大きくする 標準 小さくする

2008年01月18日(金)更新

変貌を遂げる商品開発の舞台裏

少し前からネット界でうわさになっていた「シーフードヌードル伝説」を聞いたことがありますか? 日清食品の「シーフードヌードルに温めた牛乳を入れると、かなり美味しい!」という伝説です。

従来、こうしたネットでの話題は、「単なるうわさ」として企業から受け流されてきました。しかし、同社はこのうわさに真っ向から取り組み、本気で開発して誕生した新商品がこの『ミルクシーフードヌードル』です。同社のホームページでも丁寧にその開発秘話を公開し、昨年11月の発売以来、好調な売れ行きを見せているようです。


ミルクシーフード


そもそも同社のマーケティング担当者が、一昨年の春、「牛乳」と「シーフードヌードル」の2語でネット検索してみたところ、3万件にもおよぶヒットがあったことに感嘆し、自ら乳脂肪分の異なる牛乳を買ってきて実験を繰り返したところから、この商品の開発が始まりました。
「うわさにしては発想のレベルが高級。単なる話の『ネタ』ではなく、ヒット商品になる手ごたえを実感した」と同社では話していますが、テレビCMもしていないのに、コンビニでもいち押し商品として山積みされたりと、ほぼ狙い通りの展開をみせています。

さらに、この「ミルクシーフードヌードル」を食べた後、残ったスープにご飯を入れると、美味しいシーフードミルクリゾットに変身するとか、中身を耐熱皿に移し、たまねぎなどの具剤を加えてオーブンで焼くと、美味しいシーフードグラタンが出来上がる……などと、ネット上のうわさはどんどん進化し、増殖を続けているようです(*^^)v

一方、コンビニのローソンでは、タレントの中川翔子さん(しょこたん)がブログで“ギザカワユス(…とてもかわいいという意味らしいです)”と取り上げて話題になった海洋生物『スカシカシパン』を模した菓子パン『しょこたんプロデュース スカシカシパン』を、今月の29日から発売開始予定だとか。購入者は、携帯サイトでしょこたんが描いたアニメ『スカシカシパンマン』が見られるそうです。

「スカシカシパン」は、円盤型で体の一部にすき間があるウニの仲間で、昨年4月にしょこたんブログで紹介され、その後話題になりました。それを見た同社の開発担当者が、商品化できると判断し、しょこたんサイドに企画を持ちかけたのだそうです。

こうした動きを見ていると、情報化社会の進化に連れ、企業の商品開発への取り組みも、大きく変貌を遂げつつあるのがわかります。

もちろん、こうした手法で、ロングランヒットにつながる商品が作れるか…と考えると、多少疑問も残りますが、コンビニ業界のように、常に新しい話題を提供し続けないといけない業界としては、ネットはとてもありがたい存在であることは間違いありません。

この事例を参考に、一度、自社商品やサービスをネットでキーワード検索してみてください。そして、その結果とリンクさせるようなかたちで、商品開発やマーケティングのしくみを見直してみてもいいかもしれません。

もちろんそうなると、自社内の“ITスキル”の問題も出てきます。特にWebに関するスキルは、これからますます、経営のキーになってくると思います。自社のWebスキルに多少不安を感じる方は、今年こそ、“社内のしくみ”として本気で取り組むことを考えてみてください(@^^)/~~~