石原明の「知的経営の切り口」 | 経営者会報 (社長ブログ)
企業を発展させるための経営のヒントについて、独自の切り口で紹介します。
2015年10月30日(金)更新
コーヒー1杯を2000円で売る!? 自家焙煎珈琲で富裕層ビジネス
今回もその中のひとつを取り上げてみますので、よかったら参考にしてください(^_-)-☆
== 質 問 ==
以前、金沢勉強会に参加させていただいた者です。 生の石原先生にお会いできてそれだけでも価値がありました。本やポッドキャストで予習をしていたので、知っていることがいくつかありましたが、心に入ってくる感じが全く違いました。ありがとうございました。
そこで質問なのですが、自家焙煎珈琲でも富裕層に行くことは可能でしょうか? さすがに豆を変えずに、コーヒーを2000円に値上げするのは批判の方が怖いのですが・・・ぜひアドバイスをお願いいたします。
== 回 答 ==
ビジネスをどの視点で見るかということが分かれば、自家焙煎珈琲という業態なら、富裕層(ビジネス)に入っていくことは可能だと思います。また、豆を変えずに2000円も全く可能だと思いますよ。
== 解 説 ==
いつも思うのですが、ビジネスを考える時の思考や発想そして自由度が狭いと、行動が行き詰ってしまうと思います。
この質問の方もその傾向がちょっと強いのですが、今のビジネスで高いモノを売るのが富裕層ビジネスと考えてしまっているようですが、今のビジネスを単体で考えるより、今のビジネスを入り口としてもっと大きく富裕層ビジネスを考えれば、自家焙煎珈琲という業態なら、富裕層(ビジネス)に入っていくことは可能だと思います。
また、富裕層ビジネスはいきなりお金持ちや上流階級の方に商品やサービスをアプローチするよりも、何か別の仕事で関係性を作ってから入っていく方が無理が無いため、上手くいく可能性が高まります。
そう考えると、自家焙煎珈琲という業態はリピーターを生みやすいので顧客と繰り返し会えますし、さらに珈琲豆自体がリピートするので、かなり富裕層ビジネスとの相性が良いと思います。
富裕層ビジネスに舵を切るなら、地域で一番高い自家焙煎珈琲を単品でも良いので作ることが必須(すべてを高くする必要はありません)、ビジネスの形としては、その自家焙煎珈琲でマーケットを作り何か別の商材なりサービスを用意して販売するということになりますね。
思いつくモノやサービスを考えてみてください。今回『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』(ダイヤモンド社)に書いた通り、モノやサービスの値段は、原価や他社との比較では無く、顧客の得られる価値で決まり価値は伝え方や情報で決まると考えると、今の珈琲豆を変えずに情報を上手に付加すれば2000円で売ることも全然可能です。
こちらは、私の新刊を何度か読んで想像していただければと思います(@^^)/~~~
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これまでのQ&Aもバックナンバーにたくさんあるので、興味があれば覗いてみてください。もちろん、質問も随時受付中です(*^^)/~~~
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2015年10月27日(火)更新
スマホ撮影画像でぴったりの靴が選べる!? 進化系サービス「シンデレラシューズ」
そんななか、「シンデレラシューズ」というサービスが目に留まったのですが、スマホのカメラで両足の側面と上面(計4枚)の写真を撮影して送ると、あなたにぴったりな靴がおススメされてくるというサービスで、只今1000人限定の先行モニター(残念ながら女性のみ)を募集し、オープン準備真っ只中だそうです。
今ドキ、ネットショップは珍しくもなんともないですが、靴となると実際履いてみないことには自分にぴったりな一足を選ぶのは難しいようで、返品率は衣料品の約10倍にもなるのだとか。
そこで同社では「KDDIの画像解析技術」を使って、かかとや足裏の形状など、利用者の足の形状を様々な角度から詳細に分析し、提携する大手百貨店やECサイトの商品のなかから、その方にフィットする靴を5段階の「ぴったり度」でマイページに表示する、というサービスを考え出したわけです。
もちろん、その商品をクリックすると、各店舗のサイトに移って買い物ができるようになるわけですが、これも一種の「キュレーションサイト」ですよね(*^^)v
同サービスは、KDDIが起業家を支援するインキュベーションプログラムで優秀賞を獲得したものだそうですが、既存のビジネスに「最先端の技術」をマッチングさせることで、こんなふうに“活路”が見いだせることがよくわかります。
この事例を参考に、自社にも見出せる活路はないか・・・楽しみながら、発想を拡げてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2015年10月16日(金)更新
個人が富裕層ビジネスに切り込むには
== 質 問 ==
個人が事業として富裕層ビジネスに切り込んで行く時に、どういった準備(スキル・マーケット・ビジネスモデル形成)が必要でしょうか?
