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2007年12月14日(金)更新

「まいあめ工房」のヒットに学ぶ

名古屋の菓子問屋「ナカムラ」が、今春オープンしたネットショップ『まいあめ工房』が好調のようです。

同社では、あめ職人の技能を広めようと、10年ほど前からオーダーメイドによるあめの受注をしていました。それが最近になってクチコミによる噂になりはじめ、大口の注文もポツポツと入り始めるようになったことから、社長が「ネット上でもオーダーメイドの受注をはじめよう」と、今年の3月にサイトを立ち上げたそうです。


まいあめ


いざサイトをオープンしてみると、各地から100件を超す注文が舞い込んだとか。なかでも一番多いのは「企業のロゴ」を入れて欲しいという注文で、保険会社などが営業の際に配るのに用いるそうです。
一方、個人による注文では、結婚式を控えたカップルから「2人の名前とハートのマークを入れて欲しい」といったものや、初孫の名前を入れて欲しいといった注文もくるそうです。

その他にも学校の校章を入れて欲しいだとか、人気タレントから自らの似顔絵を入れてくれという、ちょっと変わった依頼もあるそうですから、告知の仕方によってはまだまだいろいろなニーズが掘り起こせそうですね(*^^)v

このところ、菓子業界を取り巻く環境は厳しいものがあるようで、中小の菓子業者は「冬の時代」を迎えています。コンビニに押される形で、主要販路の駄菓子屋が次々につぶれているのもその現われの一つですが、そんな状況下においてお菓子のネット直販が好調という現象に、業界からも熱い注目がよせられているそうです(*^^)v

この「まいあめ工房」では、1セット3,500個で42,000円からの注文を受けているようです。これを商売の単位と考えると金額的に大きいわけではないのですが、エンドユーザー相手であることを考慮すると、利益率はものすごく高いのだろうと思います。

ビジネスモデルを組み立てるにあたっては、薄利多売的に大きな額の売上を追いかける道もありますが、もう一方には「少ないお客様」から「水準以上の利益をいただく」という道もあることを忘れてはいけません。

世の中のニーズがこれだけ多様化した現在では、1社が多くのお客さんを相手にするのはかなり難しいのかもしれません。逆に言うと、それぞれの会社が自社にメリットを感じてくれているような顧客を、大切にフォローしていく時代になったのだということです。

さらに面白いのは、この「まいあめ工房」が、結果的に『他社に対して、自社の商品(=あめ)を使った広告の提案』をしたのと同じかたちになったということです。これって、言わばグーグルと同じ広告モデルですよね(*^^)v

この切り口であなたの商品を考えてみると、新たな生かし方やたくさん収益を生む方法、利益率の高いビジネスに移行できるチャンスがある…ということに気づけると思います。

この「まいあめ工房」の場合も、ただ『売り先』を変えただけで違った結果になったわけです。この事例を参考に、自社のビジネスモデルを柔軟に見直してみてもいいかもしれませんね(@^^)/~~~

2007年12月07日(金)更新

「マンガ」の持つ可能性を考える

突然ですが、みなさんは「マンガ」を読みますか? 「マンガ」の持つ大いなる可能性には私もかねてから注目しており、今年の初め頃にも自社ブログに書いていたので、お読みいただいた方も多いかもしれません。

今や日本の文化や産業を語る上でも、マンガは欠かせない存在になりつつあるようで、来春には、マンガやアニメを教える大学や大学院が相次いで誕生するそうです。


まんが


現在、国内で唯一の「マンガ学部」を持つのは京都精華大学で、2000年に初めて作ったマンガ学科が、06年に学部に昇格。今年度の入試でも、人気のあるコースの実質倍率は15倍を超え、少子化で学生集めに苦労する大学が多いなか、ひときわ異彩を放っています。
それに続けとばかりか、学習院は大学院に「マンガや映像の文化的意味を研究する専攻」を設けることを決め、東京芸術大学も、大学院にアニメ専攻を加える予定だそうです。名古屋造形芸術大学でも「マンガクラス」を設け、人気漫画家の杉浦直樹さんや、ビッグコミックスピリッツ元編集長の長崎尚志さんを客員教授として招く予定なのだとか。

