石原明の「知的経営の切り口」 | 経営者会報 (社長ブログ)
企業を発展させるための経営のヒントについて、独自の切り口で紹介します。
2015年12月07日(月)更新
「大手でBtoBで既存客」の値上げは可能か
== 質 問 ==
『高収益トップ3%倶楽部』の勉強会に参加した者です。先生の値上げのお話をお聞きして、ぜひ質問させていただきたいのですが「大手でBtoBで既存客」の場合、一番難しいと思います。
2年かけて値上げの準備を進めても、景気の波でどうなるかわかりません。そのところをもう少し詳しく教えていただけないでしょうか? よろしくお願いいたします。
== 回 答 ==
一番難しい値上げにわざわざトライするのは止めて、まずは新規客に対する値上げをしてください。そうすれば、自社にも既存顧客にも新しい値段が普通になって、値上げをすることができるようになります。
== 解 説 ==
BtoB、BtoCを問わず、既存客への値上げは、基本的に最初からやるのは得策ではありません。理由は、最新刊『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』にも書いたように、今の経営そのものが不安定になるからです。
顧客の側になってみても、今まで購入していた商品やサービスの値段を何も変えない(私の本の肝はこの何も付加しない値上げの方法ですからね・・・)で突然値上げすると言われても、困惑するばかりでしょうから、意味が伝わらないどころか、もめるのは目に見えています。
なので、まずは新規客に対して商品やサービスの見え方を変える。つまり、情報を付加して、価値を伝えることで変えていき、その上で値上げすることからスタートしてください。
そうすることで、新規に値上げした値段での取引が実際にスタートし、それが一般化すれば既存の取引先にも値上げの交渉ができるようになり、結果として既存客にも値上げが可能になります。
ということで、これが既存客への一番早く確実な値上げの方法になります。ご理解いただけたでしょうか?
これ以外の方法で・・・既存の顧客に内容を変えないで(あるいは内容を変えたとしても)値上げを要求することは、かなりのハードルになりますから、現場が混乱して大変なことになってしまいますので、絶対にやらない方が良いと思います。
ココからは、ちょっと感想ですが・・・・値上げの本を書いていろいろな方の感想や質問をいただきますが、みなさん自分の思考の枠が結構強くて、経営の努力の方向が自分の思う一方向にしか動いていない方が多い気がします(p_-)
この質問の方もそうですが、何もわざわざ“既存客の値上げ”という大変なことに向かわなくても、値上げして売上げや利益を上げ、会社を良くするための努力はいろいろな方向に向かってできますよね(^.^)
それと思う方向や方法で頑張ってみるのはいいことですが、それがうまく行かない時はなるべく早く別の方向や方法でトライすることをお勧めします。
「押してもだめなら引いてみな」って、良く言いますが、やっぱりいろんな意味で柔軟性があると良いですよね(^.^) ぜひ頑張ってトライしてみてください(@^^)/~~~
私の発行する週刊メールマガジン『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです!』(購読無料)では、毎週メルマガ読者のみなさんからの質問にこんな感じでお答えしています。
これまでのQ&Aもバックナンバーにたくさんあるので、興味があれば覗いてみてください。もちろん、質問も随時受付中です(*^^)/~~~
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2015年11月27日(金)更新
広島発NY行き!? ブランドバックレンタルの「Laxus(ラクサス)」
時代は確実に「モノ」から「体験」へ、「所有」から「共有」へと変化を遂げているようですが、そんななか、広島市のエス株式会社が手掛ける高級ブランドバックのレンタルサービス「Laxus(ラクサス)」が、来年(2016年)ニューヨークに進出すると聞いて、ちょっと感心してしまいました(#^^#)
なんでも「Laxus(ラクサス)」アプリのダウンロード数が7万件を超えたそうですが、毎月6,800円(税別)を支払えば、平均30万円程度するブランドバッグ約3,000種類のなかから、好きなバッグを無期限で何度も借りることができるというサービスなんです。
従来ブランドバッグは、パーティなどの際にスポット的に借りるというのが定番だったところ、「高級ブランドを日常使いできるようにすれば、隠れた需要がある」と踏んだ同社の読みはみごとに的中!
