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2020年01月27日(月)更新

完全受注生産でやってきた会社の「新製品」の価格設定

早いもので、2020年が始まってひと月が過ぎようとしています。時代のスピードはますます速くなっているようですので、新規事業の立ち上げにもスピード感が必要です。

そんな中、私の主宰する『高収益トップ3%倶楽部』の勉強会に参加された方から、こんな質問が届きました(#^^#) 

あなたなら、この質問にどうお答えになりますか? よかったら一緒に考えてみてください。

== 質 問 ==

これまで完全受注生産で事業を進めている製造業ですが、今回、自社の技術を活かした消費者向けの新商品を開発し販売してみようと考えています。

このような場合に価格の設定はどうしたらよいかと考えています。基本となる考え方をアドバイスください。よろしくお願いします。

== 回 答 ==

テスト開発の段階は、無料で提供して一緒に研究してもらう形が良いと思います。完成して販売に入ったら、最初は高く設定して数が出て行くにしたがって値段を下げて行くのが良いと思います。これは、海外では定番の商品開発の仕方なのですが、日本ではあまり知られていない方法です。

== 解 説 ==

中小企業が自社で商品を開発して販売する=メーカーへの選択をした場合に、間違いやすい一番の問題は、販売に移る際に“最初から量販品の価格”に商品価格を設定しようとしてしまうことです。

これは、製造業が世界的レベルに進化して巨大なメーカーが乱立している日本と言う特殊なマーケットの中で育ってしまった日本人の常識がそうさせるのですが、世界的に見てほとんどのメーカーはお金がほとんどない状況で立ち上がって行く(=最初から潤沢な資金が無い)ために、最初の製品の製造コストは恐ろしく高くなります。

既存の日本メーカーは、既に潤沢に資金があり調達もできるので、そういった商品を将来的にたくさん売れると判断して最初から量産に入り、価格を安くできるのですが、中小企業がこれと同じやり方を目指してもできない訳ですから、本来はまったく違った方法を取らなければなりません。

では、どうしたら良いかですが、それは、最初のロットは高くして開発コストを回収し、徐々に数量を伸ばして行く中で、価格を安くしていき、徐々に量産体制に持って行き、価格を下げて行くというやり方です。

これを言うとみなさん“え?”と言う感じになりますが、もともと世界中の全てのメーカーはこうやってビジネスを組み立てて行ったと考えると理解できると思います。

最近だと宇宙開発に向かったバージン社などが、この方法で開発計画を立てているので、こういう観点からこの事例を考えると、なるほどと分かると思います。

バージンは最初に宇宙に行ける権利を、確か1人3億円位に設定して100人位?に販売し開発費を捻出。次の価格は3000万円にして3000人?とかに販売して開発を進め、最後は300万円でたくさんの人が宇宙に行けるみたいな計画で販売価格を決定したと思います。

※これ、かなり曖昧な記憶で書いているので、詳しく知りたい方はネットで検索して調べてくださいね(-_-;)

私達は、これを聞くと瞬間、最後には300万円の価格で宇宙に行けるのに、最初の人に3億円で販売はひどくないか?と、考えてしまいますが・・・更には、製造業の方はそうとしか考えないトラウマみたいな感じの“価格に対する思考”に支配されていますから、ビックリすると思いますが、実はこれが正しい製造業の商品開発と価格設定のやり方なのです。多くの電気製品も、自動車も、飛行機も、実はこういう過程を経て、世の中に生み出されてきた訳ですね。

さらに言うと、こういった高い製品やサービスを、最初に使う人、または会社は、最初に使えるという権利とそこから生み出されるいろいろな利益をしっかり理解して購入しくれると考えると、このバランスはとても正当だと理解できると思います。

先日とあるコンサートに行ったのですが、初めて見る3D動画がステージいっぱいに広がりビックリしました(◎_◎;)
 
これはかなり高額だと思いますが、今を時めくトップアーティストだからこの3D画像が使えるんだな~さすがだな~と、本当に感心しました。

こう思われることで、また、この動画が新しいので色々なメディアにも露出すると考えると、この動画の費用を遥かに超える口コミやメディアでの拡散等による利益が彼らのブランドを更に上げると予想される訳です。

機械などもそうで、どこにも入っていない機械で製造コストが1/10になるモノを買ったら、その企業がしばらくマーケットを独占できますよね。

どうですか? 「最初は高く」は、ユーザー側にとっても価値のあることですよね。これらのことを参考にメーカーへの全体のプランを考えてみてください。期待しています(@^^)/~~~



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