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2009年07月24日(金)更新

カフェメニューに文庫本!? スパイラルカフェの「文庫本セット」

出版業界に限らず、業績不振に悩む業界は多いと思いますが、そろそろ「既存の小売店以外でものを売る」という発想をするべきなのかもしれません。

東京・南青山にあるスパイラルカフェのメニューに、今年(2009年)4月~9月中旬までの期間限定で、ドリンク1杯と文庫本1冊がセットになった「文庫本セット(1,350円)」が登場したのをご存じでしょうか? もちろん読みかけの本は、持って帰ることができます。


カフェ


夕方5時以降の限定メニューだそうですが、仕掛人はブック・コーディネイターでnumabooks代表の内沼晋太郎氏。「ふらりと立ち寄ったカフェのメニュー表に本が並んでいたら面白い」と、企画を持ちかけたそうです。
文庫本は、毎月5冊を内沼氏がセレクトしています。芥川賞作家の保坂和志さんの小説や、須賀敦子さんのエッセイなどが人気みたいですが、オーダーすると、オリジナルのブックカバーをつけた文庫本がお皿に乗って運ばれてくるのです。それだけで、なんだか面白いですよね(*^_^*)

これまで、本は「自分で選ぶもの」でしたが、そこに「センスある人にセレクトしてもらう」というステップを加えることで、また違った面白みが出てくるのです。さらに、「たまたま入ったカフェでこの本に出会った」という出会いの楽しさも演出できます。

この企画は、他のカフェでも試してみる価値があるでしょう。そうすると、お店ごとのセレクトセンスで競い合えるようになりますし、そこでしか入手できない特製ブックカバーが人気を呼んだりするかもしれません(*^^)v

また、「とってもいい本だけど…まったく売れなかった(――;)」なんていう「良書」を、改めて世に出すチャンスとしても使えるかもしれませんね。

最近では、カフェ以外にも、雑貨店などでおしゃれな小物や洋服のとなりに本を置き、普段本を読まない層にアピールして、思わぬヒットを飛ばしている例もあるようです。

いずれにしても、業界の常識だけで判断していると、こんな発想って出てこなくなるものなのです。「人が書店に来ないのなら、本を書店から連れ出しちゃおう」…こんな発想は、得てして異業種から生まれてくることが多いものです。

この事例を参考に、自社の商品やサービスを「外に連れ出す」、遊びゴコロ満載の企画をプランニングしてみてはいかがでしょう? 意外にも、チャンスはすぐそこにあるかもしれませんよ(@^^)/~~~

2009年07月10日(金)更新

花火でプロポーズ!? 企業から個人へマーケットを拡げる

今年も花火大会の季節になりましたが、今、「花火でプロポーズ」を切り口に、打ち上げ花火を個人向けに販売している会社があるのをご存じでしょうか?

創業120年の社歴をもつ千葉県の印旛火工株式会社では、ネット事業部を新設し、『花火SHOWドットコム』というサイトで、プロポーズを演出する花火だけでなく、両親の還暦祝いや誕生祝いなど、個人向けの“プチ花火大会”を提案しているのです。


花火


これまで、花火大会といえば、自治体などが企画するものでした。ですから、予算も各自治体から出ているケースが多く、そこに企業が協賛して、ロゴマーク入りのしかけ花火を打ち上げたりしていたものです。
しかし、ご存じのように景気が悪くなると、自治体でも予算がとれなくなったり、企業からも協賛を得られなくなったりしていきます。そうなると、世界に誇れるほどの腕を持った花火職人さんたちの仕事も激減してしまいます(――;)

そこで、同社の社長は、「打ち上げ花火を個人向けに販売できないか」と思い立ったのです。そう思い立って、サイト事業部を立ち上げたわけですが、思い立ったビジネスをすぐに試せるのもネットの利点ですよね。

予算は、 10万円から30万円程度が一番多く、たとえば10万円の予算だと、2.5号玉30発、3号玉20発、4号玉10発程度が打ち上げられます。一般的な花火大会のようなタイミングで上げると2~3分で終わってしまう内容みたいですが、打ち上げのスピードなども相談に乗ってもらえます。

