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2010年06月25日(金)更新

社内の確執に経営者はどう向き合うべきか

6月も月末が近づいてきました。今回はQ&Aバージョンなので、社内のコミュニケーションに関する質問を取り上げてみました。

経営者として、こうした問題には折りに触れ、正面から向き合っていきたいものです。よかったら、参考にしてください。

== 質 問 ==

社内のコミュニケーションが悪くて困っています。特に、町工場時代からいた職人肌の古い社員と、会社がある程度大きくなってから入社したサラリーマン感覚の強い社員間の確執があるようです。 経営者として、こうした現状にどんな配慮をすべきでしょうか?

== 回 答 ==

どういう組織を作りたいかを考えて、状況を想定し、いろいろな場面でも一貫性のある答えができるようにシミュレーションしておきましょう。

== 解 説 ==

実はこの回答には、「現状に合わせて無理をしない」など、いろいろな答え方がありますが、できたらこれが一番良いと思う回答を、今回はあえてしたいと思います。

ということで、ちょっと真剣にお答えすると・・・こういう場合、一番良くないのは、どっちつかずの曖昧な態度と、場当たり的な対応です。

また、双方に良いところも変えて欲しいところもあると思いますので、一方に偏った判断も良くないというのが現状です。

なので、本当に難しい感じですが、一度冷静になって組織がどうなったら一番良い形なのかとか、本当は経営者としてどんな組織を作って行きたいかをよく考えてください。

この考え(組織の理想イメージ)を持ったら、次に行なうのはいろいろなシチュエーションを想定して、こういう状況が起きたらその理想へ向かうためにはなんと説明して分かってもらうか? 理解させるかを考えるということです。

このシミュレーションは、たくさんすればするほど良いと思います。ゴールはとっさの対応ができるまでする、という感じでしょうか(*^_^*)

これをよく考えてトレーニングしていくと、一方に偏った答えはだんだん無くなりますので、社長はどちらかの肩を持っているわけではないという感じになっていきます。

社員さんが分裂した時には、どちらかの考えに社長を引っ張ろうとしたりしますが、しっかりした考え方で、その場面場面で良いと思う判断ができるようになるということですね。

組織がある方向へ動くというのは、社員に経営者の真剣さが伝わった時というのがほとんどですが、そのためには、どんな場面でも、一貫した方向性へと導く指導性が必要になります。

この場合、すごく勘のいい人は別として、ほとんどは、過去にその問題を先回りしてしっかり考えておいたかどうか、ということによると思いますし、結果としてこれは信念を持つためのすごくいいトレーニングにもなるはずです(*^^)v

社員さんは、結構、思い付きで目先の話や他社のこととかを気にして右に行ったり左に行ったりしますが、経営者がこれにしっかり答えられないと、組織がバラバラになってしまうということです。

何をどう聞かれても、もっともな答えが返ってきたら、年を取った社員も、若い社員もだんだん経営者を信頼して言うことを聞くようになっていきます。がんばってくださいね。


いかがでしょうか? あなたはどうお考えになりますか(^^♪ 私の発行する週刊メールマガジン、『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです!』(購読無料)では、毎週メルマガ読者のみなさんからの質問にこんな感じでお答えしています。

これまでのQ&Aもバックナンバーにたくさんあるので、興味があればぜひ覗いてみてください。もちろん、質問も随時受付中です(*^^)/~~~

2010年06月18日(金)更新

バンダイナムコゲームスが教科書をプロデュース!?

