとしたのを覚えています。

結果、見事に最後の2社になり最後は市場でこの会社1社になることが出来ました。そうすると先ほど書いた様に廃業していく会社が顧客を預けていくと共に、その業種での優秀な人材がみんな同社に入れてくれということで集まってきました。

資金繰りにも余裕が出来たので、同社は衰退する隣のエリアに進出マーケットを拡大してとてもよい会社になりました(*^_^*)

と、こんな例もありますので、可能性があったらぜひトライしてください。最後に、その際絶対に大切なのが市場調査と他社情報の収集です。これを誤るとなかなか難しいと思いますので、そこは注意してくださいね。よろしくお願いします。

いかがでしょうか? あなたはどうお考えになりますか(^^♪ 私の発行する週刊メールマガジン、『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです! 』(購読無料)では、毎週メルマガ読者のみなさんからの質問にこんな感じでお答えしています。

これまでのQ&Aもバックナンバーにたくさんあるので、興味があればぜひ覗いてみてください。もちろん、質問も随時受付中です(*^^)/~~~

2009年08月21日(金)更新

新規開拓する上で「業種」を絞るべきかを考える

先週はお盆休みで休載させていただきましたが、みなさん、どんな夏休みを過ごされましたか? さて、今回は「Q&A」バージョンでお届けしますが、時流を反映した、なかなかシビアな質問です。

== 質 問 ==

新規開拓する上で、業種に特化するかどうか迷っています。今まで様々な業種にアプローチしてきたからこそ、今のトヨタショックの影響も軽い状態で済んでいますが、今後は絞り込んだ方が良いかと・・・難しいところです。

== 回 答 ==

一業種に絞らず、かと言ってあまりたくさんの業種にならず・・・といったところが正解だと思います。あまりバラバラに開拓営業をすると、本当に効率が悪いからです。こういう場合は、サイトなども使いながら、「特性の違う数業種」を対象として新規開拓するのがいいと思います。

== 解 説 ==

経営にはパラドックスのような要素が多く、何かに特化すればその分強くなりますが、強くなった反面柔軟性がなくなり、変化に対してとても脆くなるという状況が生じます。
例えば、今回の相談がまさにその典型で、業種や顧客企業に特化すれば、その業種や顧客に対しては商品やサービスがベストマッチしますから当然強くなりますが、その業種や顧客の業績が悪くなると、一気に売上げが低迷します。重ねて、別の業種や顧客に対して、急には対応できないという弱さが出てきてしまいます。

極端な場合、1社に特化してビジネスをすれば、教育も簡単だし仕事の効率もよくなりますから、短期的には非常に強い経営となります。しかし、長期的に見たら、その会社の状況をモロに受けた経営になりますので、特化した分、経営の安定度は超不安定になってしまいます。

なので、こういった一見相反する要素を常に意識しながら経営に当たるというのが、本来の経営者の役割になるということですね(*^_^*)

ということで、これらを踏まえて今回の質問の回答をすると・・・。

さすがに今の景気が景気なので、経営を強化するための新規開拓は効率を考えて業種の絞り込みは必要と考えるが、かといって、あまり狭く絞ってしまうと将来に問題を残す可能性もあると考えて、「特性の違う数業種に絞って新規営業をかける」・・・というのが良いということになると思います。

もちろん、やり方は、数業種をバラバラに進めるより、最初の業種はコレと決めて開拓、次は○○、その次は△△・・・というように、効率的に集団でノウハウや経験を蓄積したり情報交換したりしながら進めたほうが良いと思います。

また、サイトを使うと、お客様の問い合わせから向かうべき新規開拓の業種の選定が出来たりしますので、リアルな営業とウェブの営業を両方使うなどして戦略を立てていくというのがいいと思います。参考にしてください。

いかがですか? 私の発行する週刊メールマガジン、『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです! 』(購読無料)では、毎週メルマガ読者のみなさんからの質問にこんな感じでお答えしています。

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2009年05月22日(金)更新

顧問料に見合わないお客様の断り方

今回は「Q&A」バージョンでお届けしますが、私を「断る営業」のプロと知ってか(笑)、こんな質問が届きました。みなさんの実務にも役立つと思いますので、参考にしてください。

