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2008年03月28日(金)更新

「夜カジ族」をターゲットにした商品開発

今、「夜カジ族」が増加中みたいです。「夜カジ族」…?? 一瞬何のことだかわかりませんよね。「渋カジ」の仲間かと思いきや(笑)、なんと「夜間の時間帯に“家事”をする人たちのこと」なんです。

今やライフスタイルも多様化し、せっかくの休日を家事に費やしたくないと考える人が増えたせいか、夜のうちに掃除や洗濯をする人たちが増えているといいます。

こうした消費者の変化を察知したメーカー各社は、この「夜カジ族」をターゲットにした商品開発にしのぎを削っているというわけです。


掃除機


東芝コンシューママーケティングが今月発売したサイクロン掃除機「Quie(クワイエ)VC-1000X」は、「静かな」を意味する「Quiet」から名を取っただけあって、業界一の低騒音を売りにしています。

最大450ワットの吸引力を誇る性能を持ちながら、その運転音はたった49デシベル。「静かなオフィス並」の運転音を実現したのです(@_@;) 

さらにご丁寧に「マナーモード」まで付いていて、この「マナーモード」を選べば、43デシベルにまで抑えられるようです。ちなみに、「静かな図書館」が40デシベルだそうですから、いかに静かかわかりますよね。

低騒音機能を「マナーモード」と名づけたセンスもかなりイケてます。携帯電話に慣れた私たち消費者には、「マナーモード」と言えばその機能が一瞬で伝わりますから、細かい部分ではありますが、商品開発にはこうしたセンスも大切ですね(*^^)v

シャープが昨年11月に発売した掃除機「パワーサイクロンEC-VX2」も、モーターを樹脂カバーで覆ったり排気経路を長く設けるなどの工夫をして、運転音を51デシベルにまで抑えました。同社製掃除機の売上を、前年比2倍近くに押し上げる原動力になったそうです。

一方、掃除機以上に低騒音への要望が強いのが洗濯機です。花王の調査によると、「午後6時以降に洗濯することがある」との問いに、フルタイムで働く女性の約4割がYesと答え、専業主婦でも18%がYesと答えたそうですから、ここに大きなマーケットがあることは明白です。

この調査を踏まえ、花王は、「夜洗い」と「部屋干し」をキーワードとした洗濯洗剤「スタイルフィット」を開発しました。出足の売上高は初年度目標の50億円を上回るペースで推移しているみたいですよ。

もちろん、家電メーカー各社も、このターゲットに向けて続々と新商品を投入しています。三洋電機が今年1月に発売したドラム式洗濯乾燥機「 AQUA(アクア)」は、回転数を減らした「ナイトコース」を搭載し、脱水時の騒音を35デシベルにまで抑えたことで、人気を呼んでいるようです。その他、冷蔵庫なども「静音対策」は必須となってきています。

ライフスタイルが変化すれば、消費者のニーズも大きく変化するのは当然のこと。このニーズにいち早く対応した商品を開発すれば、それだけで大きなウリになります。またその商品をきっかけに、「夜家事をしてもいいのか…」と気づく消費者が増えれば、さらにそこからマーケットが育っていく可能性もあるわけです。

商品開発の指揮を執る立場にある経営者は、ご自身の「時代感覚」を常に磨き続ける必要がありそうですね(@^^)/~~~

2008年03月14日(金)更新

子ども用「調理器具」が人気!サイズを変えて新しいマーケットを作る

今、子ども用の調理器具がにわかに人気を集めているようです。子ども用と言っても、決して「ままごと」道具のレベルではなく、あくまでも本物の「ミニチュアサイズ」なんです。なかには“マイ包丁”を持つ子もいるみたいですよ。

もちろん、安全性には十分配慮され、使いやすさを考えた設計になっています。今から15年ほど前、業界に先駆けて子ども用調理器具「台所育児」シリーズを発売したのは、岐阜県の刃物メーカーである「川嶋工業」。下記がその写真なんですが、なんだかかわいくて、しかもよく出来てますよねぇ(*^_^*)