さらに、プロポーズ相手の名前を花火にして打ち上げるなんてサプライズ企画にも、相談に乗ってもらえるみたいです(*^_^*)

同社の指定場所以外での打ち上げについては、申込者が手続きすることが基本ですが、同社に依頼すれば消防署等への申請も代行してもらえるうえ、当日は打ち上げ場所までの送迎もしてもらえます。

今後は、この「プライベート花火大会」をプロが撮影して映像に残す…なんてプランもセットしたら喜ばれると思いますし、やり方によっては、まだまだビジネスとして発展できる可能性があると思います。

ちなみに、うちの女性スタッフに「花火でプロポーズってどう?」と聞いたら、一瞬微妙な空気が流れましたが(笑)、プロポーズはともかく、結婚式や会社の暑気払いのサプライズ企画など、アイディアしだいで花火の活用法はまだまだあるんじゃないかと思います。

だいだい今まで「個人で花火を打ち上げよう」なんて、思いもしませんでしたよね? しかし、「できる」とわかれば、しだいに利用する人たちも増えていくはずです。現に申込件数では、個人客が自治体などの団体客を抜く勢いだそうですよ(*^^)v

もちろん、個人客は売上的にみたら小さいですし、対応に手間もかかります。しかし、これからの中小企業にとっては、「個人」という販路を持っておくこともある意味必要ではないでしょうか。

個人客は、企業ほど景気の影響を受けませんので、不景気時代の下支えになってくれるはずです。そのうえ、インターネットという武器を使えば、中小企業が個人客を相手にすることも十分可能な時代なのです。

この事例を参考に、自社にも活かせるアイディアはないか、ぜひ知恵を絞ってみてください。特に、業界の体質が古く、腕のいい職人さんたちが仕事がなくて困っている…といった業界には、即効性があると思いますよ(@^^)/~~~

2009年06月26日(金)更新

「ちょい食べカレー」がヒット!? 商品の角度を変えて市場を作る

みなさん、グリコの「ちょい食べカレー」という商品をご存じでしょうか? 何をかくそう、私は最近まで知らなかったのですが、姉妹品の「ちょい食べハヤシ」とともに、昨年(2008年)2月に発売された商品です。

この商品、ひとことで言えば「レトルトカレー」なんですが、温めずにそのまま食べることができるのと、1本30gというプチサイズにしたことで、「ふりかけ感覚でお弁当といっしょに持っていく」というカレーの新しいマーケットを開発したのです(*^^)v


カレー


従来のレトルトカレーは、ラード(動物性の脂)を使っているものが多く、常温では固まってしまうため、温めずにそのまま食べることができませんでした。

その点、この「ちょい食べ」シリーズは、常温でも固まりにくい植物性の油脂と野菜や果物のペーストを使っているので、温め直すことなくそのまま食べられるというわけです。
ですから、おかずが足りなくてちょっとだけ残ってしまったご飯にかけたり、ジャムのようにパンにつけて食べたり、オムレツやオムライスのソースにしたり、はたまた料理の調味料的に使ったり…と、これまでにないレトルトカレーの用途を増やすことに成功したのです。

同社の開発担当者は「昼の弁当を食べているとき、カレーの味が欲しいと思ったのが開発のヒントでした。カレーのパンはあるが、意外と弁当は少ない、と感じました」なんてコメントしていますが、「なるほど!何で今まで気づかなかったんだろう(――;)」って感じですよね。

「カレーパン」からこの商品をイメージしたというのもちょっと笑えますが、この商品がヒットした裏側にはもうひとつ秘密があって、スーパーなどの販売の現場では、レトルトカレーの棚に加え、「ふりかけ」のコーナーにも置いてもらうようにしたのだそうです。

すると、一人二人と、お弁当といっしょにこの商品を持っていく人が現れます。お弁当はふつう一人では食べませんから、目の前でカレーをお弁当にかけはじめる人を見かけたら、「何それ?」となるわけです。