== 質 問 ==

私は、地方の税理士事務所を経営しています。新規顧客については、仕事量に見合う顧問料のお客様のみを顧問先として、見合わないお客様についてはお断りをしたいと考えています。その際の断り文句としていい言葉があれば教えてください。

ちなみに、その言葉は既存客の値下げ交渉などを断る時にも有効かを教えてくださると助かります。


== 回 答 ==

こういう場合の断り文句はこちらから断るというかたちではなく、条件を提示して相手に判断させる・・・断る場合でも相手から断ってもらうかたちにすると良いと思います。

また、この相手に判断させるということを覚えると、値下げの交渉にも役立つと思います。練習してみてください。

== 解 説 ==

こういう場合の断りの文句としては、
「申し訳ありません、その金額だとなかなかお受けすることは難しいのですが…。どうしましょうか?」
あるいは、
「業務の内容をこれだけにしていただければ、その金額でお受けすることが出来ますがいかがですか?」
などと、条件を付加して相手に判断させるというかたちにするといいと思います。

こうすれば、こちらから直接出来ませんと断ったかたちになりませんから、話が穏やかに進みますし「あの税理士事務所は・・・・」などといった変な評判を立てられることなく、あまり受けたくない仕事を受けなくて良くなりますから、業務に支障が無くなります。

とくに地方で仕事をする場合は、評判や風評が意外に大きな影響を与えてしまったり、何かの情報が思わぬ形で広がってしまって、後で結構大変になったりすることもありますので、断る時には、なるべくこちらから断るかたちは避ける方が良いということです。

値下げの要求についても、
「だったらこういう形にして今の金額を維持するのはどうでしょうか?」
あるいは、
「御社の側でこういう業務をしていただければ出来ますが・・・」
というかたちですね(*^_^*)

また、その際、今の金額でこんな業務をしているということも説明できれば、値下げを跳ね返せるかもしれません。

こういうかたちで条件を付加することで、「YES」か「NO」の二者択一の単純な答えから「交渉」の世界に話を展開させられます。ぜひ参考にしてください。


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2009年03月19日(木)更新

カーフィルムが売れない…需要の減少にどう立ち向かうか

東京でも、そろそろ桜が咲きそうですが、今回は、私の発行する週刊メールマガジンの読者さんから寄せられた質問に対する「Q&A」を取り上げてみたいと思います。

== 質 問 ==
私は現在、カーフィルムのメーカーに勤務し、カーフィルムの施工や車体のコーティングなどを行う、いわゆるカーディテーリング業者を対象に、カーフィルムの営業を行っております。

しかしながら、車にお金をかける人がだんだん少なくなってきているせいか、ここ数年カーフィルムに対する需要は伸び悩んでおり、それに伴って、弊社におけるカーフィルムの取り扱い数量も減少してきております。また、カーフィルムの施工を行う業者の数も限られていることから、新規開拓もままならないのが現状です。

こうした現状を打開するためにはどうしたらよいのか、アドバイスをいただければと思います。よろしくお願い致します。
== 回 答 ==
需要と供給の関係から考えてこのマーケットの変化は自然の現象です。現マーケットの中でのシェアを考えつつも、新しいマーケットへの方向転換を考えるべきです。

ただ、チャンスは多いと思いますのでアイディア勝負と考えてがんばってみて下さい。


== 解 説 ==
カーフィルムに限らず、車に付随した商品やサービスは顧客の嗜好が変化していることから、今後どんどん減っていくものと思います。

理由は、パソコンや携帯電話、ゲームソフトなどいろいろな商品やサービスが向上してきたことにより、車に対して消費者が感じている魅力そのものが低下してきているからです。

わかりやすい例としたら、それこそちょっと前までは女性にモテたい男性の必須アイテムとしての位置づけが車にはかなりありましたが、今はゲームソフトに強いとか、ITに明るいとか、お笑いのセンスがあるみたいなことが、モテルということに関して、車より上になったかもしれませんよね。