来春までには、NYに現地支社を立ち上げ、来夏をめどに日本同様のサービスをスタートしようという意気込みです(*^^)v
これまで、こうしたサービスは海外からの「輸入」ばかりでしたが、こうした日本発のサービスが「輸出」されることは、誇らしい限りです。
時代の波を確実に読み、日本人ならではのきめ細やかさをもったサービスを提供すれば、海外でも十分通用するビジネスが展開できるはずです。この事例を参考に、自社にももっとできることはないか・・・楽しみながら発想を拡げてみてください(@^^)/~~~
2015年11月13日(金)更新
創業30年企業の2代目社長が主導権を取る秘訣
== 質 問 ==
創業30年企業の2代目継承者です。会社や組織内で主導権を取る秘訣があったら教えてください。よろしくお願いいたします。
== 回 答 ==
会社や組織内で継承者が主導権を取るためには、“営業力や交渉力を磨いて売上を上げる+儲けることに関して実力をつける”ことと、“人を使って仕事をさせる能力”この2つを身につけることが重要かつ近道だと思います。
== 解 説 ==
事業継承者が会社や組織内で主導権を取るにはどうすればいいか?ということですが、ビジネスの世界においては人柄や人間性よりも、結局のところ「どれだけ売上げを上げられるか?」「儲けることができるか?」ということからしかスタートしないので、まずは営業力や交渉力を身につけるのが重要だと思います。
理由は、経営者の仕事は将来の利益を確保するために、ビジネスを構築することなので、そのためには商品を仕入れたり、事業責任者たる人材をスカウト(他の組織から無理やり引き抜くみたいなことです)をしたり、業務提携や他社のコラボレーションの話を進めるなど、いろいろな面で交渉力が無いと難しいことが起こってくるからです。
それに、あなたが経営を任される時代はかつての、景気が良くて誰がやっても会社が上手くいくという時代ではないし、日本だけでビジネスが成り立つという時代でもないので、交渉は海外の方を相手としなければならない・・・なんてことにもなっているかもしれないですからね。
そのためには、もちろん、いきなり交渉の席についても勝てるわけもないので、まずは営業力を身につけることからスタートすることが良いと思います。
みなさんはあまり知らないと思いますが、実はIT系のビジネスで成功している社長さんのうち相当数が飛び込み営業や訪販系の仕事をやったことがある、それも凄い成果を上げていたりします。
このことからも分かるように、営業力はとても大切で、それが未来の交渉力につながると理解してください(*^^)v
次に、経営者の能力で欠かせないのが、現場を自分以外の部下に任せる能力です。この能力がじつは会社や組織内で主導権を取るために決定的な能力になるのですが、思考的にまったく正反対なので、ほとんどの経営者の方ができないでいます。なので、あなたは絶対に早くこの能力を身につけるべきだと思います。
ということで、まず、思考の違いから解説しますね。会社や組織内で主導権を取ると考えると、ほとんどの経営者が現場に居た方が主導権を取りやすいと考えると思いますが、そんな弱い組織の主導権を持っても経営的には何ら得ることはありません。
ビジネスは戦いなので、強い組織を作ってその上で主導権を持たない限り、主導権そのものに価値が無いということです。強い組織とは自ら決断して結果を出すというような組織のことなので、まずはそういう組織作りをあなたが意識して目指さなければなりません。
そのためには、あなた以外の誰かに現場そのものを任せて、結果や成果に責任を持たせるというような経営へと舵を切らなければならないわけですよね。そしてこのことが、あなたの“人を使って仕事をさせる能力”を引き出すことになるのです。
実際に、任された人間との関係性が正しい評価(降格も含めた信賞必罰ということです)で行われると、恐ろしいくらいに、組織内で主導権を持てるようになります。
今回はかなり高度な内容になってしまいましたが、ぜひ頑張ってトライしてみてください(@^^)/~~~
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2015年11月09日(月)更新
デメリットをメリットへ 『コットンヌーボー』という発想
そのほとんどは日本で消費されているなどという噂もありますが(笑)、「ボジョレーヌーボー」は風物詩のひとつとして、今では日本にすっかり定着し、毎年楽しみにしている方も多いんじゃないでしょうか?
