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2009年10月30日(金)更新

後から「優秀な人間」が入ってくると会社はどうなるか

あっと言う間に10月も月末ですね。これから年末に向けて、何かと気ぜわしくなりますが、この時期に、経営者が来年以降のビジョンをしっかり描けていないようでは、ちょっと心配です(-_-;)

会社の仕事には、「今日の売上げを稼ぐ仕事」と、「会社の未来を築く仕事」があるわけですが、本来、経営者の力は、後者に注ぐべきものです。・・・しかし、“組織化”ができていないと、なかなかそうはいきませんよね。

というわけで、今回も組織化に関するこんな質問を選んでみました。参考にしてください。


== 質 問 ==

企業が伸びていくと、後から「優秀な人間」が入ると言われていましたが、それにより初期の人材が辞める時は企業にとってどうなんですか?
経営者からすると当然かもしれませんが、働く人は恐怖を感じるのでは? そこがいわゆる「愛情」でしょうか?


== 回 答 ==

こういう現象は必ず起きますが、企業が組織化に向う過程でどんな変化が起きるかということを経営者がしっかり勉強していれば、いろいろな方法でゼロにすることは出来ないまでも緩和することが出来ると思います。

== 解 説 ==

実は、私は経営者の知識やノウハウの中で一番足りないのが、「組織化」に関する内容だと思っています。理由は、組織化を上手く実現させている経営者が少ないためにそういう情報そのものが非常に少ないからだと思います。

試しにアマゾンとかで起業本やマーケティング本、あるいは個人の成功本や最近ではネット成功本も多いですが、そういう本の量と組織化に関する本の量を比べてみていただければ分かりますが、圧倒的に組織化に関する本は少ないと思います。

また、日本の企業数が約250万社と言われる中で、上場企業が新興市場も合わせて約4000社しかないということや、社員数500人を超える企業の比率などが非常に少ないという現状などを見ても分かると思いますが、組織化そのものを上手く行っている経営者が少ないので、情報が出てこないとも言えると思います。

ですので、私は、経営者(や指導者)の能力で一番必要な(足りない)のは、この組織化や“組織運営の能力”だと思っています。

と、ちょっと話がそれましたが、質問の様な現象(・・・問題では無く)は組織を拡大していく中で必ず起きる現象です。

ここで、・・・問題ではなく、現象と書いたのには理由があって、こういう場面に遭遇した経営者が組織を拡大していく過程で何か特別に自分の会社にだけこういう問題が起きてしまったと考えるようであれば、対応策も何も考えていなかった、ということになるということです。

悲劇が非常に大きくその組織に及ぶのはこういうときだと私は考えます。こういう状態だと、後から入ってきた社員とこれまでの社員のスキルに差があると、NO.2や取締役、役職者が耐えられなくなって辞めていくという現象が頻繁に起こります。

また、そのとき“愛情”や“温情”でもって、その人達の居場所を作って引き止めたらいいかというと、引き止められた方も最終的には幸せになりませんから、自社が成長を目指している企業と考えるのであれば、予めこういう状況が発生することを基準に経営を考えていかないと難しいということです。

こういう問題を生んでしまう経営者にどんな情報や知識が足りないかというと、その一番は優秀な人材のレベルが分かっていないということが挙げられると思います。

なので、早いうちからスキルに合わない役職を社員に付けてしまって、後から入ってきた優秀な人材との間にギャップが生まれ組織全体がギクシャクし出すのです。

・・・・今回の回答は長くなってしまいそうなんで、2回に分けて行いますね(*^^)v


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2009年10月16日(金)更新

組織化におけるリーダーの条件とは

今回はQ&Aバージョンでお届けします。前々回のブログ『組織リーダーの条件は「01(ゼロイチ)思考」だ!』には、追加の質問が続々と来ていますので、今回はその中のひとつにお答えしたいと思います。


== 質 問 ==

今週の記事について、すごく共感できました。「01(ゼロイチ)思考」の人材が2,3人いれば すごく面白い経営が出来ると思いました。

組織化におけるリーダーの条件の一つとして「01思考」があると思うのですが、その他、リーダーの条件としてこういう能力が必要、というのがあれば、お教えいただきたく、また、日々の仕事の中でそういう能力を見抜くポイントがあればあわせてご教授ください。

