石原明の「知的経営の切り口」 | 経営者会報 (社長ブログ)
企業を発展させるための経営のヒントについて、独自の切り口で紹介します。
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2008年10月17日(金)更新
一室3万円の映画館!? 「セレブルーム」が経営にもたらすもの
そんな意味も込めて、今週もちょっと「セレブ」な話題を取り上げます。今年(2008年)の7月に、松竹が東京・新宿にオープンした国内最大級のシネマコンプレックスである「新宿ピカデリー」に、なんと(@_@;)「1室3万円」のペアシートがあるのをご存知でしょうか?
このペアシートは「プラチナルーム」といい、利用者のための専用エレベーターが設けられているうえ、上映開始1時間前から「専用ラウンジ」でくつろぎながら、無料で提供されるウェルカムシャンパンやお菓子を楽しみつつ、上映時間までの贅沢な時間を過ごせるのだそうです。
そして上映時、室内では、イタリアの高級家具カッシーナのソファーにゆったりと座り、最大級のスクリーンかつ、高性能の音響機器で、しかも2人っきりで映画を楽しめるというわけです(*^^)v
このタイプのバルコニー席は、2室設けられているそうですが、VIPのお忍びばかりでなく、両親へのプレゼントや、記念日の利用などで、土日は満室になることもあるそうです。
同館には、このほかにも1席5千円の「プラチナシート」を設ける一方で、平日当日券に限り、1千円で鑑賞できる「最前列席」も設けています。
同社では、「歌舞伎や芝居小屋に近い発想。それぞれのニーズに合わせて利用を促したい」としていますが、「なるほどなぁ~」という感じですよね。
ひと昔前のバブル期なら、「全館セレブ対象」という発想しかなかったと思うのですが、いろいろなグレードのサービスをひとつの建物に集めるというのが、なんとも今っぽい発想だと思います。
世の中が不景気ムード一色になると、みんながみんな「格安なサービス」に向かおうとしますが、そんななかでも、富裕層をターゲットにしたサービスを持つことは、自社の将来的な財産になる可能性が高いのです。
まず、時代と逆に舵を切った商品やサービスは「話題」になりやすい、ということがひとつ。さらに、高級なサービスに集まるお客さんを自社の「顧客リスト」にプールすることで、将来的にその人たちを対象にした商品やサービスを開発することも可能です。
そうなれば、景気回復と同時に、自社の経営が一気に変わる可能性もあるわけです。暗いニュースに沈むばかりでなく、経営者は常に発想を大きく広げておきたいものですね(@^^)/~~~
2008年09月26日(金)更新
今、「バスマニア」が熱い!?
マニアの中心は、30~40代の男性だそうですが、この分野は関連書籍などが少ないため、自分たちで研究して、車体の微妙な違いなどを発見するといった醍醐味があるようです。
男性なら、子どものころに一度は「バスの運転手」に憧れた人も少なくないのかもしれませんが、バスマニアと一口にいっても、いろいろなタイプの人たちがいるようです。
まずは、シンプルにバスに乗るのが好きという「乗車派」。路線制覇を目指したり、エンジン音の違いを聞き分けたり、なかにはみずから免許を取得し、バスを所有して運転を楽しむ人までいるみたいです。
一方、「撮影派」と呼ばれる人たちは、熱海のビーチラインに架かる歩道橋などの“撮影スポット”に出かけ、わくわくしながら来るバスを待ち、来たバスを撮影するのだそうです。
「バス撮影の魅力は鉄道と違って、どんなバスが来るか直前までわからないところ。一期一会ですよ」と話す人もいるくらいで、ある意味、鉄道マニアよりもディープな世界のようです(――;)
その他、模型を集めたり改造したりして楽しむ「模型派」の存在もありますが、いずれにしても、バス車両の種類や装備、形態や部品などを徹底的に調べることを趣味とした人たちなのです。
業界誌の「バスラマ・インターナショナル」では、年に1~2回、バス会社の営業所を巡るツアーを企画しているそうです。もともとは業界関係者向けに始めたもののようですが、今では参加者の半数以上をバスマニアの人たちが占領してしまうのだそうです。
また、今年4月に栃木県の壬生町で開催された「バス祭り」には、総勢2000人が参加したと言いますから、ちょっとびっくりしてしまいますよね(@_@;)