そんななか、愛媛県今治市のタオルメーカー「IKEUCHI ORGANIC」が、『コットンヌーボー』をうたい文句に、毎年のオーガニックコットンの風合いの違いを楽しむことを提唱していると聞き、「なるほどねぇ~」と感心してしまいました。
なんでも2011年からの取り組みで、5年分のタオルが発売されているようですが、このタオルに使う綿花はすべてタンザニア産。毎年の収穫量も品質もまちまちなので、タオルにすると「今までと風合いが違う」というクレームや返品になる危惧があったのだそうです。
それを逆手に取ったのが『コットンヌーボー』という発想です。フリーデザイナーの佐藤利樹氏いわく「むしろ違うことを個性と考え、商品の価値に転換してみた」そうですが、タオルを単なる「工業品」ではなく、ワインと同じく農作物を原料とした「加工品」として見たわけですね(*^^)v
しかし、前例のない取り組みに同社も二の足を踏んだそうですが、日本にはまだ入っていなかったタンザニア産のオーガニックコットンを使えるとあって、当初はクラウドファンディングで資金を集めてのスタートだったようですが、ふたを開けてみると、初年度分はまたたくまに完売。翌年の予約が入るほどの人気ぶりだったのだとか。
5年目に入った今では、毎年のタオルをコレクションする人たちも現れ、「過去の在庫はないのか?」と聞かれることも少なくないそうですが、タオルに対する発想を変えたことで、新たなマーケットが刺激されたという、とてもよい事例だと思います。
タオルに限らず、発想の転換でユニークな展開ができる商品も少なくないはずです。秋の夜長、ワインでも傾けながら、あれこれ発想を拡げてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2015年10月30日(金)更新
コーヒー1杯を2000円で売る!? 自家焙煎珈琲で富裕層ビジネス
今回もその中のひとつを取り上げてみますので、よかったら参考にしてください(^_-)-☆
== 質 問 ==
以前、金沢勉強会に参加させていただいた者です。 生の石原先生にお会いできてそれだけでも価値がありました。本やポッドキャストで予習をしていたので、知っていることがいくつかありましたが、心に入ってくる感じが全く違いました。ありがとうございました。
そこで質問なのですが、自家焙煎珈琲でも富裕層に行くことは可能でしょうか? さすがに豆を変えずに、コーヒーを2000円に値上げするのは批判の方が怖いのですが・・・ぜひアドバイスをお願いいたします。
== 回 答 ==
ビジネスをどの視点で見るかということが分かれば、自家焙煎珈琲という業態なら、富裕層(ビジネス)に入っていくことは可能だと思います。また、豆を変えずに2000円も全く可能だと思いますよ。
== 解 説 ==
いつも思うのですが、ビジネスを考える時の思考や発想そして自由度が狭いと、行動が行き詰ってしまうと思います。
この質問の方もその傾向がちょっと強いのですが、今のビジネスで高いモノを売るのが富裕層ビジネスと考えてしまっているようですが、今のビジネスを単体で考えるより、今のビジネスを入り口としてもっと大きく富裕層ビジネスを考えれば、自家焙煎珈琲という業態なら、富裕層(ビジネス)に入っていくことは可能だと思います。
また、富裕層ビジネスはいきなりお金持ちや上流階級の方に商品やサービスをアプローチするよりも、何か別の仕事で関係性を作ってから入っていく方が無理が無いため、上手くいく可能性が高まります。
そう考えると、自家焙煎珈琲という業態はリピーターを生みやすいので顧客と繰り返し会えますし、さらに珈琲豆自体がリピートするので、かなり富裕層ビジネスとの相性が良いと思います。
富裕層ビジネスに舵を切るなら、地域で一番高い自家焙煎珈琲を単品でも良いので作ることが必須(すべてを高くする必要はありません)、ビジネスの形としては、その自家焙煎珈琲でマーケットを作り何か別の商材なりサービスを用意して販売するということになりますね。
思いつくモノやサービスを考えてみてください。今回『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』(ダイヤモンド社)に書いた通り、モノやサービスの値段は、原価や他社との比較では無く、顧客の得られる価値で決まり価値は伝え方や情報で決まると考えると、今の珈琲豆を変えずに情報を上手に付加すれば2000円で売ることも全然可能です。
こちらは、私の新刊を何度か読んで想像していただければと思います(@^^)/~~~
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2015年10月27日(火)更新