台所用品


一方、京セラでも「親子で料理を楽しむ」をコンセプトに開発した子ども向けキッチン用品「ファイン・ラファミーユ」シリーズを展開しています。
特に、幼稚園児から小学校低学年くらいの子どもの手の形に合わせた包丁「ファインキッチン・ミニ」が人気で、この包丁と軽いまな板、エプロンを組み合わせた「はじめてのクッキング応援セット」は、誕生日や入学祝いとしてのギフト需要も高いようです。

お孫さんにこのセットをプレゼントして、親子3世代で料理を楽しむケースも多く、「家族のコミュニケーションツール」としても注目されているのだとか。京セラとCS放送の子ども番組専門チャンネル「キッズステーション」が百貨店などで開催するイベント『おやこでクッキング教室』も、相当人気があるみたいです!(^^)!

ひと昔前までは「子どもに刃物を持たせるなんて危険だ!」と怒る親もいたようですが、平成17年の「食育基本法」施行をきっかけに、子どもに対し、食材や食文化への関心を高める取り組みが注目され、逆に「早い段階で料理に触れることで、食の大切さを体感できる」という見方が主流になったというわけです。

そんな時流もあって、子ども用調理器具のニーズが高まりつつあるわけですが、おもしろいことに、こんなふうに商品の「サイズを見直す」ことで、新しいマーケットを作れるものなのです(*^^)v

例えば、お菓子のポッキーなども「大きなパッケージ」にすることで、ちょっとしたお土産やギフトとしてのマーケットが広がりましたし、経営者会報ブロガーであり、私の主宰する『高収益トップ3%倶楽部』の会員でもあるエビスヤさんでは、業務用の「一斗缶」などを小さいサイズで作り、「雑貨缶」という今まで市場になかったカテゴリーの開発に成功しています。

また、「量や単位」を見直すことで、新たなマーケットが開ける場合もあります。以前私のブログでも取り上げている「日本酒」などがそのよい例ですね。

これら事例をヒントに、あなたの会社の商品も「サイズや量」を直すことで、新しいマーケットへ訴求できないか…ぜひアイディアを絞ってみてください(@^^)/~~~

2008年02月08日(金)更新

お米が内祝いに?! 量やパッケージを変えて新たなマーケットを作る

今日は、商品の販売単位やパッケージを見直し、「売り方」に少し工夫を加えただけで、全く新しいマーケットの開拓に成功した…という事例をご紹介したいと思います。

なんと今、出産祝いのお返しとして、『赤ちゃんの誕生時の体重と同じ重さの米を贈る』という商品が、少しずつ人気を集め始めているみたいなのです。「なるほどなぁ~」って感じの提案型商品ですよね。

おそらくこれまで、出産の内祝いを選ぶ際に、「お米」を選択肢に挙げる人は少なかったんじゃないかと思います。つまりこれって、お米の「全く新しいマーケット」を開拓したのと同じ意味があるわけです(*^^)v


米



北九州市の「好味屋(よしみや)」では、“おくるみ”型のコメ袋を作り、そこに赤ちゃんの写真を印刷した『抱きごこち』という商品を開発しました。たとえば「3,025g」みたいに、その袋の中に赤ちゃんの誕生時と同じ重さの米を入れるわけです。
他の商品と比べて、お米の特性は何かと考えたとき、“重さを少ない単位まで変えられること”って気づいた訳ですが、コレって、なかなかすごいことですよねぇ~。

それを他のギフト商品と競合させて考えると(確かに他の商品は量産品なんで、重さは一定ですから)すっごい競争になるわけです。

さらに商品名どおり、その“抱きごこち”もなかなかのもので、「まるで赤ちゃんを抱いたような実感がある」と、人気を呼んでいるのです(*^_^*)

