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2007年07月13日(金)更新

海のレクサス!? トヨタのプレジャーボート事業

トヨタ自動車の「プレジャーボート事業」は参入から10年を迎えたそうですが、このところの景気回復に伴い、乗用車の高級ブランドになぞらえて「海のレクサス」と呼ばれる高級艇が話題を集めています。


koukyutei


海のレクサスとは、「すべては最高のために」というコンセプトのもと、05年10月に発売した『ポーナム45』。全長約15メートルで、価格は約9400万円。内装には最高級の国内材を使い、車の電子制御技術を応用し、1本のスティックを操作するだけで全方位に移動できる最先端技術を装備しています。

トヨタがプレジャーボート事業に参入したのは、97年2月のこと。当初は、中型艇からスタートし、大型艇、小型艇と事業を拡大していきましたが、水上スキー用などの小型艇の売上げが思いのほか伸びなかったことから、「中大型艇」に特化する道を選んだようです。
競合他社はバブル崩壊後、大型艇から相次いで撤退していたので、競合は少なく、利幅が大きいというのも選択の理由でした。その後、自ら選んだ道を信じまっすぐに進んできたわけですが、折りしもこのポーナム45の発売が、景気回復と重なり、海のレクサスとして注目を集めることになったのです。

事前の予想では、年間販売数を5隻に設定していたところ、なんと発売後数か月で13隻の注文が舞い込みました。一時は生産が追いつかずストップしていた受注も、今年3月にようやく再開したそうです。

日本も不景気の時代が長く続きました。そんな環境に身を置くと、経営者といえどもなかなかゴージャスな発想ができなくなってしまうものですが、トヨタのプレジャーボート事業部門は、そんななかで富裕層向けの商品を開発し続け、ひたすら景気回復後のビジネスチャンスを狙っていたのでしょう。

業界大手のヤマハ発動機によると、大型高級艇の購入者は、IT企業の若手経営者が目立ち、都市部での購入者の平均年齢は、03年の63歳から、06年には46歳に下がったそうです。

しかも、彼らは仕事に追われて遊ぶ暇がなかったバブル期の富裕層とは違い、お金と時間を上手に使う『アクティブな富裕層』なのだそうです(*^^)v 

富裕層、それも特別にニッチな層に向けての商品やサービスは、本当に競争がないに等しいので、価格などの面でも完全に主導権を持ったビジネスができます。

そう考えると、この業界の未来はしばらく明るい感じがしますが、それは「長期的な視野」を持った経営の勝利といえるでしょう。いつの時代も、目先にばかりとらわれず、将来に向けての準備を着々とすすめる会社に勝利の女神は微笑むようです(@^^)/~~~