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2009年07月24日(金)更新

カフェメニューに文庫本!? スパイラルカフェの「文庫本セット」

出版業界に限らず、業績不振に悩む業界は多いと思いますが、そろそろ「既存の小売店以外でものを売る」という発想をするべきなのかもしれません。

東京・南青山にあるスパイラルカフェのメニューに、今年(2009年)4月~9月中旬までの期間限定で、ドリンク1杯と文庫本1冊がセットになった「文庫本セット(1,350円)」が登場したのをご存じでしょうか? もちろん読みかけの本は、持って帰ることができます。


カフェ


夕方5時以降の限定メニューだそうですが、仕掛人はブック・コーディネイターでnumabooks代表の内沼晋太郎氏。「ふらりと立ち寄ったカフェのメニュー表に本が並んでいたら面白い」と、企画を持ちかけたそうです。
文庫本は、毎月5冊を内沼氏がセレクトしています。芥川賞作家の保坂和志さんの小説や、須賀敦子さんのエッセイなどが人気みたいですが、オーダーすると、オリジナルのブックカバーをつけた文庫本がお皿に乗って運ばれてくるのです。それだけで、なんだか面白いですよね(*^_^*)

これまで、本は「自分で選ぶもの」でしたが、そこに「センスある人にセレクトしてもらう」というステップを加えることで、また違った面白みが出てくるのです。さらに、「たまたま入ったカフェでこの本に出会った」という出会いの楽しさも演出できます。

この企画は、他のカフェでも試してみる価値があるでしょう。そうすると、お店ごとのセレクトセンスで競い合えるようになりますし、そこでしか入手できない特製ブックカバーが人気を呼んだりするかもしれません(*^^)v

また、「とってもいい本だけど…まったく売れなかった(――;)」なんていう「良書」を、改めて世に出すチャンスとしても使えるかもしれませんね。

最近では、カフェ以外にも、雑貨店などでおしゃれな小物や洋服のとなりに本を置き、普段本を読まない層にアピールして、思わぬヒットを飛ばしている例もあるようです。

いずれにしても、業界の常識だけで判断していると、こんな発想って出てこなくなるものなのです。「人が書店に来ないのなら、本を書店から連れ出しちゃおう」…こんな発想は、得てして異業種から生まれてくることが多いものです。

この事例を参考に、自社の商品やサービスを「外に連れ出す」、遊びゴコロ満載の企画をプランニングしてみてはいかがでしょう? 意外にも、チャンスはすぐそこにあるかもしれませんよ(@^^)/~~~

2009年07月10日(金)更新

花火でプロポーズ!? 企業から個人へマーケットを拡げる

今年も花火大会の季節になりましたが、今、「花火でプロポーズ」を切り口に、打ち上げ花火を個人向けに販売している会社があるのをご存じでしょうか?

創業120年の社歴をもつ千葉県の印旛火工株式会社では、ネット事業部を新設し、『花火SHOWドットコム』というサイトで、プロポーズを演出する花火だけでなく、両親の還暦祝いや誕生祝いなど、個人向けの“プチ花火大会”を提案しているのです。


花火


これまで、花火大会といえば、自治体などが企画するものでした。ですから、予算も各自治体から出ているケースが多く、そこに企業が協賛して、ロゴマーク入りのしかけ花火を打ち上げたりしていたものです。
しかし、ご存じのように景気が悪くなると、自治体でも予算がとれなくなったり、企業からも協賛を得られなくなったりしていきます。そうなると、世界に誇れるほどの腕を持った花火職人さんたちの仕事も激減してしまいます(――;)

そこで、同社の社長は、「打ち上げ花火を個人向けに販売できないか」と思い立ったのです。そう思い立って、サイト事業部を立ち上げたわけですが、思い立ったビジネスをすぐに試せるのもネットの利点ですよね。

予算は、 10万円から30万円程度が一番多く、たとえば10万円の予算だと、2.5号玉30発、3号玉20発、4号玉10発程度が打ち上げられます。一般的な花火大会のようなタイミングで上げると2~3分で終わってしまう内容みたいですが、打ち上げのスピードなども相談に乗ってもらえます。

さらに、プロポーズ相手の名前を花火にして打ち上げるなんてサプライズ企画にも、相談に乗ってもらえるみたいです(*^_^*)

同社の指定場所以外での打ち上げについては、申込者が手続きすることが基本ですが、同社に依頼すれば消防署等への申請も代行してもらえるうえ、当日は打ち上げ場所までの送迎もしてもらえます。

今後は、この「プライベート花火大会」をプロが撮影して映像に残す…なんてプランもセットしたら喜ばれると思いますし、やり方によっては、まだまだビジネスとして発展できる可能性があると思います。