他にも、秋田市の「本田商店」では、『出産内祝いのお米』購入者に、赤ちゃんの写真を携帯電話で閲覧できるフォトアルバムを付けて喜ばれていたり、徳島県海陽町の「阿波の産直便」が販売する『だっこ米』では、「赤ちゃんの名刺」を付けてくれるそうです。こんなふうに、みんな本気でサービスを開発しているんですね。

それにしても、内祝いに「お米」って、なかなかいいと思いませんか? 失礼ながら、「記念品」テイストの品を頂戴しても、「コレ、どこに飾ろう…(――;)」なんて悩んだりすることも多いですよね。

その点「お米」なら、好き嫌いもほとんどありませんし、食べれば消えて無くなります。しかも、「抱いた」感触だけは、心の中にずっと残るわけですから、贈答品としてはかなりセンスいいですよね(*^^)v

もしかしたら、あなたの会社の商品も、ほんのちょっと「切り口」を見直すだけで、新たなマーケットが開拓できるかもしれません。この事例を参考に、ぜひアイデアを絞ってみてください(@^^)/~~~

2008年01月18日(金)更新

変貌を遂げる商品開発の舞台裏

少し前からネット界でうわさになっていた「シーフードヌードル伝説」を聞いたことがありますか? 日清食品の「シーフードヌードルに温めた牛乳を入れると、かなり美味しい!」という伝説です。

従来、こうしたネットでの話題は、「単なるうわさ」として企業から受け流されてきました。しかし、同社はこのうわさに真っ向から取り組み、本気で開発して誕生した新商品がこの『ミルクシーフードヌードル』です。同社のホームページでも丁寧にその開発秘話を公開し、昨年11月の発売以来、好調な売れ行きを見せているようです。


ミルクシーフード


そもそも同社のマーケティング担当者が、一昨年の春、「牛乳」と「シーフードヌードル」の2語でネット検索してみたところ、3万件にもおよぶヒットがあったことに感嘆し、自ら乳脂肪分の異なる牛乳を買ってきて実験を繰り返したところから、この商品の開発が始まりました。
「うわさにしては発想のレベルが高級。単なる話の『ネタ』ではなく、ヒット商品になる手ごたえを実感した」と同社では話していますが、テレビCMもしていないのに、コンビニでもいち押し商品として山積みされたりと、ほぼ狙い通りの展開をみせています。

さらに、この「ミルクシーフードヌードル」を食べた後、残ったスープにご飯を入れると、美味しいシーフードミルクリゾットに変身するとか、中身を耐熱皿に移し、たまねぎなどの具剤を加えてオーブンで焼くと、美味しいシーフードグラタンが出来上がる……などと、ネット上のうわさはどんどん進化し、増殖を続けているようです(*^^)v

一方、コンビニのローソンでは、タレントの中川翔子さん(しょこたん)がブログで“ギザカワユス(…とてもかわいいという意味らしいです)”と取り上げて話題になった海洋生物『スカシカシパン』を模した菓子パン『しょこたんプロデュース スカシカシパン』を、今月の29日から発売開始予定だとか。購入者は、携帯サイトでしょこたんが描いたアニメ『スカシカシパンマン』が見られるそうです。

「スカシカシパン」は、円盤型で体の一部にすき間があるウニの仲間で、昨年4月にしょこたんブログで紹介され、その後話題になりました。それを見た同社の開発担当者が、商品化できると判断し、しょこたんサイドに企画を持ちかけたのだそうです。

こうした動きを見ていると、情報化社会の進化に連れ、企業の商品開発への取り組みも、大きく変貌を遂げつつあるのがわかります。

もちろん、こうした手法で、ロングランヒットにつながる商品が作れるか…と考えると、多少疑問も残りますが、コンビニ業界のように、常に新しい話題を提供し続けないといけない業界としては、ネットはとてもありがたい存在であることは間違いありません。

この事例を参考に、一度、自社商品やサービスをネットでキーワード検索してみてください。そして、その結果とリンクさせるようなかたちで、商品開発やマーケティングのしくみを見直してみてもいいかもしれません。

