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2009年01月09日(金)更新

新車「卑弥呼」を生んだ光岡自動車のモノ創りに学ぶ

2009年が幕を開けましたが、不況ムードも色濃く、いささか不安なお正月を過ごされた経営者の方も多いのではないかと思います。

今年前半はとくに、景気は恐ろしく後退すると思いますが、同時に変化はチャンスでもあります!このチャンスを活かすべく、私も質の高い情報を発信していきたいと思いますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。


車「卑弥呼」


というわけで、今年一本目のブログは、知る人ぞ知る富山の自動車メーカー光岡自動車が昨年(2008年)12月に発表した新車「卑弥呼(ひみこ)」にスポットを当て、同社の「モノ創り」の姿勢についてお話してみたいと思います。

以前、私の主宰する「高収益トップ3%倶楽部」の会員向け情報誌でも取り上げたことがあるのですが、光岡自動車という会社はたいへんユニークな会社で、2001年に発表された「大蛇(オロチ)」が同年のカー・オブ・ザ・イヤーの部門賞を受賞したことでも話題になりました。
そのオロチの発売に踏み切ったのは06年のことですが、1台約1,200万円という価格にもかかわらず、世界中の富裕層から注文が殺到し、一時はオーダーしても納車が8ヵ月先…なんて状況になっていたんです(@_@;)

というのも、同社は「量産」とは真逆に舵を切っていて、オロチの生産ラインは持たず1台1台手作りするため、1台が完成するために約3ヵ月を要するのです。そのため、未だ全世界に100台もない車ということで、その希少価値が富裕層の心をさらにくすぐっているんです。

つまり同社は、全世界の車好きの富裕層をガッチリつかんでいるわけなんですが、なぜそれが可能になったのか…それをひとことで言うなら「モノ造りの姿勢」が他社とは圧倒的に違うからです。

同社でオロチのデザインを手がけたのは、同社でオロチのデザインを手がけたのは、それまで実績のなかった20代の新人デザイナーだったのですが、彼の車への情熱はハンパではなく、ただただ「理想の車」を追求していったそうです。

もちろんそれを後押ししたのは、「日本のエンツォ・フェラーリ」の異名をとる創業者の光岡会長なのですが、「優等生みたいなデザインはダメだ。フェラーリとすれ違った時に、子どもたちが『こっちがすごい』と言わせるようなクルマを考えろ!」と彼を叱咤激励したようです。

つまり、市場の要請やマーケットリサーチなどとは一切無縁の世界で商品開発を進めているのです。こんなふうに純粋に「好き」を追求している姿勢が、ディープなファンの心をわしづかみにするわけですね。

上の写真は新車の「卑弥呼」ですが、これもオロチと同じ若手デザイナーの作品で、邪馬台国の女王・卑弥呼の気品と風格をイメージしながら「女性が運転したくなるスポーツカー」をとことん目指したそうです。

業界の常識にどっぷり浸かったプロからは決して出てこない、純粋に「好き」を追求するマニア的発想が世界中の顧客をつかんでいく…進化した情報化社会とは、こんな世の中なのです。ということは、われわれ中小企業にも十分商機があります(*^^)v

時代のキーマンは「すさまじいほどに何かを好きで、それにのめり込んでいる人間」です。そんな人材が社内にいる会社は、くれぐれも経営陣がその才能にフタをしてはなりませんし、そんな人がいない会社は、積極的に探して、すかさず雇ってもいいくらいです。

これからの経営者に一番必要なのは、「本当に自分が創りたいものを創れ!」と、個人の才能を存分に発揮させていけるだけの度量かもしれません。こんな時代であるからこそ、経営者は思考の枠組みをさらに広げていく必要がありそうですね(@^^)/~~~