大きくする 標準 小さくする
前ページ 次ページ

2007年08月24日(金)更新

本とサイトを連動させる

私ごとで恐縮ですが、2003年に出版された単行本『営業マンは断ることを覚えなさい』が、この度文庫本に生まれ変わりました(*^^)v
文庫本発売に合わせて、この書籍の専用サイト『断る営業.com』をオープンさせ、新たなしくみ作りに取り組んでいるので、今日はそのお話をしたいと思います。


本


この本の前身は、私が6年ほど前に自費出版した、100ページ足らずの小冊子です。と言っても、この小冊子は販売を目的に作ったものではなく、『主導権を持った営業スタイルやマーケティングの知識』を顧問先の幹部社員に教えるために、研修資料(レポート)としてまとめたものだったのですが、その内容が評判になり、自然とクチコミで広がったことで、自費出版することになったのです。
この小冊子を売るために最初に試したのは、経営者の団体などの機関紙や業界紙に広告を掲載して、販売する、という方法でした。

ちなみに広告のサイズは、6cm×8cmという小さなもので、料金も2万4千円程度だったと思います。小冊子の値段は、買いやすく、たとえ内容が気に入らなくても後悔しない価格帯にしようと思い、1冊あたり800円に設定しました。ざっくり計算して、印刷代などの原価は半分ですから、この広告で60冊売れれば広告費が回収でき、永遠に広告が出し続けられる、ということになります。

この方法は、確かに効果がありましたが、広告というものは、どうしても頼んでから実際に掲載されるまでのタイムラグが発生します。おりしも、顧問先で「メルマガ」のことが話題になりました。恥ずかしながら、その頃の私は、「メールマガジン」の存在さえ知りませんでした(――;)

しかし、ピン!ときた私は、そこから持ち前の好奇心とバイタリティを楽しく発揮して、メールマガジンとホームページを使ったWebでの「売れるしくみ」の構築に当たります。今でこそ、「Webマーケティング」という言葉も当たり前のように使われていますが、たぶん私が、このしくみで本を売った最初の人だと思います(*^^)v

あれから、約5年の歳月が流れ、インターネットを初めとする私たちを取り巻く環境も随分と変わりました。今では、ネットオンリーで情報商材を売る人たちも大勢表れましたが、私自身は、Webマーケティングもそろそろ次のステップへ進むべきだと考えていました。

そんななか、「営業マンは断ることを覚えなさい」の文庫化が決定し、私は、実験のチャンスとばかり、次のステップへ向けて、この「断る営業.com」の企画を立てたわけです。
というのも、年間にものすごい数の新刊が出る昨今では、本の寿命(本屋さんの店頭に並ぶ期間)はせいぜい半年。良い本はずっと売れるべきなのに、それを許さない現実があります。もちろん、ネット書店もありますが、膨大な書籍の中からは、目的意識がなければ、本は探せません。そこで、私は専用サイトを作り、有益な情報提供を続けることで長く本を売ろう、と考えているのです。

今は技術の進歩もあり、サイトを比較的短時間で、簡単に作れるようになりました。私は、サイトを作る速さとビジネスの速さは比例すると思っているくらいです!(^^)!
こうして「営業マンは断ることを覚えなさい」は、情報化社会とともに進化を続けるわけですが、マーケティング事例としても、かなりユニークな存在だと思います。ぜひ、参考にしてください(@^^)/~~~


★8月31日まで、「著者自ら徹底解説!断る営業と売れるしくみ」の動画(取り下ろし32分!)が見られる新刊キャンペーンを展開中です!

2007年08月03日(金)更新

コンテンツを集めるしくみ

日本のネット通販業界で、確固たる地位を築きつつある「アマゾンジャパン」の戦略については、私もかねてから注目しています。

ポイント制の導入や、ショッピングモールの展開については、私のブログにも以前書きましたが、先月から、販売商品に関する写真を利用者が投稿できる「カスタマーイメージ」機能が追加されたのをご存じでしょうか?

現在アマゾンでは、書籍のほかにも、ものすごい数の商品点数を扱っています。書籍、CD、DVDなどであれば、「買おうかどうしようか」迷ったときに、他のユーザーの書いたレビューを参考にしている人も多いと思いますが、それを「写真版」にして、よりよい形で展開しようと考えたのでしょう。


アマゾン


たとえば、上の写真は、「ポータブル冷蔵庫」内部の投稿写真です。メーカーから提供されるカタログ写真だけでは、実際の大きさや使い勝手、はたまた「ペットボトルが何本入るか」などの細かい情報がわかりにくい面もあります。
たとえば、上の写真は、「ポータブル冷蔵庫」内部の投稿写真です。メーカーから提供されるカタログ写真だけでは、実際の大きさや使い勝手、はたまた「ペットボトルが何本入るか」などの細かい情報がわかりにくい面もあります。