当然ブログなどで発信する人も出始めます。そんな感じで徐々にブレイクし、一時は生産が間に合わない状況にもなったみたいですよ。

またここ最近、「弁当男子」という言葉も生まれたくらい、世の中にお弁当持参派が増えました。折りしも不景気の波が押し寄せて外食派が減ったことも、この商品を後押ししたのでしょう。

それはともかく、カレーという完全な成熟市場でさえ、発想と工夫でこんな現象が起きるのです。マーケティングは、本当におもしろい世界ですよね。ぜひ、この事例を参考に、自社商品の“角度”をちょっと変えたらどうなるか…楽しく考えてみてください(@^^)/~~~

2009年06月12日(金)更新

1本18万円!? ガリレオ望遠鏡の復刻版完売

今年は、ガリレオが望遠鏡を使って天体観測を始めてから400年に当たるそうです。それを記念して、世界天文年2009日本委員会は、ガリレオが天体観測に使った望遠鏡を可能な限り精密に復元し、限定販売を行いました。

1本17万8千円するレプリカを、30本限定で売り出したところ、約1か月で完売したそうです。消費不況が叫ばれるなか、うらやましいような話ですよね(*^_^*)


望遠鏡


これは、イタリア・フィレンツェの博物館に所蔵されている2本の望遠鏡の図録をもとに、京都市の文化財複製会社に製作を依頼したもののようですが、全長1.3メートルの木製の望遠鏡で、倍率は14倍。筒の前後に直径3センチほどのレンズが取り付けられています。
しかし、この望遠鏡で月を見ても、視野に入るのは月の一部だけ…という、なんとも「見づらい」望遠鏡みたいです(――;) しかし、「ガリレオがのぞいたときと同じ視野が得られる」とあって、ファンからの根強い要望で、追加注文を受けることになったといいます。

鹿児島県の宇宙館の館長も自費で購入したそうですが、「『世界で初めて星を見た望遠鏡だよ』と子どもたちに伝えると、興奮してのぞいてくれる」と話しています。これは、商品と一緒に“ストーリー”を買っているのと同じです。

ガリレオはこの望遠鏡で、月のクレーターや木星の衛星など、数々の大発見をしたわけです。そのガリレオと「同じ視野」を体験しながら、遠い宇宙に思いを馳せる…なんともロマンがありますよね。そのストーリーに、天文ファンは心躍らせるのです。

どうせならもっと生産量を増やして、ネットで上手に販売したら、世界中から注文が集まるんじゃないかなどと、つい商売っ気を出してしまいますが(笑)、それはともかく、成熟した消費者たちは、機能やスペックではない部分に、お金を払う意味を知っています。

持っているだけで楽しくなる、触っているだけで豊かな気持ちになれる…ガリレオの望遠鏡とはそんな存在です。そして、こんなふうに自分の心を満たしてくれる商品には、惜しみなくお金を払うのが今どきの消費者なのです。とりわけ「趣味」の分野では、その傾向が顕著です。

反対に機能やスペックを追及していく商品は、やがて価格競争に巻き込まれていくのが世の常です。もちろん、ビジネスを考えるとこの分野を避けて通るわけにはいきませんが、自社の商品やサービスを「価格競争に巻き込まれない」世界に持っていくのも、経営者の発想しだいだと思います。

この事例を参考に、時には“宇宙サイズ”で、発想を広げてみてください(@^^)/~~~

2009年05月29日(金)更新

ネクタイに点字のメッセージ!? 「デコタイ」の発想に学ぶ

今年は6月21日(日)が父の日ですが、巷では、父の日ギフトのマーケットを狙った商品が続々と登場しています。ワインや日本酒のラベルにお父さんの名前が入れられるなどという企画はもとより、あのオロナミンCまでが「お父さんカンゲキキャンペーン」を展開していたりして、思わず笑ってしまいました(*^_^*)

