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2016年02月05日(金)更新

石原流 書籍出版の美学

立春も過ぎ、また志を新たにされた方も多いと思いますが、今回は昨年(2014年)秋に出た私の新刊『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』の読者さんからいただいた質問にお答えしてみました。
 
== 質 問 ==
 
新刊を出された石原先生に、あえてお聞きします。先生が昔書かれた本で、時代の流れによって内容が古くなるとか書き直したいとかはないのでしょうか? 
 
先生の本の書き方はあきらかに他の著者と違うように感じるので、失礼を承知での質問ですが、本音をお聞かせいただければ幸いです。
 
== 回 答 ==
 
私が本を書く時には基本的に“何年経っても内容が古くならない”ことを基準に書くようにしています。これは、私が成長していった頃に読んだ本の著者の方達が普通にされていたことだと思いますが、最近では思わぬほど“新書”が売れたとかの影響もあってか、本の作り方が変わってしまって、そういう本は少ないですね。ちょっと残念な感じがします。
 
== 解 説 ==
 
おもしろい質問をいただき、さらに“本音の回答を”ということなので率直にお答えしますが、私には本を書く時の“美学”みたいなモノがあって、それは私が若い頃に自分を成長させるために必死に読んだ本の素晴らしい著者の方達の影響を受けて育ったものだと思います。
 
昔と言ってしまうとちょっと感覚的に分かり難いので、イメージ的にIT社会が全盛になる前という感じですが、その頃本を出版するということは本当に“ハードルの高い”難しいことだったと思います。
 
もちろん、今でも本を出版させてもらうということは、それなりに難しいことなのですが、当時の本の著者に対する世間の認識も今とは違って、かなりの特別感があったと思います。
 
その頃に私が読んで刺激され、自分を成長させてくれた本の著者は、さらにもっと前に書かれた方達だったわけですから、おそらく本を執筆するという作業そのものに“もっと神聖な気持ち”を持って作られていったのではないかと思います。
 
その証拠に、内容を読みながら、人間性まで刺激されるとか著者の哲学を強く感じる・・・ような素晴らしい書籍がたくさんありました。
 
ところで、みなさんは“文字”ってなぜ重要か考えたことがありますか?
 
そもそも、人類の歴史を飛躍的に成長させたのは、“文字”の発明であり開発だったわけで、この文字の伝達によって思考や情報の積み重ねが人類に起こり、文化・文明が創られていったわけですね。
 
ですから、その“文字をまとめて後世に思考や情報を残す大切な作業としての書物つくり”ということが、そもそもの本の起源なわけですから、とっても神聖であるべきものなのですが、その辺りの思考が本を作る側である出版社や編集者にも希薄になってしまったわけで、その辺にも大きな問題があるとは思います。
 
さて、私なりの本に対する“美学”ですが、それは“100年経っても色褪せない内容の書物を書きたい”ということです!
 
100年というのはもちろん長くという意味ですが、人類が今のように経済活動や社会活動をしているのであれば、その期間ずっと役に立つ内容である書物を書きたいと考えています。
 
前回、IT普及前の昔と書きましたが、その昔、書物はそれくらいの価値を持って書かれていたと思うので、書物とはそういう価値を持つものとして真摯に制作しないといけないと素直に考えています。
 
私がこんな気持ちを持てるようになったのも、私が成長する時に読んだ本の素晴らしい著者の方の影響で、まったく感謝以外のなにものでもありません。
 
とはいえ、そういった方々のおかげで様々なことに気付いたことを、感謝はすれども、先人には返せないわけで、ですから私は、後から生まれた後輩全体に返さないといけない、という感じで書いています。
 
最近の書物で気になることは、この正反対で、あからさまなマーケティングツールとしての本の書き方や使い方です。本をきっかけにセミナーに誘導したり、触りだけ書いて、もっと奥がありますよと高額なアップセルできる何かに誘導したりというのがとっても気になりますね。
 
この方たちは、どんな本を読んできたのでしょうか?
この方たちは本から何を学んできたのでしょうか?
本にどんな思いや感情があるのでしょうか?
と、本当に思ってしまいますよね(p_-)
 
また、本は半永久に残ったり、その人のレベルや人間性を如実に表現しているものだとは考えないのでしょうか? と、そんなことを常に感じています。
 
私の美学(勝手な美学ですが)は“100年経っても色褪せない内容の書物を書きたい”というものです。そういう観点で私の本を読んでいただけると、内容が色褪せていない・・・ということが分かっていただけると思いますが、例として取り上げる事例についても、なるべくも古く感じることがないような書き方をしていると思います。
 
また、何年か前に書いた本であっても、今日、手に取って読んでいただく人には“新刊本”ですから、新しい本として読んで欲しいと思っているので、そういった配慮はかなり考えてしています。
 
ちなみに、私が書物以外に作っている、ネット上のメルマガやブログなどのコンテンツ、そして、音声で配信しているポッドキャストなどもまったく同じ思考と哲学“=美学”で考えているので、何年経っても色褪せないモノにすべく、懸命に作っています。
 
なので、原則、私はこれまで書いた本の内容を書き換えたいと思ったことはありませんし、今後も内容を書き換えないといけないレベルの本は書かない努力をしようと思っています。
 
今回の回答は、“本音で”とのことだったので、こんな感じになっちゃいましたが、何かを感じていただけると嬉しいです(#^^#)
 
 
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