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2008年05月30日(金)更新

やるならとことん!? 香典返し専門店「ネット」で健闘

今週、たまたま私のブログでも取り上げたのですが、今、葬儀関連の業界でも改めて「マーケティング」が見直され、新しい取り組みをする会社が出てきているようです。

高齢化社会になると、黙っていても市場は拡大傾向にあるように思われがちな業界ですが、近年「家族葬」などの“地味葬”を好む人が増え、顧客単価は下降気味なのだそうです。

あいさつ状作成サービス

そんななか、楽天市場などでネットショップを運営する香典返し専門店「一心」は、1,800種類におよぶ品揃えに加え、「あいさつ状」の作成や、意外にめんどうな「香典帳」のデータ化など、細かいニーズにも対応することで、日ごろ仕事などで忙しい顧客をつかんでいるみたいです。

香典返しは、百貨店などで注文するのが一般的ですが、仕事などで忙しく、日中百貨店に出向いて打ち合わせをするのが難しい人も多いのではないか…という想定のもと、信用度や知名度で百貨店に劣る分、ネットの利点を活かしたきめ細かいサービスで対抗しようという作戦です。
東京都足立区の住宅街にある同店の事務所では、受注したその日のうちに、専任スタッフが、香典返しにつけるあいさつ状を作成し、メールに添付して顧客に送っているそうです。その後、細部の修正など数回やりとりを繰り返し、最短2~3日で発送することが可能なのだとか。

なんと!このあいさつ状作成は、同店で香典返しの品を注文した人が特典として受けられる「無料」のサービスなのです。そのうえ、「喪中はがき」の作成や、筆ペンなどで記入してもらった「香典帳」をパソコンの表作成ソフトでデータ化するサービスも「無料」で行っているといいます。

顧客にとっては、とってもありがたいサービスだと思いませんか? 感情的にもつらく慌しい時期に、こんなふうに気の利いた対応をしてもらえたなら、「一生忘れない…」ような気持ちになるかもしれません。顧客の感情を揺さぶることによって、クチコミ効果も期待できるでしょう。

実際、同社のネット通販の売り上げは、前年比約2倍のペースで増えていて、08年5月期の売上高は8,500万円の見通しだそうですが、「贈答品」全般を取り扱うネットショップが多いなか、「香典返し」に特化した戦略が功を奏してきたようです。

同社でも「目下の課題は、葬儀のことがよくわかるようにした、関連サイトの充実だ」と話していますが、まさにそのとおりだと思います。特に親族が急に亡くなった場合など、何をすべきか、いろいろわからないことも多いと思います。

従来なら、親戚やご近所に聞いて段取りを進めていたようなことも、これからの時代は「ネットで調べる」という人が増えてくるのかもしれません。

それを見越してか、現行のサイトにも「葬儀後の知識と心得」というコーナーで、礼状の出し方や、生命保険の受け取り、はたまた故人の確定申告といったことまでが説明されていますが、失礼ながら、情報の濃さやサイトの作り方などには、まだまだ工夫の余地がありそうです。

もし、同社のサイトが「わからないことはこのサイトで調べよう」と思ってもらえるくらい質の高い情報を提供し、「葬儀後に関することならここ!」という認知を得ることができれば、本当の意味でネットショップの勝者になることができると思います。

今回の事例は、ただ単に「ターゲットを絞れ」という意味で取り上げたのではなく、もし何らかの分野で特化したいと思うのであれば、これからの時代は、ネット戦略もふくめ、「本気でとことんやらない限り差別化はできないということを知るべきだ」という意味です。

もちろん、品揃えが多いほうが売り上げを上げやすいに決まっていますから、「広く」いくのか「狭く」いくのかは、経営者の手腕の見せ所かもしれません。いずれにしても、自社の商品やサービスと共に、「質の高い情報発信」が経営を左右する時代であることは間違いないようですね(@^^)/~~~