スマホ撮影画像でぴったりの靴が選べる!? 進化系サービス「シンデレラシューズ」
そんななか、「シンデレラシューズ」というサービスが目に留まったのですが、スマホのカメラで両足の側面と上面(計4枚)の写真を撮影して送ると、あなたにぴったりな靴がおススメされてくるというサービスで、只今1000人限定の先行モニター(残念ながら女性のみ)を募集し、オープン準備真っ只中だそうです。
今ドキ、ネットショップは珍しくもなんともないですが、靴となると実際履いてみないことには自分にぴったりな一足を選ぶのは難しいようで、返品率は衣料品の約10倍にもなるのだとか。
そこで同社では「KDDIの画像解析技術」を使って、かかとや足裏の形状など、利用者の足の形状を様々な角度から詳細に分析し、提携する大手百貨店やECサイトの商品のなかから、その方にフィットする靴を5段階の「ぴったり度」でマイページに表示する、というサービスを考え出したわけです。
もちろん、その商品をクリックすると、各店舗のサイトに移って買い物ができるようになるわけですが、これも一種の「キュレーションサイト」ですよね(*^^)v
同サービスは、KDDIが起業家を支援するインキュベーションプログラムで優秀賞を獲得したものだそうですが、既存のビジネスに「最先端の技術」をマッチングさせることで、こんなふうに“活路”が見いだせることがよくわかります。
この事例を参考に、自社にも見出せる活路はないか・・・楽しみながら、発想を拡げてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2015年10月16日(金)更新
個人が富裕層ビジネスに切り込むには
== 質 問 ==
個人が事業として富裕層ビジネスに切り込んで行く時に、どういった準備(スキル・マーケット・ビジネスモデル形成)が必要でしょうか?
== 回 答 ==
富裕層ビジネスが成功する秘訣は、ターゲットとする富裕層顧客の思考や価値観が分かった上で、これまでやったことがあるビジネスを基にサービスやビジネスの開発に入ることです。ですので、まずは今までの仕事を富裕層視点で振り返ってみることをお勧めします。
== 解 説 ==
最近、私のもとに届く質問で特に多いのが、この“富裕層ビジネスに関する質問”なので回答しますが、富裕層ビジネスを成功させるために必須な準備は、ターゲットとする富裕層の思考や価値観そして生活習慣などを知ることです。
思考や価値観が分かっていないと、商品やサービスが頓珍漢になって本当に空回りしますから、まずは、そういった思考や価値観そして生活習慣などもご自身がしっかり理解しているかどうかを確認することをお勧めします。
さらに、その上での解説になりますが、富裕層ビジネスと言うと“何か特別なビジネス”がありそうな感じを抱く人がいますが、基本的にはどんなビジネスでも、富裕層ビジネスが存在し、それを成功させるカギが先に述べた思考や価値観を知ること・・・と分かるとさらに理解は進むと思います。
例えばエステやマッサージというビジネスにも富裕層向けのビジネスを構築することができる、また、会計業務にも、医療にも、引っ越しにも、展開することができるということですね。
なので、あなたが富裕層ビジネスを考えた時に、今のビジネスを富裕層向けに変換できないかと考える方が適切で、そのためには、ターゲットとしたい富裕層の方の思考や価値観を知ることを目標にした方が良いということですね。
今やっている、あるいは過去にされていたビジネスが富裕層ビジネスに転換できないかを考えて、できるようなら、富裕層の思考や価値観を学習する。それが一番良い取組み方だということです(@^^)/~~~
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2015年10月13日(火)更新
「ここで買いたい」を追及!? たった1冊だけの本を売る森岡書店
銀座一丁目に建つ、東京都選定歴史的建造物にも指定されている昭和4年竣工のビルの1階で、今年(2015年)5月にオープンした「森岡書店」は、1週間に1冊だけを紹介するというスタイルで運営されている異色の本屋さんなんです。
その週に何を売るかは、同社のFacebookと、著者のホームページやTwitterなどで告知されるようですが、扱っている本はネットや他の書店でも買える本ばかり。
場合によれば、ネット書店のほうが少し安かったりもするようですが、「ここで買いたい」というお客さんが訪れるので「収支はとんとん状態」だそうですよ。
失礼ながら赤字の書店さんが多いなか、こんなやり方で「トントン」は大したものだと思いませんか?
