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2008年05月02日(金)更新

「親子カフェ」にみる発想の転換

今、「親子カフェ」が各地に出現しているのをご存じでしょうか? 子ども連れでも気兼ねなく入れるカフェなんですが、子どもたちを自由に遊ばせるスペースが併設されているので、親は親でゆっくりできることから、人気を呼んでいるんです。

こうしたスタイルのカフェは、「親子カフェ」のほか、「子育てカフェ」なんて呼ばれることもあるみたいで、個人経営の小規模のお店から、NIO法人が運営する施設、さらには企業が経営しているケースもあります。

親子カフェ

「スキップキッズ」では、04年から同名の「親子カフェ」の展開を始め、現在では、都内と千葉県内の計6店舗を経営しているそうです。

同社では、「今の街の中には子どもを安心して遊ばせる場所が少ない。公園でも、不審者がいないかなど注意しなくてはならない。それなら遊び場があって自分もゆっくりできる店の方が親は安心だと思う」と話していますが、こうしたニーズは今後益々増えていくのかもしれません。

利用料金はといえば、1~6歳の子ども1人につき、1時間250円。以降、30分ごとに100円で、利用に際しては、18歳以上の同伴が必要になりますが、同伴者の利用料は無料に設定されているみたいです。

もちろん、中での飲食代は別になりますが、1店舗あたりの月の平均利用者は、延べ5千人にのぼるそうです。

そこで、この利用客を対象に、「親子で英会話講座」など各種の講座を開設したり、母親向けに、「ネイルケア」や「まつげパーマ」などのサービスする店舗もあれば、企業の「市場調査」の場としても提供しているんです。単なる“飲食店”に留まらない、かなり頭のいいやり方ですよね(*^^)v
企業としては、なかなか探しにくい子育て中の主婦層の意見を聞くことができますし、主婦としては、カフェに行くついでに、ちょっとした謝礼まで手に入るわけですから、お互いメリットがあるわけです。

見方を変えれば、この親子カフェは「リアル版のSNS」、つまり子育て層の「コミュニティー」になっているということです。転勤などで引越しして来て間もない人にとっては、ここから、地域との接点が生まれていく可能性も高いはずです。

企業にとって、「人材不足」が深刻な問題となるなか、子育て中の有能な主婦たちは、“労働力”としても貴重なターゲットなわけですが、一昔前の経営者なら、「保育所」などの施設を会社が用意し、「どうぞうちで働いてください」的な発想をしたと思います。

しかし、今回の事例のように、今の時代は、企業がターゲット層にとって魅力的なスペース(リアルでもネットでも)を提供し、人を集めるのが先。その集まった人たちに向けてビジネスを展開することはもちろん、その人たちの能力を活用し、全く新しいビジネスをスタートさせることもできるはずです!(^^)!

要は“発想の転換”でビジネスは大きく変わるということです。いつまでも、携帯電話の「通話料」を追いかけていた企業が、通話料はダタでもいいから、魅力あるコンテンツを作って「コンテンツ利用料」で収益を上げようとした企業に追い抜かれそうになっているのも、すべて“発想”の違いによるものです。

この連休、少し日常を離れて、自社のビジネスモデルを冷静に見つめなおしてみてはいかがでしょうか? 同じ商材でも、ちょっとした発想の転換で、全く違ったビジネスを展開できる可能性が開けてくるかもしれませんよ(@^^)/~~~

2008年04月25日(金)更新

「くら寿司」が回転レーンで回したものとは……!?

昨今、競争が激化する回転寿司業界ですが、「無添くら寿司」を展開する大手のくらコーポレーションは、経営に独自の工夫を数多く取り入れていることで知られています。

たとえば、レーンを回る皿の裏には、「QRコード」が貼り付けられていて、それをレーン裏で読みとることで、製造時間が管理されているのだそうです。

くら寿司

大声を出して注文するのがちょっと気恥ずかしいと感じるお客さんのために、席には「注文端末」が用意されていて、タッチパネルで好きなネタをオーダーできるようになっています。さらに、注文したネタがレーンに流れてくると、画面から「ピーピー」とお届けサインが聞こえてくるのだそうです。これなら、うっかり取りそびれることもありませんね!(^^)!

また、「皿カウンター」に食べ終わった皿を5枚入れるごとに“ハマーチャンス”が訪れ、タッチパネルがちょっとした「ゲーム」に変身! 当りが出るとガチャポンのようなカプセルに入った同社のキャラクターグッズがもらえるしかけになっていたりします。家族連れのお客さんなどが、思わず盛り上がってしまうサービスですよね。

その他にも、携帯サイトから、来店時間を指定して予約するシステムを導入するなど、積極的に顧客サービスを追及しているわけなんですが、そんな「くら寿司」が最近になって、大阪の店舗で実験的に始めた新たな試みがあるんです。

「あるもの」を回転レーンで回し始めたのですが……。
その「あるもの」とは、なんと!「紙芝居型の店頭POP」なんです。たとえば、「ぶりが出世魚と呼ばれるのはなぜか」といったうんちくや、ネタとして提供している「イベリコ豚の飼育方法」などを、カラフルな絵と文字で解説したPOPを回し始めたというのです。

これを聞いて、私はちょっと笑ってしまったんですが、「なるほどねぇ~」と思いませんか? 今の時代、お客さんが欲しいのは「うんちく」なんです。しかも、これなら“蕎麦屋の口上”みたいに、待っている間にもどんどん食べるのが楽しみになりますよね(*^^)v 

食事は「ただ美味しければいい」という時代はとっくに終わっていて、今日食べたのは「○○産のまぐろです」とか、サラダには「○○県の△△さんが作ったトマトを使ってます」といったちょっとした情報が、お客さんにワンランク上の満足感を与えることは間違いありません。

これは、情報化社会の進化で、消費者が「情報発信者の視点を持った」ことと大きく関係していると私は見ています。このあたりのことは、みなさんも“ブロガー“なので日々感じていらっしゃると思いますが、ふと立ち寄った飲食店でも、食材へのこだわりやお店のポリシーなんかが上手にメニューなどに書かれていると、「明日のブログに書こうかな……」なんてつい思っちゃいますよね。

今の時代「食べればわかる!」といった態度ではダメなんです。これはメーカーなどでも同じことで、「使えばわかる!」ではなく、この商品が何故いいのか、どこにこだわって開発したのかを、できるだけ『ストーリー』性を持たせて、消費者に届ける必要があります。

「情報」には、仕入原価がありません(*^^)v 経営資源として、有効に使わない手はないでしょう。こうした事例を参考に、自社の「情報発信戦略」に、もうひと工夫加えてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
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