娯楽という点でもそうで、今度の連休に家族そろってドライブに行くことと、家でDVDを見るのとどっちが良いかと家族に聞くと、子供たちは結構「DVD!」って答えたりしますもんね(ーー;)

消費は、利便性の追求と感情と紐付いた行動によって形成されるものですが、車の消費を支えてきたのが、利便性よりも「感情的な面からの消費」と考えると、明らかに消費は下がっていくということです。

さて、そういう状況で今回の質問の回答を考えると、まずは絶対に消費はもっと下がって行きますので、その中でいかにシェアを下げないでいくかということと、今提供している商品やサービスを軸として、それを他の業界に向けて提供するナドといった新規のビジネスを作っていく以外に方法はないと思います。

マーケットの中でシェアを確保する方法ですが、あなたの会社が業界内である程度の規模を持っているのであれば、市場の衰退に合わせて廃業する企業等が出てくるはずなので、いち早く企業の合併や業務提携をうながすなどという方法が取れます。

また、小さい規模ならば、経費等は極力使わないで収益構造を改善し、マーケット内で最後に残る企業のいくつかに残るという方法があります。ただ、この場合はいずれも消極策ということになりますので、やはり新規のビジネスを今の仕事を基にして考える方がいいと思います。

その場合の方法ですが、新規事業を考える場合のセオリーでもありますが、御社の持っている長所を全て書き出す、抱えている問題点を全て書き出す、というようにリスト化して思考するといいと思います。

長所と短所を全て書き出し、それを眺めてデスカッションすると、いろんなアイディアがでてくるものです。

また、「フィルムの施工やコーティング×○○業=△△で大いに喜ばれるかも?」という計算式を作って、無理やり考えてみるなんていうこともスッゴクいいと思います。(これ、個人的にはかなり好きな方法で、新規ビジネスの立ち上げ時によく使います)

長所の中には、持っている技術やノウハウの他に、人的な経験、情報といった資産も含まれます。

例えば、今の販売ネットなどもまさに持っている大きな資産となるはずですが、通常何かの商品やサービスを考えた時に販売のネットを作るのはとっても大変な作業なのですが、みんな困っているわけですから、(今もっている技術やサービスを他業種に向けて提供するサービスなり商品を考えれば)あっという間に販売できるというわけですよね(*^^)v

そう、考えると結構チャンスがあると思います。参考にしてがんばってみて下さい。

・・・という回答を私がしたら、別の読者さんからこんな感想が届きました(*^_^*)

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私はオーストラリアの日系企業に勤めておりますが、今回の「カーフィルムのメーカー」の営業の方からの質問に対して私から提案があります。

オーストラリアなどの紫外線が特に強い国への海外展開を考えたらいかがでしょうか。

確かに、石原先生のおっしゃる通り、カーフィルムは「国内での」消費は下がっていくだろうと思われます。

しかし、紫外線が強く皮膚ガンの発生率がとてつもなく高いオーストラリアなどの国は下がらずむしろ人口も移民受け入れで増えて来ておりますので、マーケットは拡大していると感じます。

こちらのカーフィルム施工率はとても高いです。私の周りだけの話をしますと、20数人の同僚の中で、カーフィルムをしているのは、半数以上です。

私の車はしておりませんが、子供が産まれたこの機会につけることを検討しています。
新車を買うときは、必ずつけるかどうか聞かれますし、中古車を買うときは実はこれが重要なファクターとなります。以上、ご提案まで。

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どうですか? こんなふうに視点を変えると、ビジネスのアイディアってどんどん出てくるものですよね。

これから日本は少子化で、どのマーケットも縮小傾向に向かいます。みなさんのなかにも、同じような悩みを抱える方が多いと思いますので、ぜひ参考にしてください。

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2009年02月23日(月)更新

毎日気になるクセになる!? 「超一品.com」

このところ、ちょっとハマっているサイトがあります。「超一品.com」…毎日たった「一品」だけしか販売しない異色の通販サイトなんです。


超一品


今日(2009年2月23日)の「一品」は、「ハンディコードレスクリーナー」…車のお掃除などにも便利に使えそうですよね。こんなふうに毎日0時を過ぎると商品が入れ替わり、たった「一品」を24時間だけの“特価”で販売するのです。