オーナーの森岡氏は「本の中身をできるだけ外に出すこと。平面な本の世界を立体で見せること」にこだわっているそうですが、作品と共に展示した刺しゅうアーティストの作品集は170冊、店中がブーケであふれ、ハーブ良い香りに包まれたフラワースタイリストの著書は150冊以上も売れたみたいですよ。
本も音楽もそうですが、今は世界中の作品が容易に手に入る時代。だからこそ「選びきれない」という状況が起こっているわけで、消費者の間には「信頼できる人に選んでもらいたい」という【キュレーションニーズ】が高まるばかりです。
また、私はかねてから「世の中と真逆に舵を切る」ことを教えていますが、モノや情報が氾濫するこの時代に、「たった1冊」と向き合う時間を提供するという同店のスタイルには、学べる点が多いと思います。
たとえば、ネットショップの勝因は「他で買えない」か「他より安い」かしかありませんが、「わざわざここで買いたい」というお客さんにアプローチできれば、高くてもネットに負けないリアル店舗が作れるわけです。
情報をそぎ落とすなら徹底的に!・・・同店の姿勢には、そんな美学すら感じてしまいます。秋の夜長、この事例を参考に、楽しみながらアイデアを拡げてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2015年10月02日(金)更新
今、注目の業界やサービス
メルマガ2回分の回答なのでちょっと長いですが(笑)、秋の夜長にでも、じっくりお読みいただけるとうれしいです(#^^#)
== 質 問 ==
石原先生がここ最近、一番の注目されている業界やサービスがあれば、ぜひ教えてください。
== 回 答 ==
私というか当社が今一番注目しているのは、ネットの反対で人を使ったビジネスや富裕層ビジネスですね。
== 解 説 ==
私の新刊本『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』にも書いた通り、日本のマーケットは成熟し、極めて多様化していますが、その中でも富裕層や富裕層的思考でモノやサービスを買う消費者層が急増していると考えています。
またネットの情報も氾濫していて、モノやサービスが多すぎる状況で、消費者は購買の理由が良く分からなくなっているとも考えています。
こうした状況を踏まえると、安く売るサービスは成り立たない(・・・欲しいモノが明確であれば、それが安い方向に消費者は動きますが、明確でない場合は値段で動くとは考えにくいから)と思っています。
ですので、敢えて人を多く使って顧客との接点を増やす仕事とか、富裕層的な仕事が今後は面白いのではないかと考えているのです(*^^)v
例えば、全てのビジネスはモノやサービスを、単に販売するということから、顧客との関係性を強化してファンクラブ化して行かないとうまく行かないのではないかと思っています。
つまり“私はここのファンだからここからモノを買う!”というように動機を育てるようにしていかないと、どんなビジネスも、もたないのではないかと考えているわけです。
ですので、人を使って顧客との接点を増やす方向としては、ネットを使って簡単化した仕事をリアルに戻す感じのビジネスが良いのではないかと思っていて、同時に注目しています。
じつは、私もアドバイスさせていただいているのですが、表参道のキャットストリートにウサギシュークリームのニコラハウス(ニコラシャール)というお店があるのをご存知でしょうか?
こちらは、まさにそうした思考からコンセプトを作ったお店で、スイーツももちろん素晴らしく美味しいのですが、同時に毎週ファンイベントを行い顧客の囲い込みを強化しています。
さて、そもそもビジネスというのは何を基準に考えないといけないか?ということですが、それはどんなビジネスにおいても“最終的には生身の人間が関わっている”ということです。
どういうことかというと、人間には肉体があるので、どんなに美味しいと思っても限界を超えると(お腹がいっぱいになると)いらなくなるとか、どんなにカッコイイスーツでも一度に身に付けることができるのは一着だけとか・・・。
5~10軒別荘や住まいがあっても行ききれなくなってしまうとか、最近のインターネット社会にしても、便利なのか不便なのかもはや分からないというほど発展していて経営者はネットから離れ出している・・・という傾向があるように、生身の体があるので、便利なモノや好きなことにも、限界や制約がかかってしまうということです。
・・・ということは、無限に有効とか、無限に便利とか、無限に売れ続けるということは、ほぼ無いということですね。
そして、人間は感情的な生き物なので、ずっと好きだったモノやコトも、みんなが同じように使い出すとか、“〇〇さんも持っていた”というような事実に遭遇した途端にキライになってしまうナド、不可解な思考パターンまで持っているので、こういう人間の持つ感情の動きまでをも考慮して、ビジネスを組み立てないといけないわけです。
最近のマーケットの傾向で、私が思っている(=注目している)のは、ネット社会の急速な広がりによって、一つは人間関係が急速に疎遠化しているということです。そして、もう一つが、サービスが一般大衆化しているということ。