今、弊社では、私が見込みありそうだな~と思った人に、社長直轄のプロジェクトを企画責任者としてやってもらい、その様子で考えるようにしています。 目標達成のために主体的に考えているか、あらゆる手段を検討しているかを重視しています。以上、宜しくお願い申し上げます。


== 回 答 ==

「01(ゼロイチ)思考」の他に、リーダーとしての資質や条件をあげるとすると、それは責任感と目標遂行(達成)能力だと思います。ちなみに、こういう責任感や目標遂行能力は育てるのが本当に難しいと思いますので、そういう要素を持っている人を採用するか、伝播させるしかないと考えています。

== 解 説 ==

「01(ゼロイチ)思考」の他に、リーダーの資質や能力をあげるとすると、この責任感と目標遂行(達成)能力が大切になると思う根拠は、この2つが無いとトップは安心して仕事を任せられないし、集団の指導者として組織を任せられないからです・・・が、両方とも本当に身に付けさせるとすると難しい能力だと思います。

ちなみに、こういう資質や思考はどれ位までに身に付けないといけないかというと、年齢的に言うと、30代の前半できれば32歳くらいまでに身に付けていないと、その後に付けさせるのは困難になると思いますので、経営者は採用時などに、そういう感覚で人物を見るといいと思います。

・・・とういうことは、32歳を超えた人材の採用には、教育して育てるという観点を入れてはいけないということですね(ーー;)

そして、特に、責任感については、教えてもなかなか育てることは難しいと思うので、責任感を持った先輩などの姿勢を通して伝播させる方が良いと考えてください。

責任感についてどう考えるかですが、例えば「これはキミの責任だからしっかりやってください」と言ったとして、部下が「わかりました」と答えたとしても、これで部下に責任感が持てるわけではありません。

部下が、あなたに言われなくても、これは自分の責任なのでどんなことをしてもやり抜くと考え行動する時にのみ発生するモノです。

例えば、その問題が自分では出来ないと判断したら、出来る人を探してでも達成させる・・・というくらいに、そこに努力と工夫が発生しなければならないモノです。

ということは、責任は与えるものではなく、勝手に取るという姿勢があるかどうかということで計られるということです(これ、分かりますか?)。

なので、リーダーとして指名するからにはこういう人材をあてないといけない、そしてその姿勢をその人の部下に伝播させていかせないと、組織の一員がそういう形で成長していかないということです。

こう書くと、目標遂行(達成)能力も基本的には、この責任感とイコールのように聞こえますが、目標遂行(達成)能力は、この責任感の上にロジカルな思考や行動力そして人を動かす力等を持って、最大効率で目標を達成する自分なりのスタイルや技能・技術を持っているかということと捉えていただけると良いと思います。

責任感を根性、目標遂行(達成)能力を本人なりのスキルと考えてもらってもいいですが、この2つが前回の回答で解説したの「01(ゼロイチ)思考」の上に備わっていれば、とってもすごいリーダーということですね。

ちょっと、高度な回答になってしまいましたが当社ではこういう人材をリーダーと捉えられているし、少なくともコンサルタントを目指す人間には最低限備わっていないといけない能力と考えています。

ちなみに、今紹介させていただいているコンサルタント養成講座はこういう要素をしっかり育てることも主眼において行われます。

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2009年10月02日(金)更新

組織リーダーの条件は「01(ゼロイチ)思考」だ!

早いもので、10月に入りました。私は毎年10月になると、来年の目標や計画を考えはじめるのですが、みなさんはいかがですか?

さて、今回はQ&Aバージョンでお届けします。私のメールマガジンで、かなり反響が高かった内容なので、この質問を選んでみました(*^^)v


== 質 問 ==

先日の「高収益トップ3%倶楽部」の勉強会(東京会場)で、リーダーの育成に関して、基準値がきちんと受け継がれるのが大切とありましたが、「人間観・仕事観」の基準を受け継ぐのに気をつけることを知らないと、自分のクローン、つまり、「性格が良くて言うことを聞いてくれる人」を育ててしまうケースも出てきてしまうと思います。石原先生は、何に「気をつける」必要があるとお考えになられますか?