== 回 答 ==
富裕層ビジネスが成功する秘訣は、ターゲットとする富裕層顧客の思考や価値観が分かった上で、これまでやったことがあるビジネスを基にサービスやビジネスの開発に入ることです。ですので、まずは今までの仕事を富裕層視点で振り返ってみることをお勧めします。
== 解 説 ==
最近、私のもとに届く質問で特に多いのが、この“富裕層ビジネスに関する質問”なので回答しますが、富裕層ビジネスを成功させるために必須な準備は、ターゲットとする富裕層の思考や価値観そして生活習慣などを知ることです。
思考や価値観が分かっていないと、商品やサービスが頓珍漢になって本当に空回りしますから、まずは、そういった思考や価値観そして生活習慣などもご自身がしっかり理解しているかどうかを確認することをお勧めします。
さらに、その上での解説になりますが、富裕層ビジネスと言うと“何か特別なビジネス”がありそうな感じを抱く人がいますが、基本的にはどんなビジネスでも、富裕層ビジネスが存在し、それを成功させるカギが先に述べた思考や価値観を知ること・・・と分かるとさらに理解は進むと思います。
例えばエステやマッサージというビジネスにも富裕層向けのビジネスを構築することができる、また、会計業務にも、医療にも、引っ越しにも、展開することができるということですね。
なので、あなたが富裕層ビジネスを考えた時に、今のビジネスを富裕層向けに変換できないかと考える方が適切で、そのためには、ターゲットとしたい富裕層の方の思考や価値観を知ることを目標にした方が良いということですね。
今やっている、あるいは過去にされていたビジネスが富裕層ビジネスに転換できないかを考えて、できるようなら、富裕層の思考や価値観を学習する。それが一番良い取組み方だということです(@^^)/~~~
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2015年10月13日(火)更新
「ここで買いたい」を追及!? たった1冊だけの本を売る森岡書店
銀座一丁目に建つ、東京都選定歴史的建造物にも指定されている昭和4年竣工のビルの1階で、今年(2015年)5月にオープンした「森岡書店」は、1週間に1冊だけを紹介するというスタイルで運営されている異色の本屋さんなんです。
その週に何を売るかは、同社のFacebookと、著者のホームページやTwitterなどで告知されるようですが、扱っている本はネットや他の書店でも買える本ばかり。
場合によれば、ネット書店のほうが少し安かったりもするようですが、「ここで買いたい」というお客さんが訪れるので「収支はとんとん状態」だそうですよ。
失礼ながら赤字の書店さんが多いなか、こんなやり方で「トントン」は大したものだと思いませんか?
オーナーの森岡氏は「本の中身をできるだけ外に出すこと。平面な本の世界を立体で見せること」にこだわっているそうですが、作品と共に展示した刺しゅうアーティストの作品集は170冊、店中がブーケであふれ、ハーブ良い香りに包まれたフラワースタイリストの著書は150冊以上も売れたみたいですよ。
本も音楽もそうですが、今は世界中の作品が容易に手に入る時代。だからこそ「選びきれない」という状況が起こっているわけで、消費者の間には「信頼できる人に選んでもらいたい」という【キュレーションニーズ】が高まるばかりです。
また、私はかねてから「世の中と真逆に舵を切る」ことを教えていますが、モノや情報が氾濫するこの時代に、「たった1冊」と向き合う時間を提供するという同店のスタイルには、学べる点が多いと思います。
たとえば、ネットショップの勝因は「他で買えない」か「他より安い」かしかありませんが、「わざわざここで買いたい」というお客さんにアプローチできれば、高くてもネットに負けないリアル店舗が作れるわけです。
情報をそぎ落とすなら徹底的に!・・・同店の姿勢には、そんな美学すら感じてしまいます。秋の夜長、この事例を参考に、楽しみながらアイデアを拡げてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~
2015年10月02日(金)更新
今、注目の業界やサービス
メルマガ2回分の回答なのでちょっと長いですが(笑)、秋の夜長にでも、じっくりお読みいただけるとうれしいです(#^^#)
== 質 問 ==
石原先生がここ最近、一番の注目されている業界やサービスがあれば、ぜひ教えてください。
== 回 答 ==
私というか当社が今一番注目しているのは、ネットの反対で人を使ったビジネスや富裕層ビジネスですね。
== 解 説 ==
私の新刊本『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』にも書いた通り、日本のマーケットは成熟し、極めて多様化していますが、その中でも富裕層や富裕層的思考でモノやサービスを買う消費者層が急増していると考えています。