そんななか、ちょっとおもしろい商品を見つけました。その名も「デコタイ」。携帯電話などのデコレーションで人気のスワロフスキークリスタルを使って、ネクタイにメッセージを込めようという商品なのです。


デコタイ


そのメッセージが「点字」になっているのがミソで、日本展示図書館協力のもと、「パパ ハヤク カエッテ キテネ(パパ早く帰ってきてね)」とか、「メタボ チューイ(メタボ注意)」などのユニークなメッセージをネクタイに載せられるんです。もちろん、名前を入れることも可能です。
この商品は、グラフィックデザインを手がける有限会社クールタイガーの女性社長の発案みたいですが、今年は点字を発明したルイ・ブライユの生誕200年に当たるそうで、しゃれっ気とユーモアを合わせ持つこのネクタイを通じて「点字への関心も高めていきたい」と考えているそうです。

それにしても、ネクタイにメッセージを載せようという発想はかなりユニークです。しかし、さすがに読みやすい文字で書いてあったら、ちょっと締める気がしないと思いますが、点字ならいいかなって感じですよね。

赤やピンクなど約20色の国産シルクのネクタイの表面に、点字のメッセージを「デコ」して、価格は1本7~8千円だそうですが、父の日のみならず、恩師へ感謝の気持ち伝えるとか、バレンタインデーに彼氏に贈るとか…いろいろと販路は広がりそうです。

さらにこの商品の価値は、プレゼントした後にも「これ、なんて書いてあると思う?」とか、「じつはこれ、点字なんだ」というふうに、会話が生まれる点にあります。ひとつの商品を通じてコミュニケーションが生まれる…これはギフトに付加価値を生む視点です。

また、「デコタイ」というネーミングもいいですよね。ケータイのデコレーションに慣れた女性たちからは、すんなりと受け入れられるでしょう。

こんなふうに、ネクタイひとつとっても、新しい感覚とアイディアで「マーケット」が出来上がるわけです。

自社の商品をとっておきのギフトとして提案するためには、いったい何をプラスしたらいいか…楽しみながらあれこれ考えてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

2009年05月15日(金)更新

企画の勝利!? 人前緊張経験DVD

最近このDVDの存在を知って、思わず笑ってしまったんですが、あがり性を克服するために、人前で話す訓練ができるDVD、その名も「あがりがあがり」(28分、3,980円)という商品があります。

訓練用のDVDといっても、画面にはこんなふうに人がずらーっと並んでいるだけ…つまり、この画面に向かって、人々の視線を感じながら、勝手にスピーチの練習をするというわけです。


あがりがあがり


社会人になると、面接はもとより、朝礼や会議、客先でのプレゼンテージョンなど、人前で話す機会が増えるものですが、この「人前で話す」ことに対して苦手意識を持っている人は、かなりの数がいると思います。つまり、マーケットとしては十分だということです。
しかし、もし仮にあなたの会社がこのターゲットに向けてのDVDを企画開発することになったら、いったいどんなアイディアを出せるでしょうか?

まず最初に思いつきそうなのが、どこからか話し方の先生を連れてきて、話し方の基礎からレクチャーしてもらう…なんて企画ですよね。このDVDみたいに、「人の視線だけを再現する」なんて企画、なかなか出そうで出ないと思いませんか?

おまけに有名な先生を連れてくるのと違って、制作費も意外と安く済みそうですから、まさに企画の勝利だと思います(*^^)v

このDVDは、朝礼(5人、10人、20人)、自己紹介、会議室発表、発表順番待ち、役員プレゼン、面接というそれぞれのシーンを再現していて、最後に特典影像として「発表成功イメージ」が収録されています。

今回はビジネスシーンに絞って作られていますが、結婚式でのスピーチや大ホールでの講演など、練習ができないシチュエーションを再現するのもおもしろいかもしれませんね。結構、シリーズものにしてもイケるかもしれません。

このDVDのプロデューサーも、「『場数を踏めば慣れるよ』と気軽に言われても、そんな『場』が『毎回本番でしょう!』と言いたい。だからこの人前緊張経験DVD『あがりがあがり』をどうしても作りたかった!」と語っていますが、まさにそのとおりですね。