もちろんそうなると、自社内の“ITスキル”の問題も出てきます。特にWebに関するスキルは、これからますます、経営のキーになってくると思います。自社のWebスキルに多少不安を感じる方は、今年こそ、“社内のしくみ”として本気で取り組むことを考えてみてください(@^^)/~~~

2007年12月21日(金)更新

お風呂でエビフライ?! ユニーク入浴剤の発想に学ぶ

このところ、玩具会社が「入浴剤」の分野でスマッシュヒットを飛ばしているのをご存じでしょうか? 「たまごっち」の企画などで知られるウィズの子会社、ウィズランドが発売した入浴剤は「お料理気分♪ ふろずきんチャンのたのしーバスタイム」(全5種類・367円)というもので、入浴剤の中にフライやドーナツのフィギュアが入っていて、お湯の中から現れるしかけだそうです。

同社では、子どもたちに「危なくてできない『揚げ物遊び』をお風呂で楽しんでもらいたい」と話しています。


えびふらい


一方、バンダイが発売したのは「うまい棒入浴剤」(全8種・210円)。7月に発売した「ガリガリ君入浴剤Cool!」が100万個を売る大ヒット商品となったことで、それに続けとばかり、食べ物をテーマにした入浴剤第二弾として企画されたものです。
こうした商品は、当初小学生を対象に発売されたものですが、ふたを開けてみると20~30代男性の購入が目立ち、「幅広い需要が見込める」と判断したようです。

以前は、その“効能”が重視されてきた入浴剤市場ですが、最近では、自分へのご褒美や癒しという面から、コンビニエンスストアでの売上も好調だといいます。また、こんな遊び感覚にあふれた商品なら、ちょっとしたプレゼントとしての需要もあるかもしれません。

それにしても、入浴剤に『エンターテイメント性』を追及する発想は、おもちゃ会社ならではですよね(*^^)v 

以前も私のブログで、「いえそば」という商品を取り上げたことがありますが、たとえ既存の商品でも、違った角度の“発想力”をもってすれば、全く新しいマーケットが開けたりするものです。

近年、玩具業界では、少子化対策もあって「大人向け」の商品を企画しはじめていますが、グランドピアニストなどのヒットを飛ばすセガトイズは、商品企画のポイントをこんなふうに話しています。

同社には、取引のある企画製作会社はもちろん、管理部門の社員からも、また突然の来訪者からも、毎月300点に上る商品アイディアが持ち込まれるそうです。「多角的な視点を持つ」をいう意味では、これをありがたいことと考えていて、社内でトップを交えた論議を重ねたうえで、この中から数点の試作品を作るそうです。

ここで大事なのが、『想定する顧客の生の声を集める』ことだと言います。調査会社などに依頼して、集めたモニターを会社に呼んで話を聞くというスタイルでは、「モニターという行為が仕事になってしまい、ともすると専門家のような評価になってしまう」のだそうです。

そこで、このグランドピアニストの開発にあたっても、実際に試作品をバイオリニストの葉加瀬太郎氏のコンサート会場に持ち込み、来場者の反応を調べたりしたみたいです。

消費者の生の声を集めるのは、確かに手間はかかりますが、大資本でバンバン宣伝していく手法とは真逆のマーケティングですから、われわれ中小企業にも十分勝算のあるやり方だと言えます。

いずれにしても、大事なのは経営者の”発想”です。今回の事例を参考に、ぜひ柔軟な発想力をもって、自社の経営を見つめてみてください(@^^)/~~~

2007年12月14日(金)更新

「まいあめ工房」のヒットに学ぶ

名古屋の菓子問屋「ナカムラ」が、今春オープンしたネットショップ『まいあめ工房』が好調のようです。

同社では、あめ職人の技能を広めようと、10年ほど前からオーダーメイドによるあめの受注をしていました。それが最近になってクチコミによる噂になりはじめ、大口の注文もポツポツと入り始めるようになったことから、社長が「ネット上でもオーダーメイドの受注をはじめよう」と、今年の3月にサイトを立ち上げたそうです。


