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2007年11月02日(金)更新

六本木ヒルズと新丸ビルにみる変化と進化

東京は変化の激しい都市です。ここ数年で都内の再開発もだいぶ進み、六本木・東京丸の内・銀座界隈などは、少しの間行かないと、街の景色が変わっていたりするものです。

2003年にオープンした六本木ヒルズは、「ヒルズ族」なる言葉ができるほど、東京のビジネスや文化に影響を与えた存在に間違いはありませんが、今年は、ヒルズから続々とIT関連企業が引越しをしたようです。


ヒルズ


「脱・ヒルズ」などと新聞にも書かれていましたが、楽天は品川区内に借りた23階建てのビル、通称「楽天タワー」に移転しました。ヒルズには楽天証券と電子取引の楽天市場事業が残ったようですが、グループ企業が丸ごと移転したといった格好です。
六本木ヒルズをいやというほど世間に印象づけたライブドアホールディングスも、港区赤坂のビルに本社を移転しました。再建に向けたコスト削減が主な理由で、同社によると「賃料は15%ほど安くなる」ようです。

また、ヤフージャパンは、同じく六本木にオープンした「東京ミッドタウン」に管理部門などの大部分を移しました。こちらは、社員数がここ3年で5倍に急増し、今や3,400人のスタッフを抱えるまでに成長。ヒルズ内に空きがなかったことが移転の理由だそうです。

と、移転の理由はさまざまですが、六本木ヒルズが「IT企業の象徴」であった時代の移り変わりを感じずにはいられません。運営する森ビルは「既存テナントのフロア拡大や新規入居の希望も多い」と、全くあせりを見せていないそうですが…。

一方、東京駅前の新丸の内ビルディングは、今年4月のオープン以来、相変わらずの人気ぶりです。遅ればせながら、先日私も行ってきましたが、飲食店はどこも混んでいて、ビジネスマンやOLたちに完全に受け入れられた感があります。

また、7階には三菱地所が運営する「丸の内ハウス」というスペースがあるんですが、ここでさまざまなイベントを企画し、実行し始めています。60年代デザインの家具を集めた展示会を開いたり、ジャズやソウルのイベントをしかけたりしているのです。

「サマーカクテルパーティー」と題し、午後9時から深夜まで著名DJが音楽を流したイベントはかなりの盛り上がりを見せたとか。この新丸ビル内には「深夜営業」の店舗もあり、夜中はひっそり静まりかえるばかりだったビジネス街に、深夜のにぎわいを生んだことは、かなり意味があると思います(^^♪

同社では「音楽や芸術には街を進化させる力がある。今後は“街”としての魅力を高め、毎日のように人々が集う空間作りに力を入れていく」と話していますが、開業時をピークに利用者が減っていくばかりの施設が多い中で、特筆すべき取り組みだと思います。

要は、都市開発も企業も、運営側に「育てる」という発想がないと、継続的な発展はあり得ないということです。打ち上げ花火のように派手にオープンしたものの、ジリ貧の一途をたどるのか、それとも進化することで、人を集め続けることができるのか……結局は経営者が「どこを見ているか」にかかっているようです(@^^)/~~~

2007年10月19日(金)更新

高校の“実習ショップ”で商売感覚を磨く

学校の授業で「実習」程度に職業体験をするという話は聞いたことがありますが、どうやら最近では、その動きがかなり本格化しているようです。今回は、その一例を紹介したいと思いますが、神奈川県立小田原城東高校では、チャレンジショップ「Gestoreおだわら」を作り、全国の農水産高校が実習で作る食品を流通させているそうです。

店名の「Gestore(じぇすとーれ)」とは、イタリア語で「経営者」という意味で、文字通り次世代の経営者を育てることを目的としているのでしょう。農業校や工業校には、それぞれ「農場実習」「工場実習」があるのに対し、商業校には、実際に職業体験できる施設がほとんどないのが現状だそうです。


じぇすとーれ


世の中にないのであれば作ってしまおう、とばかりにオープンしたのがこの「Gestoreおだわら」。そもそも、市主催の「起業プランコンテスト」で金賞を受賞したことをきっかけに、その賞金10万円とPTAからの出資金30万円を元手に、地元の商店街にも相談しながら、平成16年4月にJR小田原駅近くの小田原銀座商店会の空き店舗に開設したそうです。
かれこれ4年目になるわけですが、高校生同士のネットワークを活かしながら、扱う商品をインターネットで探し、「安全なものの販売」を基本方針に運営してきたそうです。現在は、静岡県立下田南高校“産”の「モロヘイヤの粉末」や、神奈川県立三崎水産高校“産”の「ツナ缶」など、24道府県45校と取引をしているとのこと。

取り扱い品目はゆうに150種類を超え、北は北海道の「ほたて水煮」から、南は沖縄の「ゴーヤ麺」まで、バラエティ豊かな品揃えを実現しています。授業終了後の午後3時から6時まで、2~4人の生徒が交代で、制服姿で店舗に立つそうです。