== 回 答 ==

先日お話した組織化におけるリーダーとは自ら判断して最善の行動をとってくれるレベルの人を指すと考えていただけると良いですが、そのためには「01(ゼロイチ)思考」が大切だと考えています。

== 解 説 ==

人間の能力には大きく分けて、何も無いところから何かを発生させる能力を持っている人と、何かの形なりセオリーがあればそれを広げていける人の2種類があると考えることが出来ると思いますが、前者の能力を、「01思考」-ゼロから1を生み出すという意味で-ゼロイチ思考と私は呼んでいます。

そして、この01思考こそがリーダーの欠かせない能力と考えているので、共通の基準値が大切だと思っている・・・ということです。

ということで、質問にあるような「性格が良くて言うことを聞いてくれる人」的なクローン型の人間がリーダーになることはないと考えてください。

それで、この能力の問題ですが、何も無い所から何かを発生させる能力を持っていないと、どんな場合でも仕事を任せることは出来ないと私は考えています。

もちろん、任せるという意味もいろいろあって、何かの部分を任せてやってもらった後に確認するというのも任せるということには違いないのですが、これだと、確認という作業が常に経営者について回りますので、仕事を振れば振るほど経営者の時間が束縛されてしまう、また、責任は常にトップということからも解放されないということになってしまいます(ーー;)

たとえば・・・
(リーダー) 「これやりたいのですが、いいでしょうか?」
(社長)   「なるほど、面白いね。やっていいよ」
(リーダー) 「出来ました!」
(社長)   「すごいねぇ~!!」
という会話が目指す理想というか・・・・。

反対に、何か仕事を依頼して、責任者や役職者がいつまで経っても「でも、これは社長が最終的には判断していただかなければ分かりません…」などと言うようであれば、絶対に企業は大きくならないと考えています。

また、そんな当事者意識の無い責任者はリーダーという存在から考えると、最低レベルということになりますよね。

ちなみに、「01思考」を持っている人は本当に少ないので、採用する時は相当見極める視点を持って面接をしてくださいね。

前職や過去の職歴が凄くても、結局は何かの土台の上でそれを発展させただけの人であれば、「01思考」の人ではありません。(この辺りの見極めが本当に難しいですよね(ーー;))

もちろん、1があればその積み重ねで100まで持っていける人も重要ですが、仕事を100%任せて発展させられるのは、こういう「01思考」のある人だけですからその辺は絶対に大切だと思っています。ぜひ、参考にしてください。

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2009年09月18日(金)更新

採用後の受け入れ態勢を考える

今回はQ&Aバージョンでお届けします。中小企業経営者をいつも悩ませる「人材育成」に関する質問に答えてみました。みなさんの会社では、どんな態勢を取っているでしょうか?


== 質 問 ==

優秀な人材を採用(特に新卒で)したいのですが、採用したあと受け入れ体勢がないため、自信をもって採用活動をすることができない(訴求力が弱い)と思っています。受け入れ態勢についてどう考えたら良いでしょうか? 石原先生のお考えを聞かせてください。


== 回 答 ==

求人、特に新卒者採用の際の受け入れ態勢ですが、一番大切なのは誰が関わって仕事を教えるかということが決まっているかだと思います。

== 解 説 ==

新卒者に限らず、採用の際の受け入れ態勢は、会社にとっても採用された方にとってもすごく重要だと思います。また、この質問は顧問先の方からもよくされるので、みなさん共通の(質問)内容だと思います。

それで、態勢ですが一番良いのは、入社時の教育体制が会社や仕事に対するオリエンテーションも含めて整っていること、しっかりとした評価制度が出来ていてキャリアパスを入社時に示してあげられること、実際に仕事に入った時に誰がその人の教育をするか、質問や疑問に答えてあげるかという態勢が決められていることだと思います。

まず、入社時の教育ですが、上司や総務の方もしくは社長自らが、会社についてどんな業務をどういう関係性(提携先等です)を持って進めているかということ、その中であなたが最初に担当するのはこういう仕事であるということなどを、最初にしっかり説明することが大切だということです。