まいあめ


いざサイトをオープンしてみると、各地から100件を超す注文が舞い込んだとか。なかでも一番多いのは「企業のロゴ」を入れて欲しいという注文で、保険会社などが営業の際に配るのに用いるそうです。
一方、個人による注文では、結婚式を控えたカップルから「2人の名前とハートのマークを入れて欲しい」といったものや、初孫の名前を入れて欲しいといった注文もくるそうです。

その他にも学校の校章を入れて欲しいだとか、人気タレントから自らの似顔絵を入れてくれという、ちょっと変わった依頼もあるそうですから、告知の仕方によってはまだまだいろいろなニーズが掘り起こせそうですね(*^^)v

このところ、菓子業界を取り巻く環境は厳しいものがあるようで、中小の菓子業者は「冬の時代」を迎えています。コンビニに押される形で、主要販路の駄菓子屋が次々につぶれているのもその現われの一つですが、そんな状況下においてお菓子のネット直販が好調という現象に、業界からも熱い注目がよせられているそうです(*^^)v

この「まいあめ工房」では、1セット3,500個で42,000円からの注文を受けているようです。これを商売の単位と考えると金額的に大きいわけではないのですが、エンドユーザー相手であることを考慮すると、利益率はものすごく高いのだろうと思います。

ビジネスモデルを組み立てるにあたっては、薄利多売的に大きな額の売上を追いかける道もありますが、もう一方には「少ないお客様」から「水準以上の利益をいただく」という道もあることを忘れてはいけません。

世の中のニーズがこれだけ多様化した現在では、1社が多くのお客さんを相手にするのはかなり難しいのかもしれません。逆に言うと、それぞれの会社が自社にメリットを感じてくれているような顧客を、大切にフォローしていく時代になったのだということです。

さらに面白いのは、この「まいあめ工房」が、結果的に『他社に対して、自社の商品(=あめ)を使った広告の提案』をしたのと同じかたちになったということです。これって、言わばグーグルと同じ広告モデルですよね(*^^)v

この切り口であなたの商品を考えてみると、新たな生かし方やたくさん収益を生む方法、利益率の高いビジネスに移行できるチャンスがある…ということに気づけると思います。

この「まいあめ工房」の場合も、ただ『売り先』を変えただけで違った結果になったわけです。この事例を参考に、自社のビジネスモデルを柔軟に見直してみてもいいかもしれませんね(@^^)/~~~

2007年12月07日(金)更新

「マンガ」の持つ可能性を考える

突然ですが、みなさんは「マンガ」を読みますか? 「マンガ」の持つ大いなる可能性には私もかねてから注目しており、今年の初め頃にも自社ブログに書いていたので、お読みいただいた方も多いかもしれません。

今や日本の文化や産業を語る上でも、マンガは欠かせない存在になりつつあるようで、来春には、マンガやアニメを教える大学や大学院が相次いで誕生するそうです。


まんが


現在、国内で唯一の「マンガ学部」を持つのは京都精華大学で、2000年に初めて作ったマンガ学科が、06年に学部に昇格。今年度の入試でも、人気のあるコースの実質倍率は15倍を超え、少子化で学生集めに苦労する大学が多いなか、ひときわ異彩を放っています。
それに続けとばかりか、学習院は大学院に「マンガや映像の文化的意味を研究する専攻」を設けることを決め、東京芸術大学も、大学院にアニメ専攻を加える予定だそうです。名古屋造形芸術大学でも「マンガクラス」を設け、人気漫画家の杉浦直樹さんや、ビッグコミックスピリッツ元編集長の長崎尚志さんを客員教授として招く予定なのだとか。