イベントの目玉は、珍しいバスの展示。元国際興業バスの「いすゞ製BU04型」には大勢のマニアが群がり、車体後部のエンジンルームを開けると「おー」という歓声が上がったそうですよ。
以前もこのブログで、「ダムマニア」の話題を取り上げたことがありますが、全体から見るとかなり少数派ではあるものの、よりディープな情報を求めている、こうした「マニア層」に商品やサービスを提供するという発想は、これからの経営に欠かせない視点であると私は考えています。
ご存知のとおり、日本の消費社会も成熟し、「大量生産・大量消費」の時代はとっくに終わっています。もうあの頃のように、作った商品がバンバン売れる…という時代には戻らないのです。だからこそ、これからの時代はますます、経営者のアイディアとセンスが問われるわけです。
模型メーカーのトミーテックでは、人気のコレクションフィギュア「鉄道むすめ」シリーズに続き、今月(2008年9月)末より、『バスむすめ』シリーズの第2弾の発売を開始するようです。
こんなふうに、マーケットの存在にすでに気づいている企業もあるわけです。この事例を参考に、「趣味マーケット」「マニア向けマーケット」について、真剣に研究してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2008年09月12日(金)更新
「出前サイト」に学ぶネットとリアルをつなぐ発想
これまでは出前を頼みたければ、そのお店に直接電話するしかありませんでしたが、この『出前館』が登場したおかげで、サイトを見ながら提携しているお店の数多いメニューのなかから「何を食べようか…」と楽しく選べるうえ、小まめに更新されている「待ち時間」をチェックしつつ、パソコンや携帯から注文できるようになったのです。
『出前館』は、今年で9年目を迎えるそうですが、類似サービスも増えるなか、現在の会員数は、約170万人。提携店舗数は、6月末時点で前年同月比15%憎の8,259店。同月の注文数は40万件を突破し、前年同月比55%憎という勢いなのです!(^^)!
このサービスが成功した秘訣は、ひとことで言うなら「お互いにとって便利なしくみ」だからです。ネット世代のお客さんにとっては、お店にわざわざ電話をかけるより、サイトから注文できる方が断然便利です。しかし、お店側が、忙しいランチタイムなどに、パソコンを小まめにチェックできるはずもありません。
そこで、『出前館』は、お客さんから【ネット】で受けた注文を、【FAX】にしてお店に流しているのです。こうなると、お店側も忙しいなかで電話を取り、いちいち注文を聞く回数が減るわけですから、とても助かるはずです。
また、FAXを確実にお店が受け取ったかを確認するために、送信後、『出前館』から自動応答電話がかかるようになっているのですが、出前の待ち時間の更新についても、この電話で「FAXを受け取りました」とう確認を意味する「0♯」と押した後に、「40♯」と押せば、その1秒後にはサイト上に「待ち時間40分」というふうに更新されるようなシステムを導入しているのだそうです。
このシステムにより、1日2千回近くは、サイト上の待ち時間が更新されているそうです。消費者がネットにすっかり慣れた今の社会では、このレベルのサービスを提供しないと、お客さんの支持を得られないのかもしれませんね。
また、リピーターを増やすために、サイトを利用することで貯まったポイントを使って、どの店舗でも割引が受けられるようなしくみにしています。この割引についても、ふつうの経営者なら、安易に提携店舗に負担してもらおうと考えてしまうと思いますが、この『出前館』では、ポイント利用により割り引かれた額を、「全額」店舗側に補填しているのだそうです。
「店舗が利用に前向きにならないサービスは広がらない」と考えていて、店舗が出前館に支払うのは、注文額の5%と月額掲載料の3千円のみ。現在、1店舗あたりの月間注文数が約49回で、平均客単価が約2,900円だそうですから、1店舗あたり月額約14万円の売上になる計算です。
原材料の高騰など厳しい環境が続くなか、お店側もチラシなどの広告費を負担せずにすむのは、かなりありがたいと感じているはずです。
こんなふうに、『出前館』が、ネットとリアルを上手に橋渡ししてあげることで、店舗とお客さんの両方にメリットを生むしくみを実現したわけです(*^^)v
同サイトを運営する「夢の街創造委員会株式会社」の女性社長である中村利江さんは、たびたびマスコミにも登場しているので、ご存知の方も多いと思いますが、経営者の発想しだいで、ここまでビジネスは発展します。ぜひ参考にしてください(@^^)/~~~