2008年05月23日(金)更新

現代版“パトロン”!? ミュージシャン育成ファンド

今、音楽業界でちょっとおもしろい動きがあります。一般から集めた資金でミュージシャンを育て、CDの収益の一部を出資者に「配当」として還元する『ミュージシャン育成ファンド』が、誕生しているのです。

そんな音楽ファンドの先駆けとして、事業を拡大しているのが「ミュージックセキュリティーズ」。その昔、芸術家には必ず“パトロン”がついて、稀有なる才能に私財をつぎ込んだものですが、この『ミュージシャン育成ファンド』は、さながら現代版のパトロンといったところでしょうか。

ミュージックセキュリティーズ

といっても、その垣根は非常に低く、1口当たりの出資額は、5千円~1万円という手ごろな金額に設定されているようです。ミュージシャンの楽曲やプロモーションビデオは、サイトで自由に視聴できるようになっていて、ファンドへの申込みや決済などの手続きも、すべてネット上で行えます。

また、ファンドの実績もほぼ毎週更新され、「CD出荷枚数:5,751枚 利回り:23.3%」などと、常にチェックできるようになっています。これまで、46本ファンドを組成し、償還済みの23本のファンドに、元本割れはなかったと言います。ファンドの規模はさまざまですが、2千万円を集めたミュージシャンもいるみたいですよ。

同社では「ファンとアーティストの新たな関係作りを支援したい」としていますが、すでにメジャーデビューするミュージシャンも誕生しているようで、この仕組みは、CDの売り上げが低迷する音楽業界に、“新風”を巻き起こすかもしれませんね(^^♪
音楽は“ダウンロード”が主流となりつつある今、自分が相当好きなアーティストでない限り、CDを買うことは少ないんじゃないかと思います。しかし、自分が投資し、応援しているアーティストなら話は別。CD発売ともなれば、積極的に友達に話したり、自分のブログで紹介したりもするはずです。

つまり、「投資家」として集めた人たちが、そのミュージシャンの初めの“ファン”になってくれるということです(*^^)v デビュー前から、こうした情報発信型のファンをある程度の人数抱えられるわけですから、「売れる仕組み」としても、なかなか秀逸ですよね(*^^)v

同社は、これまでの実績が評価され、大手レコード会社や一般企業などと組んでファンド事業を展開したり、今後は、音楽業界で培ったノウハウをもとに、他業界へも視野を広げ、投資先を開拓してく方針だとか。

すでに、「純米酒」の投資ファンドを昨年創設したのに続き、今春には、飲食店の売り上げを配当原始とするファンドを立ち上げたそうです。

こんなふうに「勝てるレベル」のビジネスモデルは、他業界でも十分通用するものなのです。そんな視点で、自社のビジネスモデルの精度を、今一度見直してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

2008年05月16日(金)更新

自分で育てればなお美味しい!? 「えだまめ栽培セット」に注目

5月も半ば、そろそろビールのおいしい季節です。ビールのおつまみと言えば「枝豆」ですが、最近ちょっと面白い商品を見かけました。その名も「えだまめ栽培セット」。ビールジョッキをイメージした陶器の鉢に、枝豆の種、培養土などが入ったコンパクトなセットで、ひとつ1,050円で販売されているんです。

製造販売元は、愛知県にある陶器メーカーの聖新陶芸。一瞬、小学校時代の夏休みの宿題に出されたアサガオを思い出してしまうような商品ですが、昨年は約2万5千セットを売った実績があるそうです。

えだまめ栽培セット

食の安全が注目されるなか、ベランダでのガーデニングや家庭菜園を始める人も増えていると聞きます。しかし、いざ始めるには時間も場所も必要ですし、それなりに手間もかかり、なかなか敷居が高いものです。でも、こんなコンパクトなセットなら、家の中で簡単に栽培できますから、気軽にチャレンジできますよね。
種をまいて数日で芽が出て、芽が出てきたら、大きく育つよう間引きをします。後は、日当たりのいい場所に置き、土が乾いたら適当な水を与えるだけで、種まきから80~90日ほどで収穫できるそうです。収穫と言っても、この1鉢から収穫できるのは10房ほどだそうですが…(-_-;) 

