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2008年12月05日(金)更新

アスクルに学ぶ“顧客”の周辺需要を掘り起こす法

早いもので今年も師走を迎え、みなさんの会社でもそろそろ「忘年会」の時期ではないでしょうか? 今年は景気の後退から「オフィス内」での忘年会に切り替える会社も増えていると聞きますが、そんな需要をみごとにとらえているのが、オフィス用品のアスクルです。


アスクル


なんとアスクルでは、ファイルやボールペンを頼むのと同じような感覚で、忘年会用のおつまみを発注することができるのだそうです(@_@;)

同社では、「アスクルお仕事サポート」として、オフィス内で必要になりそうなサービスを提供すべく、いろいろな業界との提携を進めてきましたが、今年3月には、飲食店情報サイト「ホットペッパー.jp 」を運営するリクルート、出前検索サイト「出前館」などを運営する夢の創造委員会の2社と提携しました。
リクルートからは飲食店、夢の創造委員会からは宅配店のデータ提供を受け、独自に編集して自社サイト内に受注ページを新設。ページ閲覧者が店の情報をクリックした場合と、実際に受注につながった場合に、それぞれアスクルに報酬が支払われる仕組みになっているようです。

情報化社会もますます進化を続け、今やネットで買えないものはないような時代になりつつあります。そうなるとユーザーのなかには「使い慣れたサイトから買いたい」という気持ちがしだいに濃くなっていくのです。

たとえば、アマゾンで本を注文することに慣れてしまった人が、サプリメントなどの他の商品をオーダーしたい場合、「アマゾンにはないのかな?」とまず調べます。新しいネットショップに、いちいち個人情報を入力するのは、結構面倒くさいですからね(――;)

それとまったく同じ感覚で、オフィス用品を頼むついでに、残業食や忘年会用のパーティーセットも…と、ついついアスクルからオーダーする人も増えてくるでしょう。現に、アスクルを経由した出前サービスの平均単価は、2008年10月の実績で5,900円強と、一般消費者が中心の出前舘の平均単価より2千円程度高いのだそうです。

アスクルもそのあたりの消費者心理もよくわかっているようで、「商品選択から決済まで短時間で済むのが利用者を増やすカギ」と話しています。たとえば、宴会のお店を探すときも、候補店の比較をしやすいようにするなど、独自の工夫を凝らしています。

そうなると、ホットペッパーや出前館としても、法人需要を取り込めるということで、十分メリットがありますよね(*^^)v 実績が上がれば、今後、アスクルと提携したがる企業も増えてくることでしょう。

こんなふうに、既存のお客さんに「どんなサービスを提供できるかが勝負」という時代に突入しているのです。少し前に私は冗談まじりに「そのうち、アマゾンで車や家を買ってポイントを貯める時代になるかもね」と話していましたが、もう、あながち冗談では終わらない感じもします。

ぜひこの事例を参考に、自社のビジネスを見直し、どんな人を自社の「顧客」にしたいのか、またその顧客に「どんなサービスを提供すればいいのか」をじっくり考えてみてください。

「売ったらおしまい」という薄利多売の時代は、すでに終わっているのです。自社の顧客といかに深くつきあうか…経営者自身のパラダイムシフトが必要な時代といえるかもしれません(@^^)/~~~