2008年09月05日(金)更新
企画力で勝負! 「カトージ」の高級ベビーカーに学べ
愛知県犬山市にある「カトージ」という、1954(昭和29)年にベビー用品の卸売りから始まった会社ですが、今では東京・代官山に専門店を持ち、1台7万円近いベビーカーが、ふつうに売れていくようです。
大手メーカーでは手の回らない“ニッチ”な市場を狙うのがこのカトージの戦略で、2003年に発売した、アルミフレームを採用することで重さ3キロを切った軽量ベビーカーは、ネットやクチコミで話題となり、初年度に3万台を売るヒットを飛ばしました。
同社いわく「自動車で言えば外車のようなベビーカーを目指している」そうですが、従業員数わずか50名規模の中小企業が、こうしたユニークな製品を生み出せるのは、「商品企画」にのみ力を注ぎ、生産は100%外部に委託しているからです。
この業態は「製造小売り」と呼ばれる、ユニクロやギャップと同じビジネスモデルで、自社工場を持たないことで経営的にメリットが生まれます。今年1月に代官山にオープンした専門店は「アンテナショップ」としても機能させることで、持てる経営資源をすべて「企画開発」に集中させているわけですね(*^^)v
今、力を入れているのは、「最軽量」とは反対に、「重くてがっしり」したベビーカーです。なんと、車体重量は14.5キロ。海外製のものと比べてもトップクラスの重さだそうですが、その分、安定性を高めるベアリングやショックを吸収するバネを備え、ゆりかごやベットとしても使えるようなベビーカーとして作られています。
同社の加藤社長は、月の3分の1を海外で過ごし、契約工場や現地のベビー用品の展示会の視察などを繰り返しながら、常に新たなアイディアを出し続けているそうです。
「利幅の薄い低価格品だけでは、いずれ行き詰ってしまう。いつも誰もやっていないものをつくろうと心がけている」という加藤社長の言葉は、われわれ中小企業が採るべき経営戦略の方向性を指し示してくれているかのようです。
実りの秋。ぜひこの事例を参考に、自社の商品戦略を見つめ直してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2008年08月08日(金)更新
もしも「電報」というインフラに自社商品を乗せたら!?
リカちゃんはウェディングドレスを着ていて、結婚式の祝電にひっぱりだこ。昨年は限定発売の4,000体を完売した実績もあるそうです。下の写真は、今年バージョンの限定版です。
NTT東日本によると、電報の発信件数は昭和40年に約9,000万通を記録したものの、パソコンメールや携帯メールなど、新たな通信手段の登場で年々減少の一途をたどるばかり。平成18年には、約1,860万通にまで激減したようです。
そんななか、同社の子会社で電報事業を手がける「テルウェル東日本」では、減少傾向にある冠婚葬祭需要を追いかけるばかりでなく、誕生日や入学・卒業のお祝い、還暦や米寿などのお祝い、はたまた父の日や母の日など、新たなシーンでの需要を掘り起こす戦略を取りました。
今や定番になりつつある、キティちゃんやドラえもんのぬいぐるみが付いた「キャラクター電報」、プリザーブドフラワーや本皮ブックカバーを添えた「カジュアル電報」など数十種類を用意しています。
今年の母の日には、宝石箱としても使えるオルゴールボックス付きの電報が人気を集めたそうですよ。電報と同時にプレゼントも贈れちゃう感覚で、なかなかいい企画ですよね(*^^)v
同社では「電報という(相手の)想定外の手段でサプライズ感を演出でき、メールでは伝えきれない感謝や励ましの心を贈ることができる」と、人気の背景を分析しているようですが、本当にそのとおりだと思います。
Eメールというバーチャルな通信手段が主流になった今だからこそ、「リアル」に物が届くということに、かえって“ありがたみ”が増しているのだと思います。
冒頭で紹介した「リカちゃん付き電報」は、インターネット経由のサービス「ベリーカード」を展開する「ヒューモニー」が企画したものですが、同社ではそのほかにもガチャピンとムックの声でメッセージを届ける「しゃべキャラシリーズ」など、計64種類をそろえています。
今年5月に発売した中日ドラゴンズのマスコットキャラクター「ドアラのぬいぐるみ付き」は、発売初日だけで150通の申込みがあったそうです!(^^)!