またネットの情報も氾濫していて、モノやサービスが多すぎる状況で、消費者は購買の理由が良く分からなくなっているとも考えています。
こうした状況を踏まえると、安く売るサービスは成り立たない(・・・欲しいモノが明確であれば、それが安い方向に消費者は動きますが、明確でない場合は値段で動くとは考えにくいから)と思っています。
ですので、敢えて人を多く使って顧客との接点を増やす仕事とか、富裕層的な仕事が今後は面白いのではないかと考えているのです(*^^)v
例えば、全てのビジネスはモノやサービスを、単に販売するということから、顧客との関係性を強化してファンクラブ化して行かないとうまく行かないのではないかと思っています。
つまり“私はここのファンだからここからモノを買う!”というように動機を育てるようにしていかないと、どんなビジネスも、もたないのではないかと考えているわけです。
ですので、人を使って顧客との接点を増やす方向としては、ネットを使って簡単化した仕事をリアルに戻す感じのビジネスが良いのではないかと思っていて、同時に注目しています。
じつは、私もアドバイスさせていただいているのですが、表参道のキャットストリートにウサギシュークリームのニコラハウス(ニコラシャール)というお店があるのをご存知でしょうか?
こちらは、まさにそうした思考からコンセプトを作ったお店で、スイーツももちろん素晴らしく美味しいのですが、同時に毎週ファンイベントを行い顧客の囲い込みを強化しています。
さて、そもそもビジネスというのは何を基準に考えないといけないか?ということですが、それはどんなビジネスにおいても“最終的には生身の人間が関わっている”ということです。
どういうことかというと、人間には肉体があるので、どんなに美味しいと思っても限界を超えると(お腹がいっぱいになると)いらなくなるとか、どんなにカッコイイスーツでも一度に身に付けることができるのは一着だけとか・・・。
5~10軒別荘や住まいがあっても行ききれなくなってしまうとか、最近のインターネット社会にしても、便利なのか不便なのかもはや分からないというほど発展していて経営者はネットから離れ出している・・・という傾向があるように、生身の体があるので、便利なモノや好きなことにも、限界や制約がかかってしまうということです。
・・・ということは、無限に有効とか、無限に便利とか、無限に売れ続けるということは、ほぼ無いということですね。
そして、人間は感情的な生き物なので、ずっと好きだったモノやコトも、みんなが同じように使い出すとか、“〇〇さんも持っていた”というような事実に遭遇した途端にキライになってしまうナド、不可解な思考パターンまで持っているので、こういう人間の持つ感情の動きまでをも考慮して、ビジネスを組み立てないといけないわけです。
最近のマーケットの傾向で、私が思っている(=注目している)のは、ネット社会の急速な広がりによって、一つは人間関係が急速に疎遠化しているということです。そして、もう一つが、サービスが一般大衆化しているということ。
便利が突然不便化するという流れで考えると、その辺の寄り戻しが、これからのマーケットで起きるのではないかと思っています。なので、こういうビジネスに注目しているということですね。
中でも、人間関係の疎遠化はかなり深刻で、なんでもネットで買えるので、これまでだったらお店に行って注文するので、否が応でも誰かと会話したり、それが繰り返されて馴染みになって仲良くなるという自然な人間の営みがあったわけですが、それがどんどんなくなって来ています。
極端に言うと、その国の言葉がしゃべれないで、海外にぽつんと一人でいるような人が大量に発生している感じがしています。
彼らは、意識では便利な社会を享受していると思っていますが、何かあった時にリアルに頼ることがまったくできない(リアルに頼る人がまったくいない)状況にいることを、潜在意識的には感じているのではないかと思います。
また、ネットはマスに対するサービスの提供には適していますが、富裕層やごく限られたレアーなマーケットには対応していないので、富裕層向けのマーケットは、ぽっかり穴の開いた状態のまま放置されていると考えています。
ですから、私が今、最も注目するのは、リアルな人の接触を含むビジネスと、富裕層向けのサービスということです。
このあたりは、一度ポッドキャストの有料版でお話したいと回答しながら考えました。番組作ったらお知らせしますね(@^^)/~~~
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ボードメンバープロフィール
石原 明(いしはら あきら)氏
僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社
ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。
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