ちなみに、うちの女性スタッフに「花火でプロポーズってどう?」と聞いたら、一瞬微妙な空気が流れましたが(笑)、プロポーズはともかく、結婚式や会社の暑気払いのサプライズ企画など、アイディアしだいで花火の活用法はまだまだあるんじゃないかと思います。

だいだい今まで「個人で花火を打ち上げよう」なんて、思いもしませんでしたよね? しかし、「できる」とわかれば、しだいに利用する人たちも増えていくはずです。現に申込件数では、個人客が自治体などの団体客を抜く勢いだそうですよ(*^^)v

もちろん、個人客は売上的にみたら小さいですし、対応に手間もかかります。しかし、これからの中小企業にとっては、「個人」という販路を持っておくこともある意味必要ではないでしょうか。

個人客は、企業ほど景気の影響を受けませんので、不景気時代の下支えになってくれるはずです。そのうえ、インターネットという武器を使えば、中小企業が個人客を相手にすることも十分可能な時代なのです。

この事例を参考に、自社にも活かせるアイディアはないか、ぜひ知恵を絞ってみてください。特に、業界の体質が古く、腕のいい職人さんたちが仕事がなくて困っている…といった業界には、即効性があると思いますよ(@^^)/~~~

2009年06月26日(金)更新

「ちょい食べカレー」がヒット!? 商品の角度を変えて市場を作る

みなさん、グリコの「ちょい食べカレー」という商品をご存じでしょうか? 何をかくそう、私は最近まで知らなかったのですが、姉妹品の「ちょい食べハヤシ」とともに、昨年(2008年)2月に発売された商品です。

この商品、ひとことで言えば「レトルトカレー」なんですが、温めずにそのまま食べることができるのと、1本30gというプチサイズにしたことで、「ふりかけ感覚でお弁当といっしょに持っていく」というカレーの新しいマーケットを開発したのです(*^^)v


カレー


従来のレトルトカレーは、ラード(動物性の脂)を使っているものが多く、常温では固まってしまうため、温めずにそのまま食べることができませんでした。

その点、この「ちょい食べ」シリーズは、常温でも固まりにくい植物性の油脂と野菜や果物のペーストを使っているので、温め直すことなくそのまま食べられるというわけです。
ですから、おかずが足りなくてちょっとだけ残ってしまったご飯にかけたり、ジャムのようにパンにつけて食べたり、オムレツやオムライスのソースにしたり、はたまた料理の調味料的に使ったり…と、これまでにないレトルトカレーの用途を増やすことに成功したのです。

同社の開発担当者は「昼の弁当を食べているとき、カレーの味が欲しいと思ったのが開発のヒントでした。カレーのパンはあるが、意外と弁当は少ない、と感じました」なんてコメントしていますが、「なるほど!何で今まで気づかなかったんだろう(――;)」って感じですよね。

「カレーパン」からこの商品をイメージしたというのもちょっと笑えますが、この商品がヒットした裏側にはもうひとつ秘密があって、スーパーなどの販売の現場では、レトルトカレーの棚に加え、「ふりかけ」のコーナーにも置いてもらうようにしたのだそうです。

すると、一人二人と、お弁当といっしょにこの商品を持っていく人が現れます。お弁当はふつう一人では食べませんから、目の前でカレーをお弁当にかけはじめる人を見かけたら、「何それ?」となるわけです。

当然ブログなどで発信する人も出始めます。そんな感じで徐々にブレイクし、一時は生産が間に合わない状況にもなったみたいですよ。

またここ最近、「弁当男子」という言葉も生まれたくらい、世の中にお弁当持参派が増えました。折りしも不景気の波が押し寄せて外食派が減ったことも、この商品を後押ししたのでしょう。

それはともかく、カレーという完全な成熟市場でさえ、発想と工夫でこんな現象が起きるのです。マーケティングは、本当におもしろい世界ですよね。ぜひ、この事例を参考に、自社商品の“角度”をちょっと変えたらどうなるか…楽しく考えてみてください(@^^)/~~~

2009年06月12日(金)更新

1本18万円!? ガリレオ望遠鏡の復刻版完売

今年は、ガリレオが望遠鏡を使って天体観測を始めてから400年に当たるそうです。それを記念して、世界天文年2009日本委員会は、ガリレオが天体観測に使った望遠鏡を可能な限り精密に復元し、限定販売を行いました。

1本17万8千円するレプリカを、30本限定で売り出したところ、約1か月で完売したそうです。消費不況が叫ばれるなか、うらやましいような話ですよね(*^_^*)


