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2007年11月16日(金)更新

携帯電話で商品開発?!

情報化社会の進化で、最近世の中のスピードがより一層速くなったように感じますが、このところコンビニエンスストアや百貨店などでは、携帯を使ってメンバーの意見を集め、マーケティングに活かしているようです。

PCよりもレスポンスが速く軽快に使えることで、アイディアしだいではかなりの効果を期待できます。コンビニの「ローソン」では、この機能性を活かして『謎のローソン部』という秘密?組織を作っているそうです(*^^)v


携帯


これは、ローソン公式携帯サイト「LAWSON mobile」のコミュニティサイト内で活動している組織で、「部員(=会員)」は一般のお客様で構成されています。社内の責任者を「部長」とし、携帯電話を通じてローソンから情報発信を行う一方、お客様からも情報や要望を集め、双方向の関係性を築いています。
『謎のローソン部』は、これまでにも「プリンプロジェクト」を立ち上げ、女性部員5000人にメールで50回以上質問を重ね、『あたらしいプリン』と『なつかしいプリン』(各168円)を開発した実績を持ちます。

「10分で100件の返信があるなど、携帯は反応が早く、すぐに開発に生かせる」と話す同社では、飽和市場といわれるコンビニ業界において、この2つのプリンが通常の新商品の2倍の売上げを記録したことに、確かな手ごたえを掴んでいるようです。

続いて、「カップ麺開発プロジェクト」を結成し、先月末には日清食品と共同開発した「日清カレーの極み チキンカレーヌードル」を発売しました。

このメンバー募集のしかたもまたユニークで、4月24日に発売したローソンオリジナルカップ麺「赤極みカレーヌードル」のフタの裏に募集案内を載せ、結成したのだそうです。カップ麺を好む3,301人のメンバーが集まり、半年の期間をかけて、意見を出し合ったのだとか。

ひと昔前は、テストマーケティングをするにも、広告代理店にそれなりの費用を払って依頼するなどの方法が一般的でしたが、PCや携帯といった情報インフラが整ったおかげで、工夫力とセンスがあれば、企業独自でリアルなお客さまの声を集めることも十分可能な時代になったということです。

自社の情報を発信する場合にも言えることですが、この場合、「謎のローソン部」というネーミングや、「部員」として楽しく活動してもらうための仕掛けが結構重要になります。

「企業対消費者」という構図を外し、「一緒に楽しむ部員」という環境を与えることで、お客様もホンネが言いやすくなるのです。

実際、プリンの開発過程においても、「硬めがいい」という声が予想外に多く集まり、メーカー担当者が「今の主流はなめらか。別の需要があるとは思わなかった」と驚いたそうです。

また、「子どもに安心して食べさせたい」という母親の声を聞き、ゲル化剤を不使用にするほか、好き嫌いが分かれたカラメルを別添えにするなどの工夫もほどこしたみたいです。こうしたちょっとした差別化が、売上げアップにつながることは言うまでもありません。

こうした動きは百貨店にも広がっていて、小田急百貨店はクリスマスケーキに、自社サイトの会員の声を反映していますし、東急百貨店でも、サイト会員と一緒にオリジナルビールを開発し、発売まもなく完売したと言います。

もちろん、「開発に参加してもらったことが購買動機につながる」という面では、形を変えた顧客の囲い込みと見ることもできますが、それより「企業と消費者のつながり方が変わった」と見るべきだと思います。

今や、企業と消費者間の情報格差は縮まるばかりです。両者が上下の縦の関係から、フラットな横の関係性に変化したことに経営者自身が気がつかないようでは、時代に取り残されてしまいます。この事例を参考に、自社のマーケティングのあり方を今一度見直してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~