一方、“地球へのギフト”も兼ねた「ECO電報」を扱うのは大阪市のKSGインターナショナル。砂漠化が進むモンゴルで植林活動を続けるNGOと提携し、「e-denpo」1通につき1本の木を植える寄付が行えるのだとか。
先に紹介した「アンクレット付き」もこの会社の企画で、そのほか直筆サインや顔写真入りなどユニークな商品を企画し、前年比2倍以上の売り上げが続いているようです。
こうした新規参入企業に、自社商品を付けた電報の企画を提案してみたら、結構すんなり通るかもしれませんよ。試してみる価値はあると思います。もちろん、商品を売りたいがための発想ではダメで、企画力が勝負になってくると思いますが…。
たとえば、けんかをしてしまった相手や、仕事上のちょっとしたミスでご迷惑をかけてしまった相手に「謝る」ための電報なんてどうでしょう。こんなふうに考えれば、まだまだユニークな企画が生まれてくると思います。
夏休み中の、ちょっとした“経営脳トレ”の課題として、楽しく考えてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2008年07月18日(金)更新
大人のための「自習室」が急増中!
少し前に、私のブログでも取り上げた女性用のパウダールーム「COS-Pa(コスパ)」は、おでかけ前に手ぶらでちょっと寄ることができる着替えや化粧直しのための専用スペースをお手軽価格で提供し、若い女性たちにたいへんウケているようです。
これは、とある美容室の女性オーナーが、「着替えや化粧直しの場として利用されるトイレは、混雑していたり汚れていたりして不便だ」と感じたところから思いついたビジネスですが、その男性版もそのうち現れるだろうな…と思っていたら、案の定、今続々と「有料自習室」が誕生しているようです。
これまで「自習室」といえば、主に受験生が利用するもので、予備校の近くに多く見かけたものですが、それをオフィス街に作ったところ、やり残した仕事をする会社員や資格取得のための勉強をする人たちに重宝がられ、どこもほぼ満席状態が続いているといいます。
東京・茅場町のビル内にある「サクセス・ロード茅場町」では、平日の夜ともなると「私語厳禁」の張り紙のもと、公認会計士などの資格取得を目指す人たちが、黙々と勉強に取り組んでいるそうです。
ここの料金体系は「月額制」になっていて、机の大きさによって1万5800円から1万8900円ほど。朝6時から深夜12時まで開いていて、出勤前や仕事帰りに自由に立ち寄ることができます。
自宅に帰ると、ついついテレビを見てしまったりするものですし、カフェやファミレスでは、その日のタイミングで長居しづらい場合もあります。また、持ち歩くのには重い参考書や辞書などを置いて帰れるのもいいですよね!(^^)!