しかし、見方を変えれば、約3ヶ月間“収穫”を待ちわびるわけですから、その時間は結構楽しいものになるはずですし、何より自分で愛情たっぷりに育てた枝豆は、格別な味がするのではないかと思います。

この楽しみや喜びを加味して考えると、商品価値も高まるというものです。ちょっとしたギフトにも向く商品ですし、父の日のプレゼントにもいいかもしれません。

同社では「昨春に、お客さまからの要望を受けて開発したものです」と話していますが、なかなかいい着眼点ではないでしょうか。

たぶん、園芸店やホームセンターなどで買えば、枝豆の種自体、たいした値段はしないはずです。それをビアグラス風の陶器の鉢に入れ、気軽に家庭菜園気分を味わえるようパッケージングしたこのセンスは、私たちのビジネスにも良いヒントとなるのではないでしょうか。

どんな業界にも、本物や本格的な商品の一歩手前に、「お手軽お試しマーケット」が存在するものですし、こんなふうに、商品に「ちょっとした楽しさ」をプラスすることで「ギフト」に向く商品に変身させることも可能です。

この事例を参考に、自社の商品やサービスに、あと“ひとひねり”加える方法がないかどうか……楽しみながら、あれこれ考えてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

2008年05月09日(金)更新

ハーゲンダッツが1個千円のアイスクリームを発売!?

突然ですが、「今日は何の日」だかご存じですか? 今日5月9日は「アイスクリームの日」なのだそうです。何でも、明治2年に横浜の馬車道通りで、日本で初めてアイスクリームを販売したことにちなんでいるようですが、そのアイスクリームの日に、「ネット限定」で発売されるとんでもないアイスクリームがあるんです(@_@;)

ヘブンリースプーン

その商品とは、ハーゲンダッツジャパンの超高級アイスクリーム「ヘブンリースプーン」というもので、同社いわく「テレビを見ながら食べるのではなく、クラシック音楽でも聴きながら、究極のアイスクリームを味わってもらいたい」と話しています。

なんと、この商品の開発にあたっては、構想から5年の歳月が流れているようです。稀少な原材料を調達し、究極の味を目指したのだとか。今回発売される味は2種類なのですが、「ダージリン」味には、世界3大銘茶のひとつであるインドのダージリン地方の茶葉を使用。そのなかでも、無農薬生産で、なおかつ、マスカットのような香りが強くなる「夏摘み」の茶葉のみを厳選するというこだわりようです。

一方、「カカオ」味には、味わい豊かな上に酸味も感じ、抜けるような香りが特徴のマダガスカル産のカカオを使用。カカオ豆だけで作られたカカオマス(チョコレートの原料)に、ハーゲンダッツのミルクを組み合わせたようです。
気になる価格はといえば、「ダージリン」が6個セットで6千円の限定3千5百セット。「カカオ」が6個セットで5千円、限定2千5百セットを、本日正午よりネットオンリーで発売開始したみたいです。こんなふうに、高額アイスを数量限定で発売するやり方は、日米欧市場で商品展開するハーゲンダッッツ社にとっても、世界初の試みだと言います。

果たしてその結果はいかに・・・しばし注目をしてみたいところですが、いずれにしても、今の時代、このくらい突き抜けた商品開発をしないと、本当の意味での「ブランド力」が守れなくなっているのかもしれません。

失礼ながら、いくら同社が「高級路線」を守ろうとしていても、今やコンビニで手軽に買えるわけですから、そのありがたみも徐々に薄らぐというものです。そんななかで、自社のブランドの高級イメージを本気で守りたいのであれは、それ相応の覚悟が必要だということです。

この事例を参考に、自社のブランド戦略を今一度見直してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

2008年05月02日(金)更新

「親子カフェ」にみる発想の転換

今、「親子カフェ」が各地に出現しているのをご存じでしょうか? 子ども連れでも気兼ねなく入れるカフェなんですが、子どもたちを自由に遊ばせるスペースが併設されているので、親は親でゆっくりできることから、人気を呼んでいるんです。