このように、来春には、「コンテンツ」などの学部名で教える大学を加えると、国内の15を超える大学に「マンガ・アニメ関連学部」が存在するようになるというのです。さらに注目すべきは、これらの学部には海外からの留学生も集まりつつあるという現象です。

なんでも、日本のマンガ市場は『野球のメジャーリーグのようなもの』なのだそうです。現にメジャーなマンガ雑誌で新人コンテストを開くと、米国をはじめ、中国や韓国などからも、多くの才能が「逆輸入」されてくるのだとか。

優秀なスポーツ選手の海外での活躍を応援する反面、どことなく淋しい気持ちで眺めていた日本人にとって、優れた才能が続々と集まりつつある「マンガ」という分野を見逃す手はありません。

こうなるともう経営者のみなさんも「私はマンガは読まないから…」などと言っている場合ではありません。ぜひ年末年始の休みを利用して、人気のコミックをいくつか手にとってみてください。

経営者には「常に視野を広げる」こと、そして世の中の動きを刺激にしつつ、自社のビジネスを見直す感性が必要とされている時代なのです。何かとお付き合いの多いシーズンではありますが、ぜひ上手に時間を使って、未来へ向かった情報収集を心がけてください(@^^)/~~~

ちなみに私は最近「BLEACH」って漫画が結構気に入っています。しおりも絶好調で構売れているみたいです(*^^)v

2007年11月26日(月)更新

関空の“その気”にさせる顧客獲得法?!

特に旅行に行く気などなくとも、空港に行くと「なんだかどこかに行きたいなぁ~」なんて気分に駆られる人も多いと思います。そのくらい、空港とは旅情を誘う場所ですが、こうした消費者心理を上手に活用している会社があります。

関西国際空港株式会社があえて市街地から離れた空港で開催する「旅行セミナー」が、海外旅行の需要掘り起こしと、リピーターの獲得に功を奏しているようです(*^^)v


関空


9月末の土曜日に開催された「関空わくわくセミナー」には、135名の人が参加されたそうですが、3月のブリスベーン、シドニー線に続き、9月からケアンズ線を就航したことにちなみ、豪ジェットスター航空の社員が、オーストラリアの各都市の楽しみ方を指南してくれたそうです。
オーストラリアワインの試飲会をはさみ、クイーンズランド州観光公社の職員が、現地の世界遺産などを紹介したりと、かなりの盛り上がりをみせたみたいですが、この「わくわくセミナー」は、定期便やチャーター便を就航したり、便数が増えたりした路線の都市を中心に、政府観光局の協力を得て、1ヶ月半に1度のペースで開かれているのだそうです。

参加は無料ですが、なんと今までに計30回ほどの開催で延べ3千人以上を動員したそうで、最近では百名の定員を大幅に上回るセミナーも目立ち、毎回のように参加するリピーターも増えたそうですから、なかなかの成果ではないでしょうか。

こうした取り組みの背景には、消費の多様化で伸び悩む海外旅行の需要を喚起することはもちろん、旅先の魅力を伝えることで、関空発着便の搭乗率を安定させたい狙いもあるようです。

実際、関空ではここ数年、北米と欧州の路線で運休や減便が相次ぎ、旅行客が成田空港に流れる悪循環に陥っているのだとか…(――;) 

そうした現状を打破すべく、05年からは「わくわくセミナー」の拡大版として、毎年3月に2日間の「関空旅博」も開催していて、各国の特産品を展示したり、地域・テーマ別のセミナーを開いたりして、昨年は4万人を超える来場者を集めたそうです。

来場者からも「旅行会社のような宣伝くささがなく、生の情報を聞けるのが魅力」とかなりの好評ぶりのようです。空港という独特の雰囲気の中で開かれるセミナーには、旅行会社の店頭でのセミナーや説明とは違った魅力があり、ファンづくりにも大きく貢献しているのではないでしょうか。