練習できないシチュエーションを疑似体験させる…このコンセプトは、もっといろいろな企画に発展させられそうな気がします。

経営者の“脳トレ”には、こんなふうにビジネスアイディアの発想を拡げることが一番です。ぜひ楽しく考えてみてください(@^^)/~~~

2009年04月10日(金)更新

USJで企業研修!? リソートホテルのパッケージプラン

4月に入り、新人研修真っ盛りの企業も多いと思いますが、このところ、会議や研修向けのパッケージ商品を、企業向けに積極的に売り出すリゾートホテルが増えてきたようです。

ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)の公式ホテル「ホテルユニバーサルポート」では、飲食施設である「ポートダイニングアクア」を会議や研修にも使えるように改修し、昨年(2008年)7月から『ミーティングパッケージ』として発売を開始しました。


usj


これまで、ホテルを会議や研修に利用する場合、宴会と同じような扱いになっていたと思いますが、この『ミーティングパッケージ』は、一人当たりの料金が明示されているのが特徴で、10名以上の利用で一人当たりの料金は3,500円。

これに食事やコーヒーなどをプラスして利用でき、従来どおり宴会場を予約する場合に比べて3割程度安くなるみたいです。
さらに宿泊をプラスして、「2日目はUSJで自由行動!」というプランも可能ですから、企業がユーザーを集めた商品説明会などを開いた場合でも、欠席率が際立って低くなる…なんて効果も期待できるようです。

また、このようなパッケージ商品を使えば、参加者人数から簡単に予算が割り出せるため、担当者の会場手配にかかる手間が大きく省けるというメリットもあるんです。ホテル側の担当者と打ち合わせをしたり、見積書をチェックする必要もありませんからね!(^^)!

もちろん、こうした研修市場を狙うことは、ホテル側にも大きなメリットがあります。閑散期や平日の稼動率が向上すれば収益性も上がるわけですから、今後、宿泊や飲食に次ぐ収益の柱に立てる方針だそうですよ。

今は派手な宴会をする企業も少ないでしょうから、ホテル側としても苦肉の策だったのかもしれませんが、このUSJの場合、「遊びに来てもらう場所にビジネスユースを呼び込む」という“真逆”の発想が必要だったはずです。

経営者のちょっとした発想の差で、企業の収益性が驚くほど変わるといういい事例だと思います。自社の商品やサービスを真逆のマーケットに提供したら、どんな変化が訪れるでしょうか? ぜひ、楽しく発想してみてください(@^^)/~~~

2009年03月27日(金)更新

ブラジャーを回収!? エコをキーワードにしたワコールの集客に学ぶ

消費不況が叫ばれるなか、顧客サービスの一環に、中古品の「買い取り」や「リサイクル」を取り入れる企業が増えているようです。

ヨドバシカメラでは、パソコンや携帯音楽プレーヤーなど、デジタル製品の「買い取り」を本格的に始めました。首都圏や関西の主力店に買い取り専用コーナーを設置したばかりか、この4月以降には、顧客の家まで出向く「出張買い取り」も始めようという意気込みです。

今や、パソコンや携帯音楽プレーヤーは、一人一台が当たり前の時代。今使っている製品の買い取りでもしないかぎり、新製品を売るにも、なかなか難しいのかもしれません(――;)


ワコール


一方、ワコールと高島屋が協力して始めたのが、なんと! ブラジャーの回収です。4月22日までの期間限定ではありますが、来店客に上記のような専用のリサイクルバッグを配り、ワコール製品に限って、一人最大6枚までを店頭に持ち込んでもらうという方法です。
回収したブラジャーは、ワコールの流通センターへと集め、処理工場での粉砕、分別、圧縮の工程を経て、RPFと呼ばれる産業用の固形燃料にリサイクルするそうです。資源の有効活用という意味からも、お客さんの共感を得やすい企画ですよね。

