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2007年11月26日(月)更新

関空の“その気”にさせる顧客獲得法?!

特に旅行に行く気などなくとも、空港に行くと「なんだかどこかに行きたいなぁ~」なんて気分に駆られる人も多いと思います。そのくらい、空港とは旅情を誘う場所ですが、こうした消費者心理を上手に活用している会社があります。

関西国際空港株式会社があえて市街地から離れた空港で開催する「旅行セミナー」が、海外旅行の需要掘り起こしと、リピーターの獲得に功を奏しているようです(*^^)v


関空


9月末の土曜日に開催された「関空わくわくセミナー」には、135名の人が参加されたそうですが、3月のブリスベーン、シドニー線に続き、9月からケアンズ線を就航したことにちなみ、豪ジェットスター航空の社員が、オーストラリアの各都市の楽しみ方を指南してくれたそうです。
オーストラリアワインの試飲会をはさみ、クイーンズランド州観光公社の職員が、現地の世界遺産などを紹介したりと、かなりの盛り上がりをみせたみたいですが、この「わくわくセミナー」は、定期便やチャーター便を就航したり、便数が増えたりした路線の都市を中心に、政府観光局の協力を得て、1ヶ月半に1度のペースで開かれているのだそうです。

参加は無料ですが、なんと今までに計30回ほどの開催で延べ3千人以上を動員したそうで、最近では百名の定員を大幅に上回るセミナーも目立ち、毎回のように参加するリピーターも増えたそうですから、なかなかの成果ではないでしょうか。

こうした取り組みの背景には、消費の多様化で伸び悩む海外旅行の需要を喚起することはもちろん、旅先の魅力を伝えることで、関空発着便の搭乗率を安定させたい狙いもあるようです。

実際、関空ではここ数年、北米と欧州の路線で運休や減便が相次ぎ、旅行客が成田空港に流れる悪循環に陥っているのだとか…(――;) 

そうした現状を打破すべく、05年からは「わくわくセミナー」の拡大版として、毎年3月に2日間の「関空旅博」も開催していて、各国の特産品を展示したり、地域・テーマ別のセミナーを開いたりして、昨年は4万人を超える来場者を集めたそうです。

来場者からも「旅行会社のような宣伝くささがなく、生の情報を聞けるのが魅力」とかなりの好評ぶりのようです。空港という独特の雰囲気の中で開かれるセミナーには、旅行会社の店頭でのセミナーや説明とは違った魅力があり、ファンづくりにも大きく貢献しているのではないでしょうか。

今の時代、「旅行」はネットで買われる商品の常に上位にランクインするような存在ですが、
いくらネットが便利でも、やはり『価値ある生情報』には勝てないと思います。

このところ、私は『価値ある1次情報の発信』こそ、経営のキーだと思っているのですが、それを証明するかのような事例ではないでしょうか。

つまりそれは、今の世の中、ネット上をはじめとするほとんどの情報が、2次情報や3次情報で、自社が価値ある1次情報を創出し発信者側にまわるか、それを広める2次情報発信側にまわるか、経営者が決断すべき時が来ている、ということでもあります。

1次情報とは、現実に起こっていること、生の情報、自分で考えていること、たくさんの情報をオリジナルの考えでまとめたもの…などで、自社開発した商品や、独自のサービスなどもこれにあたります。そうした視点で、ぜひ一度、自社の現状を冷静に見つめてみてください(@^^)/~~~