今の時代、「旅行」はネットで買われる商品の常に上位にランクインするような存在ですが、
いくらネットが便利でも、やはり『価値ある生情報』には勝てないと思います。

このところ、私は『価値ある1次情報の発信』こそ、経営のキーだと思っているのですが、それを証明するかのような事例ではないでしょうか。

つまりそれは、今の世の中、ネット上をはじめとするほとんどの情報が、2次情報や3次情報で、自社が価値ある1次情報を創出し発信者側にまわるか、それを広める2次情報発信側にまわるか、経営者が決断すべき時が来ている、ということでもあります。

1次情報とは、現実に起こっていること、生の情報、自分で考えていること、たくさんの情報をオリジナルの考えでまとめたもの…などで、自社開発した商品や、独自のサービスなどもこれにあたります。そうした視点で、ぜひ一度、自社の現状を冷静に見つめてみてください(@^^)/~~~

2007年11月16日(金)更新

携帯電話で商品開発?!

情報化社会の進化で、最近世の中のスピードがより一層速くなったように感じますが、このところコンビニエンスストアや百貨店などでは、携帯を使ってメンバーの意見を集め、マーケティングに活かしているようです。

PCよりもレスポンスが速く軽快に使えることで、アイディアしだいではかなりの効果を期待できます。コンビニの「ローソン」では、この機能性を活かして『謎のローソン部』という秘密?組織を作っているそうです(*^^)v


携帯


これは、ローソン公式携帯サイト「LAWSON mobile」のコミュニティサイト内で活動している組織で、「部員(=会員)」は一般のお客様で構成されています。社内の責任者を「部長」とし、携帯電話を通じてローソンから情報発信を行う一方、お客様からも情報や要望を集め、双方向の関係性を築いています。
『謎のローソン部』は、これまでにも「プリンプロジェクト」を立ち上げ、女性部員5000人にメールで50回以上質問を重ね、『あたらしいプリン』と『なつかしいプリン』(各168円)を開発した実績を持ちます。

「10分で100件の返信があるなど、携帯は反応が早く、すぐに開発に生かせる」と話す同社では、飽和市場といわれるコンビニ業界において、この2つのプリンが通常の新商品の2倍の売上げを記録したことに、確かな手ごたえを掴んでいるようです。

続いて、「カップ麺開発プロジェクト」を結成し、先月末には日清食品と共同開発した「日清カレーの極み チキンカレーヌードル」を発売しました。

このメンバー募集のしかたもまたユニークで、4月24日に発売したローソンオリジナルカップ麺「赤極みカレーヌードル」のフタの裏に募集案内を載せ、結成したのだそうです。カップ麺を好む3,301人のメンバーが集まり、半年の期間をかけて、意見を出し合ったのだとか。

ひと昔前は、テストマーケティングをするにも、広告代理店にそれなりの費用を払って依頼するなどの方法が一般的でしたが、PCや携帯といった情報インフラが整ったおかげで、工夫力とセンスがあれば、企業独自でリアルなお客さまの声を集めることも十分可能な時代になったということです。

自社の情報を発信する場合にも言えることですが、この場合、「謎のローソン部」というネーミングや、「部員」として楽しく活動してもらうための仕掛けが結構重要になります。

「企業対消費者」という構図を外し、「一緒に楽しむ部員」という環境を与えることで、お客様もホンネが言いやすくなるのです。

実際、プリンの開発過程においても、「硬めがいい」という声が予想外に多く集まり、メーカー担当者が「今の主流はなめらか。別の需要があるとは思わなかった」と驚いたそうです。

また、「子どもに安心して食べさせたい」という母親の声を聞き、ゲル化剤を不使用にするほか、好き嫌いが分かれたカラメルを別添えにするなどの工夫もほどこしたみたいです。こうしたちょっとした差別化が、売上げアップにつながることは言うまでもありません。

こうした動きは百貨店にも広がっていて、小田急百貨店はクリスマスケーキに、自社サイトの会員の声を反映していますし、東急百貨店でも、サイト会員と一緒にオリジナルビールを開発し、発売まもなく完売したと言います。