しかし、この企画の裏には、きちんとした調査結果があるんです。同社の調べでは、約61%の女性が、「ブラジャーを捨てるのにためらいを感じる(躊躇する)」と答えているのだそうです。その結果を見て、「自宅のタンスに眠ったままのブラジャーは相当数に上る」と、同社は踏んだのです。

この話を聞いて思い出したのですが、かつて私が、とある法衣店(お坊さんの袈裟などを扱う会社です)のお世話をしていたころ、そこでも同じようなケースに出会ったことがあります。

その会社では、新しい法衣を売ろうにも、すでにどこのお寺もタンスがいっぱいなので、新しいものは全く売れないという状況が続いていましたが、古い法衣を引き取ったり、なかにはタンスごと引き取ったり…というサービスを始めたところ、あっという間に売り上げがあがりました(*^^)v

やはり、「入るスペース」を先に空けてあげない限り、新しいものは売れません。これは、和服などの業界でも、全く同じだと思います。祖母や母から譲り受けた着物なども、相当「捨てにくい」ものですから…。

王道ではありますが、こんなふうに、お客さんが困っていることに積極的に目を向けると、他社との差別化が可能になります。何も大それたことじゃなくていいんです。「ちょっとした」ことに目を向けるか向けないか…ここが分かれ道になっているんです。

先のブラジャーの回収にしても、リサイクル品を持ち込むことがお客さんの「来店動機」にもなりますし、企業がメッセージ性のある投げかけをすることで、意識の高いお客さんと繋がることが可能です。

この事例を参考に、「捨てにくいものが捨てられる」「エコに貢献できる」などの視点から、自社独自の顧客サービスを発想してみてはいかがでしょうか? 経営者は不況に嘆いてばかりいる暇はないはずですよ(@^^)/~~~

2009年03月13日(金)更新

「テーマパークマンション」で勝負 高い家賃でも入居率9割超え!?

消費低迷が叫ばれるなか、どのマーケットに向けてビジネスを展開するかは、常に経営者の頭を悩ませるところですが、『10人中9人に嫌われる物件』をポリシーに、他より1割高い家賃でも入居率9割5分を誇る不動産管理会社があるのをご存じでしょうか?

下記の写真・・・一体なんだと思います? これが、『テーマパークマンション』と呼ばれる賃貸マンションです。こんなふうに、一見“ぎょっ”とするようなマンションを扱っているのは「明来(あき)」という会社なんですが、独自のアイディアをもって、真っ向から勝負しているのです。


テーマパークマンション


たとえば、漫画家の楳図かずおさんが自宅の紅白ストライプの外装で近隣と訴訟問題を起こしたときには、楳図さんを応援しようという気持ちから、「楳図かずおの紅白部屋」を作ったそうですが、募集してまもなく借り手が付いたみたいですよ。

その室内といえば、インパクトある紅白ストライプの壁に、キッチンの入り口は「とぐろ虫」の形、ベッドルームのくす玉を割ると直筆の「まことちゃん」の垂れ幕が飛び出す…という懲りようで、ちなみにこの部屋、延べ床面積約110平米で、家賃は24万円だとか。
同社は、大阪近郊で約4百棟、8千戸のマンションを管理しているそうですが、そのなかでこうした『テーマペパークマンション』は現在約20棟。部屋単位で改装したものから、一棟新築で作ったものまであるようです。

同業者には酷評されることもあるそうですが、同社の社長は「万人受けする物件は万人受けする家賃しか取れない。10人中9人に嫌われても、絶対住みたい1人がいれば家賃が高くても借りてくれる」と自信を見せています。

じつは、彼自身もなかなかの苦労人みたいで、結婚式のプロデュース会社やエステ機器のレンタル販売などのビジネスを経て不動産業界へ入ったそうです。当初は、銀行の債権処理に終始していたようですが、そうするうちに金融機関の信用が高まり、2003年に株式会社化しました。

その後、ファンドの資金流入でマンション建設が急増し、借り手や買い手が付かない物件が増えてことに目を付け、ここ4年のあいだにそうした物件を買い取って改装したり、新規に作った物件をファンドに売ることで急成長したのです。