ビジネスモデルなんかもココで話して会社や取り組む業務に対して、そして関係する方たちについても、興味と関心を持ってもらうことが大切だと思います。

評価制度とそれを構成するキャリアパスは、業務を通してどんなふうに自分が成長していけばいいかを分かってもらうという点で重要なのです。

そして、最後の誰が教育や質問・疑問に応えるかということですが、人は孤立する環境では能力を発出来ない存在ですし、人間関係が定着することや組織を好きになるという点で非常に重要で大切なポイントです。

もし、教育体制や評価制度等が整っていなくても、この誰が関わってあげるかという担当がしっかり決まっていることは重要ですし、準備しなくても出来ますので、最低限これはしないといけないと思います。

人は自分に関心を持ってもらえればかなりのことは前向きに取り組めるものです。新卒者の場合などは、その担当者と日報のやり取りを毎週してあげるだけでもかなりの成長や定着要因になるものです。

ということで、御社の場合は、まずは、誰がその採用者に関わるかを決めるといいと思います。参考にしてください。

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2009年09月04日(金)更新

経営者は「雇用」をどう考えるべきか

今回は経営者会報ブログに寄せられた、学生さんからの質問に答えてみました。ここのところ世間で話題になっている雇用の問題なので、就職を控えた身としては、いろいろ関心があるのでしょうね。・・・・ということで、雇用に関して、私の思う回答です。


== 質 問 ==

非正規雇用の問題がとても多いですが、社長のみなさんは雇用の重みをどのように考えて、経営されているのですか?


== 回 答 ==

人を雇用するということは非常に責任の伴うことだと思いますが、非正規雇用に関して言うと(非正規雇用という文字に反応してしまうと)正規ではないということで、なにかいけないことのように感じてしまいますが、必要から生まれた雇用の形態と考えるのが正しいと思います。

== 解 説 ==

人を社員として雇用することは非常に重たい責任のあることだと思います。なので雇用に際しては経営者はよくその辺のことをわきまえて採用にあたるべきです。ただ、この雇用に関してはもう一方の視点でいうと雇用される側の問題もあり、お互いの考えや利害が一致して初めて納得のある雇用関係が成り立つと思います。

そういう意味でいうと非正規雇用という雇用形態もそのお互いの利害の一致する形で生まれた雇用の形態で必要に応じて出来た形と理解するべきです。もちろんそれによって良い面もそうでない面もありますが、本来はお互いの必要において発生した形と捉えるべきだと思います。

どういう意味かということを少し解説しますね。雇用は雇用する側とされる側の利害の一致で初めて成り立つと言いましたが、会社であれば社員として採用するからには会社の目的や目標に沿って考え活動してくれることを望んでいて、ある程度長期に渡ってその意志を持った方を採用したいと考えるのが当然です。

なので、社員となったからには、できるかぎり前向きに上司や社長の意向に沿った活動をするのが本来求められた責任です。

また、社員からすると採用されたからには、なるべく長く働けて、安定した生活の基盤が築けるような環境を提供してもらいたいと考えると思いますよね(*^_^*)

この関係は、確かに理想ですが、企業の状況によって、また、働く側の状況によってそういう関係では雇用できないという場合が発生するのもこれはまた現実です。

どういう場合かというと、企業の側でいうと、突然大口の受注が舞い込み仕事が発生したが、どう考えてもこの受注が長く続くわけがないと考えられる場合や、個人でいうと将来何かしたいと思っているので、社員としては働きたくはないが、収入が必要となる場合などです。

実は、本来はこういう場合にアルバイトや派遣といった非正規雇用という関係が成り立つわけですね。

企業側はこういう条件なので安心して人も増やせるし、働く側も正式な社員ではないので規制や取り決めの少ない環境で自由に働けるということですから、非常に有効な雇用形態でもあったのです。

社員になったらなったで責任として果たさないといけない義務は多く、それがイヤだという人もたくさんいるので、派遣は結構歓迎されたしくみでしたよね(*^_^*)

事実、今、問題になっている製造業などは、派遣さんがたくさん働いてくれることで需要の変化に対応できる経営状態を確保してきたという現状もあるわけです。

もちろんこれから社会に出て行く学生さんが目的もなくすぐに派遣社員になるとかというのは反対ですが、社会問題はこうやってちょっと掘り下げて考えるといいと思います。そういう意味でも参考にしていただければうれしいです。

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