以前このブログでも、携帯ゲームの話題を取上げ、今どきの若者は「おしゃれ」か「おもしろい」ことにしか反応しなくなっているという話をしましたが、どうやらその流れは小学校の教科書にまで広がっているようです。

ゲーム会社大手のバンダイナムコゲームスがプロデュースし、教科書出版社の学校図書と共同で制作した教科書が、文部科学省の検定に合格し、2011年度から使用されることが決まったのだそうです(@_@。


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バンダイナムコゲームスは、「パックマン」や「ファミスタ」シリーズなどで知られるゲームソフト会社のナムコと、玩具大手のバンダイが経営統合して生まれた会社ですが、その後も「鉄拳」シリーズや「太鼓の達人」シリーズなどのヒットを飛ばしています。

同社いわく「子どもを食いつかせるツボは心得ている」そうですが、今回の教科書にも、ロールプレイングゲームのような物語仕立てで出題するなどの工夫をしているようです。たとえば、算数の教科書では「算数アドベンチャー」というコーナーを組み、旅をしながら問題に挑戦させ、正解すると鍵が手に入るというしかけになっています。

さらに、全部の鍵を手に入れると宝物が手に入るというストーリーになっていて、本の中に登場する子どもに対しても、「ゆうと 7月25日生まれ 元気だけど落ち着きがない 算数は苦手」などと、細かなキャラクター設定までしているのです。

これなら、算数ぎらいの子どもでも、いつのまにかゲームの世界に引き込まれ、自然と算数に親しみを持って勉強するようになるかもしれません。なんでも『授業以外でも開きたくなる教科書』づくりを目標にしたそうですよ(*^^)v

こんなふうに、教科書という“お堅い”世界でも、「おもしろく」する余地はまだまだ残っているということです。とくにこれからの時代、「ゲーム」の要素を上手に取り入れていく・・・という流れは主流になるでしょう。

マクドナルドは、新人アルバイト教育のために「ニンテンドーDS(R)」を利用した独自の教育ソフトを開発しているそうですが、社員教育はもちろん、顧客への情報発信などにも「おもしろい」という視点がないと、一向に波及しない世の中になっていくと思います。

ということは、バンダイナムコゲームスが、この教科書を足がかりに教育産業への事業展開を模索しているように、「おもしろい」ことを考えられる企業が、業界の壁を越え、一人勝ちしていく可能性もあるということです。

このあたりは、経営者のセンスが問われる部分ですよね。ぜひ、この事例を参考に、自社のスタンスを見直してみてください(@^^)/~~~

2010年06月11日(金)更新

若者が文章を読まない!? これからの時代の情報発信を考える

あっという間に今年も半年が過ぎようとしていますが、「iPad」の登場などでも感じるように、世の中の進化は加速度的になってきています。

そんな時代に、企業はどんなスタンスで情報発信をしていけばいいのか・・・今回はそんな質問に答えてみました。よかったら参考にしてください。

== 質 問 ==

最近の若者たちは、文章を読まなくなっていると聞きます。本や雑誌が売れなくなっているようですし、サイトの長い文章なども、しだいに読まれなくなっていくような気がして心配です。企業側の情報発信のやり方も見直すべきなのかどうか、教えてください。

== 回 答 ==

情報の伝達方法は世代よってかなり違います。また、インフラの発展によっても急激に変わってくるので、それを見越して企業は情報発信のやり方を工夫しなければいけないと思います。

では、その対処ですが、結論的に言うと多チャンネルの情報発信が必要だと思います。
== 解 説 ==

若者が文章を読まなくなったという話題は、最近結構聞きますね(ーー;)

それから、質問のようにサイトの長い文章を読まなくなったという話や小冊子の効果が下がってきたという話も、業種によっては結構聞かれるようになってきていると思います。

そういう意味では、日本中が勉強しなくなっちゃってるのかと、結構心配にもなりますが、反面で情報を伝達する手段であるインフラの向上もかなりの勢いで進んでいますので、「文章を読まない=みんなが勉強しなくなっちゃった」・・・と考えるのは、一元的な見方かも知れないと思っています。