ただ、3年間続いた市からの家賃補助が今年で打ち切られることもあって、今後の存続には本格的な「経営」を余儀なくされるようですが、定休日の毎週月曜日には、生徒18人からなる「店舗経営同好会」で幹部会議を開き、いろいろな企画を話し合うのだそうです。

7月には、東国原宮崎県知事の人気に目をつけ、「宮崎フェア」を企画。高校だけでなく、企業からも「名産品」を仕入れることに成功し、「宮崎フェア」の好評ぶりにかなりの手ごたえをつかんだといいます。

今後は、経営安定を目指して、業者に製造を委託する「自主開発商品」も検討中だといいますから、ぜひ頑張って欲しいものですね(*^^)v

こうした高校生ならではの感性や積極性が地元の商店街にも好影響を与え、さらには自治体などと上手にコラボレーションできれば、地域に「好循環」が生まれるはずです。

この事例から学べることは、今までビジネス界に関係なかった層の人たちをこんなふうに上手に参加させることで、ビジネスに違った角度が生まれるということです。

たとえば、開発した新製品を幼稚園に持ち込んで、「どれがいいですかぁ~?」と聞いて手を挙げさせ、その結果を写真と一緒に「○○幼稚園の園児が選びました!」みたいに告知したりするのはどうでしょう。同じ新製品の告知でも、ぐっと話題性が上がり、メディアにも取り上げられやすくなるはずです。

または海外にまで裾野を広げ、「ケニアで選ばれた・・・」みたいな切り口も楽しいですよね。こんなふうにアイディアはどんどん広がります。ぜひ、発想力豊かに自社のビジネスを捉えなおしてみてください (@^^)/~~~

2007年10月12日(金)更新

中小企業向け「エコ」認証

みなさんのなかには、ISOなどの国際規格をお持ちの会社もいらっしゃるかもしれませんが、その取得にあたっては専門知識も必要ですし、それなりの費用もかかり、中小企業にとってはかなりハードルの高いものであることも事実です。そんななか、費用が安くて手間もかからない「地域版環境認証」が各自治体で生まれているのをご存じでしょうか?

京都では、「京都・環境マネジメントシステム・スタンダード(KES)」という環境認証がスタートしていますが、これは京都市や企業、市民らが集まった「京のアジェンダ21フォーラム」のなかで、中小企業向けの規格を求める声が高まったことから、2001年に作られたもののようです。


KES



ISO14001などの国際規格は、取得に100万円程度、コンサルティング費用などを含めると数百万円かかるケースも多いようですが、このKESの取得には、初級レベルで約10万円、ISO14001と同じ要求水準を設けたレベルでも約30万円だそうですから、中小企業にとってはありがたい規格です。
実現の裏には、大企業を退職した専門家らがボランティアとして取得企業の認証や管理を助けているために費用が安いというからくりもあるようですが、KESの管理は、フォーラムからNPOの「KES環境機構」が受け継ぎ、01年には104件だった登録数も、07年8月末時点で1,020件にまで増えているそうです。

その他にも、地域版環境認証は、青森県弘前市の「ASE」、東京都の「エコステージ」、横浜市の「Y-ES」など、全国で約15ほどあり、その管理機関はNPOが多いものの、なかには「企業」が主体となっているものもあるようです。

行政も活用を促していて、取得費用の補助制度がある自治体もあるのでよく調べてみるといいかもしれません。さらに、金融機関までが関連商品を開発しているのにはちょっとびっくりしましたが、たとえば三井住友銀行では、「ビジネスセレクトローンECO(エコ)」という商品を作り、環境認証を持つ中小企業向けに、5千万円を上限に貸し出し金利を最大0.5%優遇してくれるそうです。金融機関としても、環境に配慮している企業に融資することで、社会貢献をアピールできるメリットもありますよね。

それはともかく、ようやく「エコ」がビジネスに結びついてきた感がありますが、「国際規格」だからといって海外に多額の費用を払うばかりでなく、日本国内でそれに見合う取り組みが始まったことはすばらしいと思います。

まさに「その手があったか!」みたいな感じがします。この規格を海外の企業が日本に取りに来るようにまでなればさらにいいですね(*^^)v 自治体のなかだけに目を向けず、PR方法も含め、もっと視野を広げて大きく考える団体が出てくればおもしろいなぁ~などと考えてしまいました(@^^)/~~~

2007年10月05日(金)更新

大人版『キッザニア』?! なりきりツアーが人気

今年、東京の豊洲にオープンした子ども向け職業体験型テーマパーク『キッザニア東京』が大ブレイクしていることはご存じかと思います。少し前に私のブログでも取り上げ、このコンセプトは結構大人にも通用するのでは? といったお話をしたのですが、どうやらそれを真剣に具現化したビジネスが受けているようです。