この手のビジネスは、意外と簡単に真似できますから、今度は反対に女性専用の自習室が登場したりと、続々と誕生しているみたいなんですが、いずれにしても「集客」さえうまくいけば、とても儲かるビジネスモデルであることは、間違いありません。
そもそも、倉庫業がその最たるものですが、大きい倉庫を区切り月々手軽な料金で貸すと、その倉庫をまるまるひとつの企業に貸すよりも、ずっと利益率が上がります。また、契約先の企業が大きくなるにつれ、徐々に貸すスペースも広がりますから、あとは「集客」のための投資をすることなしに、自動的にとても儲かるビジネスが展開され続けることになるのです。
これと同じモデルが「レンタルオフィス」です。起業したての人たちに、大きいフロアーを小分けにして、借りやすい価格のオフィス物件を提供することで、そのスペース自体の商品価値を何倍にもしているわけです。しかも、その企業の成長に合わせて、ずっと不動産のお世話をしていける足がかりになるかもしれません。
「自習室」にそこまでの可能性が見込めるかどうかはわかりませんが、要はターゲットとする人たちに、快適で便利な空間を提供してあげるという基本からズレずに、オリジナルティを発揮していけば、まだまだ発展可能な世界だと思います。
家に帰っても、意外に居る場所がない“お父さん族”を狙うのもアリかもしれませんね(笑)。この事例を参考に、収益体質のいいビジネスを楽しく発想してみてください(@^^)/~~~
2008年06月27日(金)更新
手芸カフェ誕生!「趣味 + カフェ」がヒットのキーワード!?
渋谷駅から徒歩約15分という立地にあるカフェ「Tabela(タベラ)」には、手芸好きの女性たちが集い、お茶を飲みながら“作品”づくりを楽しんでいます。
さらに、ネット上には、オリジナルの手芸品の「レシピ」を公開するサイトなども登場していて、趣味の世界も日々“進化”していることを実感します。
これまで、手芸などの趣味は「ひとりで楽しむもの」と相場が決まっていましたが、カフェで手芸をすると「先生にすぐ教えてもらえるし、知らない人とも仲良くなれて、1人でするより楽しい」んだそうです。確かにそうかもしれません。
このカフェでは、06年春からは、講師を招いて「ワークショップ」を開いているようですが、昨年秋ごろからは、20~30代のOLや主婦たちで、毎回10名程度の定員が、すぐに埋まるようになったそうです。
参加費用は、材料代を含め1,500円程度の受講料と、デザートまたは軽食代の1,100円。リピーターが多く、会社を休んでまで参加する人もいるみたいですよ(――;)
それはともかく、この事例からは「時代」のキーワードがいろいろと見えてきます。まずひとつは、モノが溢れるこの時代、消費者たちはありふれた規格品では満足せず、“自分だけのオリジナル”の品に愛着を感じるようになってきているということ。
また、安心できる天然素材を使ったものを、自分はもちろん家族にも身に着けて欲しいと考える「エコ志向」が高まっていることも確かでしょう。
しかし、何よりも見逃せないのが、『同じ趣味の人たちと集いたい』という人たちが増え続けている、という事実です。もちろん、その昔から「同好会」的なものはありましたが、インターネットという瞬時に人と繋がれるツールが世に誕生したことで、人々のなかに眠っていたその感情が、より顕著になってきているのかもしれません。
「ネット」が、人々の感情を含めた「リアル」の世界に及ぼしている影響力は、計り知れないものがありますね。
また、今どきの人たちは、自分の「趣味」に合うことには、気にせずお金を遣う傾向があります。であれば、企業がこのターゲットを狙わない手はありません。何も、「カフェ」の開業をすすめるわけではありませんが(笑)、「趣味 + カフェ(=人々が集う場所)」は、時代を象徴するキーワードであることは間違いありません(*^^)v
さらに注目すべきが、多くの人が、そのカフェに「癒し」を求めて集まって来ているということです。
短時間でも手芸に熱中すること、また、同じ趣味を持つ人たちと集うことが、ある意味疲れた現代人を癒しているのだという事実は、経営者も感覚として、わかっておく必要があるように思います。