このように、来春には、「コンテンツ」などの学部名で教える大学を加えると、国内の15を超える大学に「マンガ・アニメ関連学部」が存在するようになるというのです。さらに注目すべきは、これらの学部には海外からの留学生も集まりつつあるという現象です。

なんでも、日本のマンガ市場は『野球のメジャーリーグのようなもの』なのだそうです。現にメジャーなマンガ雑誌で新人コンテストを開くと、米国をはじめ、中国や韓国などからも、多くの才能が「逆輸入」されてくるのだとか。

優秀なスポーツ選手の海外での活躍を応援する反面、どことなく淋しい気持ちで眺めていた日本人にとって、優れた才能が続々と集まりつつある「マンガ」という分野を見逃す手はありません。

こうなるともう経営者のみなさんも「私はマンガは読まないから…」などと言っている場合ではありません。ぜひ年末年始の休みを利用して、人気のコミックをいくつか手にとってみてください。

経営者には「常に視野を広げる」こと、そして世の中の動きを刺激にしつつ、自社のビジネスを見直す感性が必要とされている時代なのです。何かとお付き合いの多いシーズンではありますが、ぜひ上手に時間を使って、未来へ向かった情報収集を心がけてください(@^^)/~~~

ちなみに私は最近「BLEACH」って漫画が結構気に入っています。しおりも絶好調で構売れているみたいです(*^^)v

2007年11月26日(月)更新

関空の“その気”にさせる顧客獲得法?!

特に旅行に行く気などなくとも、空港に行くと「なんだかどこかに行きたいなぁ~」なんて気分に駆られる人も多いと思います。そのくらい、空港とは旅情を誘う場所ですが、こうした消費者心理を上手に活用している会社があります。

関西国際空港株式会社があえて市街地から離れた空港で開催する「旅行セミナー」が、海外旅行の需要掘り起こしと、リピーターの獲得に功を奏しているようです(*^^)v


関空


9月末の土曜日に開催された「関空わくわくセミナー」には、135名の人が参加されたそうですが、3月のブリスベーン、シドニー線に続き、9月からケアンズ線を就航したことにちなみ、豪ジェットスター航空の社員が、オーストラリアの各都市の楽しみ方を指南してくれたそうです。
オーストラリアワインの試飲会をはさみ、クイーンズランド州観光公社の職員が、現地の世界遺産などを紹介したりと、かなりの盛り上がりをみせたみたいですが、この「わくわくセミナー」は、定期便やチャーター便を就航したり、便数が増えたりした路線の都市を中心に、政府観光局の協力を得て、1ヶ月半に1度のペースで開かれているのだそうです。

参加は無料ですが、なんと今までに計30回ほどの開催で延べ3千人以上を動員したそうで、最近では百名の定員を大幅に上回るセミナーも目立ち、毎回のように参加するリピーターも増えたそうですから、なかなかの成果ではないでしょうか。

こうした取り組みの背景には、消費の多様化で伸び悩む海外旅行の需要を喚起することはもちろん、旅先の魅力を伝えることで、関空発着便の搭乗率を安定させたい狙いもあるようです。

実際、関空ではここ数年、北米と欧州の路線で運休や減便が相次ぎ、旅行客が成田空港に流れる悪循環に陥っているのだとか…(――;) 

そうした現状を打破すべく、05年からは「わくわくセミナー」の拡大版として、毎年3月に2日間の「関空旅博」も開催していて、各国の特産品を展示したり、地域・テーマ別のセミナーを開いたりして、昨年は4万人を超える来場者を集めたそうです。

来場者からも「旅行会社のような宣伝くささがなく、生の情報を聞けるのが魅力」とかなりの好評ぶりのようです。空港という独特の雰囲気の中で開かれるセミナーには、旅行会社の店頭でのセミナーや説明とは違った魅力があり、ファンづくりにも大きく貢献しているのではないでしょうか。