ANAセールスがこの8月に開催した「東京メトロまるごと体験ツアー」は、東京メトロの研修センター(動力車操縦者養成所)で、運転手が実際に使うシミュレーターを使った訓練ができるというものだったそうですが、「4歳~12歳の子どもとその保護者」を対象にしていたものの、「お子さんより目を輝かせて楽しんでいる親御さんも多かった」そうです。


メトロ


普段、養成所のシミュレーターは一般開放されていないのですが、地下鉄博物館などの簡易シミュレーターと違って、計器など運転室の中は本物と同じ。しかもドアの開閉まで可能とあってか、鉄道好きにはたまらないみたいです。同社ではツアーの好評ぶりを受けて、東京メトロ側の受け入れが可能なら、第2弾も企画したいと意気込んでいるようです。
一方、エイチ・アイ・エスでも、今月18日から12月末まで、台湾・台北市近郊にあるトレーニングセンターで、キャビンアテンダント(CA)の訓練を受けられる体験ツアーを実施するそうです。

18歳から35歳までの女性を対象に、実際にユニフォームを着て機内食サービスを練習したり、機内での立ち方・歩き方、緊急時の対応などをトレーニングするそうです。同社によると「申し込みも入っており、反応は予想以上にいい」そうです。これって、かたちを変えた「求人活動」になるかもしれませんね。

それはともかく、体験ツアーの増加には、単なる観光に飽き足らなくなった層が、「大人の社会科見学」に注目しはじめているといった背景があるわけです。京情緒あふれる祇園での「舞妓さん変身プラン」なども相変わらずの人気ぶりだそうですし、タイ式マッサージやバリ式のエステ、イタリア・トスカーナ地方の家庭料理など、一度体験して気に入ったものを、今度は自らやってみたいという需要が、20~30代の女性を中心に高まっているのだそうです。

現にANAセールスでも、「通常のパック旅行は価格競争にさらされているのが現状だが、プロがアレンジしなくてはできない『特別な体験』なら、多少高くても参加してくれる」と話しています。

私は常日頃から「世の中は、自分のためにお金を出して実験してくれている」という観点で世の中の現象を見ることをおすすめしていますが、経営者にそうした視点があれば、経営のヒントはいくらでも見つかるものです(*^^)v この経営者会報ブログも、そういう意味でみなさんのお役にたてばいいなぁ~と思っています。ぜひ、参考にしてください(@^^)/~~~

2007年09月28日(金)更新

「ホノルルマラソン」ツアーの人気ぶりに思う

毎年年末に開催される『ホノルルマラソン』に参加するツアーを、旅行大手各社が今年は例年より前倒しで発売を開始し、かなりの参加者を集めているようです。

業界で最も早く発売を開始した H.I.S(エイチアイエス)でも、ウェブ上に特設ページを作ったのはもちろん、独自の「マラソン攻略講習会」を開き、事前トレーニングのレクチャーや初心者向けランニングトレーニングなどを行っています。


ホノルルマラソン


12月9日に開催される「ホノルルマラソン」は、今回で35回目を迎えるそうですが、昨年は2万8千人超のランナーが参加登録し、なんと!このうち約1万7千人が「日本人参加者」なんだそうです。参加費用は、日本国内受付(10月26日必着分)で、ひとり15,000円のようですから、日本人の参加費だけで、2億5千万以上にもなるのかと思うと…いささか複雑な感じもします(-_-;) 
以前、私のブログに書いた「ビリーズブートキャンプ」にしても、おそらく市場を牽引しているのは日本人だと思いますから、日本のマーケットが欧米各社から狙い撃ちされるのもわかります。これが一過性のブームではなく、「文化」として定着すれば、日本人は「消費者」としてしっかり成熟したと言えるのでしょうが…。

マラソンの場合は、昨年の「東京マラソン」の成功もあり、スポーツイベントとしても定着した感がありますし、日本人にとっては、オリンピックでメダルを狙える数少ない競技であるとともに、お正月の「駅伝」の視聴率からみても、日本人がかなりの“マラソン好き”であることがわかります。

だったら、思い切って世界中のランナーを日本国内のどこかに集めて、ホノルルマラソンに負けないくらいの大会を開催できないものなのでしょうか? ホノルルマラソンの人気ぶりを見るにつけ、「もってかれっぱなし」を悔しく感じ、「誰かやらないかなぁ~」などと思ってしまいます。

そういえば、私がお世話しているある会社では、社員に対して「ホノルルマラソン」への参加を半ば義務付けているんです。同じ困難を体験することにより、より社員同士の連帯感を高めるっていう意味合いもあるんですが、一番大きな目的は「自分が1週間海外に行っていても、支障のないような仕事の体制を作る」ってことなんです。

そのために、アルバイトやパートさんとも上手に連携を取ったり、仕事を「マニュアル化」することを社員に課しています。社員がほぼ全員でホノルルマラソンに参加しているなんて、かなりユニークですから、何かと話題にもなりやすいですし(*^^)v

スポーツは上手に使えば、「教育」にも効果の高いものです。スポーツの秋、まずは自社で何かイベントを企画してみるのも、面白いかもしれません(@^^)/~~~
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