便利が突然不便化するという流れで考えると、その辺の寄り戻しが、これからのマーケットで起きるのではないかと思っています。なので、こういうビジネスに注目しているということですね。
中でも、人間関係の疎遠化はかなり深刻で、なんでもネットで買えるので、これまでだったらお店に行って注文するので、否が応でも誰かと会話したり、それが繰り返されて馴染みになって仲良くなるという自然な人間の営みがあったわけですが、それがどんどんなくなって来ています。
極端に言うと、その国の言葉がしゃべれないで、海外にぽつんと一人でいるような人が大量に発生している感じがしています。
彼らは、意識では便利な社会を享受していると思っていますが、何かあった時にリアルに頼ることがまったくできない(リアルに頼る人がまったくいない)状況にいることを、潜在意識的には感じているのではないかと思います。
また、ネットはマスに対するサービスの提供には適していますが、富裕層やごく限られたレアーなマーケットには対応していないので、富裕層向けのマーケットは、ぽっかり穴の開いた状態のまま放置されていると考えています。
ですから、私が今、最も注目するのは、リアルな人の接触を含むビジネスと、富裕層向けのサービスということです。
このあたりは、一度ポッドキャストの有料版でお話したいと回答しながら考えました。番組作ったらお知らせしますね(@^^)/~~~
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2015年09月25日(金)更新
7千円超の折り畳み傘「バーブレラ」が百貨店で品切れ!?
そんななか、とてもよく売れている傘があるという噂を聞きつけたのですが、100円ショップにも傘が並ぶこの時代に、それが7,000円~8,000円もする折り畳み傘だと知って、ちょっと驚きました(@_@)
「バーブレラ」と名付けられたこの傘は、明治18(1885)年創業の京都の老舗洋傘メーカーであるムーンバットが、昨年(2014年)春に売り出したものです。
最大の特徴は、老舗の意地をかけて目指したダントツの“軽さ”と“スリムさ” で、重さはわずか80g、傘袋に畳んで収納した際の直径は約2cm。100gを切る軽量傘が一般的になりつつあるなかでも『超軽量』とうたえる仕上がりです(*^^)v
「バーブレラ」とは、「バー(=棒)」と「アンブレラ(=傘)」を組み合わせた造語で、三陽商会のライセンスを受け「マッキントッシュ フィロソフィー」ブランドで展開。販路は百貨店だけと聞いて、またまた驚いてしまいました(@_@)
この傘の開発を担当したのは、40年あまり開発の最前線に立ち、社内では「傘の神様」との異名を持つ人物だそうですが、なんでも「ゼロベースから一段飛び越えた軽さとスリム感を実現しよう!」とばかり、2年の歳月をかけて考え抜いたのだそうです。
その甲斐あって、開発者本人もびっくりするほどの売れ行きだそうですが、昨年度の販売実績1万1千本を、今年度は半年で軽く抜く勢いで、すでに1万7千本を出荷済み。一時は品切れを起こす百貨店もあり、急いで2万本の追加生産をかけたのだそうです。
私の新刊『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』にも書いたのですが、日本企業は「安くて良いもの」を作ろうとガンバリ過ぎ、すっかり弱体化してしまったのではないでしょうか(-_-;)
商品は安いから売れるわけではなく、「買いたい理由」があれば、高くてもどんどん売れるのだということを、この傘が証明してくれているようです。
最近は天候の変化が激しいので、常に傘を持っていたいというニーズが高まっていること、長い傘は置き忘れる可能性が高いので、あまり高価なものは持ちたくないと考えている人が増えている(折り畳み傘であればほぼ失くさない)ことに加え、思わず人に話したくなるほどインパクトのある軽さであること・・・これだけ「買いたい理由」が揃えば、ヒットして当然かもしれません。
もっとも、私だったら、傘の値段帯を3ランクに増やし、松・竹・梅方式で、さらなる売上げアップを図るでしょうが・・・(笑)。
秋の夜長、この事例を参考に、自社にももっとできることはないか・・・楽しみながらあれこれ考えを巡らせてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
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ボードメンバープロフィール
石原 明(いしはら あきら)氏
僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社
ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。
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