今の時代、「旅行」はネットで買われる商品の常に上位にランクインするような存在ですが、
いくらネットが便利でも、やはり『価値ある生情報』には勝てないと思います。

このところ、私は『価値ある1次情報の発信』こそ、経営のキーだと思っているのですが、それを証明するかのような事例ではないでしょうか。

つまりそれは、今の世の中、ネット上をはじめとするほとんどの情報が、2次情報や3次情報で、自社が価値ある1次情報を創出し発信者側にまわるか、それを広める2次情報発信側にまわるか、経営者が決断すべき時が来ている、ということでもあります。

1次情報とは、現実に起こっていること、生の情報、自分で考えていること、たくさんの情報をオリジナルの考えでまとめたもの…などで、自社開発した商品や、独自のサービスなどもこれにあたります。そうした視点で、ぜひ一度、自社の現状を冷静に見つめてみてください(@^^)/~~~

2007年11月16日(金)更新

携帯電話で商品開発?!

情報化社会の進化で、最近世の中のスピードがより一層速くなったように感じますが、このところコンビニエンスストアや百貨店などでは、携帯を使ってメンバーの意見を集め、マーケティングに活かしているようです。

PCよりもレスポンスが速く軽快に使えることで、アイディアしだいではかなりの効果を期待できます。コンビニの「ローソン」では、この機能性を活かして『謎のローソン部』という秘密?組織を作っているそうです(*^^)v


携帯


これは、ローソン公式携帯サイト「LAWSON mobile」のコミュニティサイト内で活動している組織で、「部員(=会員)」は一般のお客様で構成されています。社内の責任者を「部長」とし、携帯電話を通じてローソンから情報発信を行う一方、お客様からも情報や要望を集め、双方向の関係性を築いています。
『謎のローソン部』は、これまでにも「プリンプロジェクト」を立ち上げ、女性部員5000人にメールで50回以上質問を重ね、『あたらしいプリン』と『なつかしいプリン』(各168円)を開発した実績を持ちます。

「10分で100件の返信があるなど、携帯は反応が早く、すぐに開発に生かせる」と話す同社では、飽和市場といわれるコンビニ業界において、この2つのプリンが通常の新商品の2倍の売上げを記録したことに、確かな手ごたえを掴んでいるようです。

続いて、「カップ麺開発プロジェクト」を結成し、先月末には日清食品と共同開発した「日清カレーの極み チキンカレーヌードル」を発売しました。

このメンバー募集のしかたもまたユニークで、4月24日に発売したローソンオリジナルカップ麺「赤極みカレーヌードル」のフタの裏に募集案内を載せ、結成したのだそうです。カップ麺を好む3,301人のメンバーが集まり、半年の期間をかけて、意見を出し合ったのだとか。

ひと昔前は、テストマーケティングをするにも、広告代理店にそれなりの費用を払って依頼するなどの方法が一般的でしたが、PCや携帯といった情報インフラが整ったおかげで、工夫力とセンスがあれば、企業独自でリアルなお客さまの声を集めることも十分可能な時代になったということです。

自社の情報を発信する場合にも言えることですが、この場合、「謎のローソン部」というネーミングや、「部員」として楽しく活動してもらうための仕掛けが結構重要になります。

「企業対消費者」という構図を外し、「一緒に楽しむ部員」という環境を与えることで、お客様もホンネが言いやすくなるのです。

実際、プリンの開発過程においても、「硬めがいい」という声が予想外に多く集まり、メーカー担当者が「今の主流はなめらか。別の需要があるとは思わなかった」と驚いたそうです。

また、「子どもに安心して食べさせたい」という母親の声を聞き、ゲル化剤を不使用にするほか、好き嫌いが分かれたカラメルを別添えにするなどの工夫もほどこしたみたいです。こうしたちょっとした差別化が、売上げアップにつながることは言うまでもありません。