特に家電製品やパソコン周辺機器などは、店舗価格の3~4割引きで買えるようです。安さの秘密は、メーカーとの直接取引と、1シーズン前の在庫を扱うことみたいですよ。
このサイトを運営するのは、「AOSテクノロジーズ」というソフト開発会社ですが、他の通販サイトが「豊富な品揃え」に懸命になる中、みごとなまでに真逆に舵を切ったわけです。

また、サイトの文章にもかなりこだわっていて、同社では専門のライター社員を雇い、この商品を使うと日常にどんな“変化”が訪れるのかを、絶妙なタッチで紹介しています。

単なる「スペック」の比較に留まらず、その商品に「ストーリー」を持たせているところも人気の理由かもしれません。バックナンバーは「ブログ」から読めますので、サイトやメルマガの文章にお悩みの方は、参考にされるといいかもしれませんね。

それはともかく、昨年秋にオープンしたこの「超一品.com」には、在庫の商品を扱ってもらおうと、メーカーさんからのアプローチが絶えないみたいです。

つまり、仕入れの心配はほとんどしなくても大丈夫な状態で、毎日サイトの更新に専念していれば、一定の売上が上がるしくみが出来上がっているのです。

今や大企業から個人商店まで、数えきれないほどのネットショップが乱立し、「今さらネットショップなんて…」とお感じの方も多いと思いますが、まだまだ知恵を絞れば、後発でも十分勝てるということです(*^^)v

ネットはすでに「情報の大洪水」と化していますから、『探さなくてもいい便利さ』をお客さんに上手に提供することは、とても大事な視点だと思います。

欲しい商品を探して、数件のネットショップを行き来しているうちに、あっと言う間に30~40分経っていた…なんて経験、みなさんお持ちではありませんか?

ですから、忙しい現代人は妙な自制心が働いて、すでに買う商品が決まっているか、よほど時間があるときでないと、ネットショップを訪れなくなっているのかもしれません。

それに対して、この「超一品.com」は、ページを開いたら、興味があるかないかを“1秒”で判断できますよね。だからこそ、リピーターが増えるのです。

現に私も、このサイトの存在を知ってから、不思議と毎日気になって、ついついチェックしてしまいます(――;) もし、自分が見なかった日に、超お買い得品があったらどうしよう…なんて心理が働くのかもしれません。

ネットが人々の生活に深く入り込んだ今では、消費者の心理や行動も、「ネット初心者」の頃とは大幅に変わってきています。経営者は、その“変化”を常に感覚としてつかみ、自社のマーケティングに活かす必要がありそうですね(@^^)/~~~

2008年12月12日(金)更新

女ゴコロをわしづかみ!? “デカ目”プリ機が大人気

毎年この時期になると「今年のヒット商品ランキング」みたいなものがさまざまなメディアで発表されますが、ビジネス界ではあまり騒がれてはいないものの、女子中高生のあいだでものすごーくヒットしたのがコレです。

今年(2008年)7月、「120%デカ目革命」をキャッチコピーに、バンダイナムコゲームスが発売した「ジュエラ・アイ」という、実物よりもキレイにかわいらしく写るプリントシール機なんです。


でかめ


これまでも、照明の当て方などを工夫するプリ機はありましたが、なんと!同社は、顔認識技術を応用して、実物よりも目だけが約20%目が大きく写るような独自の技術を開発したのだそうです(@_@;) 

そのほかアイ・エム・エスが開発した「美’s COLLECTION 」という機種も人気で、今やプリ機には、ニキビが目立たなくなったり、色白に見えたりする美肌機能は当たり前、プチ整形に近い機能までが求められているみたいです。
1995年に世に出て、一世を風靡した「プリント倶楽部(プリクラ)」は、ふつうの写真と違い、左右が逆に写るので、いつも鏡で見ている自分の顔に近い写真が撮れることから人気になったと言われているのですが、どうやら彼女たちのなかには、“かわいく”写った自分を友達にも見せたいという欲求が根強く存在しているようです。