世の中には「猫カフェ」という、猫に癒されたい人たちが集まるスポットまで登場しているようですから・・・(*^_^*)
自分の業界で、また自社商品を絡めて、そんな発想で展開できるビジネスがないものか…この事例を参考に楽しく発想してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2008年05月30日(金)更新
やるならとことん!? 香典返し専門店「ネット」で健闘
高齢化社会になると、黙っていても市場は拡大傾向にあるように思われがちな業界ですが、近年「家族葬」などの“地味葬”を好む人が増え、顧客単価は下降気味なのだそうです。
そんななか、楽天市場などでネットショップを運営する香典返し専門店「一心」は、1,800種類におよぶ品揃えに加え、「あいさつ状」の作成や、意外にめんどうな「香典帳」のデータ化など、細かいニーズにも対応することで、日ごろ仕事などで忙しい顧客をつかんでいるみたいです。
香典返しは、百貨店などで注文するのが一般的ですが、仕事などで忙しく、日中百貨店に出向いて打ち合わせをするのが難しい人も多いのではないか…という想定のもと、信用度や知名度で百貨店に劣る分、ネットの利点を活かしたきめ細かいサービスで対抗しようという作戦です。
東京都足立区の住宅街にある同店の事務所では、受注したその日のうちに、専任スタッフが、香典返しにつけるあいさつ状を作成し、メールに添付して顧客に送っているそうです。その後、細部の修正など数回やりとりを繰り返し、最短2~3日で発送することが可能なのだとか。
なんと!このあいさつ状作成は、同店で香典返しの品を注文した人が特典として受けられる「無料」のサービスなのです。そのうえ、「喪中はがき」の作成や、筆ペンなどで記入してもらった「香典帳」をパソコンの表作成ソフトでデータ化するサービスも「無料」で行っているといいます。
顧客にとっては、とってもありがたいサービスだと思いませんか? 感情的にもつらく慌しい時期に、こんなふうに気の利いた対応をしてもらえたなら、「一生忘れない…」ような気持ちになるかもしれません。顧客の感情を揺さぶることによって、クチコミ効果も期待できるでしょう。
実際、同社のネット通販の売り上げは、前年比約2倍のペースで増えていて、08年5月期の売上高は8,500万円の見通しだそうですが、「贈答品」全般を取り扱うネットショップが多いなか、「香典返し」に特化した戦略が功を奏してきたようです。
同社でも「目下の課題は、葬儀のことがよくわかるようにした、関連サイトの充実だ」と話していますが、まさにそのとおりだと思います。特に親族が急に亡くなった場合など、何をすべきか、いろいろわからないことも多いと思います。
従来なら、親戚やご近所に聞いて段取りを進めていたようなことも、これからの時代は「ネットで調べる」という人が増えてくるのかもしれません。
それを見越してか、現行のサイトにも「葬儀後の知識と心得」というコーナーで、礼状の出し方や、生命保険の受け取り、はたまた故人の確定申告といったことまでが説明されていますが、失礼ながら、情報の濃さやサイトの作り方などには、まだまだ工夫の余地がありそうです。
もし、同社のサイトが「わからないことはこのサイトで調べよう」と思ってもらえるくらい質の高い情報を提供し、「葬儀後に関することならここ!」という認知を得ることができれば、本当の意味でネットショップの勝者になることができると思います。
今回の事例は、ただ単に「ターゲットを絞れ」という意味で取り上げたのではなく、もし何らかの分野で特化したいと思うのであれば、これからの時代は、ネット戦略もふくめ、「本気でとことんやらない限り差別化はできないということを知るべきだ」という意味です。
もちろん、品揃えが多いほうが売り上げを上げやすいに決まっていますから、「広く」いくのか「狭く」いくのかは、経営者の手腕の見せ所かもしれません。いずれにしても、自社の商品やサービスと共に、「質の高い情報発信」が経営を左右する時代であることは間違いないようですね(@^^)/~~~
2008年05月09日(金)更新
ハーゲンダッツが1個千円のアイスクリームを発売!?