それを、ユーザーからの投稿写真で補おう、という試みなのです。かなり頭いいですよね(*^^)v

利用者は、自分の撮った写真をコメント付きで投稿でき、投稿写真は、商品詳細ページに掲載されます。また、別の利用者が、その写真やコメントが「役に立ったかどうか」を投票でき、賛成票の多い写真は、上位に掲載されるみたいです。

この「カスタマーイメージ」の機能は、米国ではすでに2004年9月から開始されていて、今回、日本・ドイツ・フランス・英国の4カ国で同時にスタートを切ったようですが、アマゾンのサイトはこの機能を付加したことで、ますます他のショッピングサイトから抜きん出た存在になると思います。

みなさんも経営者として、自社サイトの運営に係わっていらっしゃると思いますが、サイト運営で一番たいへんなのは、いかに更新頻度を上げ、有益なコンテンツをどうやって充実させていくか、ということに尽きます。

そのために、社内に専任スタッフを置いたり、高い費用を払って、ホームページ制作会社に依頼したり…と何らかの策を講じていらっしゃることでしょう。

ところが、アマゾンのこうした機能は、見方を変えれば、「一番たいへんなコンテンツ制作を、ユーザーに手伝ってもらえる」ということなのです。しかも、無料で!(^^)!

もちろん、このシステムを構築するには、かなりの費用を投資していると思いますし、セキュリティの問題などもありますが、これからの時代は、『ユーザーといかにインタラクティブ(双方向的)な関係を築けるか』が、ユーザーに「選ばれる」企業の条件でもありますから、経営者は、常にこうした方向性を模索していく必要があると思います。

一気にアマゾンのようなしくみは作れないにしても、社内外に散らばっている有益なコンテンツを、いかに集めていかに活用すべきかを、一度真剣に考えてみてはいかがでしょうか。私は“コンテンツを制する”ものが、“情報化社会を制する”…と思っています(@^^)/~~~

2007年07月13日(金)更新

海のレクサス!? トヨタのプレジャーボート事業

トヨタ自動車の「プレジャーボート事業」は参入から10年を迎えたそうですが、このところの景気回復に伴い、乗用車の高級ブランドになぞらえて「海のレクサス」と呼ばれる高級艇が話題を集めています。


koukyutei


海のレクサスとは、「すべては最高のために」というコンセプトのもと、05年10月に発売した『ポーナム45』。全長約15メートルで、価格は約9400万円。内装には最高級の国内材を使い、車の電子制御技術を応用し、1本のスティックを操作するだけで全方位に移動できる最先端技術を装備しています。

トヨタがプレジャーボート事業に参入したのは、97年2月のこと。当初は、中型艇からスタートし、大型艇、小型艇と事業を拡大していきましたが、水上スキー用などの小型艇の売上げが思いのほか伸びなかったことから、「中大型艇」に特化する道を選んだようです。
競合他社はバブル崩壊後、大型艇から相次いで撤退していたので、競合は少なく、利幅が大きいというのも選択の理由でした。その後、自ら選んだ道を信じまっすぐに進んできたわけですが、折りしもこのポーナム45の発売が、景気回復と重なり、海のレクサスとして注目を集めることになったのです。

事前の予想では、年間販売数を5隻に設定していたところ、なんと発売後数か月で13隻の注文が舞い込みました。一時は生産が追いつかずストップしていた受注も、今年3月にようやく再開したそうです。

日本も不景気の時代が長く続きました。そんな環境に身を置くと、経営者といえどもなかなかゴージャスな発想ができなくなってしまうものですが、トヨタのプレジャーボート事業部門は、そんななかで富裕層向けの商品を開発し続け、ひたすら景気回復後のビジネスチャンスを狙っていたのでしょう。

業界大手のヤマハ発動機によると、大型高級艇の購入者は、IT企業の若手経営者が目立ち、都市部での購入者の平均年齢は、03年の63歳から、06年には46歳に下がったそうです。

しかも、彼らは仕事に追われて遊ぶ暇がなかったバブル期の富裕層とは違い、お金と時間を上手に使う『アクティブな富裕層』なのだそうです(*^^)v 

富裕層、それも特別にニッチな層に向けての商品やサービスは、本当に競争がないに等しいので、価格などの面でも完全に主導権を持ったビジネスができます。

そう考えると、この業界の未来はしばらく明るい感じがしますが、それは「長期的な視野」を持った経営の勝利といえるでしょう。いつの時代も、目先にばかりとらわれず、将来に向けての準備を着々とすすめる会社に勝利の女神は微笑むようです(@^^)/~~~

