大きくする 標準 小さくする

2012年03月16日(金)更新

店は小型化に向かう!? 「Echika fit」と「三越伊勢丹」の新規出店戦略

ここ最近、新規オープンする商業施設に、大きな変化が訪れているのにお気づきでしょうか? 
 
今年(2012年)2月、東京メトロ・丸ノ内線東京駅構内にオープンした「Echika fit 東京」には、アパレルのユナイテッドアローズ、ステーショナリーの伊東屋、雑貨のフランフランなどの “ミニサイズショップ”が集結しています。
 
 


 
ここは「TOKYO TRAVEL」をコンセプトとし、“大人のトラベル秘密基地”を目指しているようですが、都心の玄関口である東京駅の駅ナカという利点をぶんだんに活かし、従来の顧客とは違った層に、各店のブランドイメージを訴求していくためのアンテナショップとしても機能することになるでしょう。
 
店を小さくしたことで、既存店とは全く違う品揃えになるわけですが、それがまた“新しい楽しさ”を生み出すのではないでしょうか? ふらっと立ち寄った小さな秘密基地で、お気に入りの1点を見つけるのは、なんとも楽しい体験だと思います。
 
一方、三越伊勢丹ホールディングスも、新たに「新規小型店舗事業」を始動しています。なんと!新宿ルミネの中に「小さな伊勢丹」をつくったのです(@_@;)
 
そこは「ラグジュアリーコスメ編集ショップ」として、「ランコム」などの海外ブランドを始め、「SHISEIDO」「shu uemura(シュウ ウエムラ)」「RMK(アールエムケー)」など、国内外の高級化粧品ブランドを集結させたショップです。
 
そもそも百貨店の化粧品売り場というものは、各ブランドの販売員さんがバッチリ張り付いていますから、一度どこかのブランドで買い物すると、あちこち「はしご」しづらい雰囲気でした(――;)
 
しかし、このルミネ内のショップでは、ブランドの壁を一切取り払い、ファンデーションは「shu uemura」で、口紅は「RMK」で・・・などという買い方が気兼ねなくできるようになったわけです。ここにも“新しい価値”が生まれていますよね。
 
しかも、新宿駅と直結しているルミネは交通の便も良く、これまで伊勢丹には足が向かなかった若い女性にも来店してもらえます。駅ビル内に百貨店が出店・・・、時代も変わったものですね。
 
同社は今後も「新規小型店舗事業」を積極的に進めていく方針で、この4月には羽田空港国内線第1旅客ターミナルに初の紳士雑貨を主体とした店舗をオープンする予定だそうですが、出店場所ごとに商品構成をガラッと変えて、常に消費者を飽きさせない戦略に出るのでしょう。
 
こうした流れを見ていると、百貨店という名が表すとおり「何でも買える」店から、真逆に舵を切ったことがよくわかります。これからの時代、“販売アイテムを編集する”といった感覚が、店舗運営に強く求められるのではないでしょうか。
 
同時に、そこに「どんな店が集まっているか」がその商業施設の価値をシビアに決めていくことになるでしょう。これまでなかったような「異色のコラボ」にも期待したいところです。
 
経営者として、こうした時代感覚を掴んでおくことはとても大切です。1社で大きな商売をするより、小さくてもそれぞれユニークな価値を持つ会社がコラボすることで、生まれる価値は何倍にもなるはずです。
 
時に、春はもうすぐそこまで来ています。この事例を参考に、思い切り発想を拡げてみてください(@^^)/~~~