こうした動きは百貨店にも広がっていて、小田急百貨店はクリスマスケーキに、自社サイトの会員の声を反映していますし、東急百貨店でも、サイト会員と一緒にオリジナルビールを開発し、発売まもなく完売したと言います。

もちろん、「開発に参加してもらったことが購買動機につながる」という面では、形を変えた顧客の囲い込みと見ることもできますが、それより「企業と消費者のつながり方が変わった」と見るべきだと思います。

今や、企業と消費者間の情報格差は縮まるばかりです。両者が上下の縦の関係から、フラットな横の関係性に変化したことに経営者自身が気がつかないようでは、時代に取り残されてしまいます。この事例を参考に、自社のマーケティングのあり方を今一度見直してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

2007年10月26日(金)更新

ビジネスチャンスが潜む?! 今どきの「洗濯」事情

その昔、コインランドリーと言えば、ちょっと薄暗くて古びたマンガ本が置いてあり……みたいなイメージでしたが、今どきのコインランドリーはすっかり様変わりしているのをご存じでしょうか?

一瞬「カフェ」と見間違うほどのきれいな作りになっていたり、スタッフが常駐していたり、はたまたネットで洗濯機の空き状況をリアルタイムに公開しているお店もあるようです。


コインランドリー


今の時代、ほとんどのご家庭に洗濯機はあるでしょうが、家庭用洗濯機では洗いにくい毛布などの大物の洗濯にコインランドリーを利用するケースもあるようですから、お店をきれいにして、ちょっとしたコミュニティースペースのようなテイストにすれば、けっこう近所の主婦たちが集まってくるかもしれません(*^^)v
また、アメリカからやってきた「洗濯代行」サービスもなかなかの人気ぶりのようです。従来のクリーニングとは違って、これまで家庭で洗っていたTシャツ・靴下・下着なとの洗濯物をすべて「集荷」し、洗って、干して、たたむという時間のかかる作業をすべて代行してくれるサービスなのです。

アビッシュが展開する「WASH&HOLD」では、専用ランドリーバック(1袋の目安は約6kgでTシャツなら50枚前後。1~2人暮らしで約1週間分相当の洗濯物)に詰め放題で、2,800円だそうです。しかも、専門スタッフがていねいに手たたみして、自宅まで届けてくれるのです。

このサービス、当初は女性には受け入れられないだろうと考えていたようですが(下着などを人に洗ってもらうのには抵抗ありそうですから)、いざサービスを開始してみたら、一人暮らしの若い女性たちの利用もけっこう多いようです。

専用のランドリーバックと、洗濯物をいれたまま洗えるランジェリーネットを用意し、集荷から洗濯・仕上げ・お届けまで「ほかの人の洗濯物と触れることは一切ない」というやり方で、プライバシーを守ったことにも勝因がありますが、それよりも「お天気の休日を家事でつぶしたくない」と考える人が増えた、と見るべきだと思います。3,000円弱で休日の洗濯から開放されるなら、安いものなのかもしれません。

一方、「出張族」の洗濯物を引き受けようと、「旅クリ」なるサービスを始めた会社もあります。IT関連コンサルタントを手がけてきたアプロディーが今秋立ち上げたビジネスなんですが、顧客が専用のランドリー袋に入れて、提携先のクリーニング工場に自分の洗濯物を宅配すれば、原則5日後の所在地に、仕上がり品を宅配してくれるのだとか。

料金は、一般的な洗濯物1袋(2kg相当)で2,400円。スーツ上下のドライクリーニングだと1,700円。街中のクリーニング店よりはやや割高感があるものの、仕上がりのグレードには自信があるようですから、中5日という納期さえ短縮できれば、利用者の裾野が広がる感じもします。

こんなふうに、ちょっと調べてみただけでも、「洗濯」まわりのビジネスは大きな変貌を遂げているのがわかります。時代とともに、人々の意識も確実に変化しますから、昔からある既存のビジネスでも、切り口やサービスの方向性を見直すことで、まったく新しいビジネスとしてマーケットに受け入れられる可能性があります。ぜひ、参考にしてください(@^^)/~~~
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