ご存じのように、今やマンションは供給過剰気味になっていますが、家賃を高く設定できる『テーマパークマンション』は買い手が付きやすいようで、売った物件の管理や入居者募集は、そのまま同社が請負うそうです。

なかなか頭のいいやり方ですよね。あとは、どれだけおもしろい企画を立てられるかの勝負になってくると思いますが、あくまでも「一般受けしない」という価値観を守るため、社内の会議で「全員が賛成」した案件は、すべてボツにしているそうですよ(*^^)v

もちろん、あまりニッチなマーケットだけを狙っていては、会社はなかなか大きくなりませんが、自社の商品やサービスのなかに「尖がった部分」を持っておくというのは、これからますます進化する情報化社会においては、欠かせない戦略になってくると思います。

どうやら、経営者の発想の転換がカギになりそうですね。参考にしてください(@^^)/~~~

2009年01月23日(金)更新

月額制のブランドレンタル!? 時代とともに進化するビジネスモデル

みなさんご存じのとおり、このところの景気悪化で、消費マインドはかなり大きく変化しているようです。新聞や雑誌では「レンタルリッチ」などという言葉まで造り出し、洋服やブランドバッグ、家電製品や自家用車まで「賢く借りる」方法を特集していたりします。

そんなななか、このブランド品のレンタルサービスを、より進化させた企業が登場したのをご存じでしょうか? ブランドレンタルの「ORB(オーブ)」では、なんと、レンタルに『定額制』を採用したのです(@_@;)


orb


これまで、ブランド品のレンタルといえば、ブランド品の販売会社が、売上が落ちてきたことに危惧を感じ、新規事業として立ち上げるようなケースがほとんどでした。

たとえば、会員制のレンタルサービスカリルのように、そのシステムも、ブランド品のバッグやアクセサリーを「週単位」や「月単位」で借りることができる…といったものでした。

ルイ・ヴィトンの定番ショルダーバッグであれば、1週間5,000円程度で借りられるようで、友人の結婚式や同窓会などの日程に合わせて利用する女性も多いらしく、金融危機が本格化した昨年の11月には、通常の約7倍の利用があったそうですよ。

しかし、この「ORB(オーブ)」は他とまったく違っていて、たとえば、月に9,800円を支払うと何度でも“交換自由”なシステムになっているんです。ですから、通勤用にはコレ、週末にはパーティーがあるからコレに交換…といった具合に、自由に選びながらバッグを借りることができるというわけです。
これって、TSUTAYAがDVDレンタルに採用した『ツタヤディスカス』のシステムと全く同じですよね。1本いくらだったレンタル料を、月額制にしたことにより、会員の囲い込みに成功した事例です。
 
私が主宰する高収益トップ3%倶楽部の会員さんには、『この世は自分のためにお金を出して実験してくれている』を合言葉に、いつも世の中を上手に切り取る眼を持つためのトレーニングをしてもらっているのですが、他業界の成功事例をストックしておけば、いざと言うときに、時代に合ったカタチにアレンジして、新しいサービスとして展開することも十分可能なのです(*^^)v

さらに驚くべきことに、先の「ORB(オーブ)」を運営しているのは、国内や海外での美術展覧会の企画及び運営を手がける世界文藝社」という会社なのです。どういう経緯でこの事業をスタートしたのかまでは調べていませんが、上手にトレンドをつかんだ事業展開ですよね。
 
これはほんの一例ですが、今、世の中ではこれまでは「所有」することが当たり前だったモノまで、「レンタル」したり、「シェア(共有)」したり…という動きが急速に広がっています。今後しばらくは、いろいろな業界で「シェア」をキーワードにしたサービスが登場してくることでしょう。

この事例を参考に、ネットやIT技術をうまく活用しながら、自社でもそんなサービスを展開できないか…楽しみながら、あれこれ考えてみるといいかもしれませんね(@^^)/~~~
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ボードメンバープロフィール

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石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

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