大きくする 標準 小さくする

2006年08月04日(金)更新

稼いだお金の使い方を考える

今週は国税庁から路線価が発表され、路線価日本一は、21年連続で東京都中央区銀座5丁目の銀座中央通りだそうですが、前年より23・8%上昇して1872万円、都市部では、「バブル再来か」なんて騒がれていましたね。

一方、世界に目を向けてみると、世界の富豪たちが、スケールの違うお金の使い方をしていることにちょっとびっくりしてしまいます。

米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が、370億ドル(日本円で約4兆2180億円)をあっさりと慈善活動に寄付を決め、そのうちの310億ドル(約3兆5340億円)を、マイクロソフト創業者のビルゲイツ夫妻が運営する財団に委ねたというのです。

慈善活動

2000年に設立された「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」は、この寄付により運用資産590億ドルとなり、フォード財団(116億ドル)を圧倒的に突き放し、米国一の慈善団体となったそうです。

医療と教育に力を入れている財団で、昨年も貧困国に住む子供に対する予防接種や、エイズやマラリアのワクチン研究などを行ったようですが、バフェット氏はこの財団に寄付を決めた理由を、ズバリ「一番効率よく運用しているから」と説明しています。

世界第2位の資産家としては、稼いだお金は、やはりきちんと運用してくれる人に託したいとの思いがあるのでしょう。

バフェット氏は2000年から毎年、ホームレスや貧困問題に取り組む支援団体に寄付する目的で、自分と一緒に「ランチをする権利」を競売にかけています。今年もインターネット最大手イーベイに出品され、過去最高額の62万100ドル(約7130万円)で落札されたようですよ。

こんな話を聞くと、「何でもお金に変えるんだなぁ」とちょっとびっくりしてしまいますが、これは、日本の経営者と米国の経営者の「思想」の差が生む行動の違いなのです。


日本の経営者は、きちんとした仕事をすることが、そのまま社会貢献につながると考えている方がほとんどだと思いますが、米国の場合、「稼ぐこと」と「社会に貢献する」ことは、全く別次元の問題なのです。

彼らは自分が一所懸命稼ぎ出したお金を、社会のために「使う」ことで、初めて貢献したという満足感が得られるのでしょう。

これは、本質的には宗教や文化の違いによるものですが、鉄鋼のカーネギーや石油のロックフェラー、自動車のフォードたちのように、ビルゲイツもまた、2008年にはマイクロソフトの日常業務から身を引き、財団の運営に専念するのだそうです。

「富の稼ぎ方」より「使い方」にその経営者の「人間性」や「生き方の美学」をみる、実に米国人らしい進路だと思います。

今日の話題をきっかけに、みなさんも、稼いだお金の使い方や、自分が経営者を退いた後のことを、少し考えてみるのもいいかもしれません。この夏休みにでも、少し時間を作ってみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~