こうしたスタイルのカフェは、「親子カフェ」のほか、「子育てカフェ」なんて呼ばれることもあるみたいで、個人経営の小規模のお店から、NIO法人が運営する施設、さらには企業が経営しているケースもあります。

親子カフェ

「スキップキッズ」では、04年から同名の「親子カフェ」の展開を始め、現在では、都内と千葉県内の計6店舗を経営しているそうです。

同社では、「今の街の中には子どもを安心して遊ばせる場所が少ない。公園でも、不審者がいないかなど注意しなくてはならない。それなら遊び場があって自分もゆっくりできる店の方が親は安心だと思う」と話していますが、こうしたニーズは今後益々増えていくのかもしれません。

利用料金はといえば、1~6歳の子ども1人につき、1時間250円。以降、30分ごとに100円で、利用に際しては、18歳以上の同伴が必要になりますが、同伴者の利用料は無料に設定されているみたいです。

もちろん、中での飲食代は別になりますが、1店舗あたりの月の平均利用者は、延べ5千人にのぼるそうです。

そこで、この利用客を対象に、「親子で英会話講座」など各種の講座を開設したり、母親向けに、「ネイルケア」や「まつげパーマ」などのサービスする店舗もあれば、企業の「市場調査」の場としても提供しているんです。単なる“飲食店”に留まらない、かなり頭のいいやり方ですよね(*^^)v
企業としては、なかなか探しにくい子育て中の主婦層の意見を聞くことができますし、主婦としては、カフェに行くついでに、ちょっとした謝礼まで手に入るわけですから、お互いメリットがあるわけです。

見方を変えれば、この親子カフェは「リアル版のSNS」、つまり子育て層の「コミュニティー」になっているということです。転勤などで引越しして来て間もない人にとっては、ここから、地域との接点が生まれていく可能性も高いはずです。

企業にとって、「人材不足」が深刻な問題となるなか、子育て中の有能な主婦たちは、“労働力”としても貴重なターゲットなわけですが、一昔前の経営者なら、「保育所」などの施設を会社が用意し、「どうぞうちで働いてください」的な発想をしたと思います。

しかし、今回の事例のように、今の時代は、企業がターゲット層にとって魅力的なスペース(リアルでもネットでも)を提供し、人を集めるのが先。その集まった人たちに向けてビジネスを展開することはもちろん、その人たちの能力を活用し、全く新しいビジネスをスタートさせることもできるはずです!(^^)!

要は“発想の転換”でビジネスは大きく変わるということです。いつまでも、携帯電話の「通話料」を追いかけていた企業が、通話料はダタでもいいから、魅力あるコンテンツを作って「コンテンツ利用料」で収益を上げようとした企業に追い抜かれそうになっているのも、すべて“発想”の違いによるものです。

この連休、少し日常を離れて、自社のビジネスモデルを冷静に見つめなおしてみてはいかがでしょうか? 同じ商材でも、ちょっとした発想の転換で、全く違ったビジネスを展開できる可能性が開けてくるかもしれませんよ(@^^)/~~~

ボードメンバープロフィール

board_member

石原 明 氏

経営コンサルタント。日本経営教育研究所代表、僖績経営理舎株式会社代表取締役。

現在、「成功哲学」「売れるしくみづくり」「成長のための組織づくり」「プロ経営者の育成」などをテーマに中小企業から大手企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する『高収益トップ3%倶楽部』には全国延べ3,500社が参加。

2万人の読者を抱えるメールマガジン『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです! 』や独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。毎週金曜日に配信する人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は年間ダウンロード回数が650万回を超えている。主な著書に『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)や『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです! 』(サンマーク出版)、『すべてが見えてくる飛躍の法則 ビジネスは、<三人称>で考える。』(アスペクト)、 『トップ3%の人だけが知っている仕事のルール』(中経出版)などがある。

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