その商品とは、ハーゲンダッツジャパンの超高級アイスクリーム「ヘブンリースプーン」というもので、同社いわく「テレビを見ながら食べるのではなく、クラシック音楽でも聴きながら、究極のアイスクリームを味わってもらいたい」と話しています。
なんと、この商品の開発にあたっては、構想から5年の歳月が流れているようです。稀少な原材料を調達し、究極の味を目指したのだとか。今回発売される味は2種類なのですが、「ダージリン」味には、世界3大銘茶のひとつであるインドのダージリン地方の茶葉を使用。そのなかでも、無農薬生産で、なおかつ、マスカットのような香りが強くなる「夏摘み」の茶葉のみを厳選するというこだわりようです。
一方、「カカオ」味には、味わい豊かな上に酸味も感じ、抜けるような香りが特徴のマダガスカル産のカカオを使用。カカオ豆だけで作られたカカオマス(チョコレートの原料)に、ハーゲンダッツのミルクを組み合わせたようです。
気になる価格はといえば、「ダージリン」が6個セットで6千円の限定3千5百セット。「カカオ」が6個セットで5千円、限定2千5百セットを、本日正午よりネットオンリーで発売開始したみたいです。こんなふうに、高額アイスを数量限定で発売するやり方は、日米欧市場で商品展開するハーゲンダッッツ社にとっても、世界初の試みだと言います。
果たしてその結果はいかに・・・しばし注目をしてみたいところですが、いずれにしても、今の時代、このくらい突き抜けた商品開発をしないと、本当の意味での「ブランド力」が守れなくなっているのかもしれません。
失礼ながら、いくら同社が「高級路線」を守ろうとしていても、今やコンビニで手軽に買えるわけですから、そのありがたみも徐々に薄らぐというものです。そんななかで、自社のブランドの高級イメージを本気で守りたいのであれは、それ相応の覚悟が必要だということです。
この事例を参考に、自社のブランド戦略を今一度見直してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2008年04月11日(金)更新
「スカイプ飲み」が流行?! 終電も気にせず楽しめる飲み会とは
つまり、海外赴任中の家族を持つご家庭や、遠距離恋愛中のカップルたちにはとってもありがたいツールなわけですが、今、その「スカイプ」を使って「飲み会」をする人たちが増えているのだそうです。「スカイプ飲み」……なかなかこじゃれたネーミングじゃありませんか!(^^)!
さらに、マイクロソフト社がネット上で無料提供する「ウィンドウズ・ライブ・メッセンジャー」というソフトをダウンロードし、市販のWebカメラをパソコンに取り付ければ、メンバー同士はテレビ電話のように自由に会話したり、チャットを楽しんだりできるというわけです。
自宅に居ながら、くつろいだスタイルで、終電も気にせず「飲み会」が楽しめ、酔ったらそのまま寝てしまえるし、しかも安上がり! という、ある意味究極の遊び方かもしれませんね。
スカイプによると、現在、同サービスの登録者は全世界で2億7600万人、日本のユーザー数も500万人以上いるそうですが、この「スカイプ飲み」は、同社でも“想定外”の使い方だそうです。
しかし、得てしてこんなふうに、「技術」や「サービス」は、『作り手が思いつかない』ような使われ方や楽しみ方をされることで、“グン”と発展していくものなんです(*^^)v
ある「インフラ」ができ、ユーザーがそれを自由に使うことで、そこにまた新たなマーケットができる…そしてそのマーケットに向けて、さらに新しい商品やサービスが生まれていく…ってことです。
うちの会社でこの「スカイプ飲み」の話をしていたら、「そのうち、スカイプを使ったキャバクラが出来たりして……『スカキャバ』なんてどうです?」なんて発言も飛び出し、異様に盛り上がりました(笑)。
それはともかく、IT技術が発展し、こうしたインフラが整うことで、「人々の心理」も大きく変化を遂げていくことだけは確かです。例えば、この「スカイプ飲み」を楽しむ人たちは、「相手と目線を合わさずに話せるのがいい」と感じている人も多いみたいですよ。
良し悪しは別としても、経営者が、こうした「ユーザー心理」を的確に掴んでいない限り、本当の意味で消費者に喜ばれる商品やサービスを開発することは難しいと思います。
物は試し! 経営者の会合でも、一度、この「スカイプ飲み」を採用してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
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ボードメンバープロフィール
石原 明(いしはら あきら)氏
僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社
ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。
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