あの頃は、分厚い「プリクラ帳」を常に持ち歩き、友達に見せたり、交換したりする女子中高生がたくさんいましたよね。今では技術の進歩につれて、赤外線通信で友達の携帯に飛ばしたり、携帯内に専用ホルダーを作って保存したり、ブログに画像をアップしたり…とカタチは変わったものの、「“かわいい”自分を見せたい」欲求は、彼女たちのなかにずっと変わらずに存在し続けているわけです。

じつは、その“欲求”を上手に刺激することこそ、マーケティングの真髄なんです(*^^)v 現に彼女たちは、メーカーに頼まれたわけでもないのに、毎日出会った友達に自分の画像を見せたり送ったりしながら、せっせと「販促活動」をしてくれているのですから…。

ユーザーを上手に巻き込みながら、売上を上げていくという意味では、われわれも多いに学ぶべき点の多い事例です。経営者たるもの、人間の心理にも精通する必要がありそうですね。

「お願い」して売上が上がる時代はもうとっくに終わっています。この事例を参考に、自社の営業・販促のスタイルをおちゃめに見直してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

2008年10月10日(金)更新

不景気もどこ吹く風!? 高級化粧品あいかわらずの人気

最近、テレビをつけると、株の暴落や物価の値上がりなど、消費者の財布の紐がますます固くなるようなニュースばかりが流れていますが、そんななか、不景気もどこ吹く風とばかり、あいかわらず好調な売れ行きをみせている商品があります。


コスメ


その商品とは、高級化粧品、なかでも「高級クリーム」の売れ行きが伸びていて、化粧品各社は、次々と新製品を投入しているようです。

「ホントかな?」と思い、化粧品のクチコミサイト「@(アット)コスメ」を覗いて見ると、クリーム部門の人気ランキング1位に輝いていたのは、『クレーム ドゥ・ラ・メール(モイスチャライジングクリーム)』という、30mlで16,800円、60mlが31,500円、500mlではなんと189,000円もする商品でした(@_@;)
なんでも、このクリームは、

「NASAの宇宙物理学者が創り出したモイスチャライジングクリーム。低温・低圧処理技術により、主要成分であるシーケルプ(海藻)に含まれるビタミンやアミノ酸などの天然成分を総合的に保っています。配合された海藻とビタミンは肌を活性化させ、肌の自然な回復力を強化。なめらかでハリのある、若々しい肌へ導きます。」(@コスメより引用)

・・・というものだそうです(*^_^*)

また、その他メーカーでも続々と新商品が発売されています。コーセーは、高級化粧品シリーズである「コスメデコルテAQ」をリニューアルし、30gで20,000円の「ニュートリティブクリーム」と、45gで50,000円の「クリームアブソリュートG」を投入。

資生堂も、先月(2008年9月)、同社最高価格となる『126,000円のクリーム』を発売しました。「クレ・ド・ポー ボーテ 新シネルジックライン」として発売された商品ですが、このシリーズで基礎化粧品をそろえると、ざっと20万円はかかるようです。

今や、2万円以上の「超高価格帯」化粧品市場は約300億円と言われていて、前年比で約24%伸びたという統計もあります。

ガソリンや食料品の値上がりで節約志向が高まる一方、「『これは!』と思った商品には思い切って投資する」のが賢い現代女性の姿……、ということでしょうか。

われわれ男性経営者だと、業界関係者でないかぎり「化粧品」の動向を気にすることはないと思いますが、経営者である以上、いろいろなところにアンテナを張っておく必要があります。そうしないと、「不景気=値下げ」という単純な発想で、舵を切ってしまうことにもなりかねません。

不景気であろうとなかろうと、売れる商品はしっかり売れている…この事例を参考に、今一度冷静に、自社の商品戦略を見つめ直してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

2008年04月04日(金)更新

なとりの珍味を「お菓子」の棚に並べる戦略とは

まもなくお子さんが入学式を迎えるご家庭も多いかもしれませんが、「受験」の荒波を乗り越えようやく迎えた「春」を祝福したいと思います(~o~) しかしながら、近年、この「受験」をキーワードに、お菓子業界が“激戦”を繰り広げているのをご存じでしょうか?