もちろん、「開発に参加してもらったことが購買動機につながる」という面では、形を変えた顧客の囲い込みと見ることもできますが、それより「企業と消費者のつながり方が変わった」と見るべきだと思います。

今や、企業と消費者間の情報格差は縮まるばかりです。両者が上下の縦の関係から、フラットな横の関係性に変化したことに経営者自身が気がつかないようでは、時代に取り残されてしまいます。この事例を参考に、自社のマーケティングのあり方を今一度見直してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

2007年10月26日(金)更新

ビジネスチャンスが潜む?! 今どきの「洗濯」事情

その昔、コインランドリーと言えば、ちょっと薄暗くて古びたマンガ本が置いてあり……みたいなイメージでしたが、今どきのコインランドリーはすっかり様変わりしているのをご存じでしょうか?

一瞬「カフェ」と見間違うほどのきれいな作りになっていたり、スタッフが常駐していたり、はたまたネットで洗濯機の空き状況をリアルタイムに公開しているお店もあるようです。


コインランドリー


今の時代、ほとんどのご家庭に洗濯機はあるでしょうが、家庭用洗濯機では洗いにくい毛布などの大物の洗濯にコインランドリーを利用するケースもあるようですから、お店をきれいにして、ちょっとしたコミュニティースペースのようなテイストにすれば、けっこう近所の主婦たちが集まってくるかもしれません(*^^)v
また、アメリカからやってきた「洗濯代行」サービスもなかなかの人気ぶりのようです。従来のクリーニングとは違って、これまで家庭で洗っていたTシャツ・靴下・下着なとの洗濯物をすべて「集荷」し、洗って、干して、たたむという時間のかかる作業をすべて代行してくれるサービスなのです。

アビッシュが展開する「WASH&HOLD」では、専用ランドリーバック(1袋の目安は約6kgでTシャツなら50枚前後。1~2人暮らしで約1週間分相当の洗濯物)に詰め放題で、2,800円だそうです。しかも、専門スタッフがていねいに手たたみして、自宅まで届けてくれるのです。

このサービス、当初は女性には受け入れられないだろうと考えていたようですが(下着などを人に洗ってもらうのには抵抗ありそうですから)、いざサービスを開始してみたら、一人暮らしの若い女性たちの利用もけっこう多いようです。

専用のランドリーバックと、洗濯物をいれたまま洗えるランジェリーネットを用意し、集荷から洗濯・仕上げ・お届けまで「ほかの人の洗濯物と触れることは一切ない」というやり方で、プライバシーを守ったことにも勝因がありますが、それよりも「お天気の休日を家事でつぶしたくない」と考える人が増えた、と見るべきだと思います。3,000円弱で休日の洗濯から開放されるなら、安いものなのかもしれません。

一方、「出張族」の洗濯物を引き受けようと、「旅クリ」なるサービスを始めた会社もあります。IT関連コンサルタントを手がけてきたアプロディーが今秋立ち上げたビジネスなんですが、顧客が専用のランドリー袋に入れて、提携先のクリーニング工場に自分の洗濯物を宅配すれば、原則5日後の所在地に、仕上がり品を宅配してくれるのだとか。

料金は、一般的な洗濯物1袋(2kg相当)で2,400円。スーツ上下のドライクリーニングだと1,700円。街中のクリーニング店よりはやや割高感があるものの、仕上がりのグレードには自信があるようですから、中5日という納期さえ短縮できれば、利用者の裾野が広がる感じもします。

こんなふうに、ちょっと調べてみただけでも、「洗濯」まわりのビジネスは大きな変貌を遂げているのがわかります。時代とともに、人々の意識も確実に変化しますから、昔からある既存のビジネスでも、切り口やサービスの方向性を見直すことで、まったく新しいビジネスとしてマーケットに受け入れられる可能性があります。ぜひ、参考にしてください(@^^)/~~~
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ボードメンバープロフィール

board_member

石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

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