2007年07月06日(金)更新

「レトロ」商品復刻と情報資産の活用

このところ昔懐かしいパッケージデザインや味を“復刻”して、話題を集めている商品が続々と登場しているようです。

大塚食品の『ボンカレー』は、女優の松山容子さんを起用した“初代”のパッケージデザインで、50万食限定商品を作りました。味もできるだけ初代に近づけるために、小麦粉を多くしてとろみを強め、色も黄色くしたそうです。


bonkarei


また、サンヨー食品では、カップめん「サッポロ一番カップスター」を1975年発売当時の容器デザインと味に近づけて新発売しました。細かい波状だった容器を印刷で再現し、味も当時のあっさりしたしょうゆ味にしたようです。

同社はこの復刻について、『消費者に浸透しているイメージ資産を最大限に生かした』と説明していますが、このような発想はかなりイケてると思います(*^^)v
情報化社会は確実に進化を続けていますから、これからの時代の経営者は、社内にこのような「目に見えない資産」がどのくらいあるかを把握しておく必要があるのです。

一方、80年前の商品名を復刻させたのは、 丸美屋食品工業。創業80周年を機に、戦後販売が途絶えたままになっていた「是(これ)はうまい」というふりかけを再発売しました。

当時はひし形のガラス瓶に入り、百貨店で売られる高級品だったそうですが、そのイメージを生かして、外箱はひし形に、カツオが中心だった中身は、ウニ・ワサビ・七味にリニューアルしたそうです。

というのも、一見「子ども」がターゲットに思えるふりかけは、同社調査によると実は40歳以上の世帯に売れているケースが多いのだそうです。幼少期から食べていた人が大人になっても普通に買う、という現象が起きているようで、同社では「商品としての歴史の長さも価値になっている」と話しています。

このように、これからの経営は社内に眠っている「価値」、つまり情報資産をどう有効に活用していくかも、ひとつのポイントになると思います。

また、昔懐かしい復刻商品は、家庭内での親子の会話や、職場での世代を超えた話題になりやすいでしょう。「話題になる」ということは、その情報が広く伝わっていきやすい、ということでもあります。

この事例を参考に、あなたの会社に眠っている「情報資産」をもう一度掘り起こしてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

2007年06月29日(金)更新

「無料」のかげに「広告」あり

無料デジカメプリントに無料コピー、無料の自販機飲料・・・今、世の中にはこうした「無料」のサービスが続々と誕生しているようです。

その秘密は『広告』。商品の一部を広告媒体として提供することで、無料サービスが実現しているのです。

デジタルカメラで撮影した写真のプリントから発送までをすべて“タダ”で行うのは「プリア」という会社ですが、写真の隅に企業のロゴを入れたり、ハガキ大の用紙の上半分は写真、下半分を広告スペースにすることで、「無料化」を実現しました。

プリア

たとえば、結婚式の披露宴や、旅行の写真を大勢に配りたいといった場合などにはとても便利なサービスで、サイト上から会員登録をすれば、希望の写真をアップロードするだけで、指定した住所に郵送してくれるそうです。
広告主からしても、友人からの封書であれば開封率100%ですから、かなり有益な広告媒体ということになります。現に予想を超える人気ぶりで、約5ヵ月間で登録会員数は10万人に達し、プリントされた写真も500万枚を下らないようです。

一方、「オーシャナイズ」という会社は、普段白紙になっているコピー用紙の裏面を広告媒体にすることで、無料のコピーサービス、その名も「タダコピ」を実現しました。昨年4月から展開しているそうですが、すでに26大学に設置されているそうです。

広告料金は、コピー1万枚で約40万円。女子大では女性用の商品のPRに、理系大学では専門職の求人といったターゲットに合った広告を打てるため、すでに約100社との契約が成立しているそうです。

また、広告業のウィル・ビーと飲料販売のアペックスは、今月下旬から「メディカフェ」というサービスを展開し始めました。自販機のボタンを押すと、飲料がカップに注がれるまでの数十秒間に、自販機に設けられたディスプレー画面に広告が流れるしくみです。

さらには、カップの側面にも広告を印刷することも可能で、スポンサーの意向で、飲料の価格を細かく設定でき、最大は「0円」にすることも可能だそうです。今のところ、路上に置くことは考えていないそうですが、高速道路のサービスエリア、大学構内、英会話教室などへの設置を計画しているようです。

私は、世の中の情報化が進めば進むほど、「広告が一番大きなビジネスになる」と思っているんですが、莫大な費用を投資して「有名なメディアに広告を出す」という考えかたばかりでなく、自ら「広告媒体」をも生み出せる時代になったのです。

経営者の発想しだいで、まだまだユニークなサービスが誕生するかも・・・と考えると、世の中本当におもしろいです。この事例を参考に、ぜひアイディアを絞ってみてください(@^^)/~~~
«前へ 次へ»