少子高齢化のなか、ただ売り場にお菓子を並べているだけでは売り上げの限界もあろうというものです。そんな危機感が『脱・定番売り場』という発想に向かわせたのかもしれません。


あたりめ


「きっと勝つ」のゴロ合わせから、受験生応援バージョンの「キットカット」は、かなり有名な存在でもありますが、その他にも「TOPPO(トッポ)」の文字を「TOPPA(突破)」に変えたバージョンや、「カール」で「ウカール(受かる)」なんて、まるでおやじギャグを思わせるような展開をしている商品もあります。
量販店などでは、年が明けると、売り場の目立つ場所に「がんばれ受験生」コーナーを設け、この手のお菓子を大々的に集めて販売する傾向が目立ちます。菓子業界では、バレンタインと並んだ大きな「シーズン需要」になりつつあるんですね。

そんななか、珍味メーカーの「なとり」が、この「がんばれ受験生」マーケットに参入しました。期間限定商品として『負けるな!!受験生 当たりめ』と書いたボトル入りのスルメを発売したのです(@_@;)

確かに縁起を担いで「スルメ」を「アタリメ」と呼ぶことはありますが、『当たりめ』が「受験生」の応援になるのかどうか…若干微妙です(笑)。しかし、この勇気ある決断によって、なとりの商品が「おつまみ」コーナーから「お菓子」コーナーへ進出できたことだけは間違いありません。

最近では、量販店の「陳列棚」を確保することは、各メーカーにとって至難の業だと聞きます。営業マンが足繁く売り場に通って、「棚」が取れた時代は遠い昔なのかもしれません。今や、商品自体に「売れる」切り口がない限り、新たな「棚」は確保できないとも言えます。

そう考えると、このなとりの戦略はかなり秀逸です(*^^)v 

近年、お酒を飲まない若者が増えた上、飲んでもつまみには「珍味」ではなく「スナック菓子」を選ぶ人が多いのだそうです。

「珍味・つまみ市場の縮小は止まらない」と考えた同社では、05年から『ボトルおつまみシリーズ』を発売。粒ガムで採用されたボトル容器を採用し、オフィスや自宅での息抜きや気分転換に「スルメ」を食べてもらおうと考えたのです。

この狙いはズバリ的中! 年間5億円売れれば大ヒットと言われる「つまみ」分野で、約8億円を売り上げるという成果を上げたのです!(^^)!
今回の受験生向けボトルも、この延長線上にあるようです。

いずれにしても、少し角度を変えることで、既存の商品にも全く新しいマーケットが広がる可能性があるということです。この事例を参考に、自社の商品戦略を“遊び心”を持って見直してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

2008年02月22日(金)更新

「美肌一族」のマーケティング手法に学べ

男性のみなさんにはあまりなじみのない商品でしょうが、この「美肌一族」というコスメグッズをご存じでしょうか? 

実は、この話題、私の主宰する「高収益トップ3%倶楽部」の会員向けに発行している月刊誌『経営情報レポート』の今月号でも取り上げた話題なのですが、かなり反響があったので、この経営者会報ブログでも解説してみたいと思います。


美肌


このピンクのド派手なパッケージに包まれた商品は、株式会社ラブラボという会社が開発・販売している「シートマスク」(お肌用のパックのこと)で、すでにシリーズ商品の累計で、500万個以上を売り上げた大ヒット商品なんです。

パッケージに書かれた「そんなお肌で私に勝てるとでもお思い?」との挑発的なセリフには、その昔の少女マンガを思い出しつつ、思わず反応してしまう女性も多いと思います。
パッケージもさることながら、着目すべきはそのマーケティング手法です。なんと、この会社では、商品の発売に先立つ05年9月、大手携帯サイトで美少女を主人公にした携帯小説「美肌一族」の連載をスタートしたのです(@_@;)