望遠鏡


これは、イタリア・フィレンツェの博物館に所蔵されている2本の望遠鏡の図録をもとに、京都市の文化財複製会社に製作を依頼したもののようですが、全長1.3メートルの木製の望遠鏡で、倍率は14倍。筒の前後に直径3センチほどのレンズが取り付けられています。
しかし、この望遠鏡で月を見ても、視野に入るのは月の一部だけ…という、なんとも「見づらい」望遠鏡みたいです(――;) しかし、「ガリレオがのぞいたときと同じ視野が得られる」とあって、ファンからの根強い要望で、追加注文を受けることになったといいます。

鹿児島県の宇宙館の館長も自費で購入したそうですが、「『世界で初めて星を見た望遠鏡だよ』と子どもたちに伝えると、興奮してのぞいてくれる」と話しています。これは、商品と一緒に“ストーリー”を買っているのと同じです。

ガリレオはこの望遠鏡で、月のクレーターや木星の衛星など、数々の大発見をしたわけです。そのガリレオと「同じ視野」を体験しながら、遠い宇宙に思いを馳せる…なんともロマンがありますよね。そのストーリーに、天文ファンは心躍らせるのです。

どうせならもっと生産量を増やして、ネットで上手に販売したら、世界中から注文が集まるんじゃないかなどと、つい商売っ気を出してしまいますが(笑)、それはともかく、成熟した消費者たちは、機能やスペックではない部分に、お金を払う意味を知っています。

持っているだけで楽しくなる、触っているだけで豊かな気持ちになれる…ガリレオの望遠鏡とはそんな存在です。そして、こんなふうに自分の心を満たしてくれる商品には、惜しみなくお金を払うのが今どきの消費者なのです。とりわけ「趣味」の分野では、その傾向が顕著です。

反対に機能やスペックを追及していく商品は、やがて価格競争に巻き込まれていくのが世の常です。もちろん、ビジネスを考えるとこの分野を避けて通るわけにはいきませんが、自社の商品やサービスを「価格競争に巻き込まれない」世界に持っていくのも、経営者の発想しだいだと思います。

この事例を参考に、時には“宇宙サイズ”で、発想を広げてみてください(@^^)/~~~

2009年05月29日(金)更新

ネクタイに点字のメッセージ!? 「デコタイ」の発想に学ぶ

今年は6月21日(日)が父の日ですが、巷では、父の日ギフトのマーケットを狙った商品が続々と登場しています。ワインや日本酒のラベルにお父さんの名前が入れられるなどという企画はもとより、あのオロナミンCまでが「お父さんカンゲキキャンペーン」を展開していたりして、思わず笑ってしまいました(*^_^*)

そんななか、ちょっとおもしろい商品を見つけました。その名も「デコタイ」。携帯電話などのデコレーションで人気のスワロフスキークリスタルを使って、ネクタイにメッセージを込めようという商品なのです。


デコタイ


そのメッセージが「点字」になっているのがミソで、日本展示図書館協力のもと、「パパ ハヤク カエッテ キテネ(パパ早く帰ってきてね)」とか、「メタボ チューイ(メタボ注意)」などのユニークなメッセージをネクタイに載せられるんです。もちろん、名前を入れることも可能です。
この商品は、グラフィックデザインを手がける有限会社クールタイガーの女性社長の発案みたいですが、今年は点字を発明したルイ・ブライユの生誕200年に当たるそうで、しゃれっ気とユーモアを合わせ持つこのネクタイを通じて「点字への関心も高めていきたい」と考えているそうです。

それにしても、ネクタイにメッセージを載せようという発想はかなりユニークです。しかし、さすがに読みやすい文字で書いてあったら、ちょっと締める気がしないと思いますが、点字ならいいかなって感じですよね。

赤やピンクなど約20色の国産シルクのネクタイの表面に、点字のメッセージを「デコ」して、価格は1本7~8千円だそうですが、父の日のみならず、恩師へ感謝の気持ち伝えるとか、バレンタインデーに彼氏に贈るとか…いろいろと販路は広がりそうです。

さらにこの商品の価値は、プレゼントした後にも「これ、なんて書いてあると思う?」とか、「じつはこれ、点字なんだ」というふうに、会話が生まれる点にあります。ひとつの商品を通じてコミュニケーションが生まれる…これはギフトに付加価値を生む視点です。

また、「デコタイ」というネーミングもいいですよね。ケータイのデコレーションに慣れた女性たちからは、すんなりと受け入れられるでしょう。

こんなふうに、ネクタイひとつとっても、新しい感覚とアイディアで「マーケット」が出来上がるわけです。

自社の商品をとっておきのギフトとして提案するためには、いったい何をプラスしたらいいか…楽しみながらあれこれ考えてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
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