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2006年05月02日(火)更新

経営者の報酬を考える

みなさんすっかりゴールデンウィークモードに入ってらっしゃるかもしれませんが、今日は少し目の覚めるようなお話をしましょうか。ズバリ「経営者の報酬」についてです。

米国経営者の豪邸
*この豪邸の写真はイメージです

このところ、アメリカの主要企業が、相次いで経営者の報酬を見直しているようですね。株主から「業績や株価に比べて報酬が高額だ」との批判を受けてのことです。米国では、エンロン不正会計事件以後、報酬決定の透明性向上を迫られているのです。ゼネラル・エレクトリック社(GE)は今年から、ジェフリー・イメルト最高経営責任者(CEO)の報酬を株価連動型に変更したそうですよ。

ヒューレット・パッカード(HP)が、昨年解任されたカーリー・フィオリーナ前CEOの報酬が高すぎたとして、株主から返還を求める訴訟を起こされたのは、記憶に新しいところです。このように、企業側は株主からの訴訟を回避するため、報酬の透明性向上を図っているというわけです。

そのフィオリーナ氏の報酬って、いったいどのくらいかご存知ですか?なんと退職金を含め、総額で1億8,000万ドル。日本円で約210億円だそうです(@_@)しかし、在職中の6年間でHPの株価は半分に下落したようですから、株主が過剰報酬だと騒ぐ気持ちもわかります。

誰です?そんなにもらえるなら、アメリカの経営者になりたいなんて思った方は(笑)。確かに日本の経営者の報酬額とは随分違いますよね。ちなみに、経営者と従業員の報酬格差を比較してみると、日本ではたった4倍なのに対して、韓国は約15倍、なんとアメリカは1,500倍もあるんです。さらに、中国では15,000倍だそうです。

この数字だけで見ると、社長をやるなら「中国」が最適かもしれません。しかし、「経営者」になるなら、実は日本が最適であることがわかります。経営者と従業員の賃金格差が低いということは『組織化』に向いているってことです。また、優秀な人材の人件費が安いとも言えます。日本的経営とは、あくまでも「組織力」で勝負することなのです(*^^)v

近年、日本でも「実力主義の評価制度」を導入する企業も増えてきていますが、そのような評価制度は、そもそも日本の風土に合わないと私は考えます。アメリカのように、経営者との賃金格差が1,500倍もある国ならまだしも、日本での実力主義は、実に機能しにくいと思いませんか?だって、いくらがんばっても、社長の給料は抜けるはずもなく、従業員にとっては、すごく低い天井が見えているようなものですから。

日本の実力主義とは、単なる「歩合制」の意味合いしか持たない場合が多く、そういった面からも、日本には日本の企業文化にあった「人事評価制度」が必要ですよね。アメリカの経営者の報酬に関する新聞記事を見て、ますますその思いを強くしてしまいました(~o~)