この小説には、商品のことは一切登場せず、美人姉妹の沙羅(さら)と咲(さき)が、肌の美しさを競う世界大会で優勝をかけて苦闘するという、「美をめぐる闘い」の物語に仕立てられています。なんともおもしろいですよねぇ~。

1~2ヶ月経つと、この携帯小説は、若い女性たちの間で相当話題になったようです。そして、十分マーケットがあたたまったころに、同サイト上で実際の商品を「先行発売」してみたら、初回生産の6万4千個が1日で完売したというのです!! 一時は商品が入手困難な状態にまで陥り、「幻のシートマスク」なんてうわさされたみたいですよ(*^^)v

当然のごとく、いち早く商品をゲットできた女性たちは、ブログにその使用感を書き込んだことでしょう。また、女性誌のモデルが誌上で紹介したりしたこともあって、その評判はますます広がっていきました。

06年5月の全国販売時には、女性たちが「待ってました」とばかり飛びつき、以来、シリーズ商品500万個以上を売り上げる大ヒット商品に育っていったというわけです。携帯小説のあまりの好評ぶりを受け、現在は同じ価格で、薄いコミック本付きの商品まであるようです。

いや~、どうです? かなりセンスある戦略ですよね。つまり、同社は全国販売の10か月前から「携帯小説」という今時の“飛び道具”を使って、マーケットにアプローチしていたわけです。

私は日ごろから『経営とは思ったとおりに儲けること』だと定義していますが、この事例は、まさにそれを実証してくれるかのような戦略で、「たまたま当たった」ヒット商品とはわけが違います。

その仕掛け人は、芝本裕子さんという30歳の女性経営者ですが、女性誌の読者モデルやライターなどをしていた人で、ガールズウォーカー・ドットコムの立ち上げなどにも参加していたほどの、感度の高い人物のようです。

確かにこのようなマーケティングを成功させるには、それなりの「センス」が問われる世界ではありますが、はじめは小さく試して、その反応をみながら展開していけますから、われわれ中小企業でも、十分トライできるやり方です。

しかも、広告代理店にプロモーションを依頼することを思えば、投資額も少なくてすむでしょう。この記事にうなった方は多くいると思いますが、ぜひ自社のマーケティングを見直し、「話題を呼ぶ仕掛け」を取り入れることを考えてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

2007年04月20日(金)更新

鮮魚販売のプロ派遣

スーパーの鮮魚売り場に、“プロ”を派遣するという面白いサービスを始めた会社があります。人材サービスの「ヒト・コミュニケーションズ」という会社ですが、この4月に鮮魚売り場を再現した研修施設まで開設し、小売店と共同開発した教育プログラムまで導入するそうですから、かなり力が入っていますよね。


鮮魚


その研修施設は、大阪市に開業するもので、飲食店だったビルの一室を改装し、床面積15平方メートルほどの部屋の中に、加工用の厨房や、冷蔵機能付きの陳列棚などを備え、蝋細工(ろうざいく)で作った刺身等を陳列。

店舗内に流れるアナウンスまで放送し、臨場感たっぷりの中で、鮮魚の加工から販売までの実践的ノウハウを学び、まさに“鮮魚のプロ”を育成するそうです。
同社では、家電量販店などに向けた人材派遣が中心でしたが、スーパー向けの研修は、その効果が現れやすいと判断し、今後はこの鮮魚のプロ派遣事業を、売上高の3割程度にまで増やしたい意向だそうです。

情報化社会になって、消費者の購買行動もすっかり変わり、何か買い物をする場合には、必ずネットで「下調べ」をするようになりました。

魚を買いに行くのに、主婦が下調べをしているかどうかはわかりませんが、今の時代、消費者がプロに負けない情報や知識を持っているという点に着目すれば、リアル店舗の売り場にこそ、“本物のプロ”が居る必要があるのです。そういう視点でこのニュースを見ると、大いに参考になると思います。

世の中の情報化が進めば進むほど、ネットとリアルを融合していくような感覚で、マーケティングを構築していくことが大事になってくると思います。経営者は、常にそういうセンスを磨く必要がありそうですね(@^^)/~~~
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ボードメンバープロフィール

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石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

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