難しい文献や文章を読まなくても、動画で内容が分かれば効率的ですし、もっと早く技術の習得なんかも出来たりするわけです。

それに、そもそも伝達手段というのは、何から決まるかというと、「保存がどれだけしやすいか」ということに紐付いていたわけです。だから伝達手段として、紙に書いた文字(や絵)が最初に選ばれたわけですね(*^^)v

それがだんだん進化していく過程で、紙に書いた文字が残しやすかった時代から、文字がデータとしてPCの中に取り込まれ、最近は音声や写真や動画も残せる=保存できるようになったので、それを使うように広がっていったと考える方が自然ということです(*^_^*)

人間というのは習慣性がありますから、新しいインフラにはなかなか慣れないので、「文章を読まない=勉強しない」とうっかり思ってしまいますが、そうでもないかも知れないというのは、こういう理由もあるからです。

さて、本題にもどりますが、とは言うものの、企業側としたら、この変化=文章の訴求性が弱くなったということが本当なら、それに対応する手段をマーケティングロジックの中に出来るだけ早く組み込まないといけないということになると思います。

それも、変化の過程においては、全体が一気に変わるわけではありませんから、従来のものも残しながら、新しいインフラにもマーケティング情報を載せていくというのが重要なので、「多チャンネルの情報発信」が必要になってくると思います。「あれもこれも」の時代になったと理解すべきでしょう。

ということで、今後はこういう変化にすばやく対応していく会社のみが顧客に支持される、ということになっていくと思います。

くしくも、iPad が登場したタイミングでこの質問の回答になりましたが、これも何かを示唆していると思います。参考にしてください。


いかがでしょうか? あなたはどうお考えになりますか(^^♪ 私の発行する週刊メールマガジン、『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです!』(購読無料)では、毎週メルマガ読者のみなさんからの質問にこんな感じでお答えしています。

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2010年06月04日(金)更新

社長は“違う星”にいる!? ・・・ある調査の結果

ちょっとおもしろい調査結果が目に留まりました。人事コンサルティングの「JTBモチベーションズ」が、従業員500人以上の企業の社員を対象に行なった調査なのですが、「社長や会社に対する気持ちの距離」を尋ねたところ、「社長は違う星にいる(4億キロ)」と答えた人が20.4%を占め、1位になったのだそうです。

ちなみに4億キロは、火星と地球が最も離れたときの距離だそうで、「社長は火星にいる」くらい遠く感じている人が10人に2人いることが明らかになった格好です。


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ちなみに、社長との「気持ちの上での距離」が遠い理由は、「コミュニケーションがない」が第1位で、選ばれた選択肢は「相手とのコミュニケーションがない、少ない」が25.1%、「こちらの仕事や状況を理解していない」が18.2%、「いっしょに仕事をする機会がない、少ない」が13.7%という結果になったようです。

私から見ると「500人規模じゃ、そんな感じかもね」という結果なのですが、なかには「社長とは一度も会ったことがない」と答えていた男性もいて、それにはちょっとビックリしてしまいました(@_@;)

同社では、「社員のモチベーションや業績を上げるためには、社長からの企業理念の発信や、社内コミュニケーションの活性化が必要」と指摘していますが、規模の違いはあるにせよ、ご自分の会社でこんな調査をしたらどうなるか・・・想像してみるのもおもしろいかもしれません。

それはともかく、社長との距離が絶対的に近いのが中小企業です。社長の側から言えば、自分の理念や生き様を、社員たちに間近で見せ続けられる醍醐味がありますし、社員の側からしても、社長の背中を見ながら成長していけるベストポジションに身を置けるわけです。

人はみな、うっかり自分の環境が「ふつう」だと思ってしまいますが、世の中にはたくさんの会社があって、社長と一度も会わずに仕事をしている人もいるわけです。「他社のフリ見てわがフリ直す」じゃありませんが(笑)、たまにはこんな調査結果を「ネタ」にして、社員たちとざっくばらんに話をしてみるのもいいかもしれません(@^^)/~~~

ボードメンバープロフィール

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石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

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