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2009年01月16日(金)更新

カラオケで声優体験!? 既存のインフラにサービスを乗せるという発想

このところ、カラオケボックスの使われ方が大幅に変わってきているようです。子ども連れの主婦層がランチタイムのおしゃべりに使ったり(子どもたちがいくら騒いでも平気ですからね)、ビジネスマンが会議室代わりに利用したり、はたまた漫画家が気分転換のための仕事部屋にしちゃう…なんて利用方法もあるみたいです。

つまり、カラオケボックスで「歌わない」客が増えているってことなんですが、そんななか、通信カラオケ『JOYSOUND』を主力ブランドとする「エクシング」では、カラオケで声優体験ができるコンテンツ「アフレコ!」のサービスを昨年(2008年)12月より開始したようです(@_@;)


アフレコカラオケ


このサービスは、バンダイナムコゲームスが開発した声優体験ゲーム「アフレコ!」をカラオケ店で利用できるようにしたもので、利用客は、手本となるアニメの名場面を見た後、画面に表示されるセリフを、キャラクターの口の動きに合わせてマイクで吹き込むのだそうです。

すると、収録終了後にすぐに映像が自分の吹き込んだセリフとともに再生され、吹き替えのうまさを3段階で判定してくれる、というものです。当初、「機動戦士ガンダム」「母をたずねて三千里」などの6作品、48場面の吹き替えができるようですが、みんなでやったら結構盛り上がりそうですよね!(^^)!
カラオケ市場が伸び悩むなか、同社はこのサービスをカラオケ機本体の拡販につなげる戦略のようですが、これまでカラオケ店側も、一人客を取り込むために「ヒトカラ」を積極的に提案したり、先に挙げたような「ランチタイム」メニューを増やしたりと、独自の工夫で販促活動に奮闘してきたものの、次の段階として“質の高いコンテンツ”とコラボする時代に突入したのかもしれません。

この声優体験ソフトも、ひとまず秋葉原あたりを重点的に攻めて(笑)、ネットでのクチコミで拡げていけば、全国区のサービスに成長させることも可能かもしれませんね。

こんなふうに、カラオケボックスをひとつの「インフラ」と認識したとき、そこに乗せられるサービスは無限にあると思いませんか? そして大手企業ばかりでなく、われわれ中小企業がそこに参入できる可能性も十分あると感じます(*^^)v

時に未曾有の不景気が世界経済を襲い、メーカー系大手企業は特に、急ブレーキがかかったような状態になっています(――;) もちろんわれわれにとっても厳しい環境にはかわりありませんが、同時に「ピンチはチャンス!」でもあります。

ぜひプラスの方向に発想を拡げ、カラオケ店ばかりではなく「既存のインフラ」に自社の商品やサービスを上手に乗せる方法を、楽しく模索してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

2009年01月09日(金)更新

新車「卑弥呼」を生んだ光岡自動車のモノ創りに学ぶ

2009年が幕を開けましたが、不況ムードも色濃く、いささか不安なお正月を過ごされた経営者の方も多いのではないかと思います。

今年前半はとくに、景気は恐ろしく後退すると思いますが、同時に変化はチャンスでもあります!このチャンスを活かすべく、私も質の高い情報を発信していきたいと思いますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。


車「卑弥呼」


というわけで、今年一本目のブログは、知る人ぞ知る富山の自動車メーカー光岡自動車が昨年(2008年)12月に発表した新車「卑弥呼(ひみこ)」にスポットを当て、同社の「モノ創り」の姿勢についてお話してみたいと思います。

以前、私の主宰する「高収益トップ3%倶楽部」の会員向け情報誌でも取り上げたことがあるのですが、光岡自動車という会社はたいへんユニークな会社で、2001年に発表された「大蛇(オロチ)」が同年のカー・オブ・ザ・イヤーの部門賞を受賞したことでも話題になりました。
そのオロチの発売に踏み切ったのは06年のことですが、1台約1,200万円という価格にもかかわらず、世界中の富裕層から注文が殺到し、一時はオーダーしても納車が8ヵ月先…なんて状況になっていたんです(@_@;)

というのも、同社は「量産」とは真逆に舵を切っていて、オロチの生産ラインは持たず1台1台手作りするため、1台が完成するために約3ヵ月を要するのです。そのため、未だ全世界に100台もない車ということで、その希少価値が富裕層の心をさらにくすぐっているんです。

つまり同社は、全世界の車好きの富裕層をガッチリつかんでいるわけなんですが、なぜそれが可能になったのか…それをひとことで言うなら「モノ造りの姿勢」が他社とは圧倒的に違うからです。

同社でオロチのデザインを手がけたのは、同社でオロチのデザインを手がけたのは、それまで実績のなかった20代の新人デザイナーだったのですが、彼の車への情熱はハンパではなく、ただただ「理想の車」を追求していったそうです。

もちろんそれを後押ししたのは、「日本のエンツォ・フェラーリ」の異名をとる創業者の光岡会長なのですが、「優等生みたいなデザインはダメだ。フェラーリとすれ違った時に、子どもたちが『こっちがすごい』と言わせるようなクルマを考えろ!」と彼を叱咤激励したようです。

つまり、市場の要請やマーケットリサーチなどとは一切無縁の世界で商品開発を進めているのです。こんなふうに純粋に「好き」を追求している姿勢が、ディープなファンの心をわしづかみにするわけですね。

上の写真は新車の「卑弥呼」ですが、これもオロチと同じ若手デザイナーの作品で、邪馬台国の女王・卑弥呼の気品と風格をイメージしながら「女性が運転したくなるスポーツカー」をとことん目指したそうです。

業界の常識にどっぷり浸かったプロからは決して出てこない、純粋に「好き」を追求するマニア的発想が世界中の顧客をつかんでいく…進化した情報化社会とは、こんな世の中なのです。ということは、われわれ中小企業にも十分商機があります(*^^)v

時代のキーマンは「すさまじいほどに何かを好きで、それにのめり込んでいる人間」です。そんな人材が社内にいる会社は、くれぐれも経営陣がその才能にフタをしてはなりませんし、そんな人がいない会社は、積極的に探して、すかさず雇ってもいいくらいです。

これからの経営者に一番必要なのは、「本当に自分が創りたいものを創れ!」と、個人の才能を存分に発揮させていけるだけの度量かもしれません。こんな時代であるからこそ、経営者は思考の枠組みをさらに広げていく必要がありそうですね(@^^)/~~~

2008年12月19日(金)更新

DVD付きニッポンみやげ!? 自社のスキルの活かし方

今、外国人向けの「ニッポン」みやげとして、ちょっと話題を呼んでいる商品があります。名古屋のテレビ番組制作会社「メディアジャパン」が企画制作する「メイクジャパンシリーズ」というDVDが付いたお土産セットなんです。

同社では、寿司や酒、日本茶などを題材に、文化的なうんちくや楽しみ方をドキュメンタリー番組のようなタッチで制作し、これに実際に使える道具や食材一式とセットにしたのです。


メイクジャパン


上の写真は「SUSHI(寿司)セット」なんですが、そのセット内容は…寿司の基礎知識、プロが教える寿司のつくり方、マナーなどがわかるDVD(英語と日本語二ヶ国語)・寿司桶・しゃもじ・まきす・箸・海苔・わさび・醤油・寿司酢粉末・インスタント米・粉末緑茶…おまけにこれらを風呂敷で包むという親切ぶりです。

これなら外国人でも、DVDを見ながら実際に「お寿司」を作れそうですよね。こうしたセットは3種類あって、参考価格は4,200~7,000円だそうです。
このシリーズの第一弾として、寿司、折り紙、日本茶、浴衣の4つを企画制作したみたいですが、折り紙と浴衣はDVDのみ(各1,500円)。続く第二弾として、「SAKE(酒)」セット(日本酒ととっくりにおちょこ&DVD)も発売されました。さすがに、どれもいい企画ですよね!(^^)!

もちろんこのDVDは、単なる“おまけ”的なものではなく、ニュース番組制作で蓄積したノウハウを活かし、製造過程などの現場取材も敢行し、さらにプロの手で外国人にもわかるように懇切丁寧に編集されているようです。

放送業界も不況のあおりを受け、番組制作会社を取り巻く環境もなかなか厳しいようですが、そんななかで、自社で著作権を持てるパッケージメディアに進出し、そのうえ「グッズ」とのセットを作って、自ら「メーカー」として販路を拡大していこうと決断したこの経営者は、「エライ!」と思いませんか?

このお土産セットは、自社のノウハウやスキルを活かす“メディア”や“マーケット”自体を創ってしまったのと同じことですよね(*^^)v 

今のように景気が悪くなった時、経営者が、既存のお客さんにどう売るか…という狭い発想ばかりしていては、値段を叩かれるのがオチ。おそらくこの制作会社も、番組制作費が年々少なくなっていく状況に、なんとか歯止めをかけたかったのだと思います。

おもしろいことに、もともと外国人観光客を想定した商品だったにもかかわらず、あまりの出来の良さに、日本人が買っていくケースも多いのだそうです。

とくに、英語を学びたい人たちが、外国人とのコミュニケーションツールとして購入し、このDVDを教材に、生きた英語を勉強するなんてケースも増えているみたいです。シリーズ第三弾として、和菓子、しゃぶしゃぶ、焼酎などの制作準備も進んでいるようですよ。

ひとつの商品を、ユーザーが思わぬ使い方をして、そこからまた新たなマーケットが出来ていくのが、高度情報化社会の特徴です。ということは、企業には、常に“新たなチャレンジ”が求められているということです。

経営者が“目先”しか見えていないようでは、それこそお先真っ暗ですよね。ぜひ、発想を広げ、自社の“資産”を活かす道を模索してください(@^^)/~~~

2008年12月05日(金)更新

アスクルに学ぶ“顧客”の周辺需要を掘り起こす法

早いもので今年も師走を迎え、みなさんの会社でもそろそろ「忘年会」の時期ではないでしょうか? 今年は景気の後退から「オフィス内」での忘年会に切り替える会社も増えていると聞きますが、そんな需要をみごとにとらえているのが、オフィス用品のアスクルです。


アスクル


なんとアスクルでは、ファイルやボールペンを頼むのと同じような感覚で、忘年会用のおつまみを発注することができるのだそうです(@_@;)

同社では、「アスクルお仕事サポート」として、オフィス内で必要になりそうなサービスを提供すべく、いろいろな業界との提携を進めてきましたが、今年3月には、飲食店情報サイト「ホットペッパー.jp 」を運営するリクルート、出前検索サイト「出前館」などを運営する夢の創造委員会の2社と提携しました。
リクルートからは飲食店、夢の創造委員会からは宅配店のデータ提供を受け、独自に編集して自社サイト内に受注ページを新設。ページ閲覧者が店の情報をクリックした場合と、実際に受注につながった場合に、それぞれアスクルに報酬が支払われる仕組みになっているようです。

情報化社会もますます進化を続け、今やネットで買えないものはないような時代になりつつあります。そうなるとユーザーのなかには「使い慣れたサイトから買いたい」という気持ちがしだいに濃くなっていくのです。

たとえば、アマゾンで本を注文することに慣れてしまった人が、サプリメントなどの他の商品をオーダーしたい場合、「アマゾンにはないのかな?」とまず調べます。新しいネットショップに、いちいち個人情報を入力するのは、結構面倒くさいですからね(――;)

それとまったく同じ感覚で、オフィス用品を頼むついでに、残業食や忘年会用のパーティーセットも…と、ついついアスクルからオーダーする人も増えてくるでしょう。現に、アスクルを経由した出前サービスの平均単価は、2008年10月の実績で5,900円強と、一般消費者が中心の出前舘の平均単価より2千円程度高いのだそうです。

アスクルもそのあたりの消費者心理もよくわかっているようで、「商品選択から決済まで短時間で済むのが利用者を増やすカギ」と話しています。たとえば、宴会のお店を探すときも、候補店の比較をしやすいようにするなど、独自の工夫を凝らしています。

そうなると、ホットペッパーや出前館としても、法人需要を取り込めるということで、十分メリットがありますよね(*^^)v 実績が上がれば、今後、アスクルと提携したがる企業も増えてくることでしょう。

こんなふうに、既存のお客さんに「どんなサービスを提供できるかが勝負」という時代に突入しているのです。少し前に私は冗談まじりに「そのうち、アマゾンで車や家を買ってポイントを貯める時代になるかもね」と話していましたが、もう、あながち冗談では終わらない感じもします。

ぜひこの事例を参考に、自社のビジネスを見直し、どんな人を自社の「顧客」にしたいのか、またその顧客に「どんなサービスを提供すればいいのか」をじっくり考えてみてください。

「売ったらおしまい」という薄利多売の時代は、すでに終わっているのです。自社の顧客といかに深くつきあうか…経営者自身のパラダイムシフトが必要な時代といえるかもしれません(@^^)/~~~

2008年11月28日(金)更新

納豆容器に新風!? 「金のつぶ あらっ便利!」が好調

これまで、「納豆」を食べるとき、なんとなく不便に感じることはありませんでしたか? そんなところに目を付けて「商品パッケージ」を改善し、売れ行きを伸ばしている商品があります。

その名も「金のつぶ あらっ便利!」という商品なのですが、パッケージを見直したと言ってもデザインや材質といった外観の話でなく、なんと!納豆の表面を覆っていた薄いフィルムや、タレやからしを入れた小袋をなくしてしまったのです(@_@;)


納豆


その代わりに、上記のようなゼリー状のタレが容器の一角に入っていて、食べる時はこのゼリー状のものを納豆に混ぜていただきます。

これまで、納豆の乾燥を防ぐために採用されていた薄いフィルムも、いざ食べるときになると、なんとなくベトベトしてじゃまでしたよね。また、タレやカラシの小袋を開けるときも、「手が汚れてイヤ」という声が多かったみたいです。
こんなふうに、消費者が納豆を食べるときに感じる小さな不満をみごとに解消したことにより、今年(2008年)9月から新パッケージでの販売を始めたところ、発売後2ヶ月で6千万食と、目標を上回る好調ぶりみたいです(*^^)v

時に、消費者の「エコ」意識も相当高まっていますが、タレの小袋とフィルムをなくしたことで、家庭から出るゴミを年間で約45トン削減できるとの試算もあります。

商品自体を変えずとも、パッケージを見直すだけで売り上げが上がるという点では、とてもおもしろい事例だと思いが、単なる思い付きではなく、同社では2006年から「納豆革命プロジェクト」を発足させ、真剣に取り組んできたのだそうです。

こうして、ふたを開けて、はしで混ぜるだけで食べられる納豆の開発が始まったわけですが、最初はタレを容器の底に入れてから納豆を上に重ねる方式を考えたものの、納豆がタレを吸い込んでしまって、なかなかうまくいかなかったのだそうです。

その後、容器の試作を百種類以上作って研究を重ねたそうですが、それがこんなカタチで実を結ぶと、開発担当者も相当うれしいと思います。

ありとあらゆるバリエーションが登場している納豆という成熟市場にさえ、まだまだ起死回生の策があったのです。この事例を参考に、ぜひ自社商品を「パッケージの改